大学生研究フォーラム2009のお知らせ

大学生研究フォーラム2009へのお誘い

 次々回のLearning barにご登壇いただける溝上先生から、下記のシンポジウムのご案内をいただきました。

 京都大学&電通育英会のコラボ企画で、「大学生研究フォーラム2009」というのを実施するそうです。

 このフォーラムでは、

1)現代大学生の姿を正確に理解すること

2)現代社会を力強く生きていける学生を育てるために正課・正課外教育、キャリア教育に求められている課題は何かを考えること

 が目的だそうです。

 昨日から同じことを言っていますが、、、

 皆さんの知っている大学生は
     本当に「今の大学生」ですか?

 採用、育成などで、ふだん大学生や若手新入社員に接している企業の方にはおすすめかもしれません。

 また、僕はいつも思うことなのですけれども、大学教員自身も、目の前にいる「大学生」を曇りのない目で見つめられているかどうかは「相当に怪しい」ものです・・・僕自身を含めて、自戒をこめて言います(自爆)。

 大学の会議にでていますと、大学教員自身のもつ「大学生イメージ」がテンデバラバラで、話がかみ合わないことが多々あります。また、大学教員自身が、自分の受けた大学教育を再生産してしまいがちです。

もしかすると、自分の受けた大学教育と、大学生のイメージをUnlearn(アンラーン:学びほぐし)しなければならないのは大学教員自身の方かもしれません。

 そういう意味では、大学教員自身にとっても、参加する意義が非常にあるのかな、と思いました。両日は無理なのですけれど、僕も参加しようと思っています。
 
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 大学生研究フォーラム2009のお知らせ

 主催:京都大学高等教育研究開発推進センター
    財団法人 電通育英会

 2009年7月25日(土) / 26日(日)京都大学
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大学全入時代といわれる最近の大学教育にとって、
学生をどう育てるかということが喫緊の課題とな
っています。

大学はもはや単なる知識を習得させるだけの場で
はなく、知識社会、情報化社会、グローバル社会
といった新たな社会状況で力強く生きていけるた
めの人材育成の場ともなってきています。

このたび、京都大学高等教育研究開発推進センター
と、財団法人 電通育英会は、

1)現代大学生の姿を正確に理解すること
2)現代社会を力強く生きていける学生を育てるため
に正課・正課外教育、キャリア教育に求められてい
る課題は何かを考えること

を目的として、大学生研究フォーラム2009を開催する
ことになりました。

ふるってご参加いただければ幸いです。

■日時
2009年7月25日・26日
 
 
■場所
京都大学百周年時計台記念館
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/map6r_y.htm
 
 
■プログラム

【25日】

□パネルディスカッション第1部 13:20-16:00

テーマ「学生の何が育っていて、何が育っていないのか?
-ボランティア・インターンシップ・大学教育改善-」

加藤敏明+学生(立命館大学共通教育推進機構キャリア
教育センター教授/センター長)

岩井雪乃+学生(早稲田大学平山郁夫記念ボランティア
センター助教)

土持ゲーリー法一+学生(弘前大学21世紀教育センター教
授/副センター長)

□講演1 16:15-17:35  

谷内篤博(やちあつひろ)(文京学院大学人間学部教授)
「プロフェッショナル志向を認めはじめた日本企業の雇用
システム-大学はこれにどう関わるか-」  

辻本雅史(京都大学大学院教育学研究科教授)「「学びの身
体性」に学ぶ―「江戸」の視点による現代教育の相対化」


【26日目】

□講演2 10:00-11:20  
浦坂純子(同志社大学社会学部准教授)
「キャリア教育と言わない大学生のキャリア形成
-正課教育とキャリア教育の架橋」

下村英雄(労働政策研究・研修機構副主任研究員)
「大学生に本当に必要なキャリア教育とは何か
-2007~2008年縦断調査にみる現代大学生の就職活動-」

□基調講演 12:50-14:20
金井壽宏(神戸大学大学院経営学研究科教授)
「学部の学生の間にキャリアについて内省、展望すべきこと
-自分のなかに問うべきことと、広い世界に問うべきこと-」 

□パネルディスカッション第2部 14:35-17:05
テーマ「学生の「学ぶ」を育む-経験知と専門知との
往復による融合-」

中村陽一(立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科教授)
川上正浩(大阪樟蔭女子大学心理学部・准教授)
高橋 進(長野大学企業情報学部・教授/学部長)  

詳細は下記にてご覧下さい
https://www.dentsu-ikueikai.or.jp/forum/
 
 
■参加申込
下記のWebにて承っています。
https://www.dentsu-ikueikai.or.jp/forum/form/
 
 
■問い合わせ先
*ご質問やお問い合わせは、下記にお願いします。
溝上慎一
(京都大学高等教育研究開発推進センター・准教授)
075-753-3047
smizok@hedu.mbox.media.kyoto-u.ac.jp

**定員は450名です。定員に達した場合には、当日参加
をお断りする場合があります。あらかじめご了承下さい。

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投稿者 jun : 2009年6月30日 08:34


脱「研修屋」宣言 & インプロ教育 & あなたは本当に大学生を知っていますか?

 次回のLearning barは、下記のテーマで、7月31日に実施されます。

 脱「研修屋」宣言!?:
 内製化時代、みんなで「人材育成の仕事」を考える
 分析、企画、交渉、そして教育評価まで

 既に募集がはじまっていて、既に三桁の方々から参加御希望をいただいております。分析、企画、交渉といった「人材育成の仕事のプロセス」を振り返りながら、新たなモデルを提案しようという企画です。ふるってご参加下さい。

脱「研修屋」宣言!?:Learning bar
http://www.nakahara-lab.net/blog/2009/06/post_1529.html

 今日は、このLearning barにご出講いただく方々全員を集めて、会議を行います。お互いのプレゼンテーションを批評しあう会です。このような出演者の苦労のおかげで、Learning barが成立しています。非常にありがたいことですね。ちなみに、こうした時間は、僕にとって、非常に大きな学びの機会です。とても楽しみにしています。

 あっ、それと、今回のLearning barでは、JMAM人材教育さんと、産労総合研究所さんから、特別協賛をいただいております。当日、非常に大きなプレゼントがございますので、こちらの方も、お楽しみに。

 ○特別協賛
  株式会社JMAM人材教育
  産労総合研究所

 ▼

 それよりも、前に、実は、Learning bar-Xというイベントをやります。7月29日のお昼なのですけれども・・・。

 Learning bar-X(ラーニングバー・エックス)は、通常のLearning barとは異なり、少人数で実施される学術公開ワークショップです。

 2009年7月29日、Learning bar-Xでは、東京学芸大学の高尾隆先生をお招きして、

 1)インプロ(即興演劇)について体験・実感すること
 2)インプロの可能性と課題について議論すること

を目的とした公開ワークショップを開催します。

 インプロって、皆さん、ご存じですか?

 インプロとは、その場で与えられたお題をもとに、複数の人々が協働で演じる即興の演劇です。

 インプロは、コミュニケーション教育、あるいは、創造性開発の手段として、近年、初等中等教育、あるいは、企業内人材育成の領域で注目されています。
 
 フィンランドをはじめ、世界のいくつかの国では、インプロを導入した教育を既に実施しています。また、ピクサー社をはじめとして、日本のいくつかの企業においても、インプロを使った企業内研修が既に実施されています。

 今回はワークショップということもあり、限定30名の募集です。近日、募集要項がでますので、こちらもお楽しみに。

 ちなみに、高尾君と僕は、学部時代の同期です。一時期、有志で教育に関するオンラインジャーナルを発刊したりしていました。本企画は、10年ぶりにあったその日に「やろう」ということになりました(無理矢理?)。僕もとても楽しみにしています!

  ▼

 さらにさらに、気が早いですが、次々回のLearning barが決まりました。9月11日、「大学生」をテーマにしたLearning barを開催します。

 京都大学の溝上慎一先生を講師にお招きし、「現在の大学生の生活、学び」について、データをご呈示いただきながら、ご講義をいただく予定です。

 企業の方とお話をしていて、いつも、気になるのが、話が「大学生」に及ぶときです。そこで企業の方から語られる「大学像」と、僕が見ている「大学生像」が、微妙に食い違っているのです。

 たとえば、例を出しましょう。

 最近の大学生は、学校で座学ばかり受けてきたら、受け身になってしまった。コミュニケーション能力もない。だから、大学はレジャーランドになる。

 という言葉をよく聞きますね。こういう言葉を聞くたびに、はてな?と思ってしまいます。

 その「大学生」って、いつの時代の大学生ですか?
 あなたは、自分が大学生だった頃の大学生のイメージで、今の大学生を語っていませんか?

 というわけで、次々回Learning barでは、

 みんなで「大学生」を考える

 をテーマにお送りしたいと考えています(仮題)。

 溝上先生は、わたしが、最も尊敬する同年代の研究者の一人です。はじめてお会いしたのは、僕が大阪大学の大学院生だった頃で、溝上さんが京都大学の助手であられたときでした。たしか、研究会でお会いしたのだと思います。それ以来、溝上さんの「尋常ならざる生産性」を刺激剤にして、僕は僕で、新たな領域を開拓しようと頑張ってきたつもりです。

 9月のLearning barでは、気鋭の青年心理学者が、大学生の実像に迫ります。ぜひお楽しみに。

  ▼

 それでは、皆さん、今週も頑張りましょう。
 小生は、今週中に、論文のめどをつけます。

投稿者 jun : 2009年6月29日 08:32


追悼 マイケル・ジャクソン

 衝撃のニュースが飛び込みました。マイケル=ジャクソンが急死です。週末の夜は喪に服し、WiiでYoutubeのビデオクリップを見ていました。

 マイケルといえば、誰もが思いだすのは、なんと言ってもスリラーのダンスです。とはいっても、当時、小生は、まだ小学校2年生。が、それを見たときのことは、はっきり記憶に残っているのです、不思議なことに。

 当時、うちの母親かあるいはばぁちゃんが見ていた番組に、高見知佳と藤村俊二の土曜の昼下がりの番組がありました。なんという番組かは忘れましたが、その週のヒットチャートをたどるコーナーがあったような記憶があります。で、特集をやっていたのですね、マイケルの。

 それはそれは衝撃だった。小学生ながら、そのビデオをすり切れるほど見た記憶があります。学校で、踊るゾンビのマネをずいぶんしました。

 Billy Jeanも好きでした。クラスのみんなとムーンウォークを練習したころもありました。中にはそれっぽく出来た奴もいました。結局、僕に出来たのは「後ずさり」だけでしたけれど(泣)。

「We are the world」も感激しました。このビデオは、24時間テレビで全編が放映されたはずです。僕はそれをエアチェックできませんでしたが、従兄弟のたーちゃんにダビングしてもらいました。

 We are the worldを久しぶりに見ます。あの頃から、「地球」は何が変わったのでしょうか。この星に生きる子どもたちは、幸せな毎日を過ごせるようになったのでしょうか。マイケルの透明な声を聞くたびに、ため息がでてしまいます。

 ちなみに、マイコォーのCDをはじめて買ったのは、BADです。確か僕が中学生になるかならないかの頃でした。このPVは、とんねるずをはじめとして、いろいろな人にマネされていましたね。

 特に好きだったのは、Man in the mirrorです。

I'm starting with the man in the mirror
I'm asking him to change his ways
And no message could have been any clearer
If you wanna make the world a better place
Take a look at yourself, and then make a change...

