ひとつめ。
以前、このブログでは、「リフレクション学」にまつわる2日間のワークショップを開催します、とお伝えしました。
「リフレクション学!?」の2日間ワークショップを開催します!:フレッド・コルトハーヘン名誉教授をお招きして!
http://www.nakahara-lab.net/blog/2014/04/2_4.html
このワークショップは、11月1日(土曜日)・2日(日曜日)、2日間にわたって、リアリスティックアプローチで著名なオランダのフレッド・コルトハーヘン名誉教授(ユトレヒト大学)をお招きして開催されます。
・リフレクションとは何か?
・自分のリフレクションの癖とは何か?
・リフレクションをどのように行えばいいのか?
など、ペアやグループで「自らリフレクションを実践しながら、リフレクションを学ぶことができる」予定です。
そして、この公募が週明け6月16日からはじまります。こうした機会は、非常に限られておりますので、どうぞご興味のある方は、お早めにお申し込み下さい。公募は、最後にご案内のメルマガから先行します。
大丈夫、このメルマガは、イベントの情報を不定期にしか流しません。愉しく怪しいイベントの情報は流れますが、「怪しい壺」のご案内はしませんので、ご安心を!
NAKAHARA-LABメルマガ(中原研究室メルマガ)
http://www.nakahara-lab.net/mailmagazine.htm
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ふたつめ。
フェスのお知らせです(笑)
7月19日(土曜日)、牧村真帆さん・上田信行先生(同志社女子大学)・中原が主催者となって、「Playful Learning」に関するパーティ?的ワークショップ?(もうどっちでもいいですが)、名づけて「Playful Summer Fes.」を、HUB TOKYOで開催します。HUB TOKYOは、目黒・渋谷・恵比寿地域にある起業家コミュニティ兼コワーキングスペースです。同志社女子大学の学生さんたちご一行様も、関西から駆けつけます。
このイベントでは、
Playful × Learning ×「○○」=( )
の方程式にかかわる、様々なクリエータ、実践者の方々をお招きして、興味深いお話をショートトークで伺います。
こちらの募集は、あと1週間くらいで始まる予定です。公募は、やはりメルマガから先行してはじまります。どうぞご参加をご検討いただけますと幸いです。
NAKAHARA-LABメルマガ(中原研究室メルマガ)
http://www.nakahara-lab.net/mailmagazine.htm
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その他、アカデミックなところでは(こちらは本当にガチ・英語文献を読みあい、議論する)、中原研OBの関根さんが企画して「OJTに関する研究会」を、そして、中原研M1の浜屋さんが「男性の育児と仕事に関する研究会」を11月15日(土曜日)、東大にて、中原研M1の田中聡さんが「変容的学習に関する研究会」を近々開催する予定です。
現段階で応募が開始されているのは、中原研OBの関根さんが「OJTに関する研究会」です。英語文献の読みあい+議論ですので、それなりの準備は必要ですが、よろしければ、どうぞご参加下さい。
OJT研究会(2014年7月4日(金)9時~18時)
http://learn-well.com/blogsekine/2014/06/ojt_4.html#more
自らコトを起こして、人と学ぶ!
そして人生は続く
大学院の授業なので「ハイレベル?な議論をしている」と書きたいのですが、なかなか時間も限られていて、いつも、尻切れ?気味に終わるのが、やや残念に思っていました(大学院レベルのこの手の授業は、2時間ぶっつづけの授業にするとか、週に2回授業があるとすごく楽だな、といつも思っています)。一方で、この授業の想定レベルは「大学院レベルの初学者」、すなわち「学問の入口」ですので、そんなものなのかな、とも思ってきました。
ただ、先だって、本田由紀先生(社会学)と、ある件で、お話を伺う機会があり、そこで、本田先生の学部での授業について、いろいろご教示頂きました(貴重なお時間をありがとうございます!)。
先生の授業では、学部生にリーディングリストをお渡しになり、文献を授業までに目を通してくるようにいい、授業中、議論をなさっているとのことでした。学生の一方が「論文を批評」し、他の学生が、それをディフェンスする、という議論であると伺っています。
そういうのは面白いな、と思って、ちょっと、昨日は、自分の授業でも、単に議論をさせるのではなく、少しだけ工夫をしてみることにしました。
それが「指導教員になったつもりゲーム」です(笑)。
いつものように単純に議論をするのではなくて、この論文の著者の「指導教員」になったつもりで(トップジャーナルの著者の指導教員とは、まことにおこがましいのですが・・・)、
1.論文の良い点をまずは褒めてあげる(1ほめ)
2.その上で、論文の弱点を指摘する(3けなし)
3.弱点を克服する「代案」を提案する(代案提示)
という単純なゲームです。
いわば、「論文指導」という局面を授業に取り込み、ゲーミフィケーションしてみたとも言えるかもしれません。
大学院生には、禁止項目として
「論文をけなしまくる」のはなし。
まずはいったん褒めて(1ほめ)、その上で、建設的な批判をする(3けなし)(笑)。基本は「1ほめ、3けなし」ですよ、と。なぜなら、「あなたは指導教員」だから。学生のモティベーションをあげながら、クオリティをあげなければなりません。「こてんぱんに叩かれ、くそみそ言われるだけ言われて、発憤て、目を輝かせる学生」は、僕の経験上、ひとりもいません。
あと、
「ちゃぶ台返し=オラオラオラーと論文の枠組みをぶちこわして、悦に至るような指導」
はなし!
なぜなら「あなたは、これまで指導してきたら」(笑)。論文の枠組みをつくることに、これまでコミットしてきたはずなので、それをちゃぶ台返しするのはなし。
あと、
「人類の課題の無茶ブリ=そもそも、そんなデータをとれないよ、という無茶な方法の押しつけ」
は禁止! なぜなら、もう論文はできているから(笑)。
とつげました。
要するに「品のある指導」をしなさい、と(笑)。あくまで、今、行うことは「一歩先行くお手伝い!」ですよ、とお願いしました。
そこで、特に大切なのは「建設的批判」に基づく「代案提案」です。
そこでは「論文のロジックを補強してあげる」「より精緻な研究方法・分析方法を提案してあげる」「今からでも可能な実験デザインを提案してあげる」ということにしました。
▼
結果は、(小生の力量不足で!泣)アイオープナーな議論とまでは・・・いかなかったのですが、いつもよりは、少しだけ前向きな議論ができたのかな???と思っています。
「プロフェッサー田中さん、いかがですか?」
「プロフェッサー浜屋さん、コメントをお願いします」
「プロフェッサー高崎さん、何が改稿のポイントですか?」
と指名すると(笑)、皆さん、「プロフェッサーになったつもり」?で論文指導をなさっていました。ただ、意外にも「論文をほめること」と「代案を提示すること」というのは、なかなか、まだ難しいのかな、という印象がありました。
まぁ、また少し試行錯誤して、少し慣れてきたら、違うゲーミフィケーション場面も試してみようかな、と思っています。
そして人生は続く!
