イベントをつくるとは「問いを決めること」である!?

 イベントをつくるとは「問い」を決めることです。

 もう少し具体的にいうと、イベントをつくるときに、最も大切なことは「聴衆を揺さぶるようなひとつの問い」を決めて、それらを確実に導くことです。
 これが僕が最も心がけていることであり、これ以上のものも、これ以下のものもありません。

 もちろん、イベントといっても、いろいろなものがあります。
 中には「ゆるゆるとした交流や親交」を旨としたものもありましょうし、そもそも「問い」など必要のないものもありましょう。
 しかし、自分が主に関係するラーニング系のイベントでは、「問い」このことにこだわりたいと思います。

  ▼

 より具体的には「問い」を構成する下記のようなそれぞれの要素を決めることです。

【重要ポイント1:宛先性】
誰に伝え、問いかけるのか? 問いやメッセージの宛先性はあるか?

【重要ポイント2:ワクワク度】
「問い」は、社会的に重要で有り、かつ、常識にとらわれていないものであるか。そもそも、ワクワクするか?

【重要ポイント3:プログラム配列】
当日のプログラムは、この「問いに対する思考」を導くように配列されているか? 登壇者の「登壇の理由」が「問い」に位置付いているかどうか。

 逆に申しますと、これらをすべてひっくりかえせば、「あまりよろしくない場」をつくることができます(笑)。

1.誰に来て、考えてほしいんだか、練られていない。登壇する側も、主催者側も、誰に語っているんだかわからない

2.問いや「主催者なりの思い」が紋切り型である。あんまりワクワクしない。あるいは、問いが漠然としているので、重要性がわからない

3.当日のプログラムが問いに対して収斂していないので、バラバラ感がある。なぜ、この「問い」なのに、「この登壇者」が選ばれているのかがわからない

 皆さんも経験あるでしょう?
 内容が漠然としていつつ、かつ、紋切り型で、「登壇者がなぜ登壇させられているのか、わからないこと」を、公衆の面前で思わずつぶやいちゃうような場を!

  ▼

 一般に、イベント開催というのは、やれ登壇者を手配する、とか、場のしつらえをどうする、とか、受付ロジ周りをどうする、とか、そういうことのように思われています。

 しかし、少なくとも僕の感覚では、それは違います。むしろ、イベントをつくるとは「問いを決めること」です。 そして、言うまでもないことですが、ワクワク感を感じるような「問いをつくる」ためには、「イベントで扱う知識領域」に関して、主催者自身がじっくり勉強し、自分たちの頭で「考えること」「学ぶこと」です。
 自分で考え、設定した問いに対して、登壇者や当日のプログラム要素を配列します。あくまで、イベントのイニシアチブやオーナーシップは、常に主催者側が持っていなければなりません。僕はそう思います。

  ▼

 だから、イベントをつくるとは「学ぶこと」でもあるのです。
 自戒をこめて、主催者自らが「学ぶこと」のできる場を、今後も生み出していきたいと思います。
 もしかしたら、これは不遜な言い方かもしれませんが、イベントそれ自体は、主催者側の学びの「おすそわけ」くらいに思っていると、成功するのかもしれないな、とも思います。

 そして人生は続く。 

 ーーー

追伸.
 昔、こんなことも書きましたね。

パネルディスカッションの5つのトホホ文法 : 尻切れトンボ、みんな違ってみんないい、オレオレ質疑、過剰プロレス、リンダ困っちゃう!?
http://www.nakahara-lab.net/2012/08/post_1879.html

 ーーー

追伸.
 浜屋祐子さん(中原研・M1)が個人のWebページをおつくりになったようです。祝! 浜屋さんは「仕事と家庭のポジティブな関係」を研究なさっています。

 近日、下記のようなイベントも主催なさっています。大学生の皆様、どうぞお越し下さい!

hamaya-lab.net
http://www.hamaya-lab.com/

仕事と家庭の両立を考えるワークショップ:「社会人カタログ」から「等身大のヒント」を探せ!(2014年11月15日開催)
http://www.nakahara-lab.net/blog/2014/10/post_2283.html

 ーーー

追伸3.
いよいよ明日水曜日・午後7時ですね。UST配信決定!「リフレクションの理論と実践」: マネジャー育成、看護教育、教師教育の関係者がゆるっと語るリフレクティブトークセッション!?:10月15日午後7時 ON AIR 皆さんお楽しみに!

UST配信決定!「リフレクションの理論と実践」
http://www.nakahara-lab.net/blog/2014/09/