 追悼、マイケル=ジャクソン。
 今年になって、また、僕の好きな歌手が、ひとり逝きました。

 人生は続く。

投稿者 jun : 2009年6月29日 00:02


二人の世界!?

 TAKUZOが通っている保育園には、「保育日誌」というものがあります。親と先生が、日々、家庭での様子、保育園での様子を書く連絡帳です。

 昨日の保育日誌は、笑えました。
 先生がTAKUZOの保育園での様子を教えてくれました。

 ---

今日は、電車が見えるところまで、お散歩しました。

TAKUZO君は、なつこちゃんと、手をつなぎ、何やら楽しそうに会話をしながら歩いていましたよ。

他のお友達が寄ってきても、ずっと「ふたりの世界」で楽しんでました。

 ---

 やるなぁ・・・TAKUZO(笑)。
 二人の世界って、どんな世界だ?
 何の話をしていたんだろう。

 ダンゴ虫の話とか?

 そもそも、会話は、ちゃんと、成立していたんだろうか(笑)。

  ▼

 子どもの成長は早いですね。

投稿者 jun : 2009年6月26日 10:24


脱「研修屋」宣言!?:みんなで「人材育成の仕事」を考える

 7月31日(金)、次回Learning barのお知らせです。
 次回Learning barは、

 脱「研修屋」宣言!?:
 内製化時代、みんなで「人材育成の仕事」を考える
 分析、企画、交渉、そして教育評価まで

 というテーマで、皆さんでディスカッションを深めたいと思います。
 今、人材開発部門は、何を行っていくべきなのでしょうか。そして、人材開発部門が変わるとき、民間教育ベンダーのビジネスモデルは、いかに変わる必要があるのでしょうか。
 7月のLearning barでは、2名の実務家の方々、教育評価の専門家をお招きして、この問いに対して考える場を持ちたいと思います。

 ご都合・ご興味のあう方は、ふるってご応募ください。東京大学 本郷キャンパスにてお会いできますこと、楽しみにしております!

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Learning bar@Todai 2009

脱「研修屋」宣言!?:
内製化時代、みんなで「人材育成の仕事」を考える
分析、企画、交渉、そして教育評価まで

2009年7月31日(金曜日)午後6時 - 9時
東京大学 情報学環 福武ホール
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 2009年7月のLearning barのテーマは、

脱「研修屋」宣言!?:
内製化時代、みんなで「人材育成の仕事」を考える
分析、企画、交渉、そして教育評価まで

 です。

 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社
 早川勝夫さん
 
 横浜ゴム株式会社
 若林真知江さん

 株式会社 日立総合経営研修所
 堤宇一さん

 を講師にお招きし、「人材育成のあり方」について、
皆さんとディスカッションを深めたいと考えています。

  ▼

 昨今、人材開発部門の果たす「仕事の内容」は揺れ
ています。経営全体、組織全体に対する「目に見える
貢献」が求められる一方で、多様化するラインのニー
ズに、いかに答えるかが求められています。

 さらにリーマンショック以降後は、教育研修の内製化に対
する圧力もさらに増しています。人材開発部門は、「コスト
は下げるが、経営・業績には資する」というアポリアに、
今、直面しています。

 そうした動向の中で非常に重要になってくるのは、
従来の仕事のあり方を見直し、新たな仕事のサイクル
を構想することです。

 経営層(戦略)やライン(現場)を分析すること
 自らHRに関する「仮説」や「ビジョン」をもつこと
 経営層やラインと政治的交渉を行うこと
 限られたリソースの中で、実行し、評価すること

 今、人材開発部門は、今、何を行っていくべきなの
 でしょうか・・・

 そして人材開発部門が変わるとき、民間教育ベンダ
ーのビジネスモデルは、いかに変わる必要があるので
しょうか

 ・・・モデルなき模索が続いています。

しかしながら「モデルなき模索」は、いつだって苦し
いものです。
今回のLearning barでは、この問いに関して、「みん
な」で考えていきたいと思います。

  ▼

 今回のLearning barでは、日本ベーリンガーインゲ
ルハイム株式会社の早川勝夫さん、横浜ゴム株式会社
若林真知江さんに、

1)現在、それぞれの会社で行っている人材施策について
2)日々の人材育成施策を実行していく上で重視している
 行動(仕事の流儀)
3)どのようなインパクトがあるのか
4)どのような悩みや課題があるのか

 についてお話しいただきます。

 株式会社 日立総合経営研修所 堤宇一さんには、

1)従来の人材育成担当者の仕事と新たな仕事モデルの違い
2)それを支えていた理論に関する再考の可能性
3)新たな教育評価の実施モデルとは何か

 についてご講演をいただきます。

 ▼

 参加をご希望の方は、下記の参加条件をお読みになり、
フォームに必要事項をご記入のうえ、7月10日までに
sakamoto [at mark] tree.ep.u-tokyo.ac.jpまでご連絡
下さい。7月13日までに参加可否をお伝えいたします。
下記の要項を必ずご一読いただき、ご応募をお願いいた
します。

 なお、今回のLearning barには宿題があります。

 1.人材育成の仕事とは○○○のようなものである:
 2.なぜなら~~~~~~~~~~~~~であるから

 という問いに対する、自分なりの考えを考えてく
ださい。○○○には「喩え:メタファ」をいれてく
ださい。~~~には理由を入れてください。

 例えば、

 例)
 人材育成の仕事とは「ガーデニング」のようなものだ
 なぜなら、人が育つのには手間暇、時間がかかるから

 といった感じです。
 
 応募の際には、この答えを応募フォームにお書き入れ
下さい。また当日も、この答えを利用しますので、忘れ
ないようにメモをしてください。

  ▼

 なお、最近、Learning barは満員御礼が続いており、
参加登録いただいても、すべての方々の御希望にはお応
えできない状況になっております。

 会場を変えて、何とかこれに対応していますが、限ら
れたスペースと人的リソースの中で運営し、かつ、参加
者のバックグラウンドの多様性を確保する必要がある関
係上、すべての方々のご要望にはお答えできません。

 主催者としては心苦しい限りですが、なにとぞお許し
ください。
 
       主催:中原 淳(東京大学・准教授)

※Learning barは、NPO法人 Educe Technologiesが
主催、東京大学大学院学際情報学府 中原研究室が
共催する、実務家と研究者が集まる学術イベントです。
 
 ---

○主催
 NPO法人 EDUCE TECHNOLOGIES
 エデュース・テクノロジーズ
 http://www.educetech.org/
 
 EDUCE TECHNOLOGIESは、「学び」に関する調査
 研究開発、コンサルティングを行う非営利特定
 活動法人(NPO)です。
 
 企画担当
 副代表理事 中原 淳
 
 
○共催
 東京大学大学院 学際情報学府 中原淳研究室
 - 大人の学びを科学する研究室 -
 http://www.nakahara-lab.net/
 
 
○特別協賛
 株式会社JMAM人材教育
 産労総合研究所


○企画協力
 株式会社インサイト・コンサルティング
 槇本 健吾さん

 株式会社 日立総合経営研修所
 柳美里さん
 
 
○日時
 2009年7月31日(金曜日)
 午後5時30分 開場
 午後6時00分より午後9時頃まで実施
 
 ※時間が限られておりますので、定刻通り
 に始めます。本郷キャンパスは意外に広い
 です。くれぐれも、迷子になりませんよう。
 
 
○内容(案)

 □ウェルカムドリンク
 (5時30分 - 6時00分)
  ・今回のLearning barでは、サンドイッチ
   ソフトドリンク、ビール等をご用意して
   います。
 
 □イントロダクション
 (6時00分-6時10分)
   ・中原 淳(東京大学)
 
 □パート1 ニーズの明確化から始める
『超具体的』人材育成施策について~

 (6時10分 - 6時45分)
 (35分講演)
  ・若林真知江さん(横浜ゴム株式会社)

  職場に何度も足を運びヒアリングを重ね、
  固有の問題・ニーズを把握することにより、
  事業戦略に必要な具体的ソリューションを
  支援する人材育成施策の取組みについて紹
  介します。  

 --- bar time (10min.) ---

 □パート2 戦略系コンサルティングになりませんか?
 (6時55分 - 7時25分)
 (35分講演)
  ・早川勝夫さん(日本ベーリンガーインゲルハイム)

「企業内人材育成はこのままで良いのか」と
 いう疑問から発した思考形式と、実践戦略の
 アプローチによる営業員教育について紹介します。

 --- bar time (10min.) ---

 □パート3 人材育成担当者の過去、現在、未来
~自分の業務をメタファーする~
 (7時35分 - 8時00分)
 (25分)
  ・堤 宇一さん(株式会社 日立総合経営研修所)

複雑で、長期化する人材育成課題を「インストラク
ショナル・デザイン」や「教育効果測定」はどこまで
対処できるか。その可能性と限界は「何か」を考えます。
 わたしたちは、どのような理論をもって現場にでるべき
 なのでしょうか。
 また、我々は、今後どんな「教育観」を持ち、業務
 に携わるべきかを、皆さんと一緒に考えていきます。
 
 □お近くの方とディスカッション
 (8時00分 - 8時30分)
 (30分)
 
 □質疑
 (8時30分 - 8時50分まで)
 (20分)

 □ラップアップ
 (8時50分 - 9時00分まで)
 (10分)
  ・中原 淳(東京大学・准教授)
 