#アホ男子死亡カルタ まとめサイト
http://togetter.com/li/398997
【あ】朝送り出すだけで重労働
【か】買った傘は一日もたない
【き】「今日何してた?」「忘れた!」
【き】基本、話を聞いてない
(まとめより引用)
読んでいて、「全くトホホな小学2年生:TAKUZO」の日常を思い「うちの子どもだけじゃなかった」とホッとする一方、「なんで、男ってこうなだろう」「でも、俺もそうだったな」と切ない?気持ちになりました(笑)。いつになったら、治るのかな、と。
でも、一方で、今年で39歳、「人生の正午」を迎える「今の自分」を考えると、
「きっと、30年たっても、ほとんど治んないだろうな」
と暗澹たる気持ちを禁じ得ませんでした(笑)。
靴下ポイポイは、30年たっても、靴下ポイポイ。引き出しあけっぱなし人間は、30年たっても、引き出しあけっぱなし。嗚呼・・・・
そう、
【お】大人になってもたいして変わらん
のです。
▼
嗚呼、今日は疲れました、そして全く元気がありません(ごめんなさい、朝っぱらから)。次から次へと、いろんなリクエストが、360度、様々な方面から押し寄せます。こなしても、こなしても、次から、次へと、これでもか、これでもか、と。
ブログでは、毎日、クリエィティブなことを書きたいのですけれども、どうしても、そんな気分になれない日もあります。できれば、誰かをエンパワーメントするようなお話を語りたいのですけど、僕がエンパワーメントされたい日もあります。
そうそう、0歳、KENZOは、生後193日目にして、はじめての発熱になりました。カミさんが、大変苦労して、看病しています。カミサン、大変だよね、手伝えなくてごめんなさい。
仕事にいってきます。
そして人生は続く
就職活動を終えた「内定時期」というものは、いわば「どっちつかず」の時期でもあり、「学生の終焉」と「社会人の開始」の中空に存在する「境界」の時期でもあります。
しかし、この時期というものは、実は、「キャリア論の観点からなされる就職研究」「経営学的観点からなされる社会化研究」と比べて、学術研究の知見が圧倒的に限られている領域でもあります。
「全くない」というわけではないのですが、わかっていることはそう多くないのです。
今年、中原研究室では、いくつかの共同研究プロジェクトが走っていますが、そのひとつ「トランジション研究会」では、2010年に大学3年生だった方の追跡調査を通じて、その間に生じた移行を探究しています(東京大学と電通育英会と京都大学の共同研究です)。
トランジション研究会のメンバーは、吉村ゼミ長を筆頭に、舘野さん、高崎さん、保田さん、濱屋さん、田中さん、中原です。
「探究の中心的領域」のひとつにあげられるのが、この「内定時期」です。だって、ブルーオーシャンだから(笑)。
たとえば、ある人が組織に新たに参入するときには、リアリティショック(こんなハズじゃなかったという幻滅体験)とよばれる「ネガティブな心理的変化」を経験します。
一般に「内定時期のフォロー施策」というものは、こうしたリアリティショックを軽減することも視野にいれ、様々な施策を考えるところもあるのですが、メンバーからの現段階の分析結果によると、リアリティショックの低下は、内定時期の様々な施策とはあまり関係はないということがわかってきました。
つまり、リアリティショックは、どんな施策を実行しようが生じてしまう、ということです。であるならば、むしろ、それが起こったとき、かつ、過剰であった場合の対処の方が問題となります。
「たかがそんなことか」と思われるかもしれませんが、研究というものは、そういうものです(どうも、研究をすれば、常にアイオープナーなすごい現実が見えてくると思われる傾向がありますが、そんなことはありません)。ひとつひとつ実証データを積み重ねて、ようやく現象の実像がおぼろげながらに、わかってくるものなのです。その分析さえ、自分が思い描いていたとおりに、パパーンと綺麗に仮説が検証されることは、そうですね・・・感覚的には、100個仮説があって、1個くらいでしょうか。ていうか、ほとんどないね(泣)。
そういうトランジション中におこるひとつひとつの出来事について、実証的に研究していくことこそが、このプロジェクトの目的です。
現段階は、それぞれの出来事・要因をしらみつぶしに分析しているところで、まだまだ、自信をもって、お出しできるようなものはないのですが、メンバー一同、少しずつ、こうした研究を進めたいと思っています。
ちなみに内定時期に関しては、経営学習研究所・理事の田中潤理事が、興味深い公開研究会を企画してくださっています。2014年7月6日(日)14時から17時までです。
「内定時期をどのようにデザインするか、どのように生活するか」というテーマで、様々な話題が展開されるようです。非常に興味深いですね。こちらの方も、どうぞお楽しみに! すでに応募がはじまっておられるようですが、くれぐれもお早めに!
経営学習研究所sMALLラボ 「内定時期というトランジションを考える」
http://goo.gl/3YIkaI
そして人生は続く
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追伸.
雑誌「週刊東洋経済」(6月14日発売)に、先だって刊行させていただいた「活躍する組織人の探究 大学から起業へのトランジション」(東京大学出版会)の書評が掲載されました。福山大学の中沢孝夫先生からの御書評です。心より感謝いたします。ありがとうございました。
活躍する組織人の探究(東京大学出版会)
http://ow.ly/xOqLx
店内にあるもの全てにらくがきできるカフェバー『GINZA RAKUGAKI Café & Bar by Pentel』 2014年6月2日(月)より銀座に期間限定OPEN
http://www.pentel.co.jp/news/3642/
「店内にあるもの全て」といっても、いやいや、本当に自由にペンで落書きができるのです。テーブル、床、カーテン、トイレ、本当にどこでも(笑)。
何か「おきて」を破っているような気がして、そして「禁断のこと」をしているような気がして、最初はおそるおそるなのですが、少したつと、ガンガンと落書きしてしまうから不思議です。みな、幼い頃から、親に一度は言われたことがあるのではないでしょうか。
「ペンで、壁や家具に落書きしたらダメ!」
それを、今、破っている感覚!
