ホームパーティ

 大学院時代の友人U君(某シンクタンク勤務)のご自宅で開催されたホームパーティに、TAKUZO、カミサンと出かけた。パーティには、NYから一時帰国していた大学院時代の後輩K君夫妻も参加し、とても楽しい時間を過ごすことができた。

 恐るべきは、U君の奥さまの手料理である。

 前菜のお料理からはじまって、「えっ、これ、つくったのプロじゃねーの」的な素晴らしいクオリティの一品が、これでもか、これでもか、という具合にサーブされた。全員で至福の時を過ごした。TAKUZOも、非常に喜んでいた。本当にありがとうございました。感謝。

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 次回はぜひ我が家で。
 K君夫妻が帰国する7月以降に、そのような会をもちたいな、と思った。

 U君夫妻には、この場を借りて感謝いたします。
 本当にありがとうございました。

 明日はバリバリ仕事。
 そして人生は続く。

投稿者 jun : 2009年4月29日 22:37


新入社員が「記者」になる!?

 神戸大学の松尾先生にならって、最近、日経産業新聞をとりはじめた(笑)。今日の記事には個人的に興味深い記事が載っていた。研修の内容は「富士フイルムの新入社員研修」。

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 富士フイルムの新入社員研修「事業理解プログラム」では、新入社員が「記者」となって、事業部を取材するのだという。

 取材では、先輩社員から事業概要を把握しつつ、新規の提案を発表してもらう。

 取材テーマの設定や先輩社員へのアポイントメント取りなど、新入社員自らがすべて考えて行動しなければならないそうだ。

 研修の最後には、新入社員がプレゼンを行う。

(4月28日 日経産業新聞)

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 これだけで研修の概要をつかむことは難しいけれど、もし僕が万が一やるのだとしたら、「なぜ仕事をするのか」「どんなことにやりがいを感じているのか」など、先輩個人にもフィーチャーした記事をつくると面白いかな、と思った。

 そのことは、新入社員が「仕事とは何か」を考えるきっかけにもなるだろうし、先輩個人にもリフレクションの機会になるかもしれない。

 今回の研修では最後のアウトプットはプレゼンであるようだ。それも面白いけれど、冊子や社内報に「記事」を投稿する、というのも面白いかな、と思った。
 紙数の制約の中で「記事」をつくる。事業の本当に重要なことしか掲載できない。この制約が、事業の本質的な理解に結びつくかもしれない。
 また、社内報や冊子を全社に配付することで、研修のアウトプットを「新入社員教育」だけに閉じるのではなく、もしかすると、「組織知」につなげることができるかもしれない。「へー、あの事業部ではこんなことをやっているんだ」といった具合に、組織における相互の理解が深まったら、素晴らしいな、と思った。

 いずれにしても、一度詳細なお話を伺ってみたいな、と思った。
 このあたりは、学校教育では「メディアリテラシー」の実践の中で実施されている。ヒントになることもあるかもしれない。

投稿者 jun : 2009年4月29日 15:34


ワークプレイスラーニング2009の事例企業選定!

 先日、第四回目のワークプレイスラーニング2009企画委員会が、東京大学にて開催されました。

 このブログで前々からお伝えしたように、今年のワークプレイスラーニング2009では、その企画のプロセスを、すべてこの場で公開いたします。

 プロセスを公開いたしますと、僕のメールボックスには、皆さんからの様々なメッセージが届きます。それを企画メンバーに伝えつつ、企画プロセスに活かしていくことをねらっています。

第1回企画委員会
http://www.nakahara-lab.net/blog/2009/02/post_1446.html

第2回企画委員会
http://www.nakahara-lab.net/blog/2009/03/2009.html

第3回企画委員会
http://www.nakahara-lab.net/blog/2009/04/2009_2.html

 年に一度、安田講堂で華々しく開催しているワークプレイスラーニング2009は、かくして生まれているのですね。そのBackstage(楽屋)をぜひ、ご覧下さい。

 ▼

 今回の企画委員会は、テーマの確認から行われました。ワークプレイスラーニング2009の大会テーマは、

 "経験とつながりのデザイン"

 です。
 
 1.経験学習による"個"の成長のデザイン
   ≒個人の能力開発
 2."個"と"個"のつながりのデザイン
   ≒組織の開発

 をいかに両立するか。そして、その先には、

「個人と組織のいかなる関係が望まれているのか」

 を考察したいと思っています。

 今年は3つの企業事例を素材に加えて、経営学・教育学・心理学・社会学などの異なる専門性をもった研究者による解説、そして、皆さんのディスカッションをまじえ、この「問い」に答えていきたいと思います。

 昨年度の反省点をふまえ、企業事例は4つから3つにすることになりました。その分、濃密な解説、濃密なディスカッションができることになると思います。

  ▼

 今回の企画趣旨を確認したあとで、いよいよ今日のアジェンダである企業事例候補の選定となりました。途中、長岡健先生から下記のような問題提起がありました。

1.聞いただけで満足してしまう、あるいは聞いてお腹いっぱいになってしまう事例ではなく、会場に「話題」が生まれるような事例を選んだ方がよい。

2.企画委員が「自分の聞きたい話はこれだ」という観点から事例を選ぶのはまずい。今のフェイズでは、あくまで企画者として「どんな話題を設定して安田講堂をどのような場にするのか」というの観点から事例企業を考えるべきである。

 確かにおっしゃるとおりです。
 いつものように、長岡先生は鋭いですね。

  ▼

 企業事例の選定にあたっては、それぞれメンバー各人が、事例を持ち寄って、それを共有することからはじまりました。この場ではご迷惑がかかってしまうので企業名をだすことはできませんが、下記のような多岐にわたる企業が、話題にあがりました。

 ○I食品
  ・リストラをしない経営で有名

 ○N産業
  ・個の成長と組織コミュニケーションの活性化を
   ねらった経営

 ○自動車ディーラーA社
  ・カリスマ経営者による経営品質の高い経営

 ○T工業
  ・社内におけるコミュニティづくり

 ○Dホテル
  ・非正社員・アルバイトを含めた成長の場づくり

 ○製薬会社H
  ・個人の成長と組織力向上をめざした施策

 ○外資系企業B社
  ・プロジェクト終了後のリフレクションを行う
  ・社外の外部ネットワークによる学び

 ○オモチャメーカーC社
  ・仕事の面白さで個人を魅了する経営

 ○外資系通信N社
  ・個人を「育てること」はしない経営
  ・専門職を採用する経営

 ○外資系コンサルM社
  ・プロジェクトごとの経験学習
  ・メンター制度(Know who)

 ○広告代理店
  ・仕事のきつさと学習
  ・疑似コミュニティ制度の導入

 ○N工業
  ・管理することを一切放棄した経営

 ○外資系ホテルR社
  ・高級なサービスを体験して学ぶ
  ・理念による経営

 ○某システムインテグレーション企業
  ・ポテンシャルのある人を採用する
  ・入社してからは現場でストレッチさせて、
   自ら育つ環境を、自分でつくらせる

 ○某メディア系企業
  ・自分で仕事をデザインする
  ・育てる環境をなくす、育つ環境をつくる

 ○A重工業
  ・社員同士が教え合う勉強会(学びの場づくり)

 ○U飲料メーカー
  ・10数年にわたって実施されているメンター制度
  ・離職率が低い

 ○I銀行
  ・私塾形式の勉強会運営
  ・若手社員の参加は任意

 ○P銀行
  ・現場の学びと研修が連携した
   支店長(マネジャー)教育
 
 ○M工業
  ・エンジニア同士が学び合う勉強会をつくる
  ・現場のナレッジ共有、マネジメント、
   DNA継承が一緒になっている

 メンバーからあげられた上記の企業事例をさらに詳細に検討しつつ、議論を重ねて、ようやく3つの企業事例候補を決定することができました。現在、交渉を開始しています。

 昨日の段階で1社からご快諾をいただきました。
 残り2社です。

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追伸1.
「人が育つ組織デザイン」本の執筆者会議が、昨日、ダイヤモンド社の石田さんをまじえて、東大で開催されました。各章の骨子について確認しましたので、いよいよ執筆開始となります。

 出版は秋頃の予定です。各種の調査データ、理論をご紹介する、育成に悩む現場マネジャー向けの本になる予定です。

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追伸2.
 慶應丸の内シティキャンパスの授業「ラーニングイノベーション論」が「満員御礼」になったそうです! めでたい>井草さん、保谷さん。
 講師の先生方、保谷さん、井草さんと協働しつつ、素敵な学びの場にしたいと考えています。
 あと数席追加を受け付けることもあるようですので、よろしければぜひご検討いただければ幸いです。

ラーニングイノベーション論
http://www.keiomcc.com/program/lin/index.html

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追伸.3
 金井壽宏先生との共著「リフレクティブマネジャー - 働くみんなの学び論(仮題)」(光文社新書)の執筆が、このGW、佳境に入ります。
 金井先生をはじめとして、光文社の黒田さん、秋山さんとのコラボレーションが楽しみです。

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追伸.4
 中原がファーストで書いている論文は、また再分析に入っています。何とか5月でメドをつけたいと思っていますが、いやはや(笑)なんとも(笑)。ちんたらしてすみません。
 共同研究の第一弾は、松尾先生・中原の連名で6月の組織学会(東北大学)で、松尾先生がご発表なさいます。

職場の学習風土に関する定量的研究
神戸大学大学院・経営学研究科 松尾 睦
東京大学・大学総合教育研究センター 中原 淳

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追伸.5
 中原・松尾先生が監修した組織診断ツール(調査)が、近日中、ダイヤモンド社から発売される予定です。一番最初の調査から考えれば、足かけ3年かかっています。何度も何度も調査を繰り返し、「質問項目」を精査し、ようやくここまで来ました。担当の永田さん、浅井さん、荻原さん、井上さん、お疲れ様です、もう少しですね。組織診断ツールの方は、既に分析を終え、システム開発に入っています。

 今、取り組んでいるのは組織診断の結果を用いて(Survey feedback)、どのようなワークショップを社内で開催するか、ということです。そのためのマニュアル、ツールなどの開発を、アダットの福澤さん、生方さんをまじえて行うことになりました。こちらの方も、エッジの切れた作品にしたいと思っています。

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追伸6.
 大学院授業「組織学習システム論」がネットで公開されています。今日は第三回目の授業です。昨日研究室で大学院生が、苦労してパワーポイントの資料をつくっているのを見ました。ぜひお楽しみに。

iii online(組織学習システム論)
http://iiionline.iii.u-tokyo.ac.jp/index.php/

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追伸7.
 富士ゼロックス総合教育研究所との共同研究は3年間のうち、2年目に入りました。昨年は定量調査でしたが、今年は定性調査です。ご担当者の坂本さんが、今、先方とのあいだで交渉を進めてくださっています。お疲れ様です。ちなみに、3年目最終年度は定量調査をもう一度行う予定です。

 ---

 皆さんとのつながりの中に、僕の仕事は、あります。
 ありがたいことです、合掌。

 そして人生は続く。

投稿者 jun : 2009年4月28日 07:15


出来事点描

 出来事点描。

  ▼

 先日、教養の話をブログで書いたら、ある人からこんな話を聞いた。

リベラルアーツとはまなびほぐしである!?
http://www.nakahara-lab.net/blog/2009/04/post_1490.html

 曰く、

 日本の歴代首相は、昔は皆、漢詩が書けた。
 しかし、小渕さん以降の首相から、漢詩を書くことはできなくなってしまった。

  ・
  ・
  ・

 真偽のほどは、僕にはわからない。でも、最近の政情を見ていると、さもありなん、と思った。俗には、KY(漢字読めない)と揶揄されることもあるようだから。

 もちろん、漢詩が書けるからといって、漢字が読めないからといって、首相に発揮してほしいのはリーダーシップである。
 漢詩が書けないけれど、リーダーシップが生み出せるのなら、僕は、そちらの首相を、喜んで支持する。