 
○場所
 東京大学 情報学環 福武ホール
 地下2F 福武ラーニングシアター
 http://fukutake.iii.u-tokyo.ac.jp/access.html

 地下鉄丸の内線本郷三丁目駅から徒歩15分程度
 地下鉄南北線東大前駅から徒歩10分程度
 
 (赤門の横です)
  
  
○参加費
 4000円(1名さま 一般・学生)
 (講師招聘費用、講師謝金、会場費、飲み物、
  食べ物、運営費等に支出いたします)

 本イベントで剰余金が発生した場合は、東京大学
 中原研究室および、NPO法人 Educe Technologiesが
 企画する、組織人材育成・組織学習に関係するシン
 ポジウム、研究会、ワークショップ等の非営利イベ
 ント等の準備費用・運営費用、および、研究費用に
 充当します。
 
 
○食事
 ソフトドリンク、ビールなどの飲み物、および
 サンドイッチ、ベーグルの軽食をご準備いたします。
 
 
○参加条件

 下記の諸条件をよくお読みの上、参加申し込みください。
 申し込みと同時に、諸条件についてはご承諾いただいて
 いるとみなします。

1.今回のLearning barには「宿題」がございます。

 ▼人材育成の仕事とは○○○のようなものである:
 ▼なぜなら~~~~~~~~~~~~~であるから

 という問いに対する、自分なりの考えを考えてく
ださい。○○○には「喩え:メタファ」をいれてく
ださい。~~~には理由を入れてください。

 例えば、

 人材育成の仕事とは「ガーデニング」のようなものだ
 なぜなら、人が育つのには手間暇、時間がかかるから

 といった感じです。
 
 応募の際には、この答えを応募フォームにお書き入れ
下さい。また当日も、この答えを利用しますので、忘れ
ないようにメモをしてください。宿題の答えは、今後、
研究にも活かさせていただきます。

2.本ワークショップの様子は写真・ビデオ撮影します。
写真・動画は、NPO Educe Technologies、東京大学
中原研究室が関与するWebサイト等の広報手段、講演
資料、書籍等に許諾なく用いられる場合があります。
マスメディアによる取材に対しても、許諾なく提供
することがあります。

3. 欠席の際には、お手数でもその旨、
sakamoto [at mark] tree.ep.u-tokyo.ac.jpまで
ご連絡下さい。
人数多数のため、多数の方の参加をお断りしている
状況です。繰り上げで他の方に席をお譲りいたします。

4.本イベントで剰余金が発生した場合は、東京大学
中原研究室および、NPO法人 Educe Technologiesが
企画する、組織人材育成・組織学習に関係するシン
ポジウム、研究会、ワークショップ等の非営利イベ
ント等の準備費用・運営費用、および、研究費用に
充当します。

 
○どうやって参加するのか?
 
 下記のフォームに必要事項をお書き入れの上、
 sakamoto [at mark] tree.ep.u-tokyo.ac.jpまで
 7月10日までにお申し込み下さい


〆ココカラ=======================================

 参加申し込みフォーム
 sakamoto [at mark] tree.ep.u-tokyo.ac.jpまで
 7月10日までにお申し込み下さい
 
 抽選の上、7月13日までに参加の可否をご連絡
 させていただきます

 ---

 上記の参加条件を承諾し、参加を申し込みます。

○氏名:(            )
○フリガナ:(          )
○ご所属:(            )
○メールアドレス:(       )

○業種の選択:下記の11つの属性から、あなたに
最も近いものをひとつお選びください

 1.研究者
 2.学生
 3.民間教育会社勤務
 4.民間コンサル会社勤務
 5.事業会社勤務(人事・教育部門)
 6.事業会社勤務(事業部門)
 7.個人事業主(教育・コンサル)
 8.経営者
 9.初等・中等教育の学校勤務
 10.公務員・公益法人等勤務
 11.その他

○宿題をお願いします

 人材育成の仕事とは
    (     )のようなものである:
 なぜなら(            )

○もしあれば・・・一言コメント
(                )

〆ココマデ=======================================

投稿者 jun : 2009年6月25日 00:04


怒ること考

 怒ることは、体力と気力のいることである。

 先日、TAKUZOとカミサンで、お好み屋さんに出かけた。TAKUZOは食べているときは落ち着いていた。しかし、自分が食べ終わったとたん、「ウ○コ、ウ○コ」と大きな声で放送禁止用語を連発し、さらには、足をバタバタして駄々をこねるので、大変困惑した。
 その場で注意しても、聞くわきゃない(泣)。駄々をこね続けるので、さすがに参った。

 他のお客さんも、困惑している様子だったので、足早に店を出て、おうちに帰る。

 ▼

 自宅の玄関に入ったところで、大きな声で怒った。

 1)レストランでは大きな声をだしてはいけないこと、2)自分が食べ終わったあとでも、ママが食べているのだから、少しおとなしくしていてほしいこと、を伝えた。

 TAKUZOは、鼻水をたらして泣いていたけれど、「ここは、やむをえない、ちゃんと言うべきときだ」と思って、叱った。

 TAKUZOは、泣いてママに助けを求めていた。いつだって、パパは「悪役」である。

 フー。

  ▼

 かつて自分が子どもだった頃には全く気づかなかったけれど、「怒るためには、体力と気力を必要とする」。

 本当のことをいうと、仕事に疲れて帰ってきてまで、僕は「怒りたい」とは思わない。
 仕事では、心に「起伏」があるし、「ストレス」だってないわけではない(いつもヘラヘラしているように見えることとは思いますが・・・笑)。
 だから、せめて、家庭では、心を平静に、そして静かな時を過ごしたいと願う。
 
 しかし、僕とカミサンの夫婦2人での暮らしなら、それも可能だろうけれど、子どもとともに過ごすということは、そうはいくかのタメゴローである(死語)。

「言うべきとき」には、たとえ体力と気力をふり絞ってでも、親として「正しいと思っていること」を言わなければならない。
 一切の躊躇なく、僕は言う。
 それが本人のためでもあるし、ひいては、家族のためでもあるし、僕たち親のためであると思うからだ。

  ▼

 子育てをしていると、ふっと、自分の昔を思い出すときがある。
 かつて僕を叱ってくれた多くの人々は、どんな思いで、僕を叱ったのだろうか。そんなことを、ふと、考えてみる。

 セピア色に色褪せた想い出をたぐりよせてみても、そのときの人々の感情までは、僕は類推できない。
 しかし、おそらく、僕と同じような感情を持ちつつ怒っていた人も、いるのではないかな、と思う。

「怒ること」の反対語は「褒める」ではない。
「無関心」である。

 親になって、このことを実感する。

投稿者 jun : 2009年6月24日 10:00


変わる!?

 実務家の方々からよくいただく質問に下記のようなものがあります。

 うちの組織には、変わらなければならない人がいるのだけれども、そういう人に限って、なかなか、変わろうとはしない。そういう人に対して、何ができるのでしょうか。

 僕は、その「変わらなければならない人」がどういう人なのかは知らないし、ここでいう「変わる」とは「何が変わること」、そして「変わることが本当によいこと」なのか知り得えません。ですので、この質問に対して適切な答えを用意できる自信はありません。

 しかし、仮に一般論として答えるのならば、僕の答えは下記です。

 ---

 他者には、「大の大人」を変えることはできません。
 大人が変わるのは、自らが、それを願うときのみです。

 しかし、「変わるきっかけをつくること」ならできるかもしれません。また、変わりたいと願う人の「背中を押すこと」も可能かもしれません。

 大人の学習にとって必要なのは、それ以上でも、以下でもありません。

 ---

 そんな身も蓋もない、とおっしゃるかもしれませんが、それでは質問を変えて、

 皆さんは、誰かを「変えたい」と願うかもしれませんが、皆さん自身は、誰かに「変えられたい」ですか?

 と僕が聞いたとしたら、どうお感じになるでしょうか?

 「変わる」とは、上記の質問を聞いたときに、皆さん自身が感じる違和感、恐れ、緊張、忌避の感情と無縁ではありません。

 皆さん自身は、どういうお答えをお持ちでしょうか?

投稿者 jun : 2009年6月23日 08:49


今一度、「ケース」を考える

 今年、某プロジェクトでは、人材育成に関する「ケース」をつくろうとしています。去年実施した組織調査をもとに企業を選定し、そこに質的な調査を依頼するのです。

 先日、その第一回の会議が開かれました。会議では、担当者のSさんがこれまでに実施したインタビュー結果を全員で拝見しつつ(お疲れ様でした)、コンセプトメイキングを行いました。

 今回、人材育成に関する「ケース」を開発するにあたり、その前に、そもそも「ビジネス教育における従来のケースとは、そもそも、何なのか」をみんなで考えてみました。

  ▼

「ケースメソッド」は、ハーバードビジネススクールを中心にして広まっている、ビジネススクールに特有の学習法であると呼ばれています。

 僕がボストンに留学していた頃、ケースメソッドは、ハーバードの教育大学院でも見受けられました。
 スクールリーダーシップなどの、いくつかの授業では、校長や地区の教育責任者の立場で書かれたケースを用いて授業が組まれていたのを朧気ながら覚えています。

  ▼

 ケースメソッドそのものに関しては専門外なのでよくわからないけれど、どうやら、いろいろな人の意見や書き物を総合すると、

1)教員や専門家によって取材された事実によって構成されたケースを個々人で読み込み、仮説(意見)を自らつくること

2)その後、6名-8名程度のグループに分かれてディスカッションを行い、最後にクラス全体の討論を行う

 という形式で進行します。

 問題はその後で、その「効果」については、どうやら4つくらいが想定されているようです。

1) ケースメソッドを通して、一般的な意志決定のスキルを獲得させることができる

2) 大量のケースを読み込むことで、将来に出会うであろう、同様の事態に対処するための事例スキーマを形成しようとしている。

3) ケースメソッドにおける議論で、一般的な討議力スキルを獲得させる

4)大量のケースを読むのは「忍耐力」の育成である

 ビジネスの分野でケースメソッドを考えている方にとっては、上記はあまり気をひかないことかもしれませんが、この4つの違いは、学習の研究者が見れば、非常に重大な問題に見えるはずです。いわゆる「学習転移」の問題にも波及しますね。ここでは詳しく書きませんが、「どのような教育手法で、何をめざしているのか」、深く考えてみると、面白いことがわかってくると思います。

