新任マネジャーが陥りやすい典型的なつまづき:「自分の成功パターン」を部下全員にコピペ・横展開する!?

 先だって、ソフトバンク株式会社さんで、マネジャー昇格寸前の現場の方々120名を対象にしたLearning bar的?研修を実施させていただきました(満員御礼で抽選が行われたようです)。拙著「駆け出しマネジャーの成長論(駆け出し本)」を参考にしつつも(全員に配付いただきました!感謝!)、同社に完全にカスタマイズした研修です。

 駆け出し本で論じましたように、実務担当者からマネジャーへの役割移行のプロセスには、様々な困難が生じます。

 実務担当者とは「自分で動き、自分で動くこと」を求められるため、その仕事のあり方は「自分軸」にあります。しかし、マネジャーに昇格した途端、その風景は少しずつ徐々に変化しはじめます。

 マネジャーの世界とは「他人を動かし、他人に成果をあげてもらうこと」が求められます。その仕事は「他人軸」です。ゆえに、その仕事の根本原理が相当に異なっています。このギャップが多い痛めに、おおよそ3割くらいの新任マネジャーは、マネジャーになった当初に「つまづき」を感じます。

 「実務担当者の世界観」から「マネジャーの世界」への移行は、そう容易ではありません。ひとつには、マネジャー候補生は、そもそも「実務担当時代のエキスパート」であるので、その成功体験を、そのまま引きずってしまうこともあります。

 例えば、「実務担当者時代、優秀だった人は、実務担当者の自分の成功パターンを、他人にも押しつけ、完全コピペして、水平展開しよう」としがちです。いや、もちろん、「よいところ」をコピーするのは全く問題ないのです。しかし、問題は「完全コピペ・横展開」にあります。
 それはそれでうまくケースもあるのでしょうが、うまくいかないときには、部下は意義のわからないやり方を、やらされ感をともなってやることになります。
 さらに問題なのは、完全コピペしたやり方が教条化すると、部下は「自分の頭」で考えなくなってしまいます。だって、「そのままやれ!」って言われているから、考える余地がないのだから。

 水平展開の難しさにあるのは、マネジャーになる人と部下の能力やスキルや意識の差もあります。部下になる人の能力やスキルが、マネジャーの人々のそれとかなり異なっている場合、ブレークダウンが典型的にあらわれます。

 新任マネジャーの能力・スキル・熱意をもってすれば「できてあたりまえ」のことでも、必ずしも、部下にとっては「あたりまえ」ではありません。
 本来ならば、「横展開しようとするアクション」に、どのようなスキル・能力・熱意が必要なのかを考えなくてはなりませんし、まずは部下ひとりひとりを見極めなくてはなりません。しかし、実務担当者時代優秀だった人には、こうしたことが見えなくなる場合が少なくありません。

 「できる人」には「なぜできないのか」そのこと自体が理解できないのです。
  それは
 「すでにわかっている人」が「わかっていない人がわからない理由がわからないこと」
  と似ています。

 こうしたつまづきが、新任マネジャー就任時期に、典型的に起こってきます。

 僕がこうしたトランジションの研究をはじめたのは、5年くらい前。日本生産性本部さんとの共同研究「マネジメントディスカバリーワークショップ開発プロジェクト」が、その後、強力な後押しをしてくれました。

マネジメントディスカバリーワークショップ
https://jpc-management.jp/md/index.html

 一連の研究は、自分のためでもあり、自分と同時代に生きる人々の智慧を生み出したいことからはじまりました。
 自分と同時代の人々が、年齢を重ね、マネジャーになる時分になりました。自分を含め、そういう人々に、何とか、その実践知をお届けしたい、という思いでした。

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 研修当日は、最初に、僕が「駆け出しマネジャーの成長論」を参考に1時間ほどレクチャーをしました。レクチャーの合間には、3分間エクササイズをいくつかはさみ、お隣同士のコメントをしていただきました。
 このレクチャーをつくるにあたっては、同社の若手マネジャーの方々にヒアリングをさせていただき、科学的事実とともに、その「生声」を盛り込ませて頂きました。

(わたしが講演をするときには、必ず事前に対象者の方々に取材+ヒアリングを行わせて頂き、その内容を講演に盛り込ませていただきます。その分、人事部の方々には骨をおっていただく必要があるのですが、現場の方々に刺さるコンテンツをお贈りできる可能性が高まります)

 その後は、同社の若手マネジャー3名に御協力いただき、中原がファシリテータとなり、トークセッションをさせていただきました。その後は、会場の方々に対話いただき、質疑応答をいたしました。

 現場の方々120名ほどのセッションでしたので、大変緊張しましたが、無事終えることができました。講演・ファシリテーションする側としては、あっという間の2時間でした。

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 実務担当者からマネジャーへの移行研究に関しては、今も継続中です。研究室OBの関根さん、研究室メンバーの浜屋さんと一緒に、某社のマネジャー予備軍の方々を対象に、その移行過程をおっています(ヤマト運輸の木村課長、感謝です!)。
 現場に役立ててもらえる研究、そして、これからマネジャーになっていく人が「マネジャーのリアリティを感じてもらえる」研究を、生み出していきたいと感じています。

 最後になりますが、ソフトバンクの角麻喜子さん、島村公俊さん、富田智晴さん、源田泰之さん、またプロジェクト発足当初かかわってくださった大内礼子さん、当日のロジスティクス+ビデオレコーディングをご担当いただいた同社の研修スタッフの方々に心より感謝いたします。
(ソフトバンクさんでは、当日の様子をビデオレコーデイングしていました。若いスタッフの方々が、カメラを動かし、スイッチャー+音声ミキシングしながら、動画をキャプチャーしている様子は、さすがだな、スキルフルだなと思いました)
 特に角麻喜子さんは、マネジャーへの御連絡・ご調整、そしてヒアリング+テープ起こしなどの実務を手配いただきました。少しでもよい場をつくりたい一心でのご依頼でしたが、快く引き受けて下さいました。
 この場を借りて、みなさまに御礼申し上げます。ありがとうございました。

 そして人生は続く

投稿者 jun : 2014年10月31日 08:07


Unlearning(アンラーニング)研究会開催のお知らせ!

#お知らせ
「Unlearning研究会」10月31日(金)午前10時30分、定員一杯となりましたので、募集を締め切らせて頂きます。お申込みくださった皆さん、ありがとうございました。

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 研究室OBの立教大学の舘野君、関根さん、そして現役研究室メンバーの田中君が、「Unlearning(アンラーニング)研究会」を企画して下さいました。この研究会では、Unlearning(アンラーニング)に関する英語文献を皆で読みます。

 思うに、これまで人材開発の議論は「(知識・スキルを)獲得すること」に饒舌でした。しかし、今後は「痛みを感じつつ棄却すること」「成功例をわきにおくこと」に対しても、様々なアプローチが必要になってきています。

 英語文献を読み、レジュメをつくり、ディスカッションをするなど、参加条件がきびしめです。当日もかなりハードコアな一日になることは予想できます。ボランティアで運営されている会なので、おもてなしは、期待できません。それでも、腹をくくりご参加いただける方、趣旨をご理解いただけるかた、ご興味のある方は、ぜひ、どうぞふるってお申し込みください。

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Unlearning 研究会
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「Unlearning に関する文献」を皆で読む会


日時:2014年12月12日(金)13時~18時30分 + 懇親会(希望者)
      12月13日(土)9時~12時 

場所:立教大学 池袋キャンパス
   
    (または、東大 本郷キャンパス。
     確定次第、参加者にご連絡します)


人数:15名程度(2日連続で参加できることが前提)

参加予定(敬称略):中原、舘野、田中、関根 

費用:無料

事務局:関根(中原研OB)& 田中(中原研M1) 

問合せ先:宛先 関根 info@learn-well.com
      CC 田中 tanakasatoshi0630(アットマーク)gmail.com

連絡:参加者が確定した時点で、連絡用のML(FreeML)を作成。

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参加条件:

1)英語文献1本を担当。
  日本語にて要約・レジュメを作成し、15分程度で報告。

2)要約した文献を、各自がプリントアウトし、参加者人数分を当日持参。
  後日、PDF等で共有。

3)大学院レベルのアカデミックな議論に参加し、
  多くの研究のバックグラウンドのある参加者に貢献できること

4)事務局もボランティアで行われていることを理解し、場に貢献できること

5)2日連続で参加できることが前提。
  申し込み後、当日欠席する場合、和訳レジュメは、MLにて提出。

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今後の流れ:

 11月上旬 担当文献の選定と申し込み

 11月中旬 担当文献の確定
      (事務局が皆さんの希望を踏まえて、えいや!で決定)

      各自で担当文献の読み込み+レジュメ作成

 12月12日(金)~13日(土)研究会実施

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スケジュール:

12月12日(金)

 13時~ 開始・オリエンテーション

 13時30分~ 文献①~⑨

 18時30分 終了

 19時~21時 懇親会(希望者のみ)

12月13日(土)

 9時~ 文献⑩~⑮

 12時 解散!

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申し込み:下記フォームから申し込み
     (先着順。定員になった段階で募集を打ち切ります)

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文献候補:下記19本の論文から、3つを選び、
      申込フォームに番号を記入(例:① ④ ⑱)

     11月中旬ごろに、各自が担当する文献1つを事務局から連絡。

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①★Argote, L. (2005).
 Reflections on two views of managing learning and knowledge in
 organizations. Journal of Management Inquiry, 14, 1, 43-48.

②★McGill, M.E., & Slocum, J.W. (1993).
 Unlearning the organization. Organizational Dynamics, 22, 2, 6?79.

③★Nystrom, P.C. & Starbuck, W.H. (1984).
 To avoid organizational crises, unlearn.
 Organizational Dynamics, Spring, 53-65.

④★Buchen, I.H. (1999).
 Creating the future: innovation and the unlearning organization.
 Foresight, 1, 2, 117-23.

⑤★de Holan, P.M. & Phillips, N. (2004). Remembrance of things past ?
 The dynamics of organizational forgetting.
 Management Science, 50, 11, 1603-1613

⑥★Easterby-Smith, M., Antonacopoulou, E., Simm, D., & Lyles, M. (2004).
 Constructing contributions to organizational learning: Argyris and
 the next generation. Management Learning, 35, 4, 371-380

⑦★Wong, P.S.P., Cheung, S.O., Yiu, R.L.Y., & Hardie, M. (2012).
 The unlearning dimension of organizational learning in construction
 projects. International Journal of Project Management, 30, 94-104

⑧★Antonacopoulou, E.P. (2009).
 Impact and scholarship: Unlearning and practising to co-create
 actionable knowledge. Management Learning, 40, 421-430.

⑨★Tsang, E.W.K. (2008).
 Transferring knowledge to acquisition joint ventures: An organizational
 unlearning perspective. Management Learning, 39, 5-20.

⑩★Tsang, E.W.K. & Zahra, S.A. (2008).
 Organizational unlearning. Human Relations, 61, 10: 1435-1462.

⑪★Easterby-Smith, M. & Lyles, M.A. (2011).
 In praise of organizational forgetting.
 Journal of Management Inquiry, 20, 3, 311-316.

⑫★Akgun, A.E., Byrne, J.C., Lynn, G.S., & Keskin, H. (2007).
 Organizational unlearning as changes in beliefs and routines in
 organizations.
 Journal of Organizational Change Management, 20, 6, 794-812.

⑬★Becker, K. (2010).
 Facilitating unlearning during implementation of new technology.
 Journal of Organizational Change Management, 23, 3, 251-268.

⑭★Cook, S.D.N. & Yanow, D. (1993).
 Culture and organizational learning.
 Journal of Management Inquiry, 2, 4, 373-390

⑮★Akgun, A.E., Lynn, G.S., & Byrne, J.C. (2006).
 Antecedents and consequences of unlearning in new product development
 teams. Journal of Product Innovation Management, 23, 73?88.