嗚呼、クリエィティブ!
調子にのって、最後には、僕も落書きがとまらなくなりました。誰も落書きしていない場所ー観葉植物の鉢を見つけて、早速落書きです。かなり「悦」です。ストレスもぶっとびました。
「全くあなたの自由にしていいよ」を言われたときに起こる「心理的機制」とは、まことに面白いものです。最初は「おそるおそる」です。「自由にしていいよ」と言われると、一瞬まごつく。しかし、次第にだんだんと、自己を解放し、最後にはピカソ化する(笑)。このカフェでは、そうした心理的機制をぜひご体験ください。
結局、家族で1時間くらい落書きしまくってかえってきました。何度、帰ろうとうながしても、TAKUZOは、帰りたがりませんでした。
おすすめの場所です。子どもから大人まで愉しめるのではないでしょうか。特に、最近、アイデアに煮詰まっている?アナタ? ぶっとんで落書きしまくっていたら、よいアイデアも生まれるかもしれませんよ?(笑)。
あっ、ちなみに、かなり混んでいるようなので、予約をなさった方がいいと思います。先だっての週末は予約なしでは、入れないお客さんもいらっしゃいました。
そして人生は続く
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【Translation】
Would you like the freedom to do graffiti anywhere?! : GINZA RAKUGAKI Café & Bar by Pentel
Yesterday, we (my family) went to the café where every customer can do graffiti on the wall, furniture and all things in the shop. The café named "GINZA RAKUGAKI Café & Bar by Pentel" is open only from 2nd June to 12th July in Ginza, Tokyo. As to "all things in the shop", you can write and draw pictures on anything such as tables, walls, curtains and the toilet.
At first I felt as if I was breaking the general rule and as if I was committing a crime, and so I did graffiti very nervously. However, gradually I got accustomed to it and I painted some bold images fearlessly. I think that everyone was told by his/her mother when he/she was a child,
"Don't draw on the wall with pens!"
In this cafe, you can do graffiti on anything. I felt as if I was breaking my mother's rule! How creative!
Gradually I got carried away and I could not stop doing graffiti. I found a brown vase which no one had drawn on and I did graffiti on it! It was my canvas! How free!
I was really interested in the psychological mechanism which I felt when I was told "You can do as you like!" At first I felt a little bit nervous and embarrassed. However, as the time past, I opened myself and at last, I did graffiti as if I were Picasso! You can feel this same psychological mechanism in this creative café.
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At last, my family spent one hour doing graffiti. I told TAKUZO(my son) to come back home again and again, but he refused.
I recommend "GINZA RAKUGAKI Café & Bar by Pentel" to all people from infants to elderly people. Especially the person who has been bogged down in his / her research can enjoy it.
"GINZA RAKUGAKI Café" has been crowded in the weekend. Please make a seat reservation in advance.
Life goes on...
]]>つい先だって、市ヶ谷にあるDNP(大日本印刷株式会社)さんのショールーム?+ワークショップスペースである「ドットDNP」にお邪魔しました。
ドットDNP
http://www.dnp.co.jp/dotdnp/
ここは印刷や写真に関する、いくつかのアクティビティを体験できるスペースで、我が家は、寝相アートをやってみたり、プリクラ的写真をとってみたり、なかなか愉しく過ごすことができました。
もっともお得だな、と思ったのは、自分の好きな写真をもっていくと、6ツ切りワイドサイズに印刷してもらい、フォトパネルをつくれるコーナーでした(300円)。我が家は、白黒写真をもっていき、大きく引き延ばし、フォトパネルをつくりました。やろうと思えば自分ちでもできるけど、スチレンボード飼ってきたり、うまく切ったりするのにコツがいたりで、なかなかやりませんよね。簡単につくれて、なかなかかっこえーわ。
6月1日は写真の日ということで、フォトパネル作成イベントとして、7日までやっておられるようです。
写真の日 フォトパネル作成イベント!
http://www.dnp.co.jp/CGI/dotdnp/event/reservation/detail.cgi?seq=0000279
今週末は、どうやらお天気模様は、関東は、もひとつのようですね。そんな日には、こんな屋外の場所もいいな、ということです。
(ちなみに、2Fにはイベントスペースなどもありました。どんな活動をやっておられるのか、興味津々ですね。以前やった写真のワークショップや、雑誌づくりのワークショップなどを、こういう場所でやれると面白いですね)
【fʌ'n】第三回「写真撮影講座! 学びの魅力を伝えよう!」が終わった!
http://www.nakahara-lab.net/blog/2012/03/fn_1.html
「自分のキャリアを「小さな雑誌」にする実験的ワークショップを開催しました!