 そういえば、先日お会いしたある先生は、ケースメソッドについて、こんなご意見もいただきました。

「ケースメソッドでも、人によって、やり方はいろいろですね。完全にオープンに議論させて、そこから意見を創発させる人もいます。

しかし、ケースメソッドといっても、ほとんど普通の授業と変わらない人もいます。

ある先生は、ケースメソッドで、受講生に質問を投げかけて出た答えを板書するときに、文字を書く位置が、最初から決まっていることで有名です。

たとえば、一番最初にあてた人からでた答えでも、板書をするときには、黒板の一番端っこに書いたりするのです。本当ならば、中央とか、上の方に書くはずでしょ。

でも、そうじゃないんです。つまり、生徒とのやりとりは「擬似的」なのですね。最初から、授業の終わりには、完成した板書ができることを想定して、ケースメソッドをしているのです」

 人生いろいろ、ケースメソッドいろいろ、という感じですね。

  ▼

 ともかく・・・今プロジェクトでは、いわゆる「ケースメソッド」で用いられる「ケース」とは違うケースの作り方は、どうだろうか、という話をしています。

 コンセプトは

「対話するためのケース」
「問いかけてくるケース」

 ですね。

 従来のケースメソッドは、どちらかといえば、1)個人を対象にしていること、2)議論に用いられる傾向がありますが、今回新たに開発するケースは、ちょっとこれとは異なっています。

 人材育成には、多くの利害の異なるステークホルダーが関係します。めざすのは、ステークホルダーたちが、このケースを読んで、対話し、考えるための素材ということになるのかもしれません。

 そして、個人的には、この開発には、1)ケースを「テクスト」とみなすこと、2)ケースの記述に「多声性(Multivoicedness)」をのこすことが重要なのかな、と思っています。ビジネスケースへの「羅生門アプローチ」というのでしょうか・・・。 

 羅生門アプローチとは、カリキュラム研究者のアトキンが名付けた言葉です。芥川龍之介の小説「藪の中(映画羅生門の元ネタ)」では、「一件の殺人事件(事実)が、異なる立場にたつ人の、異なる視点によって、いかに異なって見えてしまうのか」ということが描かれています。

 アトキンは、カリキュラム開発における従来の「工学的アプローチ」に対照させて、この言葉をつくりました。ビジネスケースの開発にも、この羅生門アプローチが活かせないか、と思っています。

 ・・・・まだ頭の中が混沌としていますが。

  ▼

 ともかく、この成果は12月に公開されます。
 僕もこのプロジェクトも進行が楽しみです。
 そして、皆さんも、どうぞお楽しみに。

投稿者 jun : 2009年6月22日 07:13


Learning bar「みんなでリーダーシップ開発を考える」が終わった!

 昨日は、Learning bar(ラーニングバー)でした。

 テーマは、

 リーダーシップ開発論の最前線:
 みんなで「リーダーシップ開発」を考える

 です。

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 マイクロソフト株式会社でリーダーシップ開発をご担当なさっている小林いづみさん、そして、アカデミアからは、神戸大学大学院 伊達洋駆さんを講師にお招きし、

「リーダーシップを開発するとは、いったい、何をすればいいのか?」

「リーダーシップ開発の最前線では、どのような取り組みがなされているのか・・・最新の研究知見はどこにあるのか?」

 について、皆さんでディスカッションを深めました。

  ▼

 おかげさまで、本日のLearning barも満員御礼!!
 なんと、、、460名の方々からご応募をいただきました。
 ありがとうございました。

 抽選の結果、企業人材育成担当者、官庁の方、大学研究者、大学院生などから約260名程度の方々の参加者を得ることができました。

 最近、Learning barは満員御礼が続いており、参加登録いただいても、すべての方々の御希望にはお応えできないケースも生じてきています。

 限られたスペースと人的リソースの中で運営し、かつ、参加者のバックグラウンドの多様性を確保する必要がある関係上、すべての方々のご要望にはお答えできない可能性があることを、なにとぞご理解下さい。

 ▼

 冒頭は、中原から趣旨説明です。

 Learning barは、

 1.聞く
 2.聞く
 3.聞く
 4.帰る

 という場ではなく、

 1.聞く
 2.考える
 3.対話する
 4.気づく

 ような場であるということをご説明いたしました。

 今回のテーマは「リーダーシップ開発」
 最近、企業でのヒアリングをしていると、下記のような言葉をよく耳にします(ここまで極端ではないですが・・・)。

だめだめ、うちの会社の「上」には、ビジョンなんかないんだから。数字をあげろー、だの、行けー突撃ーだの、言っているだけなんだから。やっぱり、ビジョンを描いてくれる次世代リーダーが必要ですね。で、今年からチャレンジしてるんです。

うちの会社は、強いリーダーがいなくてね。まとまるもんも、まとまりゃしねー。人が全然まとまらないんですよ、テンデバラバラ。で、去年あたりからリーダーシップの開発をはじめたんですけれどもね。

 しかし、非常に興味深いのはここからです。
 どのような施策によって、どのようなリーダーを育成しているのですか、と「問い」を具体的にすると、非常に千差万別なのです。こちらも、ややオモシロおかしくデフォルメしていいますと、

1)リーダーって言ったら、根性じゃないですか? ちょっとブートキャンプに派遣してまして

2)リーダーっていったら、コミュニケーションでしょう。コミュニケーションスキルの研修を半日で。

3)リーダーって言ったら、まずは知識ですよね。財務会計の知識を1日ほどで・・・

 という風になってくる場合もあります。

 つまり、そもそも
 何がリーダーで
 どういう状況がリーダーシップの発揮で
 そうした状態をどのように開発するのか

 に関する深い思索がないままに、「なぜか開発が進行する」という事態になる傾向があるのです。

 そこで、今回のLearning barでは、小林さん、伊達さんから、これを考えるための「良質の素材」と「良質の問いかけ」をいただくことにしました。

 ▼

 小林さんのご発表は、マイクロソフト社で実施しているリーダーシップ開発についてです。

1_kobayashi_izumi.jpg

 マイクロソフト社は、いわずもがなのグローバル企業。しかし、2000年代初頭、同社のリーダーシップ開発は、それぞれローカルに任されていて、バラバラの状況でした。

 そのような状況に変革がもたらされるのが2005年。各国の人材開発担当者が本社に集められ、グローバルに統合したリーダーシップ開発のフレームワークをつくりはじめます。そこから、開発担当者たちの試行錯誤がはじまりました。

 各国から人材開発担当者があつまり、「ヒッピーチーム」というグローバルチームが組織されます。マイクロソフト社におけるリーダーシップ開発のプロセスは、この「ヒッピーチーム」の学習のプロセスそのものでした。

 現在、同社では「経験」に基づくリーダーシップ開発を進めています。「メンタリング」や「ラーニングサークル」という施策を組み合わせながら、リーダーシップ開発を「長期的な投資」ととらえて行っているそうです。ちなみに同社における「メンタリング」とは、「少し有能な他者とのキャリア発達関係」、「ラーニングサークル」とは、リーダー候補生によるインフォーマルなグループコーチングとアクションプランニングのことをさしています。

 小林さんの話で非常に印象的だったのは、

「リーダーシップ開発とは、プログラムではない、プロセスである」

 という言葉です。

 ここでいう「プロセス」とは「職場の仕事経験」をさしています。同社のリーダーシップ開発は、職場における挑戦→経験→内省→学習→行動変容といったかたちで、リーダーシップが開発されることを基礎的なコンセプトとしています。

 ▼

 神戸大学大学院の伊達洋駆さんには、

1)リーダーシップ開発をめぐる先行研究の概観
2)リーダーシップ開発の最先端の理論的・実践的動向
 
 をお話しいただきました。

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 周知のとおり、リーダー研究、リーダーシップ研究の潮流は、1)特性論、2)行動論、3)コンティンジェンシー論、4)変革論というかたちで進行し、現在は百家争鳴の状況にあります。まず、伊達さんにはこちらの解説をいただきました。

 その上で、伊達さんはマインドルやフィドラーの研究を引用しながら、「リーダーシップがもたらす罠」についてお話しいただきました。

 このことを僕の言葉で表現するならば、

「わたしたちは、ピンチやチャンスになれば、強いリーダー(リーダーシップ)≒ヒーローに頼ってしまう」

 傾向があり(リーダーシップロマンス)、また、

「説明がつかないことを、リーダーシップという言葉で誤魔化してしまう傾向」があるということです。このことは、結局、「本当は解決しなければならない組織の問題、職場の問題を、リーダー不在という問題に置き換えてしまうこと」につながります。

 非常に面白い視点ですし、実務家の方々には刺激的な問いかけだと思いました。

 ▼

 その後は、Learning bar恒例のディスカッションタイムです。

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 今日も、非常に熱いディスカッションがかわされていました。例の如く、福武ホールの温度は急上昇です。

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 質疑応答は、付箋紙をだしてもらいました。大学院生たちがそれを集めます。僕は必死に分類します。
 最後は、中原によるラップアップで終わりました。講師の方へのわれんばかりの拍手の中、無事終了です。

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 最後になりますが、小林さん、伊達さん、本当にありがとうございました。とてもよい場になりました。この場を借りて感謝いたします。

 また、Learning barの開催をいつも支援してくださっている大学院生諸氏に心より感謝いたします。事務局の坂本君もありがとう。

 そして、議論にご参加いただいたすべての方へ。
 感謝を込めて。

 本当にありがとうございました。

 次回のLearning barは、7月31日。
 テーマは、まだ仮称ですが、

 脱「研修屋」宣言!?:人材開発部門の新たな役割
 企画立案から教育評価まで

 というかたちでお送りしたいと思います。

 経営と現場を奔走する2人の実務家として、

 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社
 早川勝夫さん
 
 横浜ゴム株式会社 人事部人材開発グループ
 若林真知江さん

 をお招きします。
 
 教育評価の専門家として、

 日立総合経営研修所
 堤宇一さん

 にご登壇いただきます。

 ぜひ、お楽しみに。

 ---
追伸.
 これから本郷。日本教育工学会の理事会、評議会に参加。永野和男会長のもと、新たな体制がはじまる。
 美馬のゆり先生と席が隣になった。美馬さんの研究関心と、僕が去年以来思っていることが、かなり似ていて、びっくりしたし、勇気づけられた。
 世界はそちらに進むか?

投稿者 jun : 2009年6月20日 10:40


問題解決とリーダーシップ!?