⑯★Klein, J.I. (1989). Parenthetic learning in organizations:
 Toward the unlearning of the unlearning model.
 Journal of Management Studies, 26, 3, 291-308.

⑰★Rebernik, M. & Sirec, K. (2007).
 Fostering innovation by unlearning tacit knowledge.
 Kybernetes, 36, 3/4, 406-419.

⑱★Hutzschenreuter, T., Kleindienst, I., & Greger, C. (2012).
 How new leaders affect strategic change following a succession event:
 A critical review of the literature.
 Leadership Quarterly, 23, 729-755.

⑲★Becker, K. (2005).
 Individual and organizational unlearning:
 Directions for future research.
 International Journal of Organizational Behaviour, 9, 7, 659-670.

以上です。ご興味のある方はぜひ! 一緒に学んでいきましょう!
申し込みフォーム: 

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投稿者 jun : 2014年10月30日 19:57


40歳は、まだまだ惑う!? : トンネルの中で感じるゼロリセット願望

 先だって、ひょんなことから、糸井重里さんがやっておられる企画で「40歳は惑う」という企画があることを知りました。もしかすると、ネット等でかなり有名になっている企画だそうなので(僕は経緯は知りません)、ご存じの方もいらっしゃるかもしれません。

40歳は、まだ惑う!?
http://aera.1101.com/

ゼロになってちゃんともがく
http://aera.1101.com/itoi.html

 この記事の中で糸井さんは40代を「トンネル」にたとえ、
 (下記同サイトからの引用あり)

 ぼくにとって40歳は25年前
 暗いトンネルに入ったみたいで
 つらかったのを覚えている。

 としたうえで、

 (40代の)つらさは
 自分がまだ何者でもないことに悩む、
 30歳を迎えるときのつらさとは別物

 だとします。
 
 40代とは、子育てや介護などの
 「ライフイベント」が襲い始める
 時期でもあります。
 そして、
 30代の万能感をもってしてもクリアできない
 社会の「理不尽さ」に直面するときでもあります。

 そして、その上で、糸井さんは、こんなアドバイスをします。

 ぼくはゼロになることを意識するよう心掛けた。
 仕事は何でも引き受けるんじゃなく厳選した。

 ワクワクすることが見つからない人には、
 ひとつだけアドバイスがある。
 「絶対にやりたくないことからは逃げる」
 と心に決めること。
 これは逆説でもあって、
 「絶対に」が付かない程度の、
 文句を言いながらやれることなら、
 逃げずにやり遂げろということ。

 ▼

 上記の糸井さんの問題提起に対して、今年39歳になる僕も、非常に共感できるところがあります。僕の場合、まだ40代に片足をひっかけているだけですが、今の自分を「ゼロリセット」したい思いが、数年前から、ふつふつとわいてきているのです。

 腹をくくって
 環境を変える。

 研究のテーマを厳選し
 もう一度
 初心に返って学び直す。

 もう一度
 異なる角度から
 挑戦してみたい

 実際、数年前から、今までの自分だったら絶対にやらないことを、いくつもチャレンジしています。「先生として過ごす時間」ではなく、「ひとりの学び手として生きる時間」を意識的に、可能な限りつくっているつもりです。

 確かに、糸井さんのいうように、39歳になる自分には、「将来に曙光すら感じられなかった30歳前後」のときのような切羽詰まった思いはありません。そして、まことに不遜ではありますが、少し何かをやり遂げられたかのような「プチ達成感」(達成感ではない!あくまでプチ達成感!)はあります。

 しかし、この延長上にいて、残りの研究人生、仕事人生を「そのまま」やり過ごすには、あまりにその時間が「長い」。
 どこまで社会福祉が持ち堪えられるのか専門家ではないのでわかりませんが、おそらく、僕たちの生きる社会に「定年」という概念は、今よりも、色褪せたものになっていくだろう。
 そう、仕事人生を終えるまでには、時間が本当に「長い」のです。そして、そうであるならば、そんな「長い人生」を逆手にとり、まだ見ぬ地平を、もう一度開拓してみたい。そう思うようになりました。

 事実、研究をはじめてからもう15年以上がたっていますが、何一つ、満足できた気がしません。
 どんなに調査をしても、どんなに分析をしても、ほんのすこしだけ「わかること」が増え、それをはるかに上回る量の「わからないこと」が増えていく。
 
「わかったこと」が「1つ」増えれば
「わからないこと」が「3つ増える」

 研究とは、その繰り返しです。ひとつひとつの研究を終えれば、プチ達成感はありますが、しかし、いつまでたっても「不満足」で、「不機嫌」なのです。おそらく、今の延長上には、この解決の方法はない。
 そうした「わからないこと」に対して、今までとは違うやり方で、取り組んでみたい。今は、そんな気持ちでいっぱいです。

  ▼

 自分は、「人生の転機」と思える瞬間には、いつも一遍の詩が脳裏に浮かびます。
 それは、いつか教科書で目にした詩で、「あの坂をのぼれば」といいます。作家は杉みき子さんという方だそうです。

 詩の中で、作者は何度も自己に問いかけます。

 あの坂を登れば、海が見える
 あの坂を登れば、海が見える
 あの坂を登れば、海が見える

 自分も、「あの坂をのぼれば海が見える」と思って、ここまで、いくつもの「坂」を登ってきたような気がします。しかし、まだ僕に「海」は見えません。それどころか、「潮騒の響き」もしません。今もなお、坂は、目の前に広がっています。

 いったい、いつになったら、坂を登り切ることができるのか。
 いったい、どこに海がひらけてくるというのか?
 そのとき見る海は、「あのときの自分」が見たかった海なのか?
 そこで耳にする潮騒の響きは、少年の頃、僕が聞きたかった音なのか?

 あの坂を登れば、海が見える
 人生は短いようでいて長く、長いようでいて短い。
 しかし、間違いのないことは1つだけある。
 それに「終わり」は、間違いなく、ある。

 あの坂を登れば、海が見える
 もう少し峠は続きます。
 そして人生は続く

 ---

「あの坂をのぼれば」
杉みき子

あの坂をのぼれば、海が見える。
少年は、朝から歩いていた。
草いきれがむっとたちこめる山道である。
顔も背すじも汗にまみれ、休まず歩く息づかいがあらい。

あの坂をのぼれば、海が見える。

それは、幼いころ、添い寝の祖母から、
いつも子守歌のように聞かされたことだった。
うちの裏の、あの山を一つこえれば、海が見えるんだよ、と。

その、山一つ、という言葉を、
少年は正直にそのまま受けとめていたのだが、
それはどうやら、しごく大ざっぱな言葉のあやだったらしい。

現に、今こうして、峠を二つ三つとこえても、
まだ海は見えてこないのだから。
それでも少年は、呪文のように心に唱えて、のぼってゆく。

(中略)

あの坂をのぼれば、海が見える。

少年は、今、どうしても海を見たいのだった。
細かくいえばきりもないが、
やりたくてやれないことの数々の重荷が背に積もり積もったとき、
少年は、磁石が北を指すように、
まっすぐに海を思ったのである。
自分の足で、海を見てこよう。
山一つこえたら、本当に海があるのを確かめてこよう、と。

あの坂をのぼれば、海が見える。

しかし、まだ海は見えなかった。
はうようにしてのぼってきたこの坂の行く手も、
やはり今までと同じ、果てしない上り下りの繰り返しだったのである。

もう、やめよう。

急に、道ばたに座りこんで、
少年はうめくようにそう思った。
こんなにつらい思いをして、
坂をのぼったりおりたりして、いったいなんの得があるのか。

(中略)

あの坂をのぼれば、海が見える。

少年はもう一度、力をこめてつぶやく。
しかし、そうでなくともよかった。
今はたとえ、このあと三つの坂、
四つの坂をこえることになろうとも、
必ず海に行き着くことができる、行き着いてみせる。

(中略)

少年の耳にあるいは心の奥にか、
かすかな、潮騒の響きが聞こえ始めていた。

投稿者 jun : 2014年10月29日 06:51


リフレクションをうながす「スパイシーなフィードバック」!? 美瑛町・地域課題解決研修2014が終わった!

 先だっての週末、美瑛・課題解決研修が終わりました。

異業種5社のリーダーが集まる研修をいかにデザインするのか!?
http://www.nakahara-lab.net/2014/05/post_2222.html

 5社異業種の次世代リーダーの方々が、美瑛を舞台に、美瑛町の地域課題を選び、解決策を美瑛町長に提案する6ヶ月の試み。それは「プロジェクト」でもあり、「リーダーシップ開発の研修」でもありました。

  ▼

「プロジェクトとしての美瑛課題解決研修」の最終舞台は、町民150名を集めての街一番のホールで行われた「町長プレゼン」でした。6ヶ月の過程で、ゴリゴリかつキューキューに揉まれ、最後は「ほぼ完徹」状態でつくられたプレゼンは、大枠ではすべて「採用」ということになりました。

saishupurezen_biei.png

 しかし一口に「採用」といっても、その「採用のニュアンス」には「部分的採用」から「考え方の採用」まで濃淡があり、そのニュアンスは、会場にいる150名を超える町民には伝わったのではないかと思います。また何よりも、そのことを深くかつ真摯に受け止めて下さったのは、今回プレゼンを行った次世代リーダーの皆さんではないかと思います。

 それにしても、驚いたのは、最終プレゼン2週間くらい前からはじまった強烈・猛烈な追い込み力です。「日本のマネジャーはすごい」と心の底から思いました。プレゼンターの中には神が降臨し、「ジョブス」になっている方もいらっしゃいました(笑)。

 今後は町内で様々な議論や検討がおこると思いますが、いくつかのアイデアは、おそらく「遠くない将来」に本当に実現されていくのではないかと思います。

  ▼

「リーダーシップ開発としての研修」の結末は、最終プレゼンが終わった翌日、プロジェクト最終日を丸々1日つくって実施された「リフレクションセッション」でした。

 一般的なアクションラーニングプロジェクトは、提案やプレゼンの出来不出来だけが注目されますが、それと同等くらい大切なのは、その作成プロセスに起こった出来事を振り返り、各人のリーダーシップ開発につなげることであると思います。
 こうしたことを踏まえ、このプロジェクトでは、僕がファシリテーションを担当し、各社のフィールドワーカーと連携しながら、最終リフレクションセッションを行うことになりました。

「地域課題解決プロジェクト」という6ヶ月のプロセスを振り返り、その中で、チームではどのような出来事が起こっていたのか。
 自分は、そこにどのような貢献ができたのか、できなかったのか。どのような規範や権力が生まれていたのか。
 誰がリーダーシップをきり、誰がフォローしていたのか。チームの中に、どのような影響関係が生まれていたのかを振り返り、議論します。

 そのあとで、6ヶ月間苦楽をともにしたメンバーから各人に向けて、「ポジティブなフィードバック」と「ネガティブフィードバック」を書いた短冊を交換する、というワークをやりました。本人だけに厳封して、「一歩先行くアドバイスをする」という相互フィードバックの機会です。

biei_saishu_session.png

 ちなみに、「ネガティブフィードバック」は、このプロジェクトの「ノリ」らしく「スパイシーコメント」と命名されました。人は年齢・役職があがるに従って、ピリ辛なコメントを他者からもらう機会は少なくなっていきます。
 またスパイシーコメントは、十分グループ内の人間関係が強固になっていなければ交換することはできません。このプロジェクトでは、6ヶ月かけて、それらを行う基盤を築けていたと思います。

 各グループのフィールドワーカー(各社人事部の皆様)の方々も、各グループメンバーにハートフルなコメントをおくりました。
 各グループに張り付いたフィールドワーカーは、グループで起こっている出来事を常にモニタリングし、見つめていました。フィールドワーカーの皆さんの貢献がなければ、このプロジェクトは、最終地点に到達できなかった、といっても過言ではないのかな、と思います。