http://www.nakahara-lab.net/blog/2013/12/post_2152.html
そして人生は続く。
]]>「当社では、人材開発担当者を募集しているのですが、なかなか適任者に出会えません。先生のお知り合いで、どなたか、いい方、おりませんか?」
「うちの大学で、FD・SD(ざっくりいえば大学職員の職能開発)に関する公募をするのですが、どこかに、これぞと思う、いい方がいませんか?」
僕は、特に人材紹介が得意なわけではないので、
「そうですねぇ、いい人、見つかるとよいですね」
「いい人がいたら、僕に教えて下さいよ」
としか、なかなかお答えすることができないのですが(もちろん思いつけばご助言させていただきます)、こうしたことが、短い期間に何度か続くと、「はて、どうして、こんなにニーズがあるのに、人がいない」という事態になっているのかな、と思うときがあります。
マクロに見ると、ニーズが増えているのか減っているのか、僕にはさっぱりわかりませんが(笑)、面白いもので、そういう瞬間は、割合続くことが多いものです。
おそらく、市場としては「激烈ニッチ」なので、そこだけ人材が、ポッカリと不足しているのかもしれません。ほんとのところは知りませんけれども(笑)。
▼
もし仮に人材不足が起きているという仮説が「是」だとするならば、人材開発系の人材が不足する理由は、いくつかあるようにも感じます。
最も大きい理由は、人材開発に関する知識やスキルを体系的に獲得できる機関が不足していること。
そして、もし、そうした場所を仮に出たとしても、現行の一般的な会社のジョブローテーションの仕組みの中では、適切な実務経験を積みつづけることが難しいこと、ではないかな、と思います。
加えて、昨今でいうならば、人材開発の世界は、経営のグローバル化にともない、今後10年で、急速にグローバル化していくことが予想されます。
今でさえ外国の現地法人とのテレカンが入ったり、参加者が外国人だったりする場合も少なくなくなっているのではないでしょうか。
場合によっては、TeachingやFacilitationも英語ということがありえます。こうした外国語での人材開発経験ということになると、急速にパイが限られてきます。
たとえば、今仮に、こんな公募があるとしましょう。
人材開発に関する知識を有する資格をもっていること、また、外国人を含む人材開発経験を3年以上有すること。
これが用件になった場合(ここまで露骨なのはないかもしれませんが)、なかなか適任者を探すのは難しくないでしょうか。上記で話しているのは、そういうことです。
もうひとつだけ感じるのは、人材開発という仕事は、「自分に必ずや突き刺さってくるブーメランを投げる仕事」でもあります。
なにせ、大の大人に「学べ」「成果をだせ」というのですから。「で、そういうからには、オマエは学んでるんだろうな、成果はだしてるんだろうな」と当然ブーメランはかえってきます。必ず相手は、一挙一動を見ています。そして、値踏みしています。
そのことを、自分事として引き受け、覚悟を決め、成果をだし、しかも学び続けることは、そもそも難しい、ということも原因のひとつにあるのかもしれません。それは覚悟のいる仕事なのです(もし腹がすわらないままやれば、これほど、発話するメッセージが空虚に響くことはないでしょう?)。
▼
「人生の正午」を目前にひかえ、最近、いろいろなことを思います。
もう少し先になりそうですが、僕の次の仕事は、こうした人材供給の「仕組み作り」「モデルづくり」なのかな、とおぼろげながらに考えています。
具体的に、今、何がどうあるわけではないのですが、自分に与えられた所与の条件を、何とかかんとか、組み合わせ、やりくりしながら、「次の仕事」に取り組んでいきたいと思っています。
そして人生は続く
]]>2010年に大学3年生だった方を追跡した縦断調査で、2010年と2014年の2地点でデータの取得を行い、その間に生じた移行を探究しています。電通育英会・京都大学との共同研究です。
まだまだデータは分析のまっ最中ですが、このわずか3年程度の「移行プロセス」においては、様々な「出来事」が個人を襲います。
「就職活動」「内定」「採用」「配属」「社会化」そして「進学」。人生の大きな岐路になりうるようなイベントが、わずか3年のあいだに立て続けに起こるのです。
データを見つめていると、ふと、その移行において、多くの人々が経験したであろう出来事を、「白昼夢」のように「想像」してしまいます。
・
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嗚呼、この人達は、就職に関して、親からは、あまり支援されることはなく、さらに親は就職先に満足していないんだなぁ。
そうか、この人達は、内定者フォローを十分受けたんだな。自分の会社には誇りをもっていたんだな。
嗚呼、この人たちは就職活動の中で、いろんなことを学んだんだな。その経験が、きっと仕事の中に生きているんだろうな。
嗚呼、この人達は、大学時代にあまり友人関係を築くことができなかったんだな。会社でつとめはじめて人間関係で悩んで、辞めたんだな。
・
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・
悪い癖なのかもしれませんが、ついつい「数字」の背景に、「個々人のストーリー」を想像(妄想!?)してしまうのです。
それにしても、つくづく思うのは、「個人の努力や資質」に換言されがちな就活・就職といったイベントが、実は、「社会的に決定されている」という事実です。
もちろん「個人の努力や資質」を否定するわけでは断じてないですが、一見「個人的な選択」と思われているものが、実は、どういう社会環境で学び、どういう人間関係の中にあるかで、決定されていることに気づかされます。
端的に述べるのであれば、やはり「孤独」なのは進路選択・職業選択において、問題を生みやすいのです。アタリマエといえば、アタリマエのことなのですが。
これから分析は佳境を迎えます。データは膨大かつ複雑で、その解明には、まだまだ時間がかかるでしょう。これから数ヶ月をめどにして、いくつかの仮説を検証して、アウトプットに近づけていきたいと思っています。
そして人生は続く。
]]>「ゼミ」や「授業」を「オフィシャルで日常的な学習機会」とするならば、研究会は「アンオフィシャルで非日常の学びの機会」です。
研究会には、中原が研究指導している大学院生はおろか、OB・OG、他大学の大学院生の方々、企業につとめる方々などが、自由意思で参加し、論文を相互に購読し、ディスカッションを深めます。
そこには「ラーニングバー」的な「おもてなし」はありません(とはいえ、雰囲気は悪くはないですよ、当然ですが)。むしろ、淡々と文献を読み込み、みなで議論したり、意見しあいます。
「参加を誰にも強制されない会」ですが、逆に、参加するには、「一定の時間を英語文献の購読に責任をもってあたる覚悟」、そして「議論を行える時間を確保すること」が必要です。
また、いろいろな研究会が立ち上がりそうです。
今、中原研OBの関根さんと中原で企画しているのは、OJT研究に関する組織論の英語文献を読み合う研究会、そのままベタに「OJT研究会」です。
もうひとつは保田さん(D1)や舘野さん(OB)らが、どうやら、リーダーシップに関する研究会を企画しておられるようです。風の噂を耳にしました(笑)。
文献を読むのも楽しみなのですが、そうした研究会にひとりの参加者として参加し、多くの方々にお会いできるのも楽しみです。
そして人生は続く
]]>東京大学大学総合教育研究センターが11月から一般に無料公開するMOOC講座「インタラクティブ・ティーチング」のFacebookページができました。
インタラクティブティーチング Facebookページ
https://www.facebook.com/interactiveteaching.jp
東京大学プレスリリース:「大学教員養成講座」の一部をMOOCで無償公開
http://www.u-tokyo.ac.jp/public/public01_260327_j.html
僕が所属する部門のスタッフ、特に栗田佳代子先生、小原優貴さん、川瀬和也さん、山辺恵理子さん、吉野絵美子さんらが中心となって、これらの講座の開発を進めておられます(お疲れさまです&ありがとうございます)。
できたてホヤホヤの、このFacebookページでは、11月のオープンにイタルまで、阿鼻叫喚?の開発プロセスをご覧頂けると思います。スタッフ一同、スタジオの手配、台本の作成、編集など、非常に大忙しです。MOOCなど、それまで全く経験のないスタッフが、まさに「学び」ながら、MOOC講座を開発しています。まことにお疲れさまです。
僕は、この講座では、トークセッションとよばれるモジュールに登場します。
トークセッションでは、一流の研究者の方で、かつ、大学の教壇に立たれている方、初等中等教育の現場でインタラクティブティーチングを実践なさっている方、企業や組織で人材開発にあたっている方などを「ゲスト」にお招きし、中原と、ゆるく、しかし、それでいて、ダバダーと香ばしい香りのただよう?トークをしていきます。
(本日は本田由紀先生との対談の収録です。お忙しいところ貴重なお時間を本当にありがとうございます!)