 この世には、問題解決のプロセスを、自分でまわすことのできる人と、そうでない人が、います。

 Bransford & Stein(1984)によると、よい問題解決者とは、IDEALとよばれる下記のプロセスを回すことのできる人です。

I:Identifying problem
 問題を同定する

D:Defying problems
 問題を定義する

E:Exploring alternative approaches
 あーだこーだ方略を試して吟味する

A:Acting on a plan
 実際に計画を実行にうつす

L:Lookin at the effect and learn
 結果を見て、さらに改善する

 これは、俗にPDCAともよばれるプロセスそのものかもしれません。PDCAのプロセスがまわるかどうかは、効果的な仕事のやり方につながるだけでなく、職場における学習にとっても大きな影響をもたらすのではないでしょうか(松尾・中原 2009)。

 しかし、何だか気になるのは、このプロセスのなかに「他者」という次元がないことです。もともと「他者」「対話」ということが好きな僕としては、どうもそのあたりが気になります。

 大人を考える場合、たいていの問題解決プロセスは「個人ひとり」が担うのではなく(もちろん個人がひとりで担うものもありますが)、「他者」をともなって、あるいは「他者」とともにおこります。

 つまり「IDEAL」ではなく、「IDEAL with others」というプロセスではないかとも思うのです。

I:Identifying problem with others
 他者と話し合い、問題が何かを同定する

D:Defying problems with others
 他者と話し合い、問題を定義する

E:Exploring alternative approaches with others
 他者と話し合い、あーだこーだ方略を試して吟味する

A:Acting on a plan with others
 他者と協働して、実際に計画を実行にうつす

L:Lookin at the effect and learn with others
 他者と結果を見て話し合い、さらに改善する

 先ほどのIDEALを上記のように変更し、じっと見ていると、だんだん、そもそも最初は問題解決プロセスであったはずの「IDEAL」が、「リーダーシップのプロセス」のように見えてくるから不思議です。リーダーが大きな絵をみんなと描き、それを実行するプロセスそのものに見えませんか?

 てことは、「リーダーシップ」とは、「他者を巻き込んだ問題解決プロセス」なのではないのか、なんてしょーもない妄想が広がります。
 問題解決は学習研究の中心領域。そして、リーダーシップは組織論ですね。全然別のものとして考えられているけれど、実は「接点」がありそうな気がしてくるから不思議です。

 まぁ、これはアタリマエのことなのかもしれません。問題解決にしろ、リーダーシップにしろ、どちらも「人間」に関して研究しているのですから。
 なんとか学や、ほにゃらら論なんて、学者が勝手に「線」をひいているだけなのですから・・・。

 とにもかくにも、面白いですね。

 ところで、リーダーシップのLearning bar、いよいよ明日金曜日になりました。参加予定者は250名。大変申し訳ないですが、なるべく多くの方々のご要望にお応えするため、非常に混雑することが予想されます。なるべく軽装で、なるべくお早めにお越しください。

Learning bar「みんなでリーダーシップ開発を考える」
http://www.nakahara-lab.net/blog/2009/05/6learning_bar.html

 ---

追伸.
 昨日はNPO Educe Technologiesの総会でした。総会は、企業でいえば株主総会。年に一度開催されます。「もう一年たったのか」と思ってしまいました。嗚呼、時が流れるのは早すぎる。

投稿者 jun : 2009年6月18日 07:02


ヤマです

 今週は「忙しい」です。上半期の「ヤマ」かもしれません。今日は、これから10個の会議、打ち合わせ、取材、学生指導をこなさなくてはなりません。今、2つめを終えました・・・あと8つ

 昨日は、日立の200名の現場マネージャの方々に対して、東京ビックサイトで講演させていただきました。講演といっても、最近は、話をするだけのものは、お引き受けしていません。必ず、エクササイズやディスカッションを10分ごとにはさむことにしています。

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 昨日の講演!?は、LEGOを使って部下育成を振り返るショート・ワークショップを実施しました。200名ということで、うまくいくかな、と不安がありましたが、何とか終えることができました。

 時間がないなど、いろいろと不都合はあったかもしれませんが、それは、また修行します。
 日立総合経営研修所の柳美里さん、堤宇一さんには大変御世話になりました。前日のLEGOの準備などは、かなり骨が折れたのではないかと思います。ありがとうございました。

hitachi.jpg

 来週は、うってかわって、研究時間がかなり確保できます。ここでたまった論文や本の執筆を済ませ、本を読みたいです。そこまで、何とか生き延びようと思います。

投稿者 jun : 2009年6月17日 09:59


便座の上で笑うTAKUZO

 日曜日はTAKUZOと公園で遊びました。お砂場に行って、「山」をつくったり、跳び箱をしたり、滑り台を滑ったり。天気がよかったこともあり、3時間以上も外にいました。

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  ▼

 ところで、最近の悩みは「トイレ」です。TAKUZOは、なかなかオムツがとれません。従兄弟のちーちゃんは、TAKUZOより1歳若くて、もうオムツがとれちゃったそうです。

 カミサンも「おまる」を用意したり、便所には「補助便座」をつけたりしています。昨日などは、「パンツ」をはかせたりしているのですが、効果は、「限りなくゼロに近いブルー」です(泣)。

「おしっこー」

 という時には、「既にでてます」(泣)。

「う○ちー」

 と、こちらに走ってくるときには、「既にしょってます」(泣)。

 はてはて、どうしたものなのか。

 たまに、「出る前に言ってくること」もありますが、いくら「おまる」や「補助便座」に座っても、「ブツはでません」。たぶん、「ふんばる」ということがわかっていないのか、と思います。TAKUZOは、何が面白いのか、便座に座って、ヘロヘロ笑っているだけです、、、トホホ。

  ▼

 7月にはプールのシーズンに入ります。プールでは、オムツがとれていることを条件にしているところも少なくありません。

「ねー、もう少しでプールだよねー。TAKUちゃん、オムツがとれてないから、プール入れないわ」

 と、昨日言い聞かせました。

「(こんどから)トイレでするー」

 と言っていたので、シメシメと思いましたが、そんなに話は甘くありません。今日の朝も、便座でヘロヘロ笑っていました(泣)。

  ▼

 どうしたものなのか。
 子育てとは「忍耐業」です。

 ---

追伸.
 学部時代、指導をしてくださった佐伯先生(青山学院大学教授・東京大学名誉教授)が、はじめてのブログをお書きになったそうです。読んでいて、久しぶりに「講義室で、先生の授業を聞いているか」のような錯覚(デジャブ)に陥りました。非常に面白かったので、ぜひ。

最近読んだ「目からウロコ」論文 その1
http://blog.hirc.aoyama.ac.jp/?p=82

最近読んだ「目からウロコ」論文 その2
http://blog.hirc.aoyama.ac.jp/?p=84

最近読んだ「目からウロコ」論文 その3
http://blog.hirc.aoyama.ac.jp/?p=88

投稿者 jun : 2009年6月15日 09:41


大学院入試説明会が終わった!

 土曜日、仕事です。

 午前中は、研究室で論文を書きました。ようやく最後まで、一度、息も絶え絶えになりながら、書き終わりました。あとは、ディテールを詰めるだけです。「だけ」じゃねーよ、これが大変なんじゃねーか。第一稿を何とか今月までにはあげたいものです。その後、本が続きます。

 4時からは、大学院の入試説明会でした。今年は昨年と比べて、非常に受験希望者の方が多かった印象があります。正式な数字はわかりませんけど。

setsumeikai.jpg

 中原研のブースには、おそらく30名近くの方が訪れていただいたのではないか、と思います。僕だけでは、到底対応が不可能なので、研究室のメンバーが交代で全員でて、対応しました。

 夜は、「お疲れ様」をかねて、久しぶりの研究室の飲み会。
 タキチのカラオケつき個室で大宴会です。
 大変盛り上がりました。

 研究室の皆さん、そして、幹事の島田さん、本当にお疲れ様でした。日曜日は、TAKUZOと遊びます。

 そして人生は続く。

投稿者 jun : 2009年6月14日 08:11


こんな時代だからこそ

 昨日、「ゆとり教育と企業人材育成」に関する取材を受けました。この様子は、リクルートワークス研究所「Works」の次号にて掲載される予定だそうです。

1)「ゆとり世代」というラベリングによって、企業内部の問題はすべて「若手個人の属性」の問題とされ、それに対する処方箋が打たれることになる。しかし、本来ならば、問わなければならない、企業内の職場環境、労働環境に生じている問題を覆い隠してしまう。

2)「ゆとり世代」というラベリングは、若手がもっている新たな能力を発見することができなくなってしまう。かつ、「おれはゆとりだから」というかたちで、若手を自嘲に向かわせ、本来必要な世代間の対話や、世代継承性を失わせてしまう。

 ことをメインにお話ししました。社会構築主義的な観点から、あくまで、企業人材育成にターゲットをしぼったうえで、「ゆとり世代という言葉の利用」がもつダークサイドを指摘したつもりです。「若手は、企業の職場環境に生じている問題の拡大鏡」なのかもしれません。

 これに関連して、先日、ぐるなびの田中潤さんとやりとりをしていたのですが、

「定量的な研究があるわけではないですが、若手が職場に入ることで、職場の組織学習が進んだり、コミュニケーションが活性化することがあるかもしれない」

 と僕も思います(今後研究が進むことが期待される領域ですね)。
 もし、そうであるとしたら、若手が社会化は、職場環境にとってもメリットをもたらしますし、また職場にいる上の世代の世代継承の夢(発達課題)を実現することにもなります。
 もちろん、そのことで職場は新たな負担やコストを強いられるわけですが、もしかしたら、「目に見えないメリット」もたくさん生じているのかもしれません。

 もしよろしければ、ご一読いただければと思います。

リクルートワークス研究所
http://www.works-i.com/index.html

 昨日は、慶応MCCでの第三回目の講義でした。第一回目は松尾先生による経験学習論、第二回目は金井先生によるモティベーション論。続く、第三回目は、あおぞら銀行のアキレス美知子さんに、戦略人材開発に関するご講演をいただきました。
 アキレスさんのお話に、僕を含め、受講者の皆さん、エナジャイズされたのではないか、と思います。

 こんな時代は、みんな、下を向きたくなる。
 でも、こんな時代だからこそ、人事は下を向いて歩いてはいけない。
 むしろ、みんなをエナジャイズしなくては。

 というお言葉が非常に印象的でした。
 アキレスさん、お忙しいところ本当にありがとうございました。

 次週は、一橋大学の守島先生にご出講いただきます。
 こちらも非常に楽しみです。

投稿者 jun : 2009年6月12日 07:41


ゆとり教育と企業人材育成!?