 リフレクションチームは、チームによっては、ここにきて、そこまで薄々わかっていたことを振り返る機会もでてきたようでした。

 個人のリフレクションとして印象深かったひと言としては、

「子どもの頃から他人から指摘されている点を、全員から見事に突かれました。わたしと仕事をする人は、みな感じるんですね。本気で直さなければなりませんね」

 といったものがありました。
 本当に皆様、6ヶ月間、お疲れさまでした。

  ▼

 かくして「課題解決プロジェクト2014」は終わりました。
 まずはこのプロジェクトに参加して下さった皆様、お誘いいただいた本間さん、池田さんはじめ、コラボさせていただいた各社人事部の皆様、そして美瑛町の皆様に心より感謝いたします。ありがとうございました。特に参加者としてご参加いただいた皆様、本当にお疲れさまでした。皆さんがお持ちになった案に、スパイシーどころじゃないツッコミばかりしていて、本当に恐縮です。本当の僕は?、もっとマイルドなのですが???。

 地方課題解決プロジェクトは2015年も実施されるそうです。
 こちら、もし「腹をくくって」参加したい希有な方、希有な人事部の方がいらっしゃったら(超ハードファンですが、ラーニングフルです)、実現できるとよいかもしれませんね。

 なお、このプロジェクトの様子と理論的背景は、近いうちに、論文にまとめておきたいと思います。日経さんからも、来年1月あたりに書籍が出版されるようです。
「地方課題解決プロジェクト2015」ばかりでなく、これがきっかけとなって、全国の多くの自治体で、企業の次世代リーダーたちがガチなコラボをする機会が増えていったとしたら、非常に嬉しいです。

 そして人生は続く

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おまけ.
 元旅行代理店におつとめだった池田さん(Yahoo人事)は、このプロジェクトで折りにふれて、昔培ったスキルを活かして、バスガイドをなさっていました。そのスキルは、ものすごいものがありますので、もし興味をお持ちの方がいらっしゃったら、ぜひ、声をかけてあげてください。バスガイドをしているときの池田さんは、心の底から愉しそうです。僕は、池田さんをみても、もう「添乗員さん」にしか見えなくなっています(笑)。

 個人的には「バスガイドのスキルはいかに形成されるのか?」という新たなリサーチクエスチョンを池田さんからいただいたような気がします(笑)。本当にお疲れさまでした。

biei_saishu_ikeda.png

投稿者 jun : 2014年10月28日 08:35


組織を出ることではじめて見えるもの!? : 組織の「強み」と「存在意義」の再発見

 異業種5社の次世代リーダー社員による地域課題解決プロジェクトが大詰めを迎えています。
 このプロジェクトは、アサヒビール株式会社、株式会社インテリジェンス、株式会社電通北海道、ヤフー株式会社さんの異業種5社の社員の方々が、異種混成のチームをつくり、北海道・美瑛町が抱える地域課題の発見・解決策の提案を行うプロジェクトです。
 中原は、ヤフーの本間さん、池田さんらからお声がけいただき、このプロジェクトの監修・ファシリテータとして企画・実施に関与させて頂いております。詳細は下記でご覧下さい。

biei_Press.jpg

異業種5社のリーダーが集まる研修をいかにデザインするのか!?
http://www.nakahara-lab.net/2014/05/post_2222.html

異業種コラボ・アクションラーニングを成功させる3つのコツとは?:「捨てる勇気」と「待つこと」の意味!?
http://www.nakahara-lab.net/blog/2014/09/post_2264.html

 プロジェクトは残すところ、美瑛町長へのプレゼン。そして、全プロセスをふりかえっての、リフレクションセッション(リーダーシップ開発セッション)を残すだけとなりました。
 昨日は、あるチームのプレゼンを最終チェックを行いましたが、さすがは次世代リーダの皆さまですね。コンテンツのロジックに関しても、数字に関しても、パーフェクトに近い出来でした。今から、発表当日がとても楽しみです。

  ▼

 ところで、この研修の企画・運営に参加させて頂いていて、同時に、個人的に行わせていただいているのが、参加者の方々へのヒアリングです。研修そのものの評価のためのデータ取得もありますが、一部は、自身の研究のため、研修参加者や、各社人事の方々の御協力を得ながら、ヒアリングをさせていただいております(心より感謝いたします)。

 ヒアリングの中で取得させて頂いているお話の中で、個人的に、もっとも興味深いことは、多くの研修参加者の方々が、一様におっしゃるひと言です。

 そのひと言は、

 この研修に参加して、自分の会社の「良さ」や「強み」がよくわかった

 です。

 もしかしたら、この「ひと言」は意外に思われるかもしれませんね。会社の外にでれば、自分の会社のダメなところがわかる方が自然なのではないか、と。また、自組織をでれば、他の組織がうらやましくなって、自組織を卑下するんじゃないか、と。

 しかし、それは違います。
 もちろん、ネガティブな部分も見えてくることは事実です。自分の会社の弱みや弱点についても、研修参加者の方々が、言及なさっています。しかし、それ以上に、多くの方々が言及なさっているのが、「自分の会社の良さや強み」の再発見なのです。「自分の会社の弱点」は、それにアドオンされるかたちで語られることの方が多いように感じます。もちろん、これはシングルケースであり、どんな組織においても、そうなるとは限りませんが。

 たとえば、ある方、こうおっしゃいます。

 うちの会社は、やっぱり、白黒の能力はすごいんですよ。一定のクオリティで、文書をまとめる能力っていうのは、やっぱりすごいんです。これは他の会社にはないかもしれない。
 でも、そうですね、強いて言えば、カラーの世界には弱い。プレゼンとか、どう魅せるかっていう観点になってくると、弱いですね。

 中には「会社が存在する意味」「理念が存在する意味」まで考えられる方もおられます。

 曰く、
 
 はじめて「会社がある意味」って、何なんだろうって考えさせられました。みんなが多様で、理念も決まってなくて、目標もないところから組織をつくっていくことが、こんなに大変だとは思わなかった。理念って、なぜあるのか、わからなかったし、組織がなぜあるかなんて考えたこともなかった。でも、軸がなければ、どこまでもぶれる。

 研修参加者の思考は、かくのごとく、進みます。
 とても興味深いことですね。

 ▼

 この研修は、いよいよ最終フィナーレ。
 防災無線?をつかって街全体に広報がなされる町長に向けての最終プレゼンと、丸々一日をかけたリフレクションセッションに向かいます。

 会社をでて、地域に出ることで見えてきたものは何か・・・

 そして人生は続く
 

投稿者 jun : 2014年10月24日 05:59


留学して語学をものに出来る人と、そうでない人の違いとは何か!?

 昨日、海外の仕事経験の長い方と、ひょんなことから、お話をする。機会を得ました
 海外で長いこと仕事をしていると、比較的短期間、海外赴任してくる日本人、海外に学びにくる学生をたくさん見ることになり、いろいろなことを思うのだそうで、そのことを中心に、その方とはいろいろなことをお話しました。

 僕には、いつも疑問に思っていたことのひとつで、しかしながら、確認してみたいことがございましたので、これを機会に伺ってみることにしました。

 それは、

「留学して語学をものにできる人と、できない人がいますよね。その差は、ワンワードでいうと、何によって生まれますか? あげつらえば、いろいろあるんだろうけど、敢えて敢えて1つだけにしぼって、1つだけあげるのだとすると、それは、何ですか?」

 その方曰く
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「目的です」
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「つまり、英語を使って、何をしたいのか。何をしたくて、外国にきたのか。それがあるか、ないかは語学の習得にとって大きいと思います」

 あまりにシンプルなお答えでしたが、しかし、そのお答えは、僕が長年思っていることと、重なるところが多いような気がしましたので、「やっぱりな」と思いました。

 ちなみに、僕の答えは、

「(英語を道具として使って)成し遂げたい何かがあるか、どうか」

 です。

 英語を学ぶことが「目的」なのではなく、その英語を使って何をしたいのか、そういう「目的」が明瞭で、かつ、そこに関する思いの強い人は、僕は、語学に習熟できると思っています。ま、「わたしの教育論」ですが(笑)。

 ▼

 今日の日記は、少なくとも僕に関して言えば「英語の非専門家」が述べる「わたしの教育論」なので、軽く読み飛ばしていただいてまったく結構です。
 今日の問いに対する答えは、あげつらえば、いろいろあるんでしょうし、その多くが正解でありうるのでしょう。その判断は、読者の方々に任せます。

 しかし、これに関して、先だって、ある会社の新人育成担当者の方と話していて、伺った話が忘れられません。

「今は、留学が"ブーム"だから。でも、留学して何を得たかは千差万別。中には外国に出かけただけの人もいる。留学して何かしてきた人もいる」

 願わくば、「成し遂げたい何か」をもって、外国に出たいものです。これから出られる方は、ぜひ、そのことを意識なさるとよいのかもしれません。
 いやー、ていうか、僕も、今すぐ、もう一度、留学したいよ(笑)やりたいことだらけで、まじで困る(笑)。
 ま、英語がうまくなるかどうかはわからないけれど。

 そして人生は続く

投稿者 jun : 2014年10月23日 06:55


中途採用者は「放置プレーできる即戦力」か!?:中途採用者の人材マネジメント、その実践知の発展をめざして

 今、ひそかに仕込んでいる研究のひとつに「中途採用者の研究」があります。先だっては、やはり今仕込んでいる研究のひとつである「管理職から実務担当者への逆トランジション」研究について書かせてもらいましたが、それとは別の、もうひとつの研究になります。


管理職から実務担当者への「逆トランジション」!? : 「定年きっぱり・管理職はアガリの世界」から「定年レス・管理職は役割の世界」への移行!?

http://www.nakahara-lab.net/blog/2014/10/post_2287.html

 中途採用者の研究については、すでに、著書「経営学習論」で1章を使って、その「導入部分」だけ、ほんのさわりを書かせてもらいました。


 経営学習論は、「組織と学習の各研究領域には、どんな研究の可能性が存在するのか、その地図を描くこと」が目的の本ですので、それはそれで目的を達成したなと思っているのですが、中途採用者の部分は、いつか「深ぼり」したいな、とずっと思っていました。

 いくつかのデータから、僕には

 「中途採用者=放置プレーできる即戦力」

 というラヴェルは「間違っている」のではないかという思いがあります。ここで「放置できる即戦力」とは「新卒のように手間をかけなくても、放置していても、勝手に即戦力として成果を残せる人材」ということです。

 この「放置プレーできる即戦力」というラベルは、なかなかに「曲者」です。これが存在するために、「中途採用なんだから、周囲に迷惑をかけちゃいけない」という風になり、本当は必要な情報を周囲から得ることができない。
 また受け入れる方も、「中途なんだからできてあたりまえ、お手並み拝見モードで見ているだけでいい」ということになりがちです。

 もちろん、中途採用は、新卒採用とは異なるので、当然支援の量も質も異なってあたりまえなのですが、それにしても、我が国には「中途慣れしていていない組織」が多い印象があるのは気のせいでしょうか。中途採用者の組織適応プロセスの実際と、それをハンドリングできる「実践知」の蓄積が、さらに必要であるように思います。

 研究の現場から見る、中途採用の実際は、少し風景を異にします。
 拙著「経営学習論」で論じたように、こと営業職に話をしぼったとしても、前職の営業経験あり / なしが、中途採用後のパフォーマンスに与える影響に統計的有意な差はありません。個人的には「中途採用、新卒採用」というラベルは、どこまで意味があるんだろうか、と思っているところもあります。もちろん経験のありなしは違うのですが、そこまで大きな違いもないようにも感じます。
 
 やはり、あたりまえだのクラッカーですが、

 中途採用者が、どのような職場に配属され、どのような仕事を、どのように任されるのか

 がパフォーマンスに与える影響は大きくなるのだと思います。

 中途採用者は組織参入時、どのような困難を抱え、それをどのように乗り越えるのか。前職のどのような経験が活きて、何が活きないのか。成果をだすことのできる中途採用者と、そうでない中途採用者は何が違うのか。
 今度の研究では、そうした中途採用者をめぐるリアリティに、定量的にも、定性的にも接近する研究がしたいと思っています。そのための準備がいよいよ整いました。
 
 本研究は、まだプロポーザル段階なので、ご迷惑をおかけしないためにも、現段階でお名前をだすことは差し控えます。が、今回の研究では、経営学の先生方にもご参加頂く共同研究になる予定です。
 現段階は、プロポーザルのやりとりをさせていただいている状況ですが、今から、「なるほど、そんなアイデアがあったか」と学ばせて頂いています(心より感謝いたします!)。

 どんな実証研究ができるのか、今から、とても楽しみです。
 新しい研究を、常に、生み出し続けていきたいものです。
 そして人生は続く

投稿者 jun : 2014年10月22日 06:40


一声かけて、みんなで愉しく学ぶ!? : 東大MOOC講座「インタラクティブ・ティーチング」5000名のコミュニティをめざして!