  ▼

 あるセミナーで講演したとき、こんなことがあった。

 参加者にちょっと「変わったオッサン(経営者)」がいて、休み時間に矢継ぎ早に質問をされた。

 質問にはかなり丁寧に答えたつもりだったのだけれど、僕の話が終わるか終わらないかのうちに、

「優等生の答えだな」

 オッサンは、吐き捨てるようにそう言って、どこかに去っていった。

 もし僕が質問に答えられなかったとしたら、「それみたことか、何もわかっていない」と言われただろうし、質問に丁寧に答えたとしたら「優等生の答えだ」になる。

 要するに「質問に答えるか、どうか」は問題ではなかったんだろうな、と思った。

 講演も楽じゃない。

  ▼

 先日研究室にお越しになったある人から、ビートたけしの話を聞いた。彼が、自分の能力を、他の芸人と比べて評価したときの話である。

 ビートたけし曰く

「しゃべりでは、オイラは、さんまに勝てない。漫才では、洋七に勝てない。司会では、紳助には勝てない」
 
 だそうだ。

 この自己評価は非常に意外だった。あまり僕はテレビを見ないけれど、僕の目から見て、ビートたけしといえば、「お笑い界の四天王」で、すべての分野に精通している、ように見えたからだ。

 他者から見てハイパフォーマーであっても、必ずしも、すべての分野に自信があるわけではない。逆に、ハイパフォーマーだからこそ、冷静に自己評価ができるのかもしれない。

 そうか、、、そういうものなのか。

 ▼

 フォーラム、シンポジウム、ワークショップに参加した後で、思わず口にした言葉が

「今日は刺激になりました」

 であったら、気をつけてください。

 その「刺激」の中身を、リフレクションする、今がまさにそのときです。

 今日、あなたはどんな出来事を経験したのか?
 なぜ、今日の出来事が「刺激」だと感じたのか?

「刺激になった」って言うな。

 ▼

 25歳の映像作家が1年間かけて創ったという作品「オオカミとブタ」が、ネットの世界で有名になっているのだという。

 気の遠くなる作業である。
 すごい。

 ▼

 GW前、一週間がはじまる。
 気合いを入れてサバイブしよう。

投稿者 jun : 2009年4月27日 06:39


これは「便器」ですか?、「アート」ですか?:藤田令伊著「現代アート超入門」を読んだ!

上の作品は、「アート」ですか?それとも「アート」ではないでしょうか?
あなたはどう思いますか?
そして、あなたがそう判断した理由はなぜですか?

  ・
  ・
  ・
  ・

マルセル=デュシャン「泉」

 ---

藤田令伊著「現代アート超入門!」を読みました。

 21世紀以降に生まれた技術と都市に関係の深いアート・・・いわゆる「現代アート」の読み方を解説した入門書です。
 個人的には、今年上半期に読んだ新書の中では抜群に面白かったです。
 通常、「現代アート」の入門書といいますと、「読めばよむほど、さらにわからなくなるもの」が多いですね(笑)、、、敢えて、ポストモダンの用語をちりばめて、衒学的なムードを漂わせていて、たぶん、書いている本人もわかっていないようなものです。
 本書はそんなことはありません。フツーの人の言葉で、フツーの人の目線で、さまざまな工夫をもって書かれています。でなければ、美術はいつも
「3」の僕が読めるはずはありません(笑)。

  ▼

 通常、アートといいますと、わたしたちは、下記のような思い込みや価値観をもっています。

1.写真のように描くことがアートである
2.美しいものがアートである
3.何が描いてあるかわかるのがアートである
4.感じさえすればよいものがアートである
5.アートの絵の主題は「見えるもの」である
6.アートは作家が自分で描かなければならないものである
7.アートは作者の主観が表出されていなければならない
8.アート作品は見る者が受け入れるべきものである

 しかし、現代アートとは、考えもつかなかった表現を用いて、上記のような、私たちの常識、価値観、思い込み、コンセプト、ステレオタイプを相対化します。

 先ほどのデュシャンの「泉」は、「なぜ、アートは作者がつくらなければならないのか」「なぜ、アートは美しくなければならないのか」ということを相対化し、問い直すためにつくられたようにも思います。

  ▼

 終わりなき日常の中で、わたしたちの中に澱のように堆積してしまった価値観に「裂け目」をつくること、それが現代アートなのかもしれません。
 さらに言葉を足すのなら、現代アートを見るとは、私たちが終わりなき日常の中でいただいていた「考え」や「思い込み」を問い直すこと - すなわち「学び」の機会にほかなりません。

 今日の関東地方は、風は強いけれど、天気はよいです。こんな日こそ、現代アートを楽しんでみるのはいかがでしょうか(今日は僕は仕事です・・・トホホ)。

 そして人生は続く。

投稿者 jun : 2009年4月26日 10:48


リベラルアーツとは、学びほぐしである!?

「これからの時代は人間力」なのだそうです。
そして、「人間力を向上」させるためには「教養を身につける」ことが必要なのだそうです。

 ふーん、そうなんだ。
 へー。

 ▼

「人間力」ほど、利用する人の恣意によって、多様に用いられる言葉はありません。
 ある識者は、それを「コミュニケーション力」「問題解決力」「決断力」と定義します。ある識者によれば、それは「学力とは対角線上にある、その人の中核的能力」なのだそうです。人によっては、それを「度量」といいかえる方もいらっしゃるそうです。

 僕には、人間力という「概念」が指し示すところは、さっぱりわかりません。ただ、よくよく人の話をお聞きしていますと、どうも「人間力」という言葉で指し示されるものには、下記の共通点があるように思います。

1)学力やスキルといったものではないということ
2)でも、人が所有する「力」概念で理解されること
3)計測は不可能であるということ

 人間力というコンセプトの「定義」の差異を論じることに興味はありませんので、ここではサラリと流します。皆さん、人間力の意味については、感じてください。

 ▼

 ただ、定義を論じることに興味はなくても、気にかかることはあります。それは「人間力というものを向上させるために、教養をつけることが重要だ」という先の指摘です。どうも、ここには違和感があるのです。

 僕の持論からいうと、「教養をつける」とは、そういう「力の向上」で暗喩される類のものではないのではないかか、ということです。

 ▼

 教養(リベラルアーツ)の原義は、聖書(ヨハネ書)にある「真理はあなたがたを自由にする」という言葉にあると記憶しています。 もともとリベラルとは「自分に力をつける」ものではなく、「自分を解放する」という意味です。

 つまり、日常生活で様々に獲得してしまった素朴概念、ステレオタイプ、思い込み、そして流行の言葉やコンセプト。たとえば、人間力といったもの。
 リベラルアーツにふれるとは、そうしたものを相対化しながら、自己を解放することができるのではないでしょうか。

 一言でいえば、

 リベラルアーツとはUnlearn(まなびほぐし)の学

 ではないかと思うのです。

 あるいは、

 リベラルアーツとは"自省の学"である

 といってもよいかもしれません。
 
 ところが、世間では、リベラルアーツは「力(能力)を向上させる」で把握されているそうです。むしろ、逆なのではないか、と。

 ▼

 教養ある人とは、僕の持論によれば、「自由な人」です。
 また、ルソーによると、自由とは「自分の好きなことをすることではなく、自分のやりたくないことをしないこと」だそうです。

 終わりなき日常の中で、色褪せていく「自分」に抵抗する。そして、曇りのない目で物事を見分け、自分のやりたくないことを拒絶しつつ、志高く生きていく。

 凡人小人野蛮人の小生としては、ため息がでてしまいますが、できることなら、かくのように、ありたいものですね。

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"学習・成長する個人"から"変化する組織"へ
ダイアローグ・チェンジ・・・

中原淳・長岡健著「ダイアローグ 対話する組織」発売中!
職場単位でご購読いただいているようです!

様々なブログに、読後の感想が掲載されています! ありがとうございます!

投稿者 jun : 2009年4月24日 07:49


カーナビと運転手さん

 昨日タクシーに乗車した際、運転手さんがこんなことをおっしゃっていました。目的地までの20分間、いろいろと根ほり葉ほりヒアリングさせていただきました(笑)。

 ▼

「GPS(カーナビ)がタクシーにつくようになってから運転手はじめた人は、本当に大変だと思いますよ。どこに客がいるかわからないし、道もよく覚えていないでしょうから。GPSで、運転手はアホになっちゃうんですよ。

GPSが導入されて、本部と他の運転手のタクシーとの交信を全員が聞くことはなくなりました。

でも、この交信が運転手にとっては、いい勉強になったもんなんです。無線を聞いていると、この時間には、どこに客がいるのか、段々とわかってきますから。客がいる場所がわかってくれば、そこにいけばいいわけです。

あと、GPSは細かい裏道を教えてくれないですよね。だから、今の運転手さんは、大きな道路ばかりをとおってしまうんです。たまにお客さんから指摘されますが、まぁ、ほとんどの人はいいませんね、何も。

昔は、そんなものがなかったから、自分で試行錯誤して、必死に道を探しました。えっ、ここ通れるのか、というような裏道を必死に探した物です。

今は本部の配車も、GPSを見てやりますから。お客さんから一番近い人をモニタでみて、「はい、おまえ、そこいけよ」と言われるわけです。

昔は違いました。売り上げをあげるためには、多少、自分から遠くても、無線にでて、お客さんをとりにいったんです。「おれ、行きます」と自分で名乗り出たんです。で、必死で「裏道」をかけめぐって、お客さんのところに行きました。お客さん待たせるわけにはいかないんで、「裏道」は必須だったんですよ。

そんなことをやっていれば、GPSがなければ、だいたい5年くらいで東京の道はある程度わかると思います。でも、GPSがあったら、どうかな・・・わかるようになるのかな」

 一言一句同じではないですが、運転手さんがおっしゃっていたのは、こんな類のことです。今年で60歳になる、運転手歴30年のベテランさんでした。

 ▼

 人間の認知や行動は、常に、テクノロジーとともにあります。

 新たなテクノロジーの導入は、今までの仕事のあり方、ひいては学習のあり方を根本的に変えてしまう可能性をもっています。活動理論家のエングストロームならば、組織や組織間の関係も変わるというかもしれません。

 しかし、常に「ベター」と思われる方向に、「仕事のあり方」「学習のあり方」が変わるわけではありません。本当は知っていなければならないこと、出来なければならないことも、時に失われてしまう可能性があります。

 ▼

 しかし、面白いですね
 いろいろな方から、仕事の話を聞くのが、僕は好きです。

 そこには、必ず、当のご本人は気づいていない「学び」が隠れています。

投稿者 jun : 2009年4月23日 08:00


あなたはデューイスクールに通いたいですか?