 僕の雑誌取材に対するスタンスは、「自分の研究テーマに関係する限り、基本的にはお引き受する」である。

「昔」のアカデミア(今も!?)では「商業誌はダメ」だとか「マスメディアは語ったことをそのまま書かないからダメ」とか、何とかかんとか言われたものだけど、僕は、そういうポリシーを、あいにく持ち合わせていない。

 このあたりの感覚を言葉にするのは難しいのだけれど、僕がそう思うのは、マスメディアに勤めるカミサンの仕事を傍らで見ていて、「マスメディアは、いわゆる知識人の期待とは異なり、情報を右から左に伝える導管ではないこと」、そして「そうであるからこそ一般の人によく伝わる可能性もあること(間違って伝えられる可能性も大いにある)」を身に沁みて、いつも見ているからかもしれない。

 閑話休題。
 しかしながら、「自分の研究テーマに関係するかどうか」の判断は、実際のところは、なかなか難しい。
 まぁ、そのあたりは柔軟に判断するとして(笑)、基本的には、自分が責任をもって語ることのできる範囲を超えない限り、お引き受けすることにしている。

 さすがに「釣り愛好家にとっての学びとはいかにあるべきでしょうか?」とか「ゴルフのスイングを学ぶためには、どうすればいいのでしょうか」というお題は、全く無理でした・・・・ごめんなさい。
 確かに研究室のテーマは「大人の学びを科学する」であり、釣り愛好家も、ゴルフをやる人も「大人」には違いないけど・・・ちょっと、それは難しかったなぁ。第一、釣りもゴルフも、ほとんど自分でやったことないからな。

  ▼

 明日は、某雑誌の取材をお引き受けしている。
 テーマはなんと、「ゆとり教育」!

 この問題は本当に難しい。なぜなら、「ゆとり教育を語ること」は、文字通り受け止めれば「戦後の教育を語ること」であり、「カリキュラムは誰のものかを語ること」である、「学力とは何かを語ること」になるからである。

 あくまで僕の認識によれば、日本の教育の歴史は「経験と知識」という二つの極を「振り子(Moving pendulum)」のように揺れてきた。ゆとり教育も、この振り子の揺れの中で生まれたものと認識している。

 そして、ただでさえ複雑なその振り子の揺れに、「教育の市場化か、それとも非市場化か」、「中央統制カリキュラムか学校開発カリキュラムか」、さらには「標準化テストによる測定される能力をめざすのか、それともポストモダン能力か」という3つの軸が加わり、ゆとり教育の言説空間は、さらに「カオス状態」になって進行した。

 お題をいただいたときに、一瞬ひるんだけれど、テーマが上記のような「ゆとり教育一般」ではなく(ホッ)、「企業の人材育成におけるゆとり教育の意味」であったので(でも難しい)、「自分の勉強のためにもなる」と思ってお引き受けすることにした。

 短い時間ではあったけれど、いろいろと情報を収集した。何となく語るべきことはわかってきたが、でも、まだ、ぼんやりとしている。

 今日一日考えてみよう。
 でも、きっと明日はディスカッションになるような気もする。

投稿者 jun : 2009年6月10日 09:28


野口裕二(編)「ナラティブアプローチ」を読んだ!

 野口裕二(編)「ナラティブアプローチ」を読んだ。看護学、医学、心理学、社会学、経営学等におけるナラティブアプローチの、最近の展開について、よく理解することができた。

 企業人材育成の領域でいうと、本章の一章として、加藤雅則さんが、「組織経営におけるナラティヴ・アプローチ」という論文をお書きになっている。

「組織の中で語りが変化するときに、場面が転換する。語りが一人称になり、自分ごとので語りが始まると、周りに共感が生まれ、個人の孤立感が和らぐ。一人称の語りが生まれる場、いわば、"私が私について語る場"では、組織が活性化するという現象がある」
(同書より引用)

 加藤さんもおっしゃるように、経営学では、ナラティブのことを「ストーリーテリング」と呼んできた経緯がある。

 このあたりについては、「ダイアローグ 対話する組織」でも書いたように、従来のストーリーテリング研究は、「いかにトップがストーリーの形式で、ビジョンや戦略を伝えるか」という導管モデルに基づいてきた傾向がある。


 その意義は認めるものの、ややストーリーテリングやストーリーのもつ豊穣な世界を狭めているような気もする。これを相対化する意味でも、本書の論考は非常に興味深いな、と思った。

 ちなみに、マルヒトークをすると「ダイアローグ 対話する組織」は、もともと「ストーリーテリングする組織」というタイトルを想定して執筆されていた。

 当初、本の中では、従来のストーリーテリングを「モノローグストーリーテリング」、人文社会科学のナラティブの系譜に位置付くと思われるストーリーテリングを「ダイアローグストーリーテリング」と整理していた。でも、舌をかみそうなので、ダイアローグという言葉を使った。ナラティブという言葉を使わなかったのは、また他に理由があるけれど、それは、また他のところで。

 そして人生は続く。

投稿者 jun : 2009年6月 9日 09:48


エクスカージョン

 週明け月曜日。
 急性胃腸炎+発熱で、朝っぱらから悶絶。「上から系」と「下から系」に悩まされる。小生、トイレとともにある。

 急遽、すべての会議をキャンセルせざるをえない状況になってしまった。ご迷惑をおかけしている方には、心より、お詫びいたします。申し訳ございませんでした。疲労でしょうか。

 念のため、病院へ。
 病院は、自宅から歩いて1分のところにあるが、今の僕にとっては、「ものすごく遠い道のり」に感じる。
 
 ちょっとした「エクスカージョン」じゃねーか。
 便所間に合わなかったら、どーすんの。
 ドキドキである。

 走れば、振動がハラに伝わり、漏れる可能性がある。
 しかし、走らなければ、やはり漏れる可能性がある。
 To run, or not to run...
 ロミオ、あなたなら、どうする?

 今日は、おとなしくしんなりとしております。
 おやすみ。

投稿者 jun : 2009年6月 8日 11:34


わたしの読書法

 本を読むことは「仕事」である。

 自宅のキッチンカウンターの、敢えて一番目立つところに、今週読まなくてはいけない本を積んでおく。

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 「キッチンカウンターに本が積み上がっているのは見苦しい!」と、カミサンは、僕に読書を促す。だから、読まざるをえない(笑)。

 僕個人に読書の「忍耐力」や「集中力」があるわけではない。僕の「忍耐力」や「集中力」、そして「読書のパフォーマンス」は、「本を置く場所」と、「カミサンの性格」に分かち持たれている。

 しかし・・・本をうっかりリビングの机に置き忘れようものなら
 油断していると・・・
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 痛い目にあう。

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 油断は禁物。
 もちろん、TAKUZOの仕業である。
 
 でもでも、、、、まだ油断してはいけない。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 一度で済むわけがない(泣)。

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 TAKUZOをナメてはいけない。
 しつこいTAKUZOである(笑)
 
 そして、、、、
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 二度あることは・・・
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 三度ある(泣)。

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 そして、三度あることは、、、、 
 
 
 
 
 
 
 
 
 四度、繰り返す。
 「元気がでるテレビ」の高田純次なみに、TAKUZOは「しつこい」。

3dome.jpg

 気にしない、気にしない(笑)。
 子育て研究者は、そんなことでうろたえない。
 多少、文字が読みにくくても、読み飛ばす。

 そして人生は続く。

投稿者 jun : 2009年6月 7日 20:08


組織学会

 仙台で開催された「組織学会」で、松尾先生(神戸大学)と共同研究の発表を行った。タイトルは「職場の学習風土に関する定量的研究」。ダイヤモンド社との共同研究の成果をまとめたものである。

 経営系、組織系の学会(僕にとってはアウェイの学会)に参加するのは、実は、はじめての事であり、結構ドキドキしていた。今回は、ファーストの松尾先生がプレゼンを行い、二人で質疑応答を行った。

 質疑応答では、金井先生(神戸大学)、平野先生(神戸大学)をはじめとして、様々な先生方から質問・コメントをいただいた。
 
 下記、皆様からのコメント。
 あと部分的に僕が思ったこと。

  ▼

■独立変数に投入した職場のPDCAとOJTは無相関であるとは考えにくい。つまり、PDCAが進んでいる会社は、OJTも進んでいると思われる。交互作用は検討した方がよいのでは。また、今回別の次元であつかったPDCとAの交互作用も検討した方がいいのでは。

 →(中原雑感)
 ・重回帰分析のモデルに「PDCA」と「OJT」、
  あるいは、PCAとDの交互作用項を投入し
  てもよいかもしれない。

 ---

■今回の研究の場合、個人 - 職場 - 組織の3段階の階層がある。HLM(階層線型モデル)を検討した方がよい

 →(中原雑感)
 ・階層線型モデルの場合、「会社」レベルの
  分析は可能。ただ、「職場」レベルの場合、
  何が「職場」かというのが定義が難しいた
  め工夫が必要か。
  職場に関しては、明確な定義を行った上で、
  人事担当者を巻き込んで、ひとつずつ調
  査対象職場を検討・精査した上で、質問
  紙調査を実施する必要があるかも。

 ---

■OJTに関する項目(上司の「教える」「任せる」)が職場学習に関する影響をさらに検討するべきではないだろうか

 →(中原雑感)
 OJTに関する項目に関して、今回の調査では
 職場学習には影響を与えていなかった。
 しかし、現在、中原が執筆している論文では
 個人学習に対する寄与は認められている。
 今後の課題は、OJTに関する項目、職場学習
 、個人学習の3つの関係を見ていくことかも。

 ---

■なぜ職場学習の調査を若手に絞るのか。職場における人々の認知は、年齢の影響を受けるので、すべての人をとるべきではなかった

 ---

■「組織における経験年数」を統制変数に入れた方がよいのではないか?

 ---

■質問は「個人の認知」を問うたのか? それとも、「個人が認知している集団に共有されている規範」を問うたのか?

 ---

■職場学習の業績に対する寄与は、検証するのか? どのようにすればいいのか?