 5000名のコミュニティをめざして!

 東大MOOC講座「インタラクティブ・ティーチング」の受講申し込みが、4000名を超え、当初の目標であった5000名に着実に近づいています。これほど専門性の高い講座が、皆様からご注目頂けることは、スタッフ一同、とても喜んでおります。

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東大MOOC講座「インタラクティブ・ティーチング」とは何か?
http://todaifd.com/interactive/

 講座スタートの11月19日までもう1ヶ月をきっていることもあり、今日は、インタラクティブ・ティーチングの利用法について書かせていただくことにしました。

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 まず最も多い利用法は「個人で学びます」というものですね。
「個人で学ぶこと」には、それなりの強い意志が必要になりますが、大丈夫です、ここには5000名の同士の方々がいらっしゃいます。gaccoサイト上に用意された電子掲示板などで相互に声をかけあいながら、学んでいくことができるのではないかと思います。

 また、どうせでしたら、読書と組み合わせながら、受講頂くのもどうでしょう。下記のブックリストは、中原が別の企画でつくった「ワークショップなどに関連する本のブックリスト100」ですが(インタラクティブ・ティーチングとは直接の関係はありませんが、理論的には近い本があると思います)、こうしたものを参考にしていただくのもよいかもしれません(インタラクティブ・ティーチングの本棚をつくってもいいかもしれませんね)。

「プレイフル・ラーニング」の本棚
http://booklog.jp/users/nlabworkshop
 
 個人で学ぶときにでも、「他者」と「媒介」をさがす。
 皆さんの個人での学びを、一歩先行くものにしてくれる「何か」をお探しになるとよいのかな、と思います。


東大MOOC講座「インタラクティブ・ティーチング」受講登録はこちら!
https://lms.gacco.org/courses/gacco/ga017/2014_11/about

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 次に「グループで学ぶ」というものです。
 これは僕が想定していたよりも、ずっと多い利用法でした。そして、これが僕がもっとも「おすすめする方法」です。

 人材開発の仕事をしている人達数名であっまって、これを見て、感想を持ち寄る。教師仲間で集まって、オンラインで討議し合う、職場の人達で見るなど、すでに、受講者の皆さんが、たくさんのグループを組織くださっているようです。心より感謝いたします。

「実りの多い対話」を行うためには、「対話の素材」「問い」などが必要になります。「インタラクティブ・ティーチング」は無料で、これを「共通の素材」にして多くの人々が対話をしたり、意見をだしあったりするきっかけにしてもらえると望外の喜びです。
 今は個人で利用しようと思っている皆さん、勇気をだして、お近くの、興味関心をともにする方に、一声かけてみませんか? 
 
 一般にMOOCは、「個人がいつでも、どこでも、学びたいときに、学びたいことを学べる環境」と考えられています。
 でも、せっかくなら、これをよい機会に、信頼できる人たちに声をかけ、「興味関心をともにする人が、学びたいときに、学びたいことを、つながりながら、愉しく学ぶこと」に挑戦してみませんか。
 あっ、そういえば、「インタラクティブ・ティーチング」に興味をもちそうな人が、あそこに一人いたな・・・。これを「言い訳?」にして、一声かけていきませんか?

「インタラクティブ・ティーチング」をきっかけに、「学ぶこと」に関する静かな、しかし、愉しげなムーヴメントが生まれたとしたら、非常に嬉しい事です。

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 東大MOOC講座「インタラクティブ・ティーチング」は11月19日スタートです。皆さんのご受講を愉しみにしております。

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東大MOOC講座「インタラクティブ・ティーチング」受講登録はこちら!
https://lms.gacco.org/courses/gacco/ga017/2014_11/about

 See you on the MOOC!
 そして人生は続く

投稿者 jun : 2014年10月21日 07:49


ビジネスパーソンの「放課後の学び」とは「プロジェクト」である!?

 ビジネスパーソンが仕事を終えたあと、何かを学ぶこと
 すなわち「ビジネスパーソンの放課後の学び」は、いわゆる「ひとつのプロジェクト」だったりします。
 そこには、他人には、なかなかうかがい知ることのできない、様々な調整や交渉、それにともなうストーリーが付随することが多いものです。

「ビジネスパーソンの放課後の学び」は、まずは仕事の調整からはじまります。
 その日に仕事場をはやく抜け出せるよう、何とかかんとか、前々から仕事を整理する。その日に限って、例外的な業務が発生しないよう、お昼頃から天に祈り、猛烈に仕事をこなします。

 家庭があり、子どもがまだ小さい人なら、家人を説得し、家をあけることを納得してもらわなくてはならない。やはり、その日に限って、子どもが発熱しないことを祈って、家を出ます。

 そして

 ーその日ー 

 当日は、ここまで頑張って、学べることを幸せに思い、愉しもうとする自分がいます。
 しかし、一方で、正直に正直に、胸の内をさぐりあててみると、「やっぱり放課後の学びを諦め、この時間、身体を休めることができたらいいのにな」と思う気持ち、「無理矢理、仕事場やら家庭をあけてきたけれど、みんなに悪いな」と思う気持ちが、心の奥底で蠢いていることを認めないわけにはいきません。一瞬、そういう弱さが自分を襲うのです。
 そんなアンビバレンツな感情(両面感情)をひきずりながら、会場に向かいます。

 しかし、会場にくれば、100%そうした気持ちは吹き飛びます。

 「やっぱり来て良かった」

 会場から出る頃には、少し疲れたけれども、元気になっている自分がいるのですけれども。

 これが、ビジネスパーソンの放課後の物語のひとつです。皆さんの場合は、いかがでしょうか。

  ▼

 なぜ、自分がこんなことを思うかというと、僕自身が「学び手」である時間を、年に数回持ち、同様の思いをもつことがあるからです。

 ふだん、僕の日常は、今、圧倒的に「アウトプットすること」に費やされていますが、そんなアウトプットを繰り返していくと、心がパサパサになっていくことに気づかされます。

 ぱさぱさに乾いてゆく心を
 人のせいにはするな
 みずから水やりを怠っておいて
 自分の感受性くらい
 自分で守れ
 ばかものよ

 とうたったのは、茨木のり子さんですが、ぱさぱさになっていく心には、自ら水やりをしなければなりません。そんな貴重な「水やり」の時間に、そのように思うことがあります。

 僕は「弱い人間」です。

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 この週末は、家族の理解を得て、自分のために学びの時間をつくることができました。一緒に学んで下ったみなさま、そして、このたびわたしに様々なことを教えてくださった先生方、スタッフの方々には、心より感謝いたします。ご迷惑をおかけするといけないので、名前を出させて頂くことは差し控えますが、自分に、大変素晴らしい「水やり」をすることができました。ありがとうございました。

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 何歳になっても、修了証をいただけるのは嬉しいことですね。ふだんは「教え手」であることの方が多いのですが、同時に、ひとりの「学び手」としてありたい、と切に願います。

 嗚呼、今週も激務です。
 そして人生は続く

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For the business person to study a course at an educational institution after their work is a "project" in itself. Behind their learning project, there are a lot of arrangements and negotiations.

In order to learn after work, the business person has to arrange their work schedule. To be specific, for getting out of their workplace earlier, they have to arrange their workload, avoid other commitments, and work harder than usual some days before.

If they have a spouse and kids, they have to persuade them and obtain an approval to come home late. While they are learning, the other has to do the house work and take care of kids. They have to negotiate with their spouse to accomplish the project.

On the day they begin...

They want to study hard and enjoy it. But they also have an urge not to attend the class and have a rest instead because they have been working harder than usual for some days.
I hope to learn...
I want to have a rest...
They have ambivalent emotion at that time but still go to the place to learn.
When they arrive at the class, they get excited and forget the ambivalent emotion totally. They can enjoy learning.

I think that this is the typical story of the business persons' learning after work. How about your case?

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Why am I writing about this topic? This weekend, I participated in a 2 day extension course of one university. As usual I taught as a professor, but I want to be a learner sometimes.

As usual, I spend a lot of time out-flowing my knowledge (lecturing and writing). However, because I out-flow something everyday, I feel that my head is like an empty box.
When I begin to learn (in-flow), sometimes I too have ambivalent emotion.
In this weekend, thanks to the family's understanding, I spent 2 days learning. It was very valuable time for me. I really appreciated it.

Although I am nearly 40 years old, I feel very happy to get the certification. I want to be a learner all my life.
Life goes on...

投稿者 jun : 2014年10月20日 07:36


あなたが「天国」に着いたとき、「神様」から、なんと声をかけられたいですか?

 今年度、東大・駒場キャンパスで実施している「メディア創造ワークショップ」という授業を実施しています。

 この授業は、学生自らがキャンパス内外を探究学習し、「Global × Work × Discovery」というテーマにゆるく関係した3分間のインタビュービデオを作成する、というアクションラーニング型の演習授業です。

 映像ディレクターの大房潤一さんをゲスト講師にお招きし、藤本徹先生、中澤明子先生、福山佑樹先生、石原学さんらとともに、実施しています。

 ちなみに、ここでテーマに敢えて、最後に「Discovery(発見)」とつけていることには意味があります。
 それは「今まで巷にあふれているコンテンツとは、ひと味違ったものの見方・角度」からコンテンツ制作を行うように、学生さんにお願いをしているのです。
 要するに、学生の皆さん自身が「発見」したものをコンテンツにしてください、ということですね。
 マスメディアでとりあげられるような、いわゆる「グローバルグローバルした人」をミーハー心から取り上げ、紋切り型のコンテンツをつくるんじゃない! 要するに、言いたいことはそういうことです。

 おかげさまで、メディア創造ワークショップは、募集人数・満員御礼。4つのグループに分かれた学生さんたちが、グループワークを開始しています。いよいよ来週からは実習です。

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 昨日の授業では、今回の授業で開発する制作物についてのレクチャーを中原が一通り行ったあと、大房さんの方から、インタビューの映像文法に関する講義をいただきました。
 世界のインタビューを見ていくと、インタビューと一口にいっても、その演出、その形式には、様々な種類のものが存在することがわかります。

 数あるインタビュービデオの中で、僕がもっとも興味深いな、と思ったのは、アクターズ・スタジオ・インタビュー(Inside the Actors Studio)という米国のインタビュー番組でした。
 この番組は、アメリカの俳優・映画監督などを対象にしたインタビュー番組で、1994年から20年間続いているご長寿番組だそうです。
(ごめんなさい。聞き書きなので詳細は知りません)

 昨日は、ジョニーデップのインタビュー場面を皆でみて、そこにどのような演出が存在しているか、を考えました。


Johnny Depp - Inside Actors Studio Clip - P1 投稿者 JohnnyDeppNews

 アクターズ・スタジオ・インタビューでは、毎回、様々なゲストを対象にインタビューがなされますが、質問項目の中には、毎回おなじみの「10の質問」というのがあるそうです。それが下記の10つの問いかけです。

1.好きな言葉
(What is your favorite word?)