 僕の今学期の授業「組織学習システム論II」は、iii onlineという東大のeラーニングシステムで一般に公開されている。

東京大学大学院情報学環 iii online
http://iiionline.iii.u-tokyo.ac.jp/

 この授業は、下記のように進行する。

 1.イントロダクション(中原:5分)
 2.プレゼンテーション(文献担当グループによる:35分)
 3.グループディスカッション(15分)
 4.クラスディスカッション(30分)
 5.ラップアップ(中原:5分)

 要するに、僕は最初と最後の10分間だけしか喋らない。税金泥棒(!?)と言われることもあるけれど(笑)、僕は「インタラクションこそが、コンテンツである」という信念をもっているし、自分の研究領域がまさに「コミュニケーションと学習」「対話と学習」それそのものなので、One-wayの講義は極力しないようにしている。
 授業では、すべて学生がプレゼンテーションを行い、ディスカッションをする。iii onlineでは、そのうち1と2のみ公開している。

 昨日は、はじめて大学院生がプレゼンテーションをした。発表は、ジョン=デューイに関するもの。もし、「経験と学習」に関して興味のある方は、ぜひ、大学院の授業をのぞいていただきたい。

 ディスカッションでは、

1)あなたは、デューイの教育思想に基づく学校に通いたいと思いますか? 思わないですか? その理由を含めてグループで話し合ってみてください。

2)あなたに「子ども」がいるのだとします。あなたは、自分の子どもに、デューイの教育思想に基づく学校に通わせたいと思いますか? 思わないですか? その理由を含めてグループで話し合ってみてください。

3)複雑化・情報化が極まる現代において、もしデューイスクールがあったとしたら、どのような「経験」をコアにしたカリキュラムを構築しますか?

 について話し合った。短い時間だったけれど、本音もちらほらでてきていて、面白かった。

 そして人生は続く。

投稿者 jun : 2009年4月22日 12:35


白髭のインド人経営コンサルタント

 どなたからお聴きしたのか、本当に思い出せないのですけれども(ごめんなさい)、アメリカに、あるインド人の高名な経営コンサルタントがおられるそうです。今日は、このお話をしましょう。

 そのインド人コンサルタントは、いわゆる「仙人」のような格好をしていて、いつも、目をつぶって瞑想しながら、長い長い髭をいじっているんだそうです。いつもいつも豊富な白髭をいじっている。
 彼がいるオフィスは、いわゆる「仙人風」の雰囲気が漂うタダモノではない場所で、かすかにインドの民族音楽などがかけられており、香のにおいもする。一般人ならば、思わず、背筋が思わずのびてしまうような場所だそうです。

 彼のもとには、名だたる企業・組織のトップが「相談」におとずれるそうです。コンサルタント料は信じられない高額で、天文学的な数字。

 しかし、トップ自らが、コンサルタントのところを訪れ、自社の様子、課題を熱心に語っているときも、インド人の様子は変わることはないんだそうです。やはり目をつぶりながら基本的には「髭をいじっている」。

 たまに「なぜ?」「具体的には?」と問うことはあっても、基本的には、彼は黙って、トップの話を「聞いている」んだそうです。トップは熱心に自社の問題、自分の境遇、自分の迷いや悩みを語っている。

 しかし、不思議なことに、そうこうしているうちに、トップの方が様子がおかしくなってくる。

 突然、

「はて、、、なるほど、、、そういうことだったんですね」

 と気づくんだそうです(笑)。

「先生、ありがとうございます、わかりました、本当にありがとう、ありがとう」

 という風に喜び勇んで、自社に帰っていく(笑)。

 もちろん、インド人は、髭をいじっているだけ。トップに「答え」を提供したわけでも、「教えて」あげたわけではない。彼は、コンサルタントではあるけれど、いわゆる「コンサルティング」をしたわけではない。もちろん、「占った」わけではない。

 髭をいじって、話をきいていただけなのに、なぜか感謝され、高額なコンサルタント料を手にできる(笑)。
 
 ▼

 さて、ここで「問い」ですね。
 この事例をどのように解釈すればいいでしょうか?
 そして、私たちは、ここからどんな教訓を読み取ればいいでしょうか?

もちろん、教訓は「上司が何か言ってきても、髭をいじって瞑想してればいい」ってことじゃないよ(笑)。

※追伸.
 このお話、「モモ」にも似た話があるそうです。元ネタはどこなんだろう。

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伝えているのに、伝わらないのはなぜか?
伝えているのに、相手の行動が変わらないのはなぜか?
伝えているのに、職場が変わらないのはなぜか?

終わりなき日常の中で、少しだけ乾いてしまった
職場のコミュニケーションを見直してみませんか?

そのことは自らの成長、お互いの理解、そして
よりよい仕事の創造につながるかもしれません

中原淳・長岡健著「ダイアローグ 対話する組織」発売中!

様々なブログに、読後の感想が掲載されています! ありがとうございます!

投稿者 jun : 2009年4月21日 06:45


失われる学校内コミュニケーション

 先日、某小学校の教員の方とお話しする機会を得ました。
 最近、その方が勤務する小学校では、教員に対する「上」からの締め付けが厳しくなっており、ついには、

1.休み時間に職員室に戻ってくることの禁止
2.休憩室でお茶を飲むことの禁止

 に至っているそうです。

 このような中で、急速に失われているのは、「教員同士の横のつながり、コミュニケーション、連携」といったもの。

 実際、職員室に誰も戻ってこなくなり、誰も話をしなくなりました。社会学者ローティが、かつて指摘したような「学級」という「Egg structure(タマゴの殻)」に閉じこもる先生方が増えたそうです。

 そんな中、最も困ったのは「新任の先生方」だそうです。ベテランの教員にアドバイスを受けたくても受けられない。そもそも何か問題を抱えても、他の教員からは見えにくい。

 問題はすべて自分の学級に閉じてしまう。学級運営的にも、教員のメンタル的にも、「非常に危険な状態」に見えるそうです。

  ▼

 今、企業の方は、組織内のコミュニケーションを見直したり、ナレッジの環流を促したり、対話(ダイアローグ)の場づくりに取り組もうとしているところも少なくありません。

 上記で述べた学校の状況が、どの程度、一般的なことかどうかはわかりませんが、もしそうだとすると、世の中の流れとは、どう考えても「逆行」しているように見えます(そもそも休憩とか、お茶とかを、教員一律に制限するっていう発想が疑問)。

  ▼

 内田樹さんが近著「街場の教育論」の中で、おっしゃっていることですが、結局、教育現場をよくするためには、教育現場のフロントエンドにたつ教員の方々にいかに創意工夫をもって授業をしてもらえるか。現場の先生方をエンパワーメントして、いかに元気になってもらうか、にかかっています。

 僕は、上述した小学校をフィールドワークしたわけではないので、その詳細はうかがい知ることはできません。が、もし事実だとすると、少し「危ないもの」を感じてしまいます。

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 最近の読書で出会った名言たち。

  ▼

「わたしは、人間の自由というものは、その欲するところを行うことにあるなどとは考えたことは決してない。それは、欲しないことは決して行わないことにある。」

ルソー「孤独な散歩者の夢想」

  ▼

「思い切り悪いことのできる奴は思い切りいいこともできる。思い切りバカなことのできる奴は思い切り真面目なこともできる」

ビートたけし

  ▼

 一人の石工は不機嫌な表情で「忌々しい石を切っているんだよ」とぼやいた。
 別の石工は満足そうな表情で「大聖堂を建てる仕事をしているんだよ」と誇らしげに答えた。

ヤン・カールソン「真実の瞬間」

投稿者 jun : 2009年4月20日 08:53


「三田の家」にお邪魔した!

 先日、重田先生と一緒に、「三田の家」にお邪魔させていただいた。

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三田の家
http://mita.inter-c.org/

「三田の家」は、慶應義塾大学三田キャンパスの程近く、三田商店街の民家の中にある「教室」。「大学の傍らにある、自主運営のラウンジ的な教室」。

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 異分野、異組織ゆえに、近隣で生活していても出会うことの稀であった人たちがカジュアルに出会い、学びあい、交歓する場(インター・キャンパス)の創出をめざして、慶應義塾大学のスタッフ有志で運営されている。

 当日は、この試みをはじめた熊倉敬聡先生にお逢いして、お話を伺うことができた。

熊倉敬聡先生
http://mita.inter-c.org/?p=17

 熊倉先生からお聴きした内容の中には、「ダイアローグ 対話する組織」で論じた内容にシンクロすることもかなり含まれており、非常に共感がもてた。

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 熊倉先生をはじめとして、様々な方々の協力を得ながら、近々企画している「学びのサードプレイス・サミット」を、何とか実現にこぎつけたいな、と思った。

 お忙しいところ貴重なお時間をいただいた熊倉先生には、この場を借りて感謝いたします。ありがとうございました。

 そして人生は続く。

投稿者 jun : 2009年4月19日 18:27


Learning barが終わった!:みんなで「やる気」を科学する

 本日、4月のLearning bar「みんなでやる気を科学する」が開催されました。

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 本日のLearning barは、

  ■やる気の「常識」を問う

   株式会社JTBモチベーションズ
   代表取締役社長 大塚雅樹さん

  ■ミドルの「やる気」を科学する

   株式会社リクルートマネジメント
   ソリューションズ
   石井宏司さん
 
  ■ワークモティベーションの測定
   近畿大学 経営学部
   山下 京先生(社会心理学)
   
   国際経済労働研究所
   八木隆一郎さん(社会心理学)

  ■社会的構築物としての「やる気」
   産業能率大学 情報マネジメント学部
   長岡 健先生(組織社会学)

 という豪華講師陣で、企業・組織における「やる気」の問題を論じていただきました。

 ▼

 おかげさまで、本日のLearning barも満員御礼!!

 なんと、、、今回は、Learning bar最多の477名の方々からご応募をいただきました。ありがとうございます。

 抽選の結果、企業人材育成担当者、官庁の方、大学研究者、大学院生などから約250名程度の方々の参加者を得ることができました。
 皆様、仕事を終えた!?5時から9時まで、みっちりと濃密な4時間、本当にお疲れ様でした。

 最近、Learning barは満員御礼が続いており、参加登録いただいても、すべての方々の御希望にはお応えできないケースも生じてきています。
 限られたスペースと人的リソースの中で運営し、かつ、参加者のバックグラウンドの多様性を確保する必要がある関係上、すべての方々のご要望にはお答えできない可能性があることを、なにとぞご理解下さい。

 ▼

 冒頭は、中原から趣旨説明です。

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 何度かLearning barにご参加いただいた方には、既におなじみ(水戸黄門の印籠状態!?)になっていますが、懲りずに、また説明します。

 Learning barは、

 1.聞く
 2.聞く
 3.聞く
 4.帰る

 という場ではなく、

 1.聞く
 2.考える
 3.対話する
 4.気づく

 ような場であるということをご説明いたしました。
 Learning barは「答えを提供する場」ではなく、「良質の問いかけを通して、参加者の皆さん自身が考える場」です。講師の先生方には、そのことをお願いしてあります。講演の最後には、仮説や問いかけをしていただいているのです。

 その上で、モティベーションの問題に関しては、アカデミックでフォーマルなセオリーに対置して、いわゆる「素朴モティベーション論」というものが人口に膾炙していること。その特徴は、下記のようなものであることを説明いたしました。

①モティベーションの高低は生得的に獲得され、なかなか変化しない人間の資質である

②モティベーションは短期間の介入で向上させられる

③モティベーションを向上する科学的に確立された手法がある

④すべての問題は「モティベーション」で解決可能である

 モティベーションは、上記のように人々に語られていますが、こうした「典型的な語り方」を超える必要があること。

 いわゆる

「思索なきモティベーション落ち!」
「思索なきモティベーションロマンス!」

 に陥らないように、慎重な内省を深めることが重要であることを述べました。

 ▼

 大塚さんからは、「やる気の常識を考える」というテーマに基づく、ご講演をいただきました。

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 JTBモティベーションズの調査データによれば、一般に流布するような下記の常識、すなわち、