インタラクティブ・ティーチングは、11月スタートです。8月あたりからは、gaccoにて講座登録もできるようになる予定です。皆様からの応援のお言葉をいただけたとしたら嬉しいことですし、もし興味のあう方がいらったら、ご登録をお願いできますれば幸いです。
また、Facebookでの「いいね!」「シェア」、TwitterでのRTなど、この情報の拡散に、どうぞ御協力のほどお願いいたします。
これから教える、今教える
「学びの場」を変えたい、すべての人へ
多くの方々に、このプログラムを「お届けできること」を願っています。
そして人生は続く
]]>7月27日(日)・28日に、京都大学で、毎年恒例の「大学生研究フォーラム」「高校教員のためのシンポジウム」が開催されます(京都大学/東京大学/電通育英会共催)。
今年の焦点は
「変貌する大学の入口と出口」
です。
大学を媒介にして、「高校ー大学ー企業」のトランジション(移行)に関する様々な議論を、会場ふくめて行っていきたいと思います。高校大学連携、大学生のキャリア、大学・企業の接続など、わずか1日ー2日で、最先端の情報をキャッチあっぷすることができます。
どこかで聴いたことのあるような、しかし、それでいて世界初?(いったもんがち?)の「ジグソーカンファレンス」という仕掛けで、皆さんでの議論を行います。
スピーカーの方々も、各領域のトップランナーの方々です。募集はすでにはじまっております。今年は、高校枠・大学枠・企業枠などがもうけられているため、非常に早く席がうまる可能性があります。
お申し込みはどうぞ、お早めにお願いいたします。
夏の京都でお会いしましょう!
大学生研究フォーラム2014お申し込みページ
http://www.dentsu-ikueikai.or.jp/forum/2014.html
ーーー
鈴木 寛(すずき かん)氏
東京大学 公共政策大学院 教授、
慶應義塾大学 政策メディア研究科兼総合政策学部 教授
日本の政治家、社会学者。1986年通商産業省に入省。参議院議員(2期)、文部科学副大臣を歴任した。超党派スポーツ振興議連幹事長、東京オリンピック・パラリンピック招致議連事務局長、日本ユネスコ委員など。
▼
三宅 なほみ(みやけ なほみ)氏
東京大学大学院 大学総合教育研究センター 教授
専門は認知科学、学習科学。対話など協調的な過程によって理解が深化する仕組みを解明し、その知見を教育現場に活用。一人一人が賢くなれる協調的な学習活動のデザインから実践・評価までを実践的に研究している。
▼
椋本 洋(むくもと ひろし)氏
立命館大学 理工学部 非常勤講師
2002年大阪府立住吉高校校長を退職。2002年立命館大学教授に就任。2012年定年退職。その間、立命館大学高大連携推進室副室長、接続教育センター長、大学コンソーシアム京都高大連携室室長を歴任。
▼
杉田 一真(すぎた かずま)氏
産業能率大学 経営学部 准教授
慶應義塾大学総合政策学部および同大学法学部法律学科を卒業後、同大学法学研究科修士課程を修了。戦略系コンサルティング企業を経て、2008年4月、嘉悦大学経営学部専任講師に就任。2013年4月より現職。
▼
川﨑 友嗣(かわさき ともつぐ)氏
関西大学 社会学部 教授
早稲田大学大学院文学研究科修了。日本労働研究機構研究員を経て、1997年関西大学社会学部助教授、2003年より現職。専門は職業心理学、キャリア心理学。生涯にわたるキャリア発達とその支援という枠組みで研究している。
▼
田澤 実(たざわ みのる)氏
法政大学 キャリアデザイン学部 准教授
2007年 中央大学大学院文学研究科心理学専攻博士後期課程単位取得退学。博士(心理学)。法政大学キャリアデザイン学部 助教、専任講師を経て、2013年より現職。
▼
本間 浩輔(ほんま こうすけ)氏
ヤフー株式会社 執行役員 ピープル・デベロップメント統括本部長
1968年生まれ。早大卒業後、野村総合研究所に入社。2000年スポーツナビゲーション株式会社を創業。同社のヤフーグループ入りにより、2002年ヤフーに入社。スポーツ企画部長、人事本部長を経て現職。
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美濃 啓貴(みの ひろたか)氏
株式会社インテリジェンス HITO※本部 本部長
中央大学経済学部卒、中央大学大学院戦略経営研究科修了、99年に新卒でインテリジェンス入社、人材紹介事業の現場に約10年携わった後、DODA編集長、HITO総研設立などを経て、2013年1月より現職。
※Humanity, Intelligence & Talent for Organizations
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山田 和人(やまだ かずと)氏
同志社大学 文学研究科 博士課程後期過程 教授
PBL推進支援センター長、専門は日本近世芸能・演劇の研究(文楽・歌舞伎・からくり等)、著書に『古浄瑠璃の研究と資料』、編著『豊竹座浄瑠璃集三』他多数。
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山内 祐平(やまうち ゆうへい)氏
東京大学大学院 情報学環 准教授
大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程中退後、茨城大学人文学部助教授を経て現職。博士(人間科学)。情報化社会における学習環境のデザインについてプロジェクト型の研究を展開している。
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山田 礼子(やまだ れいこ)氏
同志社大学 社会学部 教授、教育支援機構 副機構長、
学習支援・教育開発センター長
研究領域 比較高等教育、初年次教育、『学士課程教育の質保証へむけて:学生調査と初年次教育から見えてきたもの』2012年 東信堂(単著)、その他著書、論文多数