2.嫌いな言葉
(What is your least Favorite word?)

3.気持ちを高揚させるものは
(What turns you on creatively, spiritually or emotionally?)

4.うんざりすることは
(What turn you off?)

5.好きな音
(What sound or noise do you love?)

6.嫌いな音(What sound or noise do you hate?)

7.好きな悪態
(What is your favorite curse word?)

8.今の職業以外でやってみたい職業
(What profession other than your own would you like to attempt?)

9.絶対にやりたくない職業
(What profession would you not like to attempt?)

10.天国に着いたとき、神様になんと言われたいか?
(If Heaven exists,what would you like to hear God say when you arrive at the Pearly Gates?)

 この10の質問、1番目や2番目は、ジャブのようなものですが、よくよくひとつずつ自ら答えてみると、なかなか考えさせられるものがあります。
 特に3番目、4番目、7番目あたりから、その人の、人となりが想像できるような質問が続きます。そして、最後は「仮定法」がどどどと続き、最後の最後に「究極の質問」がきます。

ところで、あなたは、天国に着いたとき、神様になんと声をかけられたいですか?
(If Heaven exists,what would you like to hear God say when you arrive at the Pearly Gates?)

 これは、なかなか考えさせられる質問です。天国で、一番最初に神様からかけられる言葉は、自分の人生を総括し、それをワンワードで表現するひと言になりうるからです。

 皆様なら、この質問に、何と答えますか?

  ▼

 質問には日常を破り、揺さぶる質問というのがあります。特に、仮定法とは、ーあんまりしつこく仮定法を用いられるのはいやですがー効果的に利用されれば、非常にパワフルな問いかけを生み出します。

 メディア創造ワークショップは、「Global × Work × Discovery」というテーマを扱いますので、学生たちは、これからの「働き方」や「仕事」を考えざるをえません。と同時に、インタビュービデオをつくるとは、「問いかけのトレーニング」でもあるのです。学生ならではの視点を盛り込んだ、しかし、人を揺さぶる問いかけをつくりだしてほしいものです。もう大学生なんだから「問いかけられて」ばかりいるんじゃない。自ら「問い」をつくりだす主体になってほしいものです。

 あなたが、天国に着いたとき
 神様になんと声をかけられたいですか?

 そして人生は続く

投稿者 jun : 2014年10月17日 07:49


リフレクション、さらにその先にある「未来」!?(スライド資料・ダウンロード可能)

 昨日は、久しぶりにUSTをしました。

 テーマはリフレクション!
 この「リフレクション」を「横串」にしながら、マネジャー育成、看護教育、教師教育など、さまざまな領域で注目されているリフレクションの最新の研究動向・実践動向を語るUSTになりました。
 しばらくは下記で昨日のRECORDINGを見ることができると思いますので、どうぞご笑覧ください。



Broadcast live streaming video on Ustream

 当日の司会進行・ホストは、青山学院大学・坂田哲人先生です。

坂田哲人先生のWebページ@青山学院大学
http://ted.airy.org/wp/

 ゲストには、世界中のリフレクション研究について詳しい大阪樟蔭女子大学の村井尚子先生をはじめ、リフレクションを取り入れた教師教育実践に取り組まれてきた帝京大学教職大学院の中田正弘先生もご登場頂きました。

 加えて、リフレクションと看護教育というキーワードで実践に取り組まれている日本保健医療大学の鈴木康美先生、そして企業の人材育成とリフレクションという側面から研究や実践をすすめてきた不肖・わたくしめが登場しました。こんな怪しい企画にのってくださり、ありがとうございました。心より感謝いたします。

 途中には、企業人材開発の世界でリフレクションに取り組まれている団体?「リフレクションナイト」を代表して、松本祐一さん、小田川仁さん、そして、スーパーリフレクションガールの山辺恵理子さん(東大)、町支大祐さん(東大)、脇本健弘さんも参加なさり、和気藹々と進行しました。特にリフレクションナイトご一行様は、松本さん、小田川さんには、前日の昼頃お電話差し上げ、急遽、ご登壇いただきました。

「ねぇ、松本さん、暇?」
(中原が無茶ぶりをするときに、いつも用いるセリフですね)

 松本さんはきっと心の中で「暇なわけねーだろ!」と思っていたと思います。しかし、松本さん、小田川さんにご登壇いただいて、とてもよかったと思っています。ありがとうございます。

リフレクションナイト ~みんなの作戦タイム~
http://ameblo.jp/reflectionight/
 
 下記には中原の資料を公開します!少しだけわかりやすく加筆・修正しました。よろしければ、どうぞご笑覧ください。

リフレクションの理論と実践(中原淳資料) from nakaharajun

  ▼

 個人的には、「リフレクション」という概念を「横串」にしながら、様々な領域の実践者・研究者の方々が、それぞれのやっていることに興味をもち、何かしらの「これから」が生まれそうな予感を共有できたことが、非常に嬉しいことでした。

 USTでも申し上げましたが、マネジャー教育も、教師教育も、看護教育も、それぞれに「特殊な環境」です。
 そうした意味では、それぞれのリフレクションのあり方そのものに「Domain Specific(領域固有性)の高い部分」は、確実に存在するように思います。
 このことは、先だっての関根雅泰さん(中原研OB)・田中聡さん(中原研M1)がホストになってくださった研究会でも話題になりましたね。

 リフレクションの尺度をつくろうとする試みは、世界に、いろいろあるけれど、いまいち信頼係数などに問題がある場合が多い。そのひとつの原因は、領域固有性にあるのではないか。リフレクション一般を対象にした尺度構成を行うのではなく、より領域固有のリフレクションの尺度を探究するべきではないか、と。

 一方で、「うちの職場は特殊だから」的な領域固有の存在を認める一方で、それぞれの現場に起こっている状況には、共通点もあります。領域固有性を認めつつ、いかに共通点に着目し、それぞれの領域が、それぞれに学びあう関係をつくることができるか。このあたりがポイントとなるな、と感じました。ありがとうございました。

 ▼

 11月1日・2日、コルトハーヘン教授の来日にあわせて、内田洋行教育総合研究所さんとのコラボ企画で、下記のワークショップが開催されます。

「リフレクション学」スペシャルワークショップを開催!? : ユトレヒト大学・コルトハーヘン名誉教授をお招きして
http://www.nakahara-lab.net/blog/2014/06/post_2240.html
 
 昨日は、その開催実行母体である「勝手に!?リフレクション学ワークショップ実行委員会」が開催され、経営学習研究所の松浦李恵さん、通訳として筑波大学大学院の野口晃菜さん、内田洋行さんから平野智紀さん、中原研から吉村春美さんもジョインなさって、最終?の打ち合わせがありました。

 こちらには現在スタッフを入れて、当日、70名以上の方々が集まる予定です。大学の先生あり、お医者さんあり、企業の人事部長さんあり、看護師長さんあり、学生さんありで、非常に多様性に富む場になりそうです。

 また、アナウンスは、これからだと思いますが、12月某日には、東大で、この日の11月1日・2日の2日間を振り返り、「これから」を構想する、「おかわり企画」も生まれそうです。

「リフレクション」を横串に、様々な人々が対話を行えること。そしてその中から、「リフレクションにかわる、日本発のSometing Newが生まれること」、さらには志あふれる人々によって「地に足のついた、新たな実践」が生まれることを願います。

 そして人生は続く

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投稿者 jun : 2014年10月16日 09:21


管理職から実務担当者への「逆トランジション」!? : 「定年きっぱり・管理職はアガリの世界」から「定年レス・管理職は役割の世界」への移行!?

 今年から、いくつかの新たな研究を仕込んでいます。そのすべてをここで紹介させていただきたいのですが、昨日夜、科研の〆切が5日後に迫っていることに気づき、発狂気味で、そのまま「ほぼワン徹」かましたので、40代を目前に迫った僕には、その気力がありません(笑)。というわけで、数ある研究の中から、ひとつだけをご紹介。

 ▼

 最近、M1の田中さんと一緒に仕込みかけているのが、

「管理職経験者が、様々な理由で、役職を離れて現場にプレーヤーとして戻らなければならないときに、いかに再適応するか / できないか。そこではどんな困難が待ち受け、それをどのように乗り越えることができるのか」

 という新たな研究です。

 まことに「エグエグの研究」なのですけれども、研究として成立しうるかしないのか、しないのかから、研究をはじめています。
 もし仮に成立するというのなら、この問題にどのように切り込んでいくか、田中さんとあーでもない、こーでもないと話し合っております。先だっては、某企業において、この施策を実行なさっていたKさんに貴重なお時間をいただき、ヒアリングをさせていただきました。いまだ研究のフィールドはありません。共同研究を行わせて頂ける会社もまだありません。すべてはこれからです。

  ▼

 ここまでの話を聴いて、組織論について勉強なさった経験がおありの方なら「ははーん」と思うでしょうが、実は、「実務担当者から管理職へのトランジション研究」でしたら、数は少ないものの存在します。
 しかし、今回、僕たちが目をつけているのは「管理職から実務担当者への逆トランジション」です。こうした研究は、全くないとは言わないまでも、あまり多くはありません。そもそも、そうした事態を、従来の人材マネジメントは、あまり想定していないのです。

 また管理職からの離職・転職の研究も存在します。しかし、今、僕たちが目をつけているのは、「組織内において現場のプレーヤーに戻らざるを得ない人々の適応」です。
 それが個人にとっても、組織にとってもハッピーなのか、アンハッピーなのかわかりませんが、ここ5年ほどでしょうか、そのような事案をよく伺うことが増えてきました。そうした問題に、どのように学問が接近できるのか、もう少し見極めを果たしたいと考えています。

  ▼

 これに、ゆるゆるに関連して、最近、自分事として思うことのひとつに、

 今後の社会では「仕事人生」と「人生」が
 限りなく重なってくるんだろうな

 と思うことことがあります。

 ここでいう「仕事人生」は、「生涯の中で仕事をしなければならない時間のこと」です。かつては、「定年」という制度が厳格に機能しておりましたので、仕事人生はたとえば60、人生生涯はたとえば75といった感じで、そこにはギャップがありました。

 しかし、生涯寿命や健康寿命が徐々に延びていることもありますし、また現状の社会福祉の心許ない状況からいっても、少なくとも僕個人は、自分の「仕事人生」がかつてよりも伸びてくることー 究極言えば、今後の社会は「定年レスの社会」に限りなく近づいていくのではないか、という予感がします。
「定年レス」という言葉が言い過ぎならば、定年の境界が「曖昧化」していくという意味で「定年曖昧化社会」といってもいいです。
(誤解を避けるために申し上げますが、そのような状況を、僕は手放しでよいと思っているわけではありません・・・あしからず。しかし、嫌が応でも、程度の差こそはあれ、そのような状況が生まれうるだろうなという予感はします。ですので、個人はそうした状況に備えておかなくてはならないということですね)

