異業種5社のリーダーが集まる研修をいかにデザインするのか!?

 この週末は今年からはじまった「地域課題解決プロジェクト」で北海道・美瑛町におりました。

 このプロジェクトは、異業種5社のトップ人材が、北海道・美瑛町に集結し、地元の方々とともに地域の課題解決を行うプロジェクトです。

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 ヤフー株式会社の本間さん・池田さんにお声がけいただき、中原も、企画・監修者として、またプロジェクトのファシリテータとして、本プロジェクトに参画させていただいております。

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 今週末行ったことは、まず、5社のそれぞれの社員の混成からなるチームがはじめて顔をあわせ、フィールドノーツをもって美瑛町をまわり実施しつつ、美瑛町の方々とかかわり、自らが解決提案する「イシュー」について「発見」することでした。役所、学校、病院、農協、観光拠点など、多種多様なフィールドの方々から話を伺い、また、それらの場所をツアーしつつ、参加者の方々が、イシューを決めていくプロセスは、非常に興味深いものでした。

 プロジェクトでは様々な出来事!?が起こりましたが(笑)、それぞれ各社の多種多様なトップ人材が集まり、かつ、「答えのない問題」と格闘するのだから、それはアタリマエ。
 それでも、なんとか、無事、このセッションを終えることができました。ご参加頂いた皆様の前のめりでポジティブなかかわりと、地元の方々の熱意とホスピタリティあふれるおもてなしに、心より感謝いたしますとともに、今は、セッション1を無事終えられたことを嬉しく思っています。地元・北海道新聞にこのプロジェクトの様子が大きくとりあげられました。

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 さて、このプロジェクトの最高にスリリングな点のひとつは、研修のデザインを、人事・人材開発担当者が自ら行う点です。

 各社の人材開発担当者の方々は、最低1回以上、ファシリテーターを担い、プログラムをデザインする必要があります。また、人材開発担当者の方々は、それぞれグループにフィールドワーカーとして張り付いています。

 研修終了後には、各グループに散っていた研修開発担当者の方々が全員集まり、リフレクションを行い、次のアクションを全員で決めていきます。その様子はまさにインプロ。全体で集めた情報を共有し、即興で、タイムラインを見直し、次々とコンテンツをつくっていく(これができないと、想定外のことがたくさん起こる異業種研修は、なかなかシンドイと思います)。
 もちろん、インプロのタイミング、カリキュラムの構成、ファシリテータの問いかけ、用いる概念については、中原がそのつど事務局の方々、ファシリテータの方に助言し、一緒に考えていきます。答えは誰もわからないのです。可能なのは、「一緒に考えていき、即実践し、結果とプロセスを内省すること」だけです。

 つまり、ワンセンテンスで申しますと、

「地域課題解決プロジェクト」には「2つの研修(プロジェクト)」が走っている

 のです。

「各企業のマネジャーが問題解決を行う表カリキュラム」とは別に「人材開発担当者が協働する裏カリキュラム」がもう一本(笑)。1粒で2度おいしいとは、まさにこのことかと思います。ただし、表カリキュラムが終わっても、裏カリキュラムがありますので、夜遅くまで事務局のミーティングと内省が続きます。気力・体力は相当必要です。
 今回の研修事務局の中で、主にこれまでカリキュラムを練ってきたメンバーは、アサヒビール株式会社 門永さん、株式会社インテリジェンス 武井さん・美濃さん、株式会社電通北海道 森さん、日本郵便株式会社 鶴田さん・畑さん、ヤフー株式会社 本間さん・池田さん、美瑛町 後藤さん・平賀さん・観音さん・石崎さん、NRI三崎さん、そして小生です。 
 これらの皆様から学ばせて頂くことは多く、この事務局に参加できたことは、今後の自分にとってラッキーでした。

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 これまで、僕も、いくつかのリーダ研修、マネジャー研修などを引き受けてきましたが、「異業種 × 社会貢献 × リーダー」の3要素が詰まった研修ははじめてです。
 異文化の人々が出会い、協働するときには、配慮しなければならないことがたくさんあります。また、この種のダイバーシティにとむプロジェクトのデザインは、過去に先行する事例も、研究もありません。こうした「異業種のリーダーが集まり、何かを成し遂げる研修のデザイン」について僕自身も学ぶ場になっていることは、とても嬉しいことです。
 研修終了後には、僕自身も毎日、フィールドノーツをしっかりとつけています。僕自身も多くを持ち帰りたいと考えています。

 次回のセッションは6月、7月、と続きます。
 そして人生は続く

追伸.
 5月9日、拙著「駆け出しマネジャーの成長論」が発売されました。AMAZON「瞬間最大風速」的に、カテゴリー「マネジメント・人材管理」「中公新書ラクレ」「リーダーシップ」の3冠1位を記録しました(笑)。ありがとうございます!心より感謝いたします。
 この本は、「実務担当者がいかにしてマネジャーになっていくのか」を扱った一般向けの新書です。人材育成研究の知見と、先達マネジャーの語りから、新任マネジャーが直面する7つの挑戦課題について、それをいかに乗り越えるかを考えています。玄人のみなさまにもお楽しみ頂けるように、脚注などを充実させました。どうぞご笑覧ください。

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投稿者 jun : 2014年5月19日 07:00