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鳥居 朋子(とりい ともこ)氏
立命館大学 教育開発推進機構 教授
名古屋大学大学院教育学研究科博士後期課程満期退学。博士(教育学)。2009年より現職。高等教育マネジメント研究の視点から、教学IRの開発および学生の学びの実態に基づく教育改善の方法を追求している。
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勝又 あずさ(かつまた あずさ)氏
成城大学 共通教育研究センター 特別任用准教授
1986年ソニー株式会社入社 商品PR、人材育成を経て2010年より成城大学にてキャリアデザイン科目を担当。学生達と企画した授業が経済産業省「社会人基礎力を育成する授業30選」に入選。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程。
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角 めぐみ(すみ めぐみ)氏
NPO法人ハナラボ 代表理事
東京女子大学、武蔵野美術大学卒。武蔵野美術大学非常勤講師。「女子学生ための就活応援サイトハナジョブ」運営。「社会課題を解決を通して女子学生のリーダーシップを育む」NPO法人ハナラボ主宰。
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溝上 慎一(みぞかみ しんいち)氏
京都大学 高等教育研究開発推進センター 教授
1996年京都大学高等教育教授システム開発センター助手、2003年同准教授を経て2014年より現職。自己形成論、青年心理学、学生の学びを中心としたFDと大学生研究を行っている。
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成田 秀夫(なりた ひでお)氏
学校法人河合塾 教育研究開発本部 開発研究職・講師
河合塾現代文講師の傍ら、大学生向けの「日本語表現講座」や「レポート作成・プレゼン講座」を開発し、大学でも教鞭をとっている。07年より経済産業省の提唱する社会人基礎力の育成と評価手法の研究開発に携わる。
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三浦 隆志(みうら たかし)氏
岡山県立玉島商業高等学校 校長
1958年生まれ。岡山操山高等学校進路指導課長、勝山高等学校教頭・副校長を経て、今年度から現職。高校生のキャリア形成、コミュニケーションによる承認構造の仕組みを研究課題にしている。
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「最後まで往生際が悪い」といえば、それまでなのですが、講演やセミナーなどで、自分が登壇するとき、登壇する1分前、まさに直前ギリギリまで、プレゼンの内容を変え続けることを実践しはじめて、もう15年以上がたちます。
場合によっては、講演最中に、たとえば参加者の方々にペアトークなどをして時間が少し空いたときにでも、プレゼンを変え続けます。ひと言でいえば、「誠に往生際が悪い」(笑)。
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でも、その場の空気感とか、参加者の方々の年齢や顔色、コミュニケーションしている様子、うなづきの様子を「見ながら」、
「ここは伝わってないな、もう一回、言葉をかえて言おう」
とか
「この内容を入れた方が、刺さるだろうな」
とか
「さっき質問してくれた人の言葉をコンテンツに入れ込んだ方が、つながりができるだろうな」
とか、そういうことを感じるのです。こういう感覚は、言葉で表現することはなかなかできません。
そうした予想が、100%あたることはないですが、比較的高い精度で、内容を更新した方が、よい結果が生まれます。
先だっても、ある会場で、用意したプレゼンの5分の1を入れ替える、ということをしました。
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さしずめ、そうした「往生際の悪いプレゼンテーション」の様子はインプロヴィゼーション(即興)に喩えることもできるのかもしれませんが、興味深いのは、プレゼンのすべてを「インプロ」でつくっているわけではなく、会場に向かうまで、自宅でプレゼンは完全に作り込んでいるのです。
いったんは、完全に、作り込む。
しかし、会場にいったら、作り込んだことはいったん忘れる。
その場の状況を見ながら、時間ぎりぎりまで作りかえ続ける。
こうしたやり方を、何と言って良いのかわかりませんが、いつか、そういうプレゼンのやり方に、名前をつけてみたいな、と思っています。
そして人生は続く
]]>実は、、、大学生が編集部員となり、大学や学術の情報を「新聞」として公刊する「大学新聞社」が、今、経営的に「重大な岐路」に立っています。
私が評議員をつとめている、「公益財団法人・東京大学新聞社」(非営利・学生新聞団体 / 林香里理事長 東京大学大学院教授)も、その例外ではなく、どうか、みなさまの応援をいただけないか、ということです。
具体的には、既存の紙メディアのクオリティアップとともに、デジタル事業を強化しつつある東京大学新聞社のTwitterや、Facebookページへの「いいね・シェア・RT・フォロー」等等などの拡散に御協力いただけませんでしょうか、というお願いです。
Facebookページ、Twitterへの「いいね」「購読」などなどで、東大のみならず、広く大学界で起こっていること、学術のニュースなどが、無料で配信され、入手することができます。
本当に朝っぱらから、お願いですみません(冷汗)。多用中、まことに恐縮ですが、なにとぞよろしく御願いいたします。どうかご検討をお願いします。
東京大学新聞社フェイスブックページ(いいねをどうかよろしく御願いします!)