 このあたりは、僕の専門は、社会福祉や医学ではありませんので、全く根拠はありません。仕事柄、様々な企業を回らせて頂いておりますと、何となくそう思ってしまうのです。

 ワンワードでいえば「定年きっぱり・管理職はアガリの世界」から、「定年レス・管理職はひとときの役割」への移行が、何となく進んでいるような気がするのです。

 「加齢」はすべての人々が平等に負わなくてはならない「リソース減少」です。若く勢いあるときには、マネジメントやリーダーシップを発揮していた人も、長い仕事人生では、加齢に抗しきれず、その威力を次第に失って行かざるをえない局面が出てくるかもしれません。
 もしそうなれば、管理職から実務担当者まで、可能な限り、多様な仕事を経験し、生きて行かざるを得ない社会が生まれうるのだと思います。くどいようですが、それがハッピーか、アンハッピーかはわかりません。しかし、少なくとも言えるのは、組織も個人も、そうした事態の出現に、様々なかたちで「備え」を持たなくてはならない、ということです。

 でも、もし仮にそういう社会になれば、いったん管理職になったことが「あがり」ではなくなるし、成果を残せなくなればプレーヤーに戻るという状態が常態化します。
 あるいは、仕事やタスクによっては、管理職というよりも、プレーヤーとして仕事をするような状態が、これまでよりは生まれうるような気がしています。現代社会の問題・課題とは、まことに複雑怪奇です。こうした複雑な問題に、そのつど対処していくときには、ある問題に精通した人がリーダーシップやマネジメントを発揮し、そうでないときにはフォロワーに徹するという働き方の方が、よいのかもしれません。
(ここだけ聞くと、なんだ最初から現場にもう一度戻るなら、管理職になんてならなきゃいいんじゃないかと思うかもしれませんが、おそらく、僕の予感は違います。加齢したあとに現場で必要になるプレーヤーとは、かつて培った管理経験・リーダシップ経験・専門性を活かしながら、今は目標をもって現場で仕事をする人ではないかと思います)

 ま、このあたりは研究を仕込み始めたばかりなので、根拠レスなのですが(笑)。

  ▼
 
 今日は、研究立ち上げ期に特有の「言いたい放題」「新春大放談(もう秋ですが)」をかましました。つっこみどころ満載の記事になってしまい、恐縮です。

 でも、このように、曖昧模糊・不確実性あふれる現実から、大学院生と議論して、「何を問題とするか」を決めていく「研究立ち上げ期」というのは、本当に愉しいものです。そういう時間が長く続けばいいのにな、と時に思います。

 最後に、この研究をしていると、思わず、自分の未来に思いを馳せてしまいます。
 未来がどうなるかは僕にはわからないのですが、自分の仕事人生を考えたとき、

「中原さんは、もういい年だけど、何か、いつも愉しそうだよね」

 と言われる風に年を重ねたいな、と思ったりもします。

 そして人生は続く

投稿者 jun : 2014年10月15日 08:16


イベントをつくるとは「問いを決めること」である!?

 イベントをつくるとは「問い」を決めることです。

 もう少し具体的にいうと、イベントをつくるときに、最も大切なことは「聴衆を揺さぶるようなひとつの問い」を決めて、それらを確実に導くことです。
 これが僕が最も心がけていることであり、これ以上のものも、これ以下のものもありません。

 もちろん、イベントといっても、いろいろなものがあります。
 中には「ゆるゆるとした交流や親交」を旨としたものもありましょうし、そもそも「問い」など必要のないものもありましょう。
 しかし、自分が主に関係するラーニング系のイベントでは、「問い」このことにこだわりたいと思います。

  ▼

 より具体的には「問い」を構成する下記のようなそれぞれの要素を決めることです。

【重要ポイント1:宛先性】
誰に伝え、問いかけるのか? 問いやメッセージの宛先性はあるか?

【重要ポイント2:ワクワク度】
「問い」は、社会的に重要で有り、かつ、常識にとらわれていないものであるか。そもそも、ワクワクするか?

【重要ポイント3:プログラム配列】
当日のプログラムは、この「問いに対する思考」を導くように配列されているか? 登壇者の「登壇の理由」が「問い」に位置付いているかどうか。

 逆に申しますと、これらをすべてひっくりかえせば、「あまりよろしくない場」をつくることができます(笑)。

1.誰に来て、考えてほしいんだか、練られていない。登壇する側も、主催者側も、誰に語っているんだかわからない

2.問いや「主催者なりの思い」が紋切り型である。あんまりワクワクしない。あるいは、問いが漠然としているので、重要性がわからない

3.当日のプログラムが問いに対して収斂していないので、バラバラ感がある。なぜ、この「問い」なのに、「この登壇者」が選ばれているのかがわからない

 皆さんも経験あるでしょう?
 内容が漠然としていつつ、かつ、紋切り型で、「登壇者がなぜ登壇させられているのか、わからないこと」を、公衆の面前で思わずつぶやいちゃうような場を!

  ▼

 一般に、イベント開催というのは、やれ登壇者を手配する、とか、場のしつらえをどうする、とか、受付ロジ周りをどうする、とか、そういうことのように思われています。

 しかし、少なくとも僕の感覚では、それは違います。むしろ、イベントをつくるとは「問いを決めること」です。 そして、言うまでもないことですが、ワクワク感を感じるような「問いをつくる」ためには、「イベントで扱う知識領域」に関して、主催者自身がじっくり勉強し、自分たちの頭で「考えること」「学ぶこと」です。
 自分で考え、設定した問いに対して、登壇者や当日のプログラム要素を配列します。あくまで、イベントのイニシアチブやオーナーシップは、常に主催者側が持っていなければなりません。僕はそう思います。

  ▼

 だから、イベントをつくるとは「学ぶこと」でもあるのです。
 自戒をこめて、主催者自らが「学ぶこと」のできる場を、今後も生み出していきたいと思います。
 もしかしたら、これは不遜な言い方かもしれませんが、イベントそれ自体は、主催者側の学びの「おすそわけ」くらいに思っていると、成功するのかもしれないな、とも思います。

 そして人生は続く。 

 ーーー

追伸.
 昔、こんなことも書きましたね。

パネルディスカッションの5つのトホホ文法 : 尻切れトンボ、みんな違ってみんないい、オレオレ質疑、過剰プロレス、リンダ困っちゃう!?
http://www.nakahara-lab.net/2012/08/post_1879.html

 ーーー

追伸.
 浜屋祐子さん(中原研・M1)が個人のWebページをおつくりになったようです。祝! 浜屋さんは「仕事と家庭のポジティブな関係」を研究なさっています。

 近日、下記のようなイベントも主催なさっています。大学生の皆様、どうぞお越し下さい!

hamaya-lab.net
http://www.hamaya-lab.com/

仕事と家庭の両立を考えるワークショップ:「社会人カタログ」から「等身大のヒント」を探せ!(2014年11月15日開催)
http://www.nakahara-lab.net/blog/2014/10/post_2283.html

 ーーー

追伸3.
いよいよ明日水曜日・午後7時ですね。UST配信決定!「リフレクションの理論と実践」: マネジャー育成、看護教育、教師教育の関係者がゆるっと語るリフレクティブトークセッション!?:10月15日午後7時 ON AIR 皆さんお楽しみに!

UST配信決定!「リフレクションの理論と実践」
http://www.nakahara-lab.net/blog/2014/09/

投稿者 jun : 2014年10月14日 08:29


東大MOOC講座「インタラクティブ・ティーチング」の開発の「裏側」を覗く!?

 東大MOOC講座「インタラクティブ・ティーチング」の開発が佳境にさしかかっています。
「インタラクティブ・ティーチング」は、11月19日スタート、受講は無料。「インタラクティブな学びの場をつくるための知識・スキル」を学ぶことができます。すでに3000人を超える方々にお申し込みいただいております!まだの方は、どうぞこれを機会に、お早めに!

インタラクティブ・ティーチング(受講はこちら)
https://lms.gacco.org/courses/gacco/ga017/2014_11/about
 
 今日は、東大MOOC講座「インタラクティブ・ティーチング」の裏側紹介。今日は、敏腕プロジェクト・マネージャー、小原優貴さんの仕事です。小原さんは、線表を書きながら、複雑怪奇・魑魅魍魎とした「インタラクティブ・ティーチング」の開発を仕切っておられます。小原さんなしでは、この開発は3秒後に暗礁に乗り上げること請け合いです(泣)。いつもありがとうございます。その仕事の詳細は、下記のインタラクティブ・ティーチングFacebookページでどうぞ!

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 ちなみに、ご専門は比較教育学、インドの教育について大変お詳しい方です。小原さんは単著もお持ちです。

 スタッフの仕事紹介は、広報担当の山辺恵理子さんが、今後も記事を書いてくださるようです。「インタラクティブ・ティーチング」は、下記にFacebookも持っています。こちらの方も、どうか「いいね!」をお願いいたします。

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インタラクティブティーチング Facebookページ
https://www.facebook.com/interactiveteaching.jp


 たくさんのスタッフの努力によって、このコンテンツが開発されています。皆さんに感謝!

投稿者 jun : 2014年10月11日 07:55


「向かい同士」の仕事、「背中同士」の出会い:アサヒビール株式会社・福地茂雄相談役にお逢いしたときのこと

 先だって、北の街・美瑛を舞台に繰り広げられている異業種地域課題解決研修で、アサヒビールの福地茂雄相談役(アサヒビール株式会社元社長、会長、元日本放送協会会長)にお逢いする機会を得ました。

異業種5社のリーダーが集まる研修をいかにデザインするのか!?
http://www.nakahara-lab.net/2014/05/post_2222.html

 セッションは、本間さん(ヤフー自執行役員)のもと進行し、福地さんから、同社の改革にかかわる、様々なリーダーシップを伺う機会を得ました。
 非常に興味深いセッションで、僕自身、非常に多くのことを学ばせて頂く機会になりました。この場を借りて、心より感謝いたします。

 ▼

 福地さんのお話は、どれも興味深いものでしたが、その中でも、印象に残ったものがあります。

 そのひとつに

 昼は「向かい同士」で仕事をしろ
 夜は「背中合わせ」で飲みにいけ

 というお言葉がありました。

 この言葉の意味するところは、要するに、昼は「向かい同士」、職場のメンバーで切磋琢磨して、仕事に全力で向き合うことが大切だ。でも、夜は、敢えて職場を離れ、「ふだん、あまり会話をしないような人同士=背中合わせ」で接点をもて、ということだと思います。

「飲みにいく」云々は、アサヒビールさんらしいメタファであり、その骨子をワンワードでのべるならば「異種混交のネットワークの中に自分を置くことの大切さ」をおっしゃっていたのだと思います。「向かい同士」ばかりいると「固まっていく」。そうじゃなくて「背中同士の出会いをいかにつくるか」が大切だ、とおっしゃりたかったのだと想像します。

 事実、福地さんは、また別の機会に

「関係のない仕事」なんてない
「関係がない」と思いこんでいるだけ

 ともおっしゃっていました。
 想像力を働かせるに、昼間は「背中同士」の、一見「関係がない」と思っている仕事同士を「つなげること」ができれば、新たな経済価値や市場付加価値が生まれうるということをおっしゃりたかったのだと想像します。

  ▼

 夜、懇親会では、福地さんとお隣の席に座る幸運を得ました。
 福地さんは、僕から見れば、一回り以上異なる年齢であり、かつ、比類なきリーダーでありながら、僕の話を、そして同席した皆さんのお話を、じっくりと耳を傾けておられました。

 その様子は、まことに「自然体」で(大経営者に対して形容する言葉として不適当かもしれません)、

 リーダーとは「聞き上手」であること

 という福地さんの持論を地で行くような様子でした。アサヒビールを美味しそうに飲んでおられました。

 また福地さんは、多いときには1年に数百冊を読まれるような読書家だそうです。本屋さんで自分にとって今必要な本を読んでいると、自分の視野が狭まってしまうのを嫌らっており、敢えて、図書館に出かけて、本を借りて読まれているのだそうです。

 このことは、ヤフー株式会社の宮坂学社長に先だってお逢いしたときも、心底感じていたことですが、偉大な経営者はやはり様々なことを本から学び、語彙が豊かだな、というのが感じました。