1.ハイパフォーマーはモティベーションも完璧である
2.プライベートで仕事をするのはKYである
3.不景気環境下において組織は「意欲統一」して目標達成することが重要である

 ということは、間違いである可能性が高い、というお話でした。

1.ハイパフォーマーだって悩むことはある
2.プライベートと仕事は対立しない
3.組織のモティベーションは足並みを決してそろえる必要はない

 とのことです。

 非常に興味深かったのは、

「モティベーションの高い人は、自分の仕事を、聴き手に応じて多彩なボキャブラリーで語ることができる」

 という指摘でした。社内にいるだけでなく、社外に飛び出し、様々な人々と出会い、話すことことできる人は、モティベーションが高いというのは、昨今の研究知見にも近いところはありますし、個人的に面白いな、と思いました。

  ▼

 リクルートMSの石井さんには「ミドルのやる気を科学する」というテーマでご後援をいただきました。

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 リクルートマネジメントソリューションズが2007年9月に実施した1000名規模のミドル調査をもとに、

 1.ミドルはやる気があるのか
 2.ミドルのやる気とは何か?
 3.ミドルでやる気がある人、ない人の差は何か
 4.ミドルのやる気はあげられるのか

 についてご講演いただきました。

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 個人的には、

1.ミドルの動機は、着任後3年をめどに低下する
2.ミドルのやる気を維持するためには彼らに成長経験を積ませることが重要である
3.ミドルの成長経験とは、1)組織の目標を達成することであり、2)部下の成長を促すことである、

 というご指摘が興味深かったです。仮に、ミドルのやる気が、部下のやる気と相関するものであれば、何とかして、「やる気のカスケード」をつくることはできないものか、と思いました。

 ▼

 山下先生のご発表は、冒頭、

 1)ワークモティベーションの測定の難しさ
 2)内発的動機付けの理論、外発的動機付けの理論

 からはじまりました。

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 その上で、ワークモティベーションと企業業績の関係を調べる研究についてご発表をいただきました。

 山下先生のご研究によりますと、

・30歳従業員の年収格差を100万円つけると、外発的動機付けが8.9ポイント上昇する

・内発的動機付けをあげ、外発的動機付けを下げる要因は、賃金の年功制、組合関与の高さ、長期借入金の比率、内部留保率、新卒採用重視である

 といったことが明らかになったそうです。その上で、日本型の経営、すなわち、短期利益によらず、ヒトを重視する経営が内発的動機付けの確保には重要であることをご指摘なさっていました。

 ▼

 最後に長岡先生のご発表。

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 長岡先生は、組織社会学の立場から、

・「やる気があるかないか」という意味づけ(ラベル)は、上司(会社)- 部下間の政治的交渉(駆け引き)によって決まる

・本人はやる気があるが、会社の上司の意図にあわない場合は、「やる気がない」とされる

・ゆえに、やる気があるないを論じるときには、上司の判断、会社の判断が妥当なのか? もしかして、本当は大切にしたいものを「やる気がない」と判断してはいないか?

 ということを主張なさっていました。

 やる気を個人の資質、個人の中にある構成物として見なす立場に、いつものように鋭く切り込んでおられました。

(感想の中に、長岡先生の鋭い切り口の熱心なファンの方が何名もいらっしゃいました!)

 ▼

 その後は、Learning bar恒例のディスカッションタイムです。

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 今日も、非常に熱いディスカッションがかわされていました。本当に、福武ホールの温度が上昇しました。何人かの方が、スーツを脱いでおられました。びっくりですね。

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 最後は、質疑応答を終え、中原によるラップアップ。
 ラップアップの最後では、いつものように、先ほどの4つに加えて5つめをお願いします。

 ①聞く
 ②考える
 ③対話する
 ④気づく
 ⑤Bar外で語る

 何人の方が、このLearning barの出来事、ここで得た気づきを、ここにいない他者に語っていただけるでしょうか。他者に語ることで、人はリフレクションをします。Barの外で他者に語ること、あるいは、他者に向けて書くこと、自分の頭でもう一度リフレクションすることが、何よりも重要なことだと、僕は思います。

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 講師の方へのわれんばかりの拍手の中、無事終了です。

 ▼

 今回のLearning barで、ある一人のご参加者の方から、中原に投げかけられた問いが、新鮮でした。

「中原さんは、なぜ、Learning barをやるんですか? そのモティベーションは何ですか?」

  ・
  ・
  ・
  ・

 うーん、、、、、、、なんでだろ?
 なんで、やってんだ?
 一瞬わかんなくなってしまいました(笑)。
 (こういうのを良質の問いかけというのですね)

 少し考えてみれば、そこにはいろいろな理由、動機がありますよね。

 ひとつは、やはり「自分の研究」のためですね。
 僕の研究は、企業の方との共同研究、あるいは協力無しでは、絶対に達成できません。ヒアリングを行うことひとつにしても、事例を教えていただくことにしても、また調査や共同研究や共同開発するにしても、すべては、企業の方とのコラボレーションなのです。
 ですので、素直に、ここにいらっしゃる方の中で、そういう可能性と志をお持ちの方と、僕は一緒に仕事がしたい、と思います。そして、僕自身の研究をご理解いただきたい、と思います。

 あとは、最先端の講演を通して、僕自身、自分自身が勉強したい、というものがあります。
 Learning barは、僕自身にとっても、学びの場なのです。講演にお呼びする方は、自分自身が、この先生のお話を聞いてみたい、と思う方しかお呼びすることはありません。企画するのにもお勉強をします。
 たとえば、今回、モティベーションをやるにあたり、最新の動機論、論文は、専門家からご紹介いただいて、読み込みました。結局、これを機会に、僕自身が知識をアップデートしているのですね。
 Learning barは、僕自身が最も学んでいる場であり、僕自身が参加者の中で最も愉しんでいる場なのです、、、おそらく。

 もうひとつは、こういってしまうと「ウソこけ、何すかしとんのじゃ、われ!」と言われるかもしれませんが(笑)、いや、本当にですね、僕は「人と人が語りあいながら、何かに気づいたり、学んだりする光景を見ること」や、そうした場をつくることが、好きなんだと思います。
 本当に、いや、本当に。
 「協調学習」「対話による学習」は、学部時代以来の研究のメインテーマです。そういう学びのありかたが、ぼくは、好きなんだと思います。

 確かに、Learning barの企画は、シンドイこともあります。
 ですが、参加者の方々が悩んだ顔をしていらっしゃったり、議論に白熱しているような様子を見ると、「こういう光景が見たかったんだ、これだ、これ!」という風に思います。そういう光景にLearning barで出会ったとき、僕は、やりがいや働きがいを感じてしまうのですね・・・。

 といった感じです。
 良質の問いかけをありがとうございました。

  ▼

 最後になりますが、大塚さん、石井さん、山下先生、八木さん、長岡先生、本当にありがとうございました。

 Learning barの開催をいつも支援してくださっている大学院生諸氏に心より感謝いたします。事務局の坂本君もありがとう。

 そして、議論にご参加いただいたすべての方へ。
 感謝を込めて。

 本当にありがとうございました。

 次回のLearning barは、6月12日を予定しています!
 テーマは「リーダーシップ開発」です!。
 リーダ論でもなく、リーダーシップ論でもない、リーダーシップ開発論!
 リーダーシップ開発に取り組んでいる企業の方、また、経営学の若き俊英も登場する予定です。
 
 ぜひ、お楽しみに!
 
Learning barへのご参加は下記メルマガからどうぞ!
http://www.nakahara-lab.net/learningbar.html

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"学習・成長する個人"から"変化する組織"へ
ダイアローグ・チェンジ・・・

中原淳・長岡健著「ダイアローグ 対話する組織」発売中!
職場単位でご購読いただいているようです!

様々なブログに、読後の感想が掲載されています! ありがとうございます!

投稿者 jun : 2009年4月18日 02:29


クレイアニメの世界的第一人者、湯崎夫沙子さんのトークショー

 イタリア在住のクレイアニメの世界的第一人者、湯崎夫沙子さん(YUSAKI FUSAKOといって、イタリアでは知らない子どもはいないでしょう)が来日して、トークショーをするそうです。

 湯崎さんといえば、最近、NHKの子ども番組などで、作品を発表なさっています。非常に面白そうなイベントですね。

 最近、ちょっとお疲れ気味だね、という方は、湯崎さんのパワフルなお人柄、そして作品から元気をもらえることでしょう。

 もしご興味があれば。

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●湯崎夫沙子
 クレイアニメの魅力とテクニック

■日時:
 4月24日(金)

■場所:
 イタリア文化会館(東京・九段下)

■時間:
 昼の部 15:00開演
 夜の部 18:30開演

■チケット料金
 一般1500円
 学生1000円

■詳細はこちら
http://www.nikitiki.co.jp/news/index.html

投稿者 jun : 2009年4月15日 17:09


なんとかりょく、ほにゃららリーダーシップ

「教育」と「経営」の実務の世界は、ある意味で、非常に似ているところが多いな、と思う。

 両者の「中心」にいる方にとっては、「ウソー」と思うかもしれないけど、両者を垣間見る僕としては、そんなことを感じる。
 よいところも、そうでないところも、可能性も制約も、教育と経営の世界には共通点があるように感じる。このことの詳細に関しては、また別途論じる。

  ▼

 両者の相似点としてあげられるもののであり、ぜひ、克服しなければならないと思えるものに、「言説空間における概念の安易な鋳造」という問題がある。

 たとえば、教育の実務の言説空間であれば、

 "なんとか力(りょく・ちから)"

 ビジネスの実務の言説空間であれば、

 "ほにゃららリーダーシップ"

 というコンセプト、である。

 それぞれ、前者は教育の世界で、後者は経営の世界で、最もよく使われている言葉であろう。

 この二つは、容易に誰にでも「鋳造」ができ、また、その真偽の妥当性も検証されぬまま、人口に膾炙するという意味において、非常に似ている。

  ▼

「鋳造」はいかに行われるか?