https://www.facebook.com/utnp.org
東京大学新聞社 Twitter
https://twitter.com/UTNP
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東京大学新聞社は、1920年に「帝国大学新聞」として創刊、今年で95年目になります。創業当時から、編集から配信まで、大学生が主体になって取り組んでいる学生主体のメディアです。
戦前の黄金期には5万部ー6万部の部数をほこり、たとえ戦時であっても「破格ともいえるほどの言論の自由」を守り続けてきました。
編集部には、日本の政治・メディアを支えた様々な人々がかかわってきました。著名なところでは、江副浩正さん(リクルート創業者)も、東京大学新聞社に関わっていたことはよく知られています。
しかし、昨今の「新聞離れ」「ネット化」などの勢いは、一般的なマスメディアのみならず、大学新聞社をも襲っています。おそらく、このままでは、数年後には事業継続が困難になる可能性がでてきます。
そうなれば、学生の情報メディアが極端に不足している現在の大学コミュニティにとって、非常に大きな痛手となることが予想されます。実際、既に、いくつかの大学では、大学新聞社が「廃刊」を迎えています。
もちろん、こうした動きに、編集部・理事会ともに、全く手をこまねいているわけではないのですが、新規購読者の減少が続く中、何とか、イベント事業・デジタル事業など、「第二の創業期」としてリスタートをしているところです。今年3月からスタートしたデジタル版「東京大学新聞 Online」のスタートも、そのひとつの試みです。
東京大学新聞 Online(デジタル版)
http://www.utnp.org/
昨夜は定期的に開催される評議会に、中原も参加していました(評議員は完全ボランティアで、一定数、大学教員も参加しなければなりません)。
評議会では、様々な議論がなされましたが、おそらく確認されたことは、「今、そこにある危機」です。財務指標の数字の変遷から、わたしには、それが感じられました。
はからずも「船底に穴があいてしまった船」に乗りあわせている乗組員たちが、「船屋の壁の薄さや厚さ」を問題にして、議論していても、「船自体」に残された時間はそう多いわけではありません。問題は「船室の壁の厚み」ではありません。「船自体」がどうなるか、であり、安全で快適な「航路」が保たれるかどうかです。
「伝統ある老舗」とは「変わらない組織」のことではありません。「時代の風」を受けて「変わり続ける組織」が「伝統ある老舗」だと僕は思います。
このような状況でのリスタートですが、皆様の応援をどうかよろしく御願いいたします。「いいね・シェア・拡散」に御協力をお願いします。
もし、このブログをお読みの方の中に、隠れOB・OGの方がいらっしゃったら、ぜひ、応援をお願いします。また、かつて購読なさっていた方がいらっしゃいましたら、デジタル版をのぞいてみませんか?
また、東大新聞社の購読者は「東大生」がメインです。東大生にリーチなさりたい方がいらっしゃいましたら、ぜひ広告?などをご検討ください。
僕は、社会貢献としていくつかの団体の公益事業の経営にかかわることも多いのですが、いつもは、自分がかかわっている団体に対して、こういう「どストレートなお願い」をすることはありません。
しかし、「学生が主体になって行っている事業」が、消えゆくのは、教員のひとりとして非常に悲しいものです。ということで、朝っぱらから、「お願い恐縮、すみません!」という事態に、あい、なりました(笑)。
どうかみなさまの応援を、よろしく御願いいたします。
そして人生は続く
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追伸.
先日、雑誌「保育ナビ」の取材で、幼稚園・保育園の人材育成 / 人材マネジメントというテーマで、和泉短期大学の相馬靖明先生と対談させていただきました。フレーベル館の安藤恵理子さんとのお仕事です。
保育ナビ
http://www.kinder.ne.jp/navi/2014_7/
僕は保育は全くのドシロウトですが、相馬先生によりますと、今、保育園 / 幼稚園の経営課題として「人」の問題がクローズアップされているそうです。
詳しいことはよくわかりませんが、お話をお聞きしていると、1)首都圏では完全に売り手市場で、離職が常態化していること、2)1法人1施設の家族経営も多いので、マネジメントが聞きにくいこと、3)2代目の世襲問題が起きやすいこと、4)女性中心の職場で男性保育士の定着が問題になりやすいこと、5)1法人複数施設経営が広まってきており、管理職が不足していること、などなど、「人材開発・人材マネジメント」の課題のオンパレードであるように思いました(泣)。
そこに必要なのは、やはりマネジメントの発想であり、人の観点から事業を見つめ直すことなのかな、と思いつつ、興味深くお話をうかがっておりました。
最後になりますが、このような学びの機会をいただきました、和泉短期大学の相馬靖明先生、フレーベル館の安藤恵理子さんには心より感謝いたします。ありがとうございました。
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まずお邪魔したのは、新人アナウンサーの練習の場面です。
つい最近、制作部からアナウンス局に異動なさった笹川友里さんが、30年のキャリアをもつベテラン・清水大輔アナウンサーに先生になってもらい、ニュース原稿を読む場面を見学させて頂きました。
小さな小部屋の中で、新人アナウンサーの笹川さんが、ニュース原稿を読んでは、ICレコーダに記録され、その後再生。清水さんからは、「自分としてはどこが悪い」と思うか、を問われます。
「この2行(の原稿)あたりで気になるところがあったけど、どこだった自分は思う?」
実践ーモニタリングーフィードバックを繰り返す、その様子は、非常に興味深いものでした。
清水さんによりますと、アナウンサーの育成で、最も力を入れているのは、「発音すること」ではなく、「自分の耳を養うこと」だと言います。
なぜなら、アナウンサーは3ヶ月後のトレーニングを経たのちは、原則としては「自分一人で、自分の発音を直し、トレーニングを積み重ねなければならないから」だそうです。要するに「自己調整学習するための感覚器を養う」ということでしょうか。
そして、そのためには、自分の発音やアクセントを聞き取る「耳を養うこと」が大切なのだそうです。
そのことは、その後にインタビューをさせていただいた加藤シルビアさん(現・Nスタアナウンサー)も同じようなことをおっしゃっていました。
人には、それぞれに、自分には気づかない発音・アクセントの癖がある。そうした癖を自分で意識してなおすことが重要なのだそうです。
練習を積み重ねることで、自分の錯誤に気づくことのできる「耳を養う」というのは、まことに興味深いメタファです。見学・ヒアリングをご許可頂いた清水さん、笹川さん、加藤さん、本当にありがとうございました。心より感謝致します。
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その後は、人材開発部の藤田多恵さん、矢田絵里奈さんらのお招きで、「TBSテレビ新入社員研修」の最終場面、「スポットCM発表&審査会」を見学させていただきました。
TBSテレビでは、配属直前、新人研修のフィナーレとして、30秒から1分程度のビデオ制作を新人に課しているそうです。制作にあたっての成約は「撮影1日、編集1日」。今年は、「TBSのテレビで、朝が変わる」というテーマで、新人達が6人のグループになり、30秒のスポットCMをつくったそうです。この30秒のCM発表会が、全社のしかるべき方々に審査員になってもらい、先だって、開催されていました。
発表会では、
1.メッセージ力
2.インパクト
3.構成力(編集のテクニック力)
4.オリジナリティ