本を「1トン」読め!?:1ヶ月に1冊も本を読まないスマホ時代!?に「多読」することの意味
http://www.nakahara-lab.net/blog/2014/07/111.html

  ▼

 今年になって、経営者の方々にお会いする機会をいただくことが多くなりました。組織の荒波をくぐりぬけ、経営のトップになられた方には、その言葉に重みやオーラを感じることがあります。僕自身、多くを学びたいと思います。

 そして人生は続く

投稿者 jun : 2014年10月 9日 08:18


他人と向き合えない社会

 私たちの近くに「他人と向き合えない社会」が広がっているな、と最近とみに思います。他人と「向き合い」話をする。ひとつの物事に、他人と「向き合う」。他人と向き合い、思い切り遊ぶ。
 何かせわしなく、何か気もそぞろで、知らぬうちにマルチタスクを決め込み、パラレルなことをよし、とする。
 自戒をこめて申し上げますが、「向き合えてないな」「向き合っていないな」と思うことが、よくあります。

  ▼

 「他人と向き合うことの不全」は、もはや「絶望」に近い状況です。

 他人と「向き合っている」はずなのに、目は「手元の携帯」を見ている。子ども達同士で「向き合って」、遊んでいるはずなのに、意識はスクリーンの奥底に蠢くプレーヤーにある。お互いに「向き合い」歓談をしているはずなのに、時折、ブルブルと震える携帯電話には、仮想環境上でフローする、もうひとつの「会話」がある。

 物理的には「向き合って」いても「向き合って」はいない。これが両者の不全ーすなわち、物理的にも向き合っておらず、意識としても向き合っていないーのであれば、何ら非合理はありません。しかし、広がりつつある事態はそうではありません。
 問題は、物理的には向き合っているのにもかかわらず、「他人と向き合うこと」ができないことにあります。それを感じたとき、「底知れぬ孤独」を感じるのは、僕だけではあいますまい。人が想像する以上に、他人は「あなたが向き合っているのか、否か」を見ているものなのです。

  ▼

 今日は自戒をこめて「向き合うこと」について書きました。
 人間同士がどっぷりと「向き合えば」、予想もしえない興味深いことが起こる一方、当然、それなりに面倒なことも起こりえます。しかし、「向き合っている」のにもかかわらず、向き合えない状況を、やはり個人的には避けたいと思います。

 あなたが他人と「向き合おうとしないこと」は
 他人があなたの方にも「向き合おうとしない」状況を
 自らつくりだすこと、でもあります

 そして人生は続く

投稿者 jun : 2014年10月 8日 06:36


仕事と家庭の香ばしい関係を「ダバダー」と考えるワークショップ!?:「社会人カタログ」から「等身大のヒント」を探せ!

 今日は、ここ10年以上、我が家、中原家が格闘している問題「仕事と家庭のバランス」!?をテーマにしたワークショップのご案内です。小生にとっては、全く当事者、自分事。自宅でカミサンと語れば、なかなか香ばしい話題となること請け合いでしょう。ダバダー(笑・・・笑いごとじゃない)。

 ただし、こちらは大学生限定ワークショップです。就職するかなり前から、リアリティをプレビューすることができます。当日は、この問題に様々に格闘している社会人の皆さんに多数ゲスト・ファシリテータとしてお越し頂き、社会人ー大学生をまじえた対話を実施する予定です。お近くに興味をお持ちになりそうな大学生の方がいらっしゃったら、ぜひお申し込み・ご紹介下さい。小生も当日はせ参じます。

 See you! Have fun!

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「わたしたちの近い将来!?:仕事と家庭の両立を考える
 大学生向けワークショップ」

 就職前に「仕事人生+家庭生活」を考えることができます
 「社会人カタログ」から「等身大のヒント」を探せ!

 2014年11月15日 13時ー 東京大学・本郷キャンパス
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 このワークショップは、「仕事と家庭の両立」という
 社会人にとっては「永遠のテーマ」を、最新の研究知見
 +先輩のストーリーから考えることをめざす、大学生向け
 ワークショップです。

 就職前、社会に出る前に、自分の仕事人生+家庭生活を
 考えることができます。
 
 「仕事と家庭の両立」というと、ついつい「できないよ」と
 尻込みしたり、超スーパーマンを頭に思い浮かべてしまいま
 せんか?対して、このワークショップでめざすのは
 「等身大のヒント」です。

 参加費用は無料です。
 就職前の大学生の皆さま是非おこしください!

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○日付
 11月15日(土)13時ー
 東京大学本郷キャンパス・福武ホール

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○ファシリテーター:浜屋祐子氏(祝・デビュー!)
 東京大学学際情報学府・中原淳研究室所属
 仕事と家庭をめぐるポジティブな関係
 (ワーク・ライフ・エンリッチメント)
 をテーマに研究中。

○ゲストスピーカー(イクメンの星):越智聡氏
深夜残業・休日勤務が当たり前の日々から一念発起し、
育児休業2ヵ月、育児時短勤務2年2ヵ月を取得。家庭と仕事の両立に
日々奮闘する2児のパパ。2010Mr.イクメンコンテスト準グランプリ者。
厚生労働省イクメンプロジェクト推進メンバー。

ーーー

○募集人数
 大学生男女30名(専門分野等不問)

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○内容

13:00 開場

13:30 第一部・イントロダクション(浜屋氏)
・先輩のストーリーを聴こう!
      「イクメンによるトーク」(越智氏)
・別の角度からも見てみよう!
      「仕事×家庭・ショートレクチャー」(浜屋氏)

15:00 第二部
・等身大のヒントを探そう!
      「社会人カタログ・ワークショップ」
      (社会人との対話型グループワーク)
・全体共有、リフレクション(浜屋氏)
・ラップアップ(中原先生)

17:00 終了予定

(電通 中原越さん、小坂和加奈さんらとのコラボ企画です!)

○申し込みはこちらから!(どうぞお早めに!)

「わたしたちの近い将来!?:仕事と家庭の両立を考えるワークショップ」
http://ikumen-project.jp/visiting/index.php

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追伸.
 今回のワークショップは、中原研・浜屋祐子さん(M1)のデビュー戦です。
 中原研では「1粒で2度おいしい」ではないですけれど、

「データ分析しながら、ワークショップもできる研究者」

 を育成することを、ひそかにめざしています。

 この「積極的二足わらじ装着」戦略が奏功するかはわかりません。自分のフィールドで、自分のデータを紹介しつつ、関係する人々を集めながら、研究ー実践の円環運動をつくることをめざしてほしい、と指導教員としては思っています。

投稿者 jun : 2014年10月 7日 08:35


「ちょっと頑張れば手が届くベター事例」か「誰もが魅了されるベスト事例」か!?:どんな事例を紹介すればいいのか?

「少し頑張れば手が届くようなベターな事例」か、それとも「誰もが魅了されるようなベスト事例」か?

「実践」を含む領域の場合、「事例」というものが重宝されます。理論的にはわかるんだけど、いざ実践するとするとイメージがわかない。よって「事例はなんかないんですか?」「いい事例がありませんか?」というニーズが高まります。人事・人材開発の世界は、まさにそうしたニーズの宝庫でしょうし、おそらくは教育の世界もそうでしょう。

 なんか、いい事例はないですか?
 どこかに、関連する事例はないですか?

 しかし、これら「実践事例」には「永遠の問い」がつきまといます。いわゆる「ベター・ベスト論争」です。
 たとえば、「ある変革の様子」を誰かが第三者に紹介するときのことを考えてみましょう。この場合、「変革の事例」として

「少し頑張れば手が届くようなベターな事例」を紹介するのがよいのか

 それとも

「誰もがいいなと思えるようなベスト事例」を提供するのかがよいのか、

 という疑問が浮かんできます。どんな事例をお話しすれば、オーディエンスに、その意義を理解し、実践してもらえるだろうか。しかし、この選択には、両者ともにメリットもデメリットも存在します。だから究極言えば、どっちでもいい。どっちにしても、メリデメは存在します。

「少し頑張れば手が届くようなベターな事例」は、確かに、身近でいいけれど、人によっては「なんだ、その程度のものか、しょーもない」「こんなものなら、やるに値しない」と位置づけられます。

 対して「誰もがいいなと思えるようなベスト事例」は、確かにすごいものですけれど、人によっては「あれは、あの組織だからできたことなんだ!」「あそこは特殊だからできたことであって、うちはそうじゃない、だからやらない」ということになります。

 要するに、ワンワードでいうと、「事例をいくら聞いても、動こうとしない人にとっては、ベターであろうと、ベストであろうと、あまり意味をなさないのです。ベター事例を聞いても、ベスト事例を聞いても「言い訳」や「いちゃもん」をつけることができる、ということです。

 結局、「実践すること」には「同じ場所」「同じ対象」「同じタイミング」というものは存在しません。そこに求められる知性は、「事例」を参照しつつも、それに耽溺せず、「自分の頭で考えること」、その上で「アクション」をかたちづくることです。「事例」はあくまで「事例」です。「事例」は「そのまま丸ごと」、あるコンテキストから、違うコンテキストに、あたかもモノを動かすように、適用することは非常に難しいのです。
 事例を重宝するあまり「自分で考えること」「アクションをつくること」を放棄してしまえば、そこに残るのは「言い訳」だけです。

「なんだ、その程度のものか、しょーもない。こんなものなら、やるに値しない」

「あれは、あの組織だからできたことなんだ! あそこは特殊だからできたことであって、うちはそうじゃない、だからやらない」
 
 ▼

 今日は「事例」のあり方について考えてみました。事例と向き合うとき、あなたはどのような態度でのぞみますか? 個人的には「事例」を耳にしたとき、「あそこは、こうやったのか・・・なら、俺は、こうはやらないようにしよう、さて、どうやって、やらかしてやろうか?」と、しめしめ考えるくらいがちょうど良いような気もいたします。

 そして人生は続く

投稿者 jun : 2014年10月 6日 07:36


ワークショップをやりたいと思える場所が見つからない!?