 例えば、今、「あなた」が仕事をしていく上で、あなた自身を優位にすると思えるワンワードを思い浮かべよう。
 あるいは、人文社会科学の中で、最近、よく使われているが、教育やビジネスの領域では使われていない「ワンワード」でもよい。

 この二つの領域の言説空間を制するためには、あなたが選んだその言葉の後に、「りょく(ちからでもいい)」と「リーダーシップ」をくっつけるだけでよい。

 たった、これだけだ。
「あらよっと、いっちょあがり」というわけである。

  ▼

 たとえば、仮に、今、ワンワードを「対話」だとしよう(僕は、下記のことを死んでもしない)。対話のあとに「りょく」をつける。対話のあとに、「リーダーシップ」をつける。後者の方は、英語にしよう。
 これで終わり。
 あらよっと、いっちょあがり。

 対話力
 ダイアローグリーダーシップ

 それぞれの言葉をじっと眺める。もし、時間のある方は、プリンターで大きなフォントサイズで打ち出して、本の背表紙につけてみるとよい。

 そうすると、不思議なことが起こる。

 「あらよっと、いっちょあがり」な割には、あたかもそんな「りょく」や「リーダーシップ」が存在するかのように錯覚してしまうから不思議である。
 そんなものが重要であると、主張できそうに主張できそうだから、不思議である。
 そして、さらに驚愕なのは「あらよっと、いっちょあがり」でつくられた概念が、口当たりと耳障りさえよければ、「流通」してしまいそうだから、さらに不思議である。

  ▼

 例えば、今、心理学で最近注目されている言葉に「ポジティブ」がある。これにも、「りょく」と「リーダーシップ」をつけてみよう。

 ポジティブ力
 ポジティブリーダーシップ

 ポジティブ力は、「ぽじてぃぶか?」という感じで、なんか「ヘロヘロ感」は漂う。そんなときは簡単。「りょく」を「ちから」にすればよい。

 ポジティブになる力

 ちょっと語呂は悪いけど、「ぽじてぃぶか」よりはマシだろう。

 ポジティブリーダーシップの方は問題ない。

 どちらも、こういうのがあってもおかしくないな、と思えてしまうから不思議だ。
 また、そういうものを「正当化」できそうに思えてしまうから、不思議だ。
 しかも、このまま、流通して、一ヶ月後には同名の「書籍」が、誰かの手によって出版されていそうだから、三度、不思議である。

  ▼

 要するに、悲しいかな、「何でもあり」なのである。

 かくして、今日も、明日も、あさっても、いろんな「りょく」や「リーダーシップ」が「鋳造」されていく。
 様々に鋳造された「~りょく」や「~リーダーシップ」が、本当に存在し、パワフルかどうかは問題ではない。
 その言葉を使って権力やイニシアチブを握りたいと願う人々の手によって、容易に、それはつくられる。

  ▼

「りょく」や「リーダーシップ」という「接尾語」自体に魅力がなくなくなるまで、こうした事態は、今日も、明日も、あさっても続く。

「わかりにくいもの」のもつ「深さ」や「可能性」を犠牲にしながら、「接尾語」は今日も消費される。いつか、その言説空間自体が色褪せてしまう日まで。

 それは、言説空間の悲劇であり、喜劇である。

投稿者 jun : 2009年4月15日 06:22


iii onlineのこと

 今日から大学院は授業とゼミがはじまります。今年、僕の大学院授業「組織学習システム論II」は、iii online(アイアイアイ・オンライン)という東京大学のeラーニングシステムで、一般に公開されます。

iii online
http://iiionline.iii.u-tokyo.ac.jp/

 どなたでも視聴することができますので、ご興味があれば、ぜひ、どうぞ(本日中にはアップロードされると思います)。

  ▼

 実は、iii onlineは、僕にとっては、思い出深いサイトです。

 何を隠そう、僕は、iii onlineの立ち上げプロジェクトの中心メンバーだったのです(iii onlineはexCampusというプロジェクトの一環でした)。

開発チーム
http://excampus.nime.ac.jp/introduction/team.html

 iii onlineは、東京大学大学院情報学環とメディア教育開発センターの共同プロジェクトとして、2002年 - 2003年にかけて開発がなされました。

 今から7年前・・・当時、僕はメディア教育開発センター(現・放送大学)というところで「助手」をしていたのですね。

 プロジェクトメンバーは、東京大学の山内さん、学生だった酒井君(現・山形大学)と久松君(現・東京大学)、藤江君(現・任天堂)、松河君(現・大阪大学)、同僚であった西森さん(現・東京大学)、田口さん(現・京都大学)、望月君(現・専修大学)、武蔵野美術大学にいた八重樫さん(現・立命館大学)、吉田さん。みんなで協働して、このサイトを開発したが思い出されます。
 僕の役割はプロジェクト総括。夜な夜な、メンバーとともに徹夜に近い作業を続けました。

 今となっては、インターネット大学院などは、珍しくもないですが、当時は多くの新聞・メディアに掲載される事件でした。

 サイトの開設前夜、東京大学情報学環で学環長をなさっていた濱田純一先生(現・東京大学総長)、メディア教育開発センター所長であった坂元昂先生(現・日本教育工学振興会会長・東京未来大学学長)、石田先生(現・東京大学大学院 情報学環 学環長)で、翌日の記者会見のため最終打ち合わせをしました。夜の本郷で夜8時を回っていました。今となっては、よい思い出です。

 それから7年・・・当時学生であった人は、今や教員になり、あるいは、社会人として働いています。そのときは、まさか、僕自身の授業が、このサイトで公開されるとは思いませんでした。

 人生何が起こるかわかりません。
 過去7年も感慨深いですが、これからの7年も全く予測不能です。

  ▼

 そして人生は続く。

 ---

追伸.
 ちなみに、今年度から大幅に「ゼミのあり方」を変えた。

 ゼミを、「教師 - 学生の指導の場」と捉えるのではなく、「教員、教員にゆかりをもつ人々、学生、それぞれの切磋琢磨の場」と考えることにした。「1×nの場」から「教員をコアとしたn×nの場」への転換である。

 具体的には、テレビ会議システムを用い、遠方にいる中原の共同研究者でも参加できるように整備した。昨日は二名の研究者がテレビ会議でゼミに参加した。

 また、舘野ゼミ長の発案で、コメントシート制度をつくることにした。今まで、発表者にコメントするのは、ほぼ教員に限られていたが(もちろん自由にコメントはできたけど、全員がコメントできるわけではなかった)、全員が発表者に対するコメントを、コメントカードに書いて、手渡しすることにした。

 このコメントカードは、ゼミ長曰く、キャロル=ドウェックのGrowth Mindsetの理論を参考にしている、という。ともすれば、局所的で、辛辣で、ネガティブなものに終始しがちなコメントを、いかにポジティブで未来志向にするか、なかなか工夫がなされている。

 組織文化論の泰斗、エドガー=シャインは、組織文化は文物にもあらわれる、と解いた。かくして、中原研究室の文化は、こうしたあーティファクトに宿る。

  ▼

 学びを研究する人々が集まる場こそ、常に「学びのあり方」にセンシティブになるべきである。そして、自らの「学びの文化」を革新するべきである。

 中原研究室は、そういう「場」を目指す。
 学びの文化の革新に挑戦する人々の集まりである。

(以下、組織学習システム論のシラバス)

================================================
東京大学大学院 学際情報学府 2009年度
夏学期授業シラバス
「組織学習システム論Ⅱ」
  - プロフェッショナルの熟達を考える」
================================================
 
■講義の概要
 人は、人生の一定期間、学校という場所「だけ」で
学ぶわけではありません。学校を「卒業」した後でも
、会社や組織の中で、新たな知識を獲得したり、他者
と知識を共有したりしながら、仕事に日々取り組んで
います。
 人は年をとっただけでは、学びをやめません。
人は、生けとし生きる限り、学び続ける存在なのです。

 本授業では、従来あまりスポットライトがあたるこ
とのなかった、学校の「外」の学習 - 「企業・組織に
おける学習」に焦点をあてます。
 特に「組織学習システム論Ⅱ」では、プロフェッシ
ョナルと呼ばれる人々が、どのような出来事を経験し、
一人前になり熟達していくのかをグループで研究します。

1)プロフェッショナルと呼ばれる人々は、どのような
経験から学び・成長しているのでしょうか?

2)プロフェッショナルの学びや成長には、どのような
他者からの、どのような支援が影響を与えるのでしょうか。

3)プロフェッショナルの学びと成長と組織は、どのように
相互に影響を与え合っているのでしょうか?

 これを明らかにするために、グループで、プロフェッ
ショナルの職種を決めて、インタビュー調査を企画・実施
します。
 インタビュー結果を定性的手法を用いて分析し、発表
していただきます。授業の前半では、そのための関連
文献を購読します。

 なお、本授業の様子は、東京大学情報学環 iii online
に一般に公開します。グループでのプレゼンテーション
も公開いたします。作成したPPT、および発表中の
様子がインターネットで配信されます。
 受講希望者は、上記の件、ご承知おきください。

東京大学情報学環 iii online
http://iiionline.iii.u-tokyo.ac.jp/index.php/
 
 
■想定される受講者像
・組織における知識共有、学習に関心のある方
・組織のおける人材育成、人間の成長に関心のある方
・組織変革や文化の構築等に関心のある方
 
 
■評価
 下記の3点から成績をつける。
1.コメントカードによる出席点30%
2.プレゼンテーション(全員からの相互評価30%)
3.最終プレゼンテーション(全員からの相互評価40%)

 なお、相互評価のポイントは下記の5点。
  1.スライド・配付資料のわかりやすさ( / 5)
  2.プレゼンテーション手法(声・身振り)( / 5)
  3.質疑応答の適切さ( / 5)
  4.理論の解説がわかりやすいか( / 5)
  5.考察がなされているか( / 5)


■場所・時間
 火曜日 3限(13:00)より
 未定


■連絡先
 中原 淳(なかはらじゅん)
 〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1
 東京大学 大学総合教育研究センター 准教授
 東京大学大学院 学際情報学府 准教授(兼任)
 Blog : http://www.nakahara-lab.net/

 重田勝介(しげた かつすけ)
 東京大学 大学総合教育研究センター
 TREEオフィス コンテンツ開発室 特任助教
 Blog : http://jamsquare.org/shige/


■授業アーキテクチャ
 ・イントロダクション(中原:5分)
 ・プレゼンテーション(文献担当グループによる:35分)
 ・ディスカッション(グループで:15分)
 ・オープンディスカッション(クラス全体で:30分)
 ・ラップアップ(中原:5分)


■プレゼンテーションのやり方
・課題として設定された文献を購読し、内容を要約
する。すべての要約をより集めて、「ひとつのスト
ーリー」を構成する。

・文献はPDFになっているものはダウンロードするこ
と。PDF化されていないものは、図書館などで借りて
くること。文献の貸与は行わない。

・プレゼンテーションはパワーポイントで行う。

・プレゼンテーションの構成には下記を必ず含めること
 ・各文献の要約をまとめた内容
 ・今回の文献で興味深かったところ/面白かったところ
  現場で役立ちそうなところ
 ・今回の文献の課題、問題点
 ・グループとして考察したこと

・配付資料は人数分用意し、各自で印刷すること。

・配付資料は「パワーポイントの配付資料」を用意する。
印刷は各グループで行うこと。

・プレゼンテーションの前か後に、利用したデジタル
ファイル(パワーポイント&ワードのPDFファイル)を
、メーリングリスト「soshiki2」にながす。

・プレゼンテーション授業終了後、授業で利用するコ
ンピュータに元ファイル(PPTファイル、ワードファイ
ル)を残しておくこと(評価の際に用います)。

・プレゼンテーションの時間は35分。その後質疑応答
があるので、どのような質問にも答えられるようにし
ておくこと。


■iii onlineでの受講について

 本授業は、iii onlineでも受講することができます。

 本授業をiii onlineで受講するか、教室で受講するか
 は4月7日のオリエンテーションのときに決めるものと
 します。授業の進行の関係から、途中で受講スタイル
 を変更することは原則として認めません。
 
 iii onlineでの受講と、教室での受講は、各課題が
 異なります。下記の内容をよくお読みになって受講
 ください。
 
 
■参考文献
・中原淳・荒木淳子・北村士朗・長岡健・橋本諭(2006)企業内人材育成入門.(ダイアモンド社)

・中原淳・長岡健(2009)ダイアローグ 対話する組織. ダイアモンド社
 
 
 
 
■内容

●4月7日 オリエンテーション
 ・講義概要
 ・授業の流れ
 ・グルーピング&自己紹介&連絡先交換
 ・名簿づくり
 ・スケジュールの確認と担当決め
 ・プレゼンテーションの準備と方法