  ▼

 ふぅ。

 お恥ずかしい限りであるが、僕にとっては、今回の学会参加は、なぜかドキドキした。いやはや「アウェイ」は緊張する(笑)。しょーもない回答をしていたかもしれないですが、許してください。また修行してきます。

 最後に。
 まさに正統的周辺参加ともいえる今回の学会は、松尾先生という素晴らしいナヴィゲータのおかげで、よい経験を積むことができました。何となく雰囲気はわかりました。あと、教育系の学会との違いも、何となくわかった。ありがとうございました。
 また、今回の共同研究の機会をいただいたダイヤモンド社の永田さん、浅井さんには、心より感謝します。

 ありがとうございました。
 今回は、かなり無理をしてきたけど、きてよかった。

 さ、東京に帰ろ。
 TAKUZOが待っている。

投稿者 jun : 2009年6月 7日 16:37


はこだて国際科学祭・・・地域発の科学コミュニケーションの場の創造

 すごいことを「仕掛け」ているそうである。

 「はこだて国際科学祭」

 仕掛け人の中心にいるのは、公立はこだて未来大学の美馬のゆり教授(教育工学・科学コミュニケーション論)だ。

はこだて国際科学祭
http://www.sciencefestival.jp/

はこだて国際科学祭・企画書
http://www.sciencefestival.jp/pdf/sci_fes20090529.pdf

美馬のゆり教授
http://www.fun.ac.jp/staff/staff_arch/mimanoyuri.html

 はこだて国際科学祭は、「地域のネットワーク・資源を活かして、科学する文化を創造すること」をめざしている、地域発の科学イベントである。函館市がJST(科学技術振興機構)の補助金をもとに実施することになった。

 国際科学祭では、国内外から様々なアーティスト、サイエンティスト、教育者を招き、ワークショップやショーを開催する予定である。
 科学実験ショー、サイエンスカフェ、トークセッション、科学展示型まで、老若男女を問わず参加できるようプログラムに工夫しているそうだ。下記のような実験ショー?も見られるそうである。

 企画運営の中心になっているのは美馬のゆり先生。地元の大学、研究者、教育者、行政職員、市民活動関係者、デザイナーなどを集め、実行組織「サイエンス・サポート函館」(SSH)を組織し、代表をつとめている。

 美馬先生曰く、

「科学イベントというと、とかく子ども向けという先入観がまだ根強い。だが、それだけでなく、知的好奇心いっぱいの大人に向けた充実したプログラムを準備したのが特徴」

「大人の学びの場」としても、非常に興味深い。

 SSHの活動概要、科学祭のバックステージの様子を伝えるブログも、公開されている。

サイエンス・サポート函館 活動日誌
http://www.sciencefestival.jp/nisshi/

 8月22日 - 30日・・・函館が熱い。

 ▼

 科学コミュニケーションに関しては、全くの「素人」ながら、思ったことは下記。
 
 まず、科学コミュニケーションの場に関しては、国レベルでは、サイエンスアゴラという科学イベントが、JSTの主宰によって、毎年、東京で開催されている。

サイエンスアゴラ
http://www.scienceagora.org/

 今回、はこだて国際科学祭の様子を拝見させていただくと、「科学コミュニケーションの場づくり」も、「地域発」という時代に入っていくのかな、という感想をもつ。

 その際にコアになるのは、おそらく「大学」であろう。大学が「行政」と「地域」の間にたって、ミドルアップダウンマネジメントを行い、いかにリーダーシップを発生させることができるかが、問われる、と思う。

 そして、そのときに立ち現れる「場」は、もう、科学コミュニケーションという切り口からだけ語られるものではなくなる気がする。それは「街の活性化」であり、「地域資源の開発」であり、「地域ネットワークの組織化」ではないか、と思う。

 そうしたプロセスを丹念に見ていくことは、今後の学習研究にとって、非常にチャレンジングな課題であると思う。
 そして、僕は、「未来の人間科学」「未来の教育工学」は、そういう方向にも、伸びていきそうな気がする。しかも、その「未来」は「遠い未来」ではない。「近未来」である。

 ちなみに、美馬のゆり先生は、大学院時代を、東京大学名誉教授 佐伯胖先生(現・青山学院大学教授)のもとで学ばれた。つまり、僕にとっては、「大先輩」である。そして、それ以来、大変御世話になっている方である。

 活躍する大先輩の様子を見ることは、自分にとって、とても「参考」になる。
 研究者とはある意味で「孤独という名の自由」の中にある。「どちらの方向に進んでいいのか」「今、何をするべきなのか」 - 誰も教えてはくれない。
 僕は、ロールモデルに恵まれているな、と思う。

 今日も一日全力を尽くそう。

投稿者 jun : 2009年6月 5日 09:37


伸びる大学生、伸びない大学生!?

 松尾睦先生(神戸大学)のブログ記事「知的刺激が大学生を伸ばす」を拝見しました。CDCという異業種交流会の研究の知見、僕は拝見したことがないので、詳細はわかりませんが、非常に面白いですね。

知的刺激が大学生を伸ばす
http://blog.goo.ne.jp/mmatu1964/e/5945ca6613d7de384cb80f7b295125b0

 数校の大学生を対象に調査を実施し、学生時代に「能力がアップした人」と「そうでない人」を比較したところ、次のことが明らかになった。

能力がアップした人は

1)学業、アルバイト、サークル等の活動へのかかわり方が違っていた。
2)挑戦して成果を出し、責任のある立場で活動し、知的な活動を経験していた。
3)アルバイトよりも、学業と課外活動、特にゼミから学んでいた。
4)ゼミにおいて、ひとつのテーマをきちんと追求し、グループで物事を考え、リーダーシップを発揮していた。

(上記、ブログより一部引用)

  ▼

 僕はこの論文を読んだわけではないので、詳細なコメントはできないですが、上記に関する限り、興味深いなと思いました。

「ゼミにおけるグループ学習でリーダーシップを発揮できるかどうか」というのが「能力アップ」の分岐点のひとつというのなら、この知見は大学教員を勇気づけるものですね。

 人事担当者の中には、いまだに、

「大学で学んだことは全く役に立たないから、すべて忘れて白紙で企業に来い」

 と学生に告げる人もいないわけではありません。そういう言葉を浴びせられて、モティベーションダウンしている学生を、これまでにも何人も見てきました。

(一方で、企業の人事部の方の中には「大学で必要な知識やスキルを教えないから、企業は苦労する」と公言なさる方もいらっしゃいます。先ほどの「白紙でこい」は、同じ会社の同じ人事部にお勤めの方の発言であったりします。せめて、自分の会社で採用する人に必要な要件くらい、人事部内でちゃんと話し合って欲しいものです)

 ▼

 この研究に関連して、またいつものように妄想力をふくらませ、思いついたことを書いておきます。

 ひとつめ。
 たとえば、この研究においては、アルバイトは肯定的には評価されているようですが(一見した限りは)、それとは異なる知見も存在しているように思います。

 北九州市立大学の見舘先生は、学生がアルバイトをする前とした後の、コンピテンシーの伸びを測定するご研究をなさっています。その伸び方が、学生の従事するアルバイトの職種によって異なることを明らかにしていらっしゃいます。

「学生時代、何から一番学びましたか?」

 と学生に問うと、真っ先に返ってくる問いは、「アルバイト先での経験」という答えが多い傾向があるように思います。

 アルバイトの経験といっても、もしかしたら「一様」ではないのかもしれません。学生の能力伸び、あるいは経験学習に貢献するものと、そうでないものがあるのかもしれないな、と思いました。
 そして、おそらくは、どれだけ能力が伸びるかは、仕事の内容、仕事場の組織化のされ方、そして、そこで支配的な価値観や規範に関係があるのでしょうね。

  ▼

 ふたつめ。

 先日、京都大学の溝上慎一先生から送っていただいた原稿(世界思想 Vol36 pp35-39)によると、「大学生の学生生活の時間の使い方」は、4つのクラスタ(まとまり)にわかれるそうです。つまり、時間の使い方という観点から、大学生を分類すると、4つに分かれるということですね。

■タイプ1.
 自主勉強・読書 / テレビゲーム / 友人クラブ・サークル・・・すべての活動に活発な学生

■タイプ2.
 自主勉強・読書 / テレビゲーム / 友人クラブ・サークルすべてに何もコミットしていない学生

■タイプ3.
 テレビゲームだけをしている学生

■タイプ4.
 友人クラブサークルだけに精を出している学生

 いかがですか?
 ご自分の学生の頃を振り返ってみてください。
 皆さんは、どのタイプでしたか?

 ちなみに僕は・・・・
   ・
   ・
   ・
 教養学部の時代、つまりは1年生~2年生は、完全に「タイプ2」でした。いわゆる「ひっきー」です(笑)。

 今から考えると人生の大きな損失だったと思いますが、まぁ、しゃーないね、やっちゃったもん、しゃーない。
 人が変えられるのは現在と未来。過去は変えることができません(泣)。

 僕は、1年生~2年生のとき、周りにいる学生のノリに、僕は、全くついていけませんでした。友達も、あまりできませんでしたし、学びがいを感じたことも、あまりありませんでした。とはいえ、何かに抵抗しようとも思いませんでしたし、何かを成し遂げようともしませんでした。
 つまりは、一言でいうと、何もしていませんでした(笑)。もう、ダメポ。

 ちなみに、3年生~4年生は、がらりと変わりました。本郷に来てからは、自己学習・読書+交友系の学生であったと思います。
 たくさんの本を読むようになりましたし、いろいろな場所にフットワーク軽く出掛けるようになりました。
 どちらかというと、ひとりでシコシコ学ぶのではなく、いろいろと人を巻き込んで、研究会をやったり、勉強会を主催したり、プロジェクトを実施したりしていました。そのスタイル - 「寂しがり屋の学び好き」は、今もなお、あまり変わっていません。
 それにしても、なんで、僕、変わったんでしょ?よくわからないのですが、いくつか思い当たるところはあります。それはまた別の機会にお話しします。

 閑話休題。
 話を元に戻しましょう。

 面白いのは、タイプ1の学生は、将来展望や、それに対応する日常の努力、知識や技能の獲得意志が強い傾向があるようです。また、授業外を通して教養を身につけたと答える傾向があるそうです。

 面白いですね。
 既に、学生の頃から「差」はついているのかもしれませんね。

(この調査は、京都大学高等教育研究開発推進センターと電通育成会共催の調査「大学生のキャリア意識調査2007」の結果です。下記で調査結果が公開されています。

大学生のキャリア意識調査2007
http://www.dentsu-ikueikai.or.jp/research/top.html#anc02

(ちなみに、いくつかの論文をお送りいただいた溝上先生に、この場を借りて感謝いたします。溝上先生の原稿を拝読するたび、その生産性の高さと思考の鋭さに舌をまきます。そして、「オレもがんばらなアカンやん」と思うのです。)

溝上慎一先生のWeb
http://smizok.net/

  ▼

 みっつめ。

 今は、大学も、学生の学生生活、学習環境を知る努力をはじめています。具体的には、大学法人評価の関係で、達成度調査や学生生活実態調査というのを実施している大学が多くなっています。僕が所属しているセンターでは、これに類するいくつかの調査を実施しています。

 ここで得られたデータと、企業の人事部のデータをうまく照合させれば、どのような学生生活をおくった人が、その後、どのようになっていったかを追跡調査できるのではないか、と思いました。いろいろ乗り越えなければならない壁は多いのでしょうが(理論的にも実務的にも)、できないことはないな、と思いました。

 そういう企業と大学の協働は、

 学生が伸びないのは、大学の責任だ
 いやいや、企業の責任だ

 と、しょーもない応酬をしているよりも、よほど、「建設的」だと僕は思います。そして、僕自身は、そういう「新たな協働のあり方」を模索したいと願います。

投稿者 jun : 2009年6月 4日 10:52


無料で似顔絵!?