の4つの視点で評価がなされます。4つのグループの作品ともに面白かったのですが、僕も見ていて、「たぶん、優勝はこのグループだろうな」と思った作品が賞をとりました。
制作された、これらのCMは、社内のエレベータで流れる可能性があるのだそうです。さすがはテレビ局。
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今日はテレビ局の人材開発のお話をしました。
現場はまことに学びが多く、また、そこにいる人々の語りには、豊穣なメタファが含まれています。非常に興味深いことです。
最後になりますが、今回の取材をアレンジして頂いたTBSテレビ藤田さん、矢田さんには心より感謝致します。お二人は、かつて、僕の授業の受講生でいらっしゃいました。
帰り際、もうひとりのアラムナイであった中田奈穂子さんにもお逢いすることができました。
アラムナイの方々が、それぞれの現場で、人材開発に携わっている様子を拝見させて頂くことは、これ以上、幸せなことはございません。ありがとうございました。心より感謝致します。
そして人生は続く
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最初は、論文執筆のために必要な箇所、8章だけ(組織学習に関する章ですね)を読もうと思ったのですが、久しぶりに読み返してみると、
「おー、こんなことも言っていたのか!、なんと!」
と思うところがあまりに多く、結局、大方の章を読み返すことになってしまいました。
久しぶりに、何とか、そのような時間がとれてよかったと思っています。まさに「スルメ」のような大著です。
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ところで、大著を読んでいて、痛切に思ったことがあります。それは、「多様化・多忙化・複雑化する大学院でのゼミ運営」で、指導教員としての自分が、ついつい「古典」をやむなく、ないがしろにしていた、という事実です(1980年の本で古典とは、申し訳ない気持ちもたっぷりなのですが、敢えて、ここではそう呼称します)。
ワンワードでいうと、「これはいかんな」と少し反省しました。汗顔の至りです。
具体的にいうと、かつての中原研では、夏に合宿を行い、集中的に古典的大著をみんなで読む時間をつくっていましたが、ここ2年は、やんごとない事情で、その慣習を廃止していました。「理由に該当する正当性のある理由」はないのですが、敢えて述べるのだとすると、3つくらいの状況から、やむなく、そのような判断をとりました。
理由のひとつは「メンバーの多様化」です。
今や中原研のメンバーは、学生から社会人大学院生、そして、仕事との両立をはかっている人から子育て中の方まで、年齢含めて、非常に多様化しています。
そういう多様な方々を対象にして、いっせのせで、時間をあわせて集中的に時間をつくることが、年々、難しくなってきた、ということが、まず背景としてあります。
ふたつめの理由は「研究の複雑化」です。
最近は、定量データの取り扱い、定性的な研究手法まで、非常に分析の手法が高度化・複雑化してきており、それを「実践の中から学ぶ」ために、ゼミ生個人の研究とは別に、「研究室の研究」を任意でつくり、それに従事していく中で学ばせる手法をとっています。
研究は常に「進歩」していきます。そして、その進歩のスピードが格段に速くなっている。何とかかんとか、それにおいつくための時間を確保することが非常に年々難しくなっている印象があります。「Publish or Perish?(論文を書くか、滅亡するか?)」という言葉がありますが、とにかく早く業績をだすことが優先される風潮が高まっています。
みっつめの理由は、指導教員である僕の「多忙化」です。
かつては夏休みといいますと、比較的2ヶ月くらいは余裕があって、その間に合宿をすることは不可能ではなかったのですが、それが段々、年々と難しくなりつつあります。
何とかしなくてはならないのはわかっているのですが、現段階でも、夏・秋の休み中に、スケジュールのない土曜日・日曜日は全くない状況です。
かくして、中原研では、「古典は各人が任意で読むように」ということになったのですが、それが各メンバーにおいて、どの程度、完遂されているかは分からない状況になってしまいました。
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ところで、今回、30年以上前に書かれたショーンの大著を読んで、痛切に思ったことは、誤解を恐れずにいえば、この本は「Reflection in Action(実践の中での内省)」を扱っているだけの本ではない、ということです。
わたしたちは、ショーンといいますと、わたしの研究領域の研究者ならば「知らないでいることを許されない概念」のひとつである「Reflection in Action」を真っ先に思い浮かべますが、「古典を読まないことで失われるがち」なのは、この概念が出てくるまでの「歴史的文脈」と「理論的文脈」なのです。
たとえば、「Reflection in Action」を知っている人の中でも、この概念の依拠する「歴史的文脈」と「理論的文脈」をご存じの方はどの程度いらっしゃるでしょうか?
原典をお読みの多くの方は、もちろん、ご存じの方も多いのだと思うのですけれども、ともすれば、そうした「歴史的文脈」と「理論的文脈」が滑落して、著名な概念である「Reflection in Action」だけが独り歩きしてしまいがちです。
・ショーンは、もともとデューイの「探究」概念を用いて、意思決定に関する研究をしていた
・ショーンは大学に来る前、長い間、NPOや組織において、組織革新に関するコンサルテーションや調査をしていた
・ショーンが大学にうつってから、専門職養成のカリキュラムの編成に苦労し、その中から「専門職」について考えることになったと思われる
・「Reflection in Action」の着想を論じるデータとなったものに関しては、「建築家・デザイナーの会話記録」「精神分析の会話記録」「工学教育の学生協働プロジェクトのデータ」「ビジネスにおけるマネジャーの思考プロセス」「トランジスタ研究開発の会話記録」「都市開発の建設計画における専門家の会話記録」などがある。決して「教師」や「医師」の意思決定を扱うだけのモデルとして、「Reflection in Action」が着想されたのではない。
・ショーンが「Reflection in Action」において常に意識していたのは、「組織学習」に関する問題であった。つまり、組織 × 専門職 × 意思決定の交差する場所に、「Reflection in Action」があった。
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などなど。
こうして考えてみると、ショーンが提示した「Reflection in Action」という概念も、より立体的に見えてはきませんか。やはり、古典的大著をしっかり読まなくてはダメなのだ、と痛感しました。あたりまえのことではありますが。
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R.ローティなどを引用しながら、ポスト近代における大学の理念と存在意義の消失の問題を論じたのは、去年まで、同じ部門で働いていた元・同僚の藤本夕衣さん(現・慶應大学)です(「古典を失った大学―近代性の危機と教養の行方」というご著書があります)。
彼女がそのような主張を、ごくごく身近でしていながら(泣!)、ついつい、いろいろな理由で、古典をよむ機会をやむなく失わせていたことを、反省しています。
問題はどのように、その時間をつくるか、です。
もう一度、初心に戻って、考え直してみたいと思っています。
そして人生は続く
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