 ※iii onlineで受講の方は、2000字程度の
  レポートをiii online上に次週の授業までに投稿
  してください

  テーマ 自らの受講動機について述べなさい
 
●4月14日 経験学習

・ジョン=デューイ(2004)経験と教育. 講談社, 東京

・ジョン=デューイ(2004)学校と社会. 講談社, 東京

 

 経験と学習の源流をジョン=デューイの思想から学ぶ
 
 ※iii onlineで受講の方は、2000字程度の
  レポートをiii online上に次週の授業までに投稿
  してください
 
●4月21日 経験学習

・松尾睦(2006)経験からの学習. 同文舘出版, 東京

 松尾氏は経験学習理論と熟達化理論を接近させ、通常
の職場において「経験からの学習」がどの程度起こって
いるかを、心理学的手法を用いて明らかにしている。

 ※iii onlineで受講の方は、2000字程度の
  レポートをiii online上に次週の授業までに投稿
  してください
 

●4月28日 経験と職種

・笠井恵美(2007)対人サービス職の熟達につながる経験の検討. リクルートワークス研究所(http://www.works-i.com/flow/survey/download.htmlにて入手可能)

・笠井恵美(2007)対人サービス職の熟達につながる経験:小学校教諭・看護師・客室乗務員・保険営業の経験比較 リクルートワークス研究所(http://www.works-i.com/flow/survey/download.htmlにて入手可能)

 職種によって経験学習がどのように変化するのかを考える。 

 ※iii onlineで受講の方は、2000字程度の
  レポートをiii online上に次週の授業までに投稿
  してください


●5月5日 GW振り替え休日 休講
 

●5月12日 聞き取りの作法①
      特別講義

・立花隆(1984)「知のソフトウェア」(講談社現代新書)

・小泉潤二・志水宏吉(2007) 実践的研究のすすめ - 人間科学のリアリティ. 有斐閣, 東京(p198-216 インタビューの章)

・小池和男(2000) 聞きとりの作法. 東洋経済新報社, 東京

  

 上記の課題図書を全員通読してくること。

 ゲスト講師
 株式会社 ダイヤモンド社
 間杉俊彦さん

 ※iii onlineで受講の方は、2000字程度の
  レポートをiii online上に次週の授業までに投稿
  してください


●5月19日 経験による成長:
     人を飛躍的に「成長」させるのはどんなイベントか?

・金井壽宏(2002)仕事で「一皮むける」.光文社書店, 東京

・モーガン=マッコール(2002)ハイ・フライヤー:次世代リーダーの育成法. プレジデント社

 

 人を「成長」させたのはどのような仕事経験だったのか。
経営学による「経験による学習」へのアプローチ。 

 ※iii onlineで受講の方は、2000字程度の
  レポートをiii online上に次週の授業までに投稿
  してください


●5月26日 成長に影響を与えるもの:他者と組織
      特別講義「人材開発白書2009」
 
 ゲスト講師
 株式会社 富士ゼロックス総合教育研究所 
 研究開発統括部 研究室長
 坂本雅明さん

 ※iii onlineでは公開しません
  iii onlineで受講の方は、2000字程度の
  レポートをiii online上に次週の授業までに投稿
  してください

  テーマ:あなたの仕事・学問上での成長に
  他者や組織はどのような影響を与えていたのかを
  考察してください。2000字程度の
  レポートをiii online上に次週の授業までに投稿
  してください。
  
  
●6月9日 まとめの作法②

・戈木クレイグヒル 滋子(2006) ワードマップ グラウンデッド・セオリー・アプローチ―理論を生みだすまで. 新曜社, 東京

・木下康仁(2005) グラウンデッド・セオリー・アプローチ. 弘文堂, 東京

 

 データから理論(モデル)を生み出すための参考にする

 ※iii onlineで受講の方は、2000字程度の
  レポートをiii online上に次週の授業までに投稿
  してください

 
●6月30日 中間発表
  
  
●7月7日 中間発表
 
 
 ※iii onlineで受講の方は、A410枚(12000字)程度の
  中間発表レポートをiii online上に投稿してください
 
●7月14日 グループ学習+自己学習
 
 
●7月21日 最終発表会プレゼンテーション
 
 
●7月28日 最終発表会プレゼンテーション

 ※iii onlineで受講の方は、A4で20枚(20000字)程度の
  中間発表レポートをiii online上に投稿してください

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投稿者 jun : 2009年4月14日 16:45


学会のシンポジウムの演題と概要が決まりました!

 今年の日本教育工学会は、東京大学・本郷キャンパスで実施されます。僕は、大会のシンポジウムを担当しています。

変革をささえる教育工学:サスティナビリティとスケーラビリティ
http://www.nakahara-lab.net/blog/2009/04/post_1473.html

 ご講演いただく先生方のご協力で、下記のように、演題が決まりました。この場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました。

「教育現場における変革」のサスティナビリティとスケーラビリティ・・・初等教育の現場、高等教育の現場では、それぞれ、どのような挑戦がなされているのでしょうか。そして、その挑戦のもとでは、

1)研究者と実践者の関係はいかに「ある」のか

2)研究者は何をデザインし、何を評価するのか

3)研究のアウトカムはどのような表象を用い、「誰」を「宛先」に発信されるものなのか

4)研究者が「研究以外」に引き受けなければならないことは何か

5)上記のようなプロセスの中で、研究者はいかなるアポリアを背負うことになるのか。

 僕自身がとても楽しみなセッションになりそうです。

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【初等教育】
■学校現場・企業・研究者による共同研究のサスティナブルなデザイン
玉川大学 堀田龍也先生

概要
教育工学を支えるプレイヤーである学校現場・企業・研究者は,それぞれ異なる立場を持つため,一般に連携することは容易ではない。教育工学の発展のためには,三者が連携する共同研究をサスティナブルにするデザイン原則を共有すべきではないか。いくつかの事例をもとに検討する。

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■カリキュラム・リーダーシップに関する理論的・実践的研究-語りと探究のコミュニティの可能性と課題-
大阪教育大学 木原俊行先生

概要
「カリキュラム・リーダーシップ」は,カリキュラムに関する「語りと探究のコミュニティ」をいかに充実させるかという,問題解決の営みである。この概念の台頭や実践化を報告しつつ,そこに内包される,カリキュラムに関する知恵の交流や伝承の可能性と課題について,理論的・実践的に論ずる。

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【高等教育】
■FDは研究か、実践か?~高等教育学における臨床研究アプローチの模索~
愛媛大学 佐藤浩章先生

概要:
報告者はFDを実践するFDer(ファカルティ・ディベロッパー)である。自らの実践を普及させるために、その成果を明らかにする臨床研究に取り組んでいる。報告者の事例を紹介しながら、その特質を考察する。さらに研究成果を持続させるための、人材育成やシステムづくりの実践を紹介する。

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■京都大学センターによるFDの組織化:そのサスティナビリティとスケーラビリティ
京都大学 松下佳代先生

京都大学センターでは現在、学内・地域・全国・国際の4レベルでFDネットワーク構築と拠点形成を進めている。今回は、地域レベルでの組織化の事例を取り上げ、それがどう生成し、持続し、波及しつつあるか、そこに我々がどう関与してきたのかを議論する

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■コメンテーター
 松尾 睦先生(神戸大学:経営学の立場から)
 長岡 健先生(産業能率大学:組織社会学の立場から)

■司会と問題提起
 中原 淳(東京大学)

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追伸.
 名城大学の神保啓子さんの論文、オンラインで読むことができます。個人的には、非常に興味深いなと思いました。関係する方は、ぜひ、ご一読ください。

価値創造FD マネジメントの方法:コミュニティ・オブ・プラクティスのモデル
http://emspd.meijo-u.ac.jp/publication/journal01/1_02.pdf

投稿者 jun : 2009年4月13日 09:06


楽しい仕事!?

 某企業に内定をもらった学部生U君から、メールをいただきました。就職が決まったというご報告とともに、下記のような事が書いてありました。

> 中原さんの書籍/Blogを読む中で、
>
> 楽しい仕事があるのではなく、
> 楽しもうとする人がいるだけであること
> を教わりました。

 泣かす(号泣)。
 感動だわ、素晴らしい。
 「楽しい仕事があるのではなく、楽しもうとする人がいるだけである」というのは、お世辞抜きで、僕は「名言」だと思う。
 まだ入社前だというのに、本当のことをよくわかっていらっしゃる(笑)。そして、君をとった会社は、人を見抜く力がある(笑)。

 僕も、貴殿の仕事っぷりに負けないように、エンジョイします。

 自分が面白いと思える仕事をしていれば、必ず、どこかで、また出会う。
 全く違った仕事でも、必ず、どこかでつながる。
 世の中、そういうものです。

 Have fun!
 そして、おめでとう!

 近いうちにまた逢おう。

投稿者 jun : 2009年4月10日 23:27


経験とつながりのデザイン:ワークプレイスラーニング2009のテーマが決まった!

 昨日は、ワークプレイスラーニング2009の企画委員会でした。今回で企画委員会も第三回目。今日のアジェンダは、テーマの決定と企業事例の選定です。

 既に、このブログではお知らせしているように、ワークプレイスラーニング2009では、その企画のプロセスを、すべて公開いたします。

ワークプレイスラーニング2009 第一回企画委員会
http://www.nakahara-lab.net/blog/2009/02/post_1446.html

ワークプレイスラーニング2009 第二回企画委員会
http://www.nakahara-lab.net/blog/2009/03/2009.html

 プロセスを公開することで、企画者である我々自身が、様々なご指摘を受けることが可能になりますし、また、ワークプレイスラーニング2009を実施する目的でもある「社会的認知の向上」につながるのかな、とも思っています。

 お楽しみ下さい。

 ▼

 昨日の会議は、東京大学で開催されました。午後6時あたりから、多くの方々にお集まりいただきました。

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 金子さん@グロービス
 坂本さん@富士ゼロックス総合教育研究所
 永田さん@ダイヤモンド社
 石田さん@ダイヤモンド社
 張さん@JMAM
 清宮さん@日本アクションラーニング協会
 石井さん@リクルートマネジメントソリューションズ
 金木さん@グローバルナレッジネットワーク
 柴田さん@産業医科大学
 須藤さん@日本CHO協会
 吉松さん@産業能率大学
 長岡さん@産業能率大学
 中原@東京大学

 会議の冒頭、2つのテーマ案について中原から説明しました。二つの案は下記に添付する資料です。

1."育てる"から"育つ場づくり"へ:
   経験とキャリアのデザイン
http://www.nakahara-lab.net/blog/20090402WPL2009ver0.pdf

2.経験とつながりのデザイン:
   学びと成長をいざなう個人と組織の関係
http://www.nakahara-lab.net/blog/20090402WPL2009ver1.pdf

 これら二つの案は、2回のワークショップで全員で練った方向性をもとに、中原と長岡先生で議論してつくったたたき台です。

 どちらが主張として「新しい」のか?
 今の時代に発するメッセージとして適当なものはどちらか?