 先だって、名古屋某所にて、名古屋在住のビジネスパーソンの皆さん、NPOで働く方々、人材開発などをなさっている方?などが集まるイベントが開催されました。僕もお招きいただき、少しだけお話しさせて頂きましたが、とてもアットホームで、しかし、遊び心のある素敵な会でした。
 ご参加いただいた皆さま、そして、企画をしてくださった柴田朋子さん、渡辺清乃さん、中村太郎さんには、この場を借りて感謝いたします。ありがとうございました。

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  ▼

 ところで、会場でいろいろとゆるりゆるりお話をしていて、ひとつ気になったことがありました。それは、

「働く大人を集めてワークショップをやりたいと思える、やれると思える場所が、なかなか見つからない」

 というお悩みを複数の方から伺ったことでした。

 もちろん、様々な社会教育施設や生涯教育施設は「ある」のです。民間の貸し会議室も「ある」のです。あるんだけれども、なかなか「ワークショップをやりたい」「ここでワークショップをやったら面白いだろうな」と思えるような場所がなかなか「ない」とおっしゃるのです。これは大変興味深いことだな、と思いました。

 課題はいくつかあるようです。

以下、※印は皆さんからいただいたご意見から加筆します

1.おしゃれなところは値段がすごい。値段がリーズナブルなところは「感じがよくない」。※贅沢はいわないが「殺風景」。白壁で、パイプ椅子の「ザ・教室」的だそうです。

2.いわゆる「会議室」ならあるけれど、椅子や机が重かったりで、なかなか動かしにくい。
※移動禁止というところもあるそうです

3.施設終了時間が早すぎて、そもそも、仕事帰りのビジネスパーソンが集まることは不可能な施設が少なくない。たとえば、5時閉館とか・・・。
※たしかにビジネスパーソンが出かけるのなら、6時はじまりはかなり厳しいですね

4.飲食厳禁なところが多い。飲食が可能であっても、その施設のケータリングを頼まなくてはならない。そのケータリングが目がとびでるほど高いか、品質が惨い。

5.壁にポスターをはることができないところが多い。ポスターセッションなどができない。ホワイトボードは別途レンタルであったりするので、グループワークをすることを躊躇ってしまう。

6.たとえば講演者の本などを売ろうと思っても、一律に販売厳禁になっているので、それもできない。講演者に無理をいって来てもらう場合が多いので、それくらいは許していただきたい。

7.利益を出さないことが原則なので、例えば、ワンコインで運営しなくてはならない。そうすると、参加者が当日来なかった場合には、自腹を切らなくてはならない。実際、切腹経験があった方が何名かいらっしゃいました(僕自身も切腹・自腹経験があります・・・実は・・・泣)。

※8.利用申し込みがとにかく煩雑で、現地に行かなくてはならなかったり、往復はがきで応募するようなところもある。申し込み開始日時が、利用日から1ヶ月前くらいのところもあり、実質、広報・動員が不可能であることもある。

※9.利用料金の支払いが、ネットでできない。直接現地に行かなくてはならない。

※10.プレゼンをする設備がない(プロジェクタ・スクリーンなど)。あっても、非常に高い。WIFIなどが使えない。

 嗚呼、でてくるわ、でてくるわ(笑)。
 皆さんも、もし、これ以外に要望・問題点があれば、FacebookやTwitterなどで教えてください。今度、某省庁の関係者の方が、研究室にいらっしゃる予定ですので(先だって、某省庁の働きマンM君から連絡がありました)、皆さんからいただいた意見をもとに、現状を伺ってみようとも思っています。まぁ、世間にはいろいろな人、いろいろな団体があるので、こちらを許せば、あっちが立たずという感じで、いろいろと難しいところもあるんだろうし、これらすべてを満たすことは難しいのはわかるのですが、一応、出せるだけだしてみるとよいのかな、とも思うのです。

 逆に、これだけでてくるのならば、これをすべて「反転」させれば、皆が使いたいと思える場が生まれるなんて考えちゃいました。「ワークショップスペースのイノベーション」ですね。まぁ、小生、楽天家すぎるのかもしれませんが。

  ▼

 それにしても、「学びの場をつくりたい」「人を巻き込み何かをしたい」と思える人が「いる」のに、そうしたものに応える物理的スペースが多くはない、というのは、改善できるところもあるのかな、とも思っています。

 そして人生は続く

投稿者 jun : 2014年10月 3日 09:13


Global × Work × Discoveryのテーマでデジタルコンテンツを制作します:冬学期・東大駒場(木4)「メディア創造ワークショップ」

 今年も冬学期・駒場で「メディア創造ワークショップ」をやることになりました。全学自由ゼミナールでの開講です。
 東大・駒場キャンパスで学部生が受けることのできる授業として、「制作モノ」は少ないと思うのですが、この授業では、学生自らが企画書を書き、社会に出て、インタビューをして、コンテンツをつくり、公開します。短いサイクルではありますが、「メディア創造のプロセス」をいったん体感いただける授業だと思います。
 この授業は早いものでもう4年くらいでしょうか。かつての受講者には、メディア、IT業界、コンテンツ制作業界につとめたい方も少なくありませんでした。そうでない方も、我こそはと思う方は、どうぞ10月9日の初回授業にお越し下さい。志のある方の参加を期待しています。

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東京大学 駒場キャンパス 全学自由ゼミナール 2014年冬学期
「メディア創造ワークショップ」
木曜4限 駒場KALS
中原 淳・藤本徹・中澤明子・福山佑樹
主催:東京大学 大学総合教育研究センター 教育課程・方法開発部門
支援:東京大学 教養学部 教養教育高度化機構
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■趣旨

近年、ソーシャルメディア、電子書籍など、テレビ・新聞・ラジオの
いわゆるマスメディアに変わり、様々なユーザー参加型メディアが登場
しつつあります。

これらのメディアにおいては、ユーザーが、コンテンツの「受け手」
というよりも、自ら望めば、コンテンツの「作り手」になることが
可能です。すなわち「メディア創造」の機会が、万人に開かれている
のです。

この授業の目的は、「メディア創造」です。開発するメディアコンテンツ
は、3分間のインタビュービデオです。学生自らが企画し、撮影機材
をもって取材を行い、3分間のインタビュービデオを開発し、東大公式
のメディアである東大テレビ、東大iTunesU、Youtube、Facebook
などで一般に広く公開することをめざします。

指導には教員の他、放送局などで仕事にあたっているプロの
映像作家・ディレクターである、大房潤一さんも加わります。

開発するショートムービーのテーマは、

  Global × Work × Discovery
 
とします。
今、わたしたちの生活には、グローバル化(Grobal)の影響をうけた様々な
ものが押し寄せています。そして、わたしたちの仕事のあり方(Work)
も変わっています。
本授業では、こうした背景のもと、仕事をしている方々に
インタビューをし、同時代の学生に見てもらえるようなメディア
コンテンツを開発します。
大切なことは「発見(Discovery)」することです。よくあるグローバル
人材へのインタビューとは違った角度からGrobal×Workを見詰めることが
重要です。

必要機材(ビデオカメラ、Macbook、一眼レフ、マイク、iPad)等は準備
・貸与するので、学生は準備をする必要はありません。

本講義の性格上、受講にはいくつかの注意があります。

第一に、取材・撮影・編集などはグループで行います。参加学生は
協調的な作業やコミュニケーションを厭わないことが求められます。

第二に、受講にあたって、事前に特別なスキルは必要ありません。
ただし、撮影・編集のスキルは、作業をしながら学ぶ「熱意」が
です。

第三に、実際の取材は、具体的に手を動かし、足を使ってなす必要です。
これらの活動に積極的に取り組むことのできる学生の参加を希望します。

機材の関係上、人数は最大20名とする。希望者が多い場合には、初回授業
開始時にレポート課題を与え、所定日時まで提出してもらいます。
それによって受講制限を行うことがあるので、ご了承いただきたいと思います。
最後に、このような授業の性格上、途中で授業受講を辞めることは極力
差し控えていただきます。

本授業の主なターゲットとしては、将来メディア産業で働きたい人の
みならず、広くナレッジワークにつきたい学生を想定しています。
過去の受講生の中には、実際にメディア産業に就職した方もいます。

本授業を受講することで獲得することが予想される知識・技術は、

1)現在のメディア環境に関する知識
2)取材に関する基礎的スキル
3)コンテンツの撮影・編集等に関する知識
4)グローバル社会における労働・キャリアに関する知識

などがある予想されます。

本講義は、東京大学 大学総合教育研究センター 教育課程・方法開発部門が
主催し、東京大学 教養学部付属 教養教育高度化機構 アクティブラーニング部門
の支援のもとに実施される。

ーーーー初回授業は10月9日ーーーー

授業「オリエンテーション」
 ・授業シラバスの確認
 ・グローバリゼーションと仕事の変化(1)

授業
 ・グローバリゼーションとキャリアの変化(2)
 ・グループ編成
 ・インタビュービデオのバリエーションを鑑賞する

演習「インタビュービデオづくり」
 ・撮影実習
 ・編集、テロップ入れ

グループ企画発表
 ・企画発表プレゼン
 ・アプローチの技術

グループ企画発表
 ・企画発表プレゼン+アポ取り
 ・ヒアリングの技術

ーーー2回 進捗に応じて各グループごとに実習ーーー

グループ企画発表

編集実習

総長選挙

編集実習

中間報告会

テロップ等挿入

仕上げとソーシャルメディアにアップロード

Exbition(合評会)

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投稿者 jun : 2014年10月 2日 08:54


近い将来、大学の教壇に立ちたい大学院生の「教育力」を磨く全学プログラム:東京大学フューチャーファカルティプログラム第四期募集中!お早めに!

近い将来、大学の教壇に立ちたい大学院生に「教育力」を教える全学プログラム
東京大学フューチャーファカルティプログラム 第四期募集中!
大学院生(修士課程・博士博士)の皆様のご登録を、大歓迎いたします!

学習者をいかに「教える」か?
聴衆に届けたい内容をいかに「伝える」のか?
学習者同士が話しあいをする「場」をいかにつくるか?

【シェア・拡散もご自由にどうぞよろしくお願いします】

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東京大学フューチャーファカルティプログラム 第四期申し込み
http://www.todaifd.com/entry_open/

  ▼

東京大学フューチャーファカルティプログラム(東大FFP)は、現在第4期50名を募集中です。こちらすでに応募を開始しており、すでに1クラスを超える人数が集まりました。つきましては、こちらが最終のご案内なりますので、どうぞご興味のおありの方はお早めにお申し込みをお願いいたします。

東京大学フューチャーファカルティプログラム
http://www.todaifd.com/ffp/

現在、大学教員の公募の際には,模擬授業の実施や授業案,シラバスの提出など,教育実践力を問われることが年々増加しています。大学教員公募の申し込み書類に、1科目分のシラバス提出が義務づけられたり、数名の教授陣の前で、模擬授業をしたりするなどのことが行われはじめているのです。

また、教育において知識の獲得は、「MOOC」や「反転授業」をはじめとする多様な方法が普及しつつあり、「伝達」を主とするものはオンラインでの学習が、加速することが予想されます。これからは対面の授業でいかに学生に主体的に学んでもらうか,という スキルが教員に求められるということです。
なお、これらの教育スキルは、教育現場においてのみ通用するものではありません。研究においても,他者にわかりやすく伝える力が、プレゼンテーションする能力が求められています.その能力は、リサーチのプレゼンテーション等においても、活用できることでしょう。こうした力をつけるためのプログラムが東京大学フューチャーファカルティプログラムです。

東京大学フューチャーファカルティプログラムでは,授業デザインや評価などを実際に数々のアクティブ・ラーニング手法を体験しながら学んでゆきます。下記には1分間ビデオがございますので、どうかご覧下さい。

本プログラムはこれまで,ほぼ全ての研究科から参加者を集め,研究領域を超えた仲間とともに学べるので視野を広げるチャンスでもあります。

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また、プログラム修了時には,公式の履修証が発行されますので,履歴書に書くことができます。下記は先だっての履修証交付式の様子です。吉見俊哉副学長・大総センター長から履修証が交付されています。近日中には、大学教員を採用したい方向けのWebサイトがもうけられます。東京大学フューチャーファカルティプログラムが、教育にパッションのある大学院生と、そうした大学院生を採用したい方々が出会う場になればよいな、と感じています。

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受講生からのアンケートの調査の結果は非常に高いものがあります。満足度等においても、9割以上の学生が本プログラムに高い評価をしています。

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また,修了後もネットワークがあり,他大学での模擬授業実施の機会や,アラムナイを対象とした公募の情報の共有,興味関心に応じた勉強会の開催等,活発な活動が継続的に続けられています.

東京大学フューチャーファカルティプログラム 第四期申し込み
http://www.todaifd.com/entry_open/

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本プログラムは,東京大学に在籍する大学院生ならばどなたでも受講できます.博士のときに研究が忙しくなるのでしたら、修士のときに履修してもかまいません。第4期の東京大学フューチャーファカルティプログラムは、木曜日クラスと金曜日クラスに分かれており,いずれも本郷キャンパスで実施いたします.隔週3・4限の二コマ連続の授業となります.

募集締め切りは、10月6日(月)午前9時です。もう既に半数以上が登録を終えております。もしご関心のある方がいらっしゃいましたら、下記のエントリーフォームからどうぞよろしく御願いいたします。

東京大学フューチャーファカルティプログラム 第四期申し込み
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投稿者 jun : 2014年10月 1日 06:00