 皆さん、このサイト、ご存じですか?

 参天製薬さんがやっている目薬のマーケティングサイトなんですけど、写真を送ると、無料で似顔絵を描いてくれるんです。

キタ顔製作プロジェクト2009
http://santefx.jp/kita/

 早速、小生も書いてもらいました。
 プレゼンのプチイラストなどに利用できるかな、と思い。

nakahara_jun_nigaoe.jpg

 TAKUZOのも。

takuchan_nigaoe.jpg

 似てますかね?

 というわけでした。
 よろしければ、ぜひ。


投稿者 jun : 2009年6月 3日 15:55


講演依頼は難しい!?

 僕は、他人に講演依頼をすることはたくさんあります。今年は、東京大学が学会のホスト校ですし、Learning barやワークプレイスラーニングなども企画・運営していますから、おそらく、1年間で20名以上の方に、講演依頼を行っていると思います。
 もちろん、自分が講演依頼を受けることもあります。メールや電話で、お問い合わせが寄せられます。

 というわけで、今日の話は、この「講演依頼」についてです。僕がいつも思うのは、「講演依頼ほど、真面目にやろうとすると難しいものはない」ということです。

  ▼

 こういうと、

「そんなの"お願いします"というだけじゃないか、簡単じゃないか」

 と訝しがる方がいるかもしれません。

 確かにそれなら「簡単」です。「頭を下げれば終わる話」なのかもしれません。
 しかし、中には、そういう「お願いの仕方」では、なかなか引き受けてくれない方もいらっしゃいます。「なぜ、自分なのか?」ということにこだわられる方が、一定数以上はおられると思います。特に忙しい方は、その傾向がありますね。
 また、たとえ引き受けていただけたとしても、その方に、会の趣旨、会に来ている方の属性が伝わらず、適切な話ができなくなってしまう可能性もあります。

 こう考えてみますと、おそらく僕が重視したいのは、単に「講演を依頼すること」ではないのですね。

 むしろ、

「講演が、参加者にとって、学び・気づきの場になるか、ならないかが重要で、そのための講演依頼というものはいかにあるべきか」

 ということなのだと思います。つまり、「オーディエンス志向」です。

 単に、講演を依頼するだけなら、「お願いすればよい」のかもしれませんが、「オーディエンス志向の場(講演)を構成すること」を考えるのであれば、講演依頼というのは、結構、難しいものです。いつも頭を悩ませてしまいます。

 そのためには、最低限、講演を依頼する人が(僕)が、こう考える必要があります。

「この人に話をしてもらうことで、依頼するわたし自身は、どのような問いかけを参加者に投げかけたいのか?」

「この人に登壇してもらうことで、依頼するわたし自身は、この場を、どのような場として構成したいと願っているのか?」

 そのためには、依頼する側にも、講演内容に関してある程度の知識が必要ですね。そして、何より、依頼者側に「思い」のようなものが必要であるように思います。

  ▼

 不肖中原も、講演依頼のオファーをいただくことがありますが、その時に、一番、面食らう言葉というものがあります。

 それは、

「先生の好きなことをバーンと言っちゃってください」
「先生の思うところを聴衆に投げかけてください」

 とお願いされてしまうことです(笑)。ニュアンスは異なりますが、思いの他、このような依頼は多いものです。

 面くらう理由は、いくつかあります。

 ひとつは、「学習を"伝達"と捉える考え方」を脱構築したい(それって違うんじゃねーのともの申したい)と願う僕にとって、それをやってしまうことは、「自分のあり方」「自分の研究の信念」を否定することになります。
 
 でも、最大の理由は、それではありません。
 最大の理由は、「このままお引き受けしても、オーディエンス志向の場にはならないだろうな」と思ってしまうことです。

 依頼する側になると忘れがちなのですが、たいていの場合、登壇する側は、オーディエンスの属性や会の趣旨を知りません。

 彼らは、何人いるのか?
 何歳くらいなのか?
 役職は?
 男女比は?
 既有知識はどのくらいあるのか?
 何に興味・関心をもっているか?
 なぜここに来ているのか?
 何をしたいと思っている人が多いのか?
 
 こうしたオーディエンスの情報を知っているのは、多くの場合「講演を依頼する側」だけなのです。また、会がなぜ開催されているか、その歴史や趣旨をしっているのは、やはり依頼者です。

 つまり、講演者と依頼者のあいだには、「情報の非対称性」が存在するということです。講演内容に関しては、講演者がよく知っているかもしれません。しかし、反対に依頼者はその会に来ている人、会の雰囲気や目的や成り立ちを、よく知っているのです。

 ですから、「オーディエンス志向の場=よい気づきの場をつくる」には、講演をする側はもちろんのこと、講演依頼をする方も含めて、「共同で講演を創造する」、というスタンドポイントにたつことが重要なのではないかと思います。

 メタフォリカルにいいますと、こういうことですね。

 講演は、"依頼されるもの"ではない
 講演は、"依頼者と共につくりあげるもの"である

 もちろん、上記は僕の「信念」です。ですので、他人にあてはまるかどうかは、僕は知りません。
 でも、「学びの場」を研究する僕にとっては、そういうこと(ディテール!?僕にとっては、それこそがキモ)が、とても気になることです。
 特に、僕が依頼する講演ですから、その内容は「学びに少しは関係するもの」であるわけですよね。ですので、余計に気になるのかもしれませんね。

投稿者 jun : 2009年6月 2日 08:03


「蛇の健寿司」で自分を鼓舞する!?

 週のしょっぱなから「オレ、やる気がないんすけど・・」って言ったら、「便所スリッパ」でカン○ョーされそうだよね(笑)。ふざけんじゃねー、このワカゾウが、と。

 でもね、僕ね、今ね、「疲れ」のせいなのかな、どうにも気分が優れないんです・・・トホホ。はっきり言って、わいてこないね、内側からムラムラとは、モティベーションが(内発的動機)。わかねーんだよ、モティベがよー(笑)。

 こんなときは、きっと、「自分にとって"モティベーション"がわくことで、自分を自己調整するしかない」んだろうな、と思い(先日、モティベーションの最新動向をを受講させていただいたので)、でも、脳裏に浮かんだのが「寿司」でした。

 結局、「食べること」しかないのかね、アンタは。
 しかも、外側からのムラムラじゃねーか(外発的動機)。
 辛けりゃ、寿司食うしかねーな。

 前も言ったかもしれませんが、僕は、「主食」が「寿司」でも全然OKです。毎食でもいい。そのくらい「寿司」が好きです。
 今まで、いろんな「マイブーム」がありました。古くは、「キャラメルコーン」とか「午後の紅茶」とか。でも、「寿司」はブームじゃないね。もう僕そのものですね。

 下記は、先週行った渋谷「蛇の健寿司」の様子。
 蛇の健寿司は、僕が、自宅近くの寿司屋をのぞいて、最も頻繁に通っているお寿司屋さんです。
 健さんとオカミさんが2人で切り盛りしている、カウンターがメインのお店です。旬のお魚を丁寧な仕事で食べさせてくれます。

 先日は、「はじめての課長の教科書」「新しい戦略の教科書」で有名な、フリービットの酒井穣さんとでかけました。酒井さんが、オランダにいらっしゃるときから、「帰国したら、ぜひ行きましょう!」ということになっていたのですね。

 ▼

 まずはお通し。
 ホタテの子どもだそうです。
 外側には火が通っているが、中はねっとりと甘い。

janoken1_hotate.jpg

 しょっぱなから酒が進みます。

 お造りは、5種盛り。
 その中でも、印象深かったのは、ウニとクジラ。
 ウニは夏の風物詩ですね。
 クジラは、尾の方の部分を刺身でいただきます。ここでしか食べることのできない一品です。

janoken2_uni.jpg

janoken3_kujira.jpg

 握りは8品ほどいただきました。
 中でも印象深かったのは、赤貝、サバ、アジなど。

janoken5_akagai.jpg

 赤貝は磯の香りがする新鮮そのもの。
 食感はコリッとしていて、歯ごたえがある。

janoken4_saba.jpg

 これほどまで脂ののっているサバを僕は知りません。ピカピカしてるでしょう、サバが。

janoken6_aji.jpg

 トロリと舌でとろけるアジをいただきます。
 通常、アジに「クリーミー」という形容詞は似つかわしくないのですが、でも、そんなアジなのです。

 ▼

 この日も、いやぁ、素晴らしかった。
 これが、僕のモティベターのひとつですね。めちゃめちゃ外発的なモティベターですが、そうやって、自分を昆布していく、つーか、コンブじゃねーよ、鼓舞していくのですね。

 悪いの?

 嗚呼、次に蛇の健に行けるのは、いつのことだろう。
 そのときまで、しっかり働こう。

 皆さんも、自分にご褒美をあげたいときには、ぜひ。
 ご主人の健さんが匠の技で癒してくれると思います。
 
 
■蛇の健寿司
 東京都渋谷区道玄坂1-20-4
 TEL:03-3461-4288


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追伸.
 本日、次回Learning barの当落メールが配信されました。250名の当選者の方々、おめでとうございました。落選者の方々、本当に申し訳ございません。心よりお詫びいたします。

 本郷キャンパスでお会いしましょう!

投稿者 jun : 2009年6月 1日 13:59