 熱い議論がなされました。

 審議のすえ、今年のワークプレイスラーニング2009のテーマは、

  経験とつながりのデザイン:
  学びと成長をいざなう個人と組織の関係

 に決定しました。文言レベルの調整は今後も行いますが、おおよそ、この路線で今後の事例選定を行うことにしました。

 経験をもとに自らキャリアや能力向上をはたす「個」が求められる一方で、そうした「個」と「個」、あるいは「個と組織」の関係(つながり)を、どのように保つべきなのか。今、企業はこのアポリア(答えのない難問)に挑戦しようとしています。
 今回のカンファレンスでは、この問いに挑戦する企業の方、経営者の方をお呼びして、全員で思索を深めたいと考えます。

 下記に仮の趣旨説明を掲載します。

 ---

ワークプレイスラーニング2009

経験とつながりのデザイン:
学びと成長をいざなう個人と組織の関係

2008年10月30日(金) 午前10時 - 午後5時
東京大学本郷キャンパス・安田講堂

「企業・組織における人材育成」の「明日」を提案するカンファレンス「ワークプレイスラーニング2009」を、来る10月30日(金)、東京大学本郷キャンパス・安田講堂にて開催いたします。

 今年でこのカンファレンスも3回目。ワークプレイスラーニング2007では「ミドルの学び」。ワークプレイスラーニング2008では「人材開発の新たな役割」というテーマで、約800名の方々にご参加いただき、ピア・ディスカッション、携帯電話を活用した質疑応答が行われ、新たな知の交流の場を産学共同でつくりだすことができました。

 今年度のテーマは、"経験とつながりのデザイン:学びと成長をいざなう個人と組織の関係"といたしました。

 今、時代は急速に変化しています。従業員のキャリアや成長のイニシアチブを、企業や個人がそれぞれ「単独」でデザインする時代は終わりを告げました。

 個人が主体的にキャリアをデザインする一方で、企業は職場の経験学習を通して、個人に成長する機会や場を与えることが求められています。「職場における経験学習のデザイン」、いわゆる「経験のデザイン」が、今、企業に求められています。

 その一方で、アトム化・孤立した個をいかに組織化し、組織力を発揮できるのか。「職場における人々のつながりと連帯」、いわゆる「つながりのデザイン」が同時に求められています。
今、企業は「経験とつながりのデザイン」にいかに取り組むべきなのでしょうか。

 さて、そのように人材育成のあり方が変化したとき、私たちは、何をすればいいのでしょうか。

1)企業の人材開発部に求められることは何でしょうか
2)外部の民間教育ベンダーには「何」ができるでしょうか
3)いわゆる研修には何が期待されるのでしょうか。

 本カンファレンスでは、これらの問いを探求したいと思います。
 本カンファレンスは、公共性の高い学術会議が開催される東京大学本郷キャンパス・安田講堂を会場として産学協同の体制で開催します。社会学、心理学、教育学のアカデミックバックグラウンドをもつ大学研究者と、企業・組織の担当者が、ともに知恵をだしあい、ディスカッションを深めることをねらっています。「企業・組織における人材育成」に関係するすべての人々のご参加をお待ちしております。

ワークプレイスラーニング2009企画委員会一同

 ---

 その後は事例の選定を行いました。というより、「選定」の前に「共有」の段階といった方が正しいかもしれません。

 この日は、テーマにおおよそ準拠する事例として、一人一人が1つ以上の事例を持ってくることになっていました。皆さんのもってきた事例は、どれも興味深いものでした。ワークプレイスラーニング2009のための事例選定という作業を離れて、純粋に、僕は勉強になりました。

 各人から寄せられた事例を拝見していて、どうも3つのタイプの企業があるように思いました。

1.既に強い集団があって、それに加えて個をいかす仕組みをつくろうとしている企業

2.強い個があって、その「個」と「個」をつなぐ仕組みをつくろうとしている企

3.強い個があって、その「個」と「組織」の関係を強固にしようとしている企業

 このあたりはもう少し整理していきたいと考えています。いわゆる「個 vs 集団」「個人主義 vs 集団主義」「個 vs 組織」というダイコトミー(二分法)に陥らない、デザインのあり方を模索していかなければならないと思います。

  ▼

 次回は、さらに事例をみんなで持ち寄り、プライオリティを決めて、依頼を開始いたします。次回の会議は4月24日ですので、GW明けくらいから、依頼が開始できるとよいな、と思っています。

 ちなみに、昨日は会の終了後に、懇親会に行きました。愉しい時間でした。あっという間に時間は過ぎました。

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 皆さん、10月30日、東京大学本郷キャンパスでお逢いしましょう。
 今年「も」、絶対に面白い会になると思います。

 そして人生は続く。

投稿者 jun : 2009年4月10日 08:57


イケてるブログ

 カミサンのオススメのブログです。めちゃめちゃ面白い。ヘタウマな味のあるイラストも、小生ごのみである。さすがはカミサン、小生の趣味をよく知っている。

あたし・主婦の頭の中
http://ameblo.jp/yuka703/

 それにしても、一枚一枚イラストを描いて、スキャンするのは時間かかるだろうなぁ。僕もプレゼンはそうやってつくっているから、何となく想像してしまう。

書道プレゼン
http://www.nakahara-lab.net/blog/2009/01/post_1425.html

 「主婦の頭の中」は、トマコ以来のヒットである。

あぁ、トマコの生きる道
http://ameblo.jp/tomakonomichi/

 ランチタイムの終わりに見るのを、日々、愉しみにしている。

投稿者 jun : 2009年4月 8日 21:38


あべし

 先日、科学研究費の当落通知がきました。
 今年は、清水の舞台から飛び降りる覚悟で、3000万円上限の若手(A)に挑戦しました・・・。いわゆる「大型科研」というやつです。

 結果は

  ・
  ・
  ・
  ・
 当たったときだけ、当たったよーというのはフェアではないから、ちゃんと言うけど - 見事に「落選」「惨敗」、、、オマエはもう死んでいる、、、あべし。

 ケツ青いよ、アンタ。
 出直してきな(泣)。

  ▼

 研究室のみなさんにも多大なるご協力をいただいていたのに、スマン(泣)。小生の能力がイケてないのは重々承知だとしても、3000万円フルフルでだしたのがマズかったのか、それとも小生の「気合い」と「祈り」と「日頃の精進」がたりなかったのか・・・。

 というわけで、小生と小生の研究室、自慢じゃないけど、「貧乏」です(笑)。
 事務のHさんから通知をもらってから、「おー、研究室のやりくりどうしよう・・・」と中小企業の経営者みたいなことを、頭抱えて考えておりました、マジで。頭痛がするよ。気持ちがわかるよなー。

 頭を抱えていたら、一緒に若手Aに出していた某科学教育ホープのM大学のYさんからメールがきて、「僕もダメでした」とのこと。そうか、君もか(笑)。君の気持ちは痛いほどわかるよ(笑)。お互い辛いもの同士、傷をなめあおう(笑)。

 Yさんとは「成果をまとめるチャンスかもね」ということで納得しました・・・。まぁ、、、今までストックされたデータが確かにたくさんあるので、あながち間違いではない。
 間違いではないが、「負け犬の遠吠え!?」というやつかもしれん。今だけ、そう思わせて(笑)。

 ということで、小生、悪いけど、金なら、ない!!でも、不思議と、気分は「明るい」(笑)。「ポジティブ貧乏」というやつですね。
 反省するべきところは反省し、また挑戦します。じっくり時間もあることですし。今度はどんなプロポーザルを書こうかな。
 
 ちなみに、僕の近くの研究室の皆さん、「最近、コピー用紙の減りが早いなぁ」と思ったら、気をつけてね。

 戸締まり注意ねー。

(詳細は一切書けませんが、最近、学内組織、自分の研究室含め、経営、お金の話が多いです・・・何とかサスティナブルな仕組みをつくりたいものです・・・学生の頃には、全く想像すらできなかったけど、これも研究者の役割なのですね)

追伸.
 GW、軽井沢で過ごすことになりました。
 少しのんびりとしてこようと思います。

 ---

伝えたはずなのに、相手の腹におちない
伝えたはずなのに、相手の行動は変わらない
伝えたはずなのに、組織のあり方も変わらない・・・

あなたの職場のコミュニケーションを見直してみませんか?

中原淳・長岡健著「ダイアローグ 対話する組織」発売中!
中国語版出版予定

投稿者 jun : 2009年4月 7日 07:00


皿を落として、皿を回す

 先日、ある方とお話ししていたときに(小生、月に2度程度、コーチングを受けているのです)、思わず僕は、こんなことを口にした。

「僕らの仕事を、皿回しに喩えてみましょう。僕らは、両手、時には、片足をも使って、たくさんのお皿を同時に回していますよね。

でも、結局、新しいことを立ち上げるためには、両手を一度、自由にする必要があるのかもしれませんね。右手も左手も自由にして、新しく自分が回そうとする皿をしっかりと一度は持たなければならないんですよ。

今回っている皿を意図的に一度落とさなければ、新しい皿は回せないのかもしれません。

そして、回っている皿は誰もとめてくれない。止めるのは、自分なのかもしれません」

 ▼

「皿回し」の寓話は、先日、ある出版社の対談で、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 最高執行責任者の柴田励司さんとお話をしたときにでてきたもの(この対談は出版される予定です)。

 柴田さんとのお話では、「両手を自由にする」いうメタファはでてきていないと思うのだけれども、コーチの方の「機転あふれる問いかけ」によって、先日の話と自分の課題が結びついて、こういう言葉がでてきたんだろう、と思う。

 自分としても、非常に意外な「発見」であったが、同時にしっくりときた。

 ▼

 僕の仕事は「新しいもの」を生み出すことだ。「やりたいこと」は、とめどもなくあふれて出てくる。しかし、何かをはじめることは、何かをやめることとセットでなければならない。

 何をはじめ、何をやめるか。

---

伝えたはずなのに、相手の腹におちない
伝えたはずなのに、相手の行動は変わらない
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投稿者 jun : 2009年4月 6日 09:13


教育技術はオープンソースである!

「教えの技術」や「学びの技術」はオープンソースであるべきだ!

 これが僕の信念です。

 形式知として流通する「教えの技術」「学びの技術」は、誰が利用しても、誰がアクセスしてもよいのではないか、ということです。それはむしろ、パブリックドメインに属するようなものであってもよいのではないか、ということです。そういうものを、人々が参照・利用するパブリックな場があればいいな、と思います。

  ▼

 こういう話をすると、よく言われるのが「技術がパクられると、損するじゃないですか」ということです。

 でも、大方大丈夫だと思います。なぜなら、それを使いこなすのは「人間」であるから。使いこなす側に「力量」が必要だから。

 どんなに技術が形式知として流通していても、全く同じ授業、研修、セミナー、場が構成できるわけではありません。形式知化された技術をそのまま適応できるほど、教育現場は甘くありません。

 問われるのは「使い手の力量」であり「使い手の専門性」なのです。形式知として流通する技術を、いかに解釈し、いかに自分なりに改善を加え、創造し、場合によっては棄却するのか。それこそが重要です。
 ですので、技術がオープンになっていても、あまり損はしません。むしろ、オープンソースと同じように、公開した技術が魅力的なものならば、それによって得られるリスペクトの方が、コストを上回るでしょう。

  ▼

 じゃあ、形式知として流通する技術は、全く役に立たないか、というとそうではありません。

 何かの教育の場を、何の技術、ノウハウ、ヒントもなくしてゼロから組み立てるときの努力ははかりしれないものがあります。形式知化された技術があるがゆえに、どんなに助かるか。教育技術、学習技術とは、そういう類のものなのです。一言でいうと、「たかが技術、されど技術」です。

 ちなみに、アカデミクスでは「教育技術」「学習技術」は「HOWの処方箋」として、レベルの低いものとして扱われる傾向があります。これには、いくつもの理由はありますが、ひそかな理由のひとつに「専門家は自分が解決可能なものを、問題として定式化する」ということがなきにしもあらず、だと思います。ともかく、そういう認識は、僕は、間違いだと思います。

  ▼

 話をもとに戻しましょう。

 教育技術や学習技術がオープンソースであるということは、使い手に「解釈可能性」があり、「改変する自由」が認められるべきだということも意味します。
 つまり、「教えの技術」や「学びの技術」は、常に「変化しうる余地」を残して欲しい、と思います。

 最も避けなければならないことは「教育技術」や「学習技術」が絶対化して、教条化していくことです。

「なんとかメソッドを考えた○○さんがいて、その○○さんが定められたとおりにやらなきゃだめなんだ」

「オマエがやっているのは○○メソッドじゃない。○○メソッドはかくかくしかじかでなければならない」

 厳密に手続きが定められ、そこからの逸脱を全く許さない雰囲気が生まれます。あまりこうした議論は好きではありません。
 しかし、とかく「教育技術」や「学習技術」は、この主の議論に陥りやすいものです。

  ▼

 教育現場は、いつも個別・具体的です。

 アタリマエのことですが、これはとても重要なことです。その個別性、具体性に対応するために、技術をカスタマイズすること、変化させること、場合によってはリライトしたり、エディティングしたりすることは重要なことです。いいえ、それができるということが、「使い手」の力量であり、専門性です。

 ということは、

「なんとかメソッドを考えた○○さんがいて、その○○さんが定められたとおりにやらなきゃだめなんだ」

 という話よりも、むしろ

「何とかメソッドを、僕は、こういう風に改善してみたんだけど、どー思う」

 ことを話し合うことの方が、いいのではないか、と思います。

  ▼

 教えの技術、学びの技術が、オープンに流通し、語られ、消費され、世代継承されていくことが、わたしたちの社会にとって、とても重要なことだと、僕は思います。

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伝えたはずなのに、相手の腹におちない
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投稿者 jun : 2009年4月 4日 09:08


「春の寿司」をつまみに、渋谷・蛇の健寿司に行く!

 先日、「春の寿司」をつまみに、渋谷道玄坂・蛇の健寿司に、みんなで行きました。いわゆる「打ち上げ」です。

 蛇の健寿司は、僕が東京で最もおすすめするお寿司屋さんです。季節のネタを丁寧に丁寧に仕込み、きっちり握ってくれます。

蛇の健寿司
東京都渋谷区道玄坂1-20-4
TEL:03-3461-4288


大きな地図で見る

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 いつものように健さんとおかみさんが迎えてくれます。

 まずはお通し。
 ほうぼうの卵です。

1houbou.jpg

 ぷりぷりしており、最初からお酒がすすみます。

 今日はすぐに握り。健さんが、今日も、丁寧に丁寧に握ってくれます。

2_kensan.jpg

 まずは、いさき。身はしっかりとしています。薬味がとてもあいます。

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 次は、煮ハマ(煮ハマグリ)です。甘くまろやかなツメが、ハマグリにあいますね。

4_nihama.jpg

 初鰹。
 恥ずかしながら、話をしながらネタを見ないで食べていたので、思わず、めじまぐろに間違ってしまいました。かつお特有の臭みといいましょうか、そういうものは全くありません。幸せな瞬間です。
 
6_hatsukatsuo.jpg

 あなごの稚魚、のれそれの軍艦です。1匹1匹ののれそれに歯ごたえがあり、少し磯の香りがします。素晴らしい。

7_noresore.jpg

 続いて、大トロ。
 この大トロは、なかなか入荷しないものだそうです。食べてみると、たしかにそうだろうな、と思いました。大きさは、通常の2カン分はあります。至極の瞬間です。

8_ootoro.jpg

 このあと、さらに数カン食べて、最後は桜エビのはいった玉(タマゴ)でしめる。

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 ▼

 この日は、ひとりビールを3杯くらい頼みました。会計は1万円を大きく割り込みました。6000円~7000円程度であったと思います。銀座や丸の内の繁華街でしたら、このネタで絶対にありえない金額だと思います。

 ご主人の健さんとおかみさんは、非常に物腰柔らかく、かつ、丁寧な方です。いろいろとわからないことがあれば、喜んで教えていただけます。常連さんと、そうでない人との境はほとんどありません。

 ちなみに、僕は、健さんやおかみさんから、寿司屋のこと、魚のことを聴くのが楽しみで、ここに通っている気がします。もちろん、お寿司がおいしいのはもちろんだけれども。

 このご時世、なかなか寿司屋にいくことも叶わないですが、自分にご褒美をあげたくなったら、あるいは、チームで何かよいことがあったら、ぜひ、どうぞ。

「春の寿司」をつまみに、あなたも「蛇の健」へ

 ---

追伸.
 TAKUZOの最近の大ブームが、これです。「髪ゴム」をつけて、「たく子さん」になることです。

takukosan.jpg

 パパは不器用なので、髪ゴムをつけてあげることはできません。が、ママには、いつもせがんでいます。

takukosan2.jpg

 オマエ、もしかして、そっちの気ある?

 親としては、少し不安です。

投稿者 jun : 2009年4月 3日 08:54


飛んでるのは、オマエだってーの!

 近著「ダイアローグ 対話する組織」で、僕は、こう書きました。

  ▼

 筆者らが、「大人の学びや成長」を語るときに、その問いは「大人」のひとりである僕自身の方にも、再帰的につきつけられていることなのだ、と。

 つまり、

 あなたは、大人に学べという
 あなたは、大人に成長せよという
 あなたは、大人に変容せよという
 あなたは、お前は大人にダイアログせよ、という

 で、そういう「あなた」はどうなのだ?

 あなたは学んでいるのか?
 あなた自身は成長しようとしているのか?
 あなた自身は変わろうとしているのか?
 そして、あなたはダイアログの中にいるのか?

 そう、筆者たち自身も問われているのです。

  ▼

 これを、研究にも悪ノリしてあてはめると、

 あなたは、学生に「ロジックの明確な論文を書け」という
 で、そういう「あなた」はどうなのだ?

 てことになります(笑)。

  ▼

 今、暇を見つけて論文を書いているのですが、、、なかなか難しいものですな、、、ロジックが明確な論文というのは(笑)。

 ゼミでは、学生さんの研究計画を見て、いつも偉そうに「ロジックが飛んでる」とほざいていますが、「飛んでるのは、オマエだってーの」(爆)。

  ▼

 まぁ、やるしかないね。
 エンジョイします。

投稿者 jun : 2009年4月 2日 16:17


変革をささえる教育工学:サスティナビリティとスケーラビリティ

 今年の教育工学会は、本学、東京大学にて開催されます。僕は全体シンポジウムの企画・運営を担当しています。全体シンポジウムは、2009年9月20日、学会全体シンポジウム 14:45-17:30に開催されます。

 ようやくシンポジウムの企画が決まりました。

 今年のテーマは、ズバリ

「変革をささえる教育工学:
   サスティナビリティとスケーラビリティ」

 です。

 詳細は下記のようになっています。

 ---

■「変革をささえる教育工学:
   サスティナビリティとスケーラビリティ」

 教育工学研究は、教育現場の変革(改善)に資することをめざす「実践志向」の学問である。「実践志向」の意味するところは様々な解釈が可能であるが、避けて通れない問題のいくつかに、サスティナビリティ(sustainability:持続可能性)とスケーラビリティ(scalability:普及性)の問題がある。

 サスティナビリティとは、ある現場で試みられた変革が、外部からの介入をなくしても、自律的に維持されうることをさす。対して、スケーラビリティとは、ある現場で実施された変革が、他の現場に普及することである。

 近年、学習研究においては、サスティナビリティやスケーラビリティが問題になっている。研究者と実践者が共同して、あるいは研究者個人が、ある実践を試行した後、その実践はどのように維持され、継承されていくのか。そして、それが、ある特定の場所での試みを超えて、他の教育現場にどのように普及・伝播していくのか。 これらの問いに対するモデルなき模索がはじまっている。

 教育工学が「実践志向の学」であることを標榜するならば、これらの問題にいかに向き合うべきなのか。サスティナビリティやスケーラビリティを向上させようとするとき、

1)研究者と実践者の関係はいかに「ある」のか

2)研究者は何をデザインし、何を評価するのか

3)研究のアウトカムはどのような表象を用い、「誰」を「宛先」に発信されるものなのか

4)研究者が「研究以外」に引き受けなければならないことは何か

5)上記のようなプロセスの中で、研究者はいかなるアポリアを背負うことになるのか。

 本シンポジウムでは、初等中等教育、高等教育から各2つずつ実践的研究事例を報告していただきつつ、これらの問いを、会場の参加者をまじえて議論したい。

 なお、本シンポジウムでは、会場の参加者間、会場と発表者間のやりとりを、よりインタラクティブにするため、いくつかのテクノロジーを活用する。

司会
 中原 淳(東京大学)

講演者

【初等教育】
 堀田龍也先生(玉川大学)
 木原俊行先生(大阪教育大学)

【高等教育】
 松下佳代先生(京都大学)
 佐藤浩章先生(愛媛大学)

コメンテーター
 松尾 睦先生(神戸大学:経営学の立場から)
 長岡 健先生(産業能率大学:組織社会学の立場から)

 ---

 講演者、コメンテータの先生方のご協力を得ながら、「記憶に残るシンポジウム」にしたいと考えています。今はまだ企画中ですが、「いくつかのテクノロジー」も導入する予定です。

 どうぞお楽しみに!

投稿者 jun : 2009年4月 2日 07:50


2009年度スタート!

 4月1日である。

 教員である僕にとっては、「ほろ酔い気分のお正月」よりも、この日の方が、感慨深い。今日から新年度がはじまる。

 大学は、新しい学生たちを迎える。大学院ゼミ、授業がはじまる。センターの教育企画も、新たな時代を迎えることになるだろう。

 また長く、そしてエキサイティングな一年がはじまる。特に、今年は、東京大学では新総長が生まれ、執行部の体制が入れ替わる。「変化」を予感する。

 同僚の何人かも、様々な大学・研究科へ異動、活躍の場を移した。新天地でのご活躍祈念します。

東京大学
http://www.u-tokyo.ac.jp/index_j.html

 組織心理学者のカール・ワイクは「組織化の過程は、移ろいゆく流れ、混沌、不安定に近い」と述べた。

 不安定とは安定、安定とは不安定である。

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追伸.
 先日のCafe研究会のレポートに対して、現職の小学校・中学校・高校の先生方から、いくつかのメールをいただいた。要約すると、

Cafe研究会レポート
http://www.nakahara-lab.net/blog/2009/03/post_1469.html

・教員にも、学校から離れ、学校の外で、リフレッシュする場、リラックスする場、新しい物事を考える場が必要である。

・しかし、実際は、なかなか時間がとれないことは事実。Cafeにくる人たちに、教員の自分が受け入れられるかも不安。

・せめて、教員研修や講習が、いわゆる原理・原則の一斉講義ではなく、このようなCafe的な場、気づきを得られる場に変えてもらえないだろうか。

 本当に「Cafeという場」に関する研究が必要なのは、いわゆる「教師教育」という領域なのかもしれません。

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追伸.

 興味深い記事

教育現場でのIT 何を教え、何を学ぶべきか
http://www.future-planning.net/x/modules/news/article.php?storyid=3814

投稿者 jun : 2009年4月 1日 09:11