そもそも「コラボレーション」とは何か? : 「みんな仲良くモデル」と「インプロヴィゼーションモデル」

 先日、三宅なほみ先生の科研会議がありました。この科研の先生方は、それぞれに素晴らしい知的探究をなさっている方々で、小生、あまり貢献ができていないのですが、せっかく、お声がけいただき、「研究の末席」に加えて頂きましたので、これを機会にいろんなことを「学ぼう」と、毎回、密かに会議を愉しみにしています。

 ところで、先日の会議では、「コラボレーションとは何か?」ということが話題になりました。
 静岡大学の大島先生、東京大学の三宅先生からの問題提起だったと思うのですが、「コラボレーションとは何か?」という質問を大学生に投げかけると、ほとんどの人々が「みんなが等しく貢献すること」と答えてしまうのだそうです。

 少しだけ想像力をふくらまして考えてみると、「同じような能力をもった個人が、同じ目的をめざして、同じように貢献すること」がコラボレーションだと考えてしまいがち、だということです。ひと言でいうと、「みんな仲良く、力をあわせよう!」のイメージかもしれませんね。

 もちろん、人生いろいろ、コラボレーションもいろいろですから、そういうコラボレーションだってあるんでしょう。
 でも、会議では、「コラボレーションのイメージを変えないといけないね」、むしろ「実際のコラボレーションとはもっとダイナミックだよね」、という話で盛り上がっていました。

 コラボレーションとは、むしろ、

 多様な能力をもった人々が 
 それぞれの目的や思惑はもちつつ
 それぞれの能力・思惑にしたがった「貢献」を行い
 自分自身が変わること

 と考えられるのではないか、という話がでていました。ちょっと僕の意訳が入っているかもしれませんが、非常に興味深いですね。
 どちらの場合でも、コラボレーションというからには、組織・集団レベルの目標は達成するのです。でも、このふたつには、そのプロセスに違いがありそうです。
 
 この考えには、僕も共感できます。なぜなら、「同じ能力・専門性」を持ち寄るのなら、コラボレーションする意味がないからです。むしろ、「自分とは異質な人々」と組んだり、巻き込んだりして、「独力では成し遂げられないこと」「独力ではなしとげられない付加価値をつくること」が、コラボレーションの醍醐味でしょう。 

 こうして考えてみると、コラボレーションとは、とっても「リスキー」で、「抜きさしならない」ものに見えてきませんか。おらおら、油断してると、刺されるぞ、みたいな(意味不明)。むしろ、それは、ジャズのインプロヴィゼーション(即興演奏)に近いですね。

 「みんな仲良くモデル」と「インプロヴィゼーションモデル」
 あなたにとって「コラボレーション」とは何ですか?

追伸.
 この日は、文部科学省で開催された研究会で講演するため、科研会議を残念ながら中座させていただきました。研究会の方では、「経営学習論の観点から、初任教員の育成を考える」というテーマで2時間の講演+ディスカッションをさせていただきました。この話題は、また今度。

研究会では、局長・審議官の方々、若手官僚の方々から非常に鋭い質問を多々頂きました。ありがとうございました。会をオーガイズしていただいた国立教育政策研究所の千々布先生に感謝いたします。また、横浜市教育委員会の方、脇本君、吉村さんにも、この場を借りて御礼いたします。ありがとうございました。

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■2012/02/25 Twitter

  • 23:11  もう一個で終わるんだけど、もう、今日は分析やめよう。なんか、のらないねぇ。明日また日は昇る。
  • 18:32  TAKUZO、明日はプール進級テスト。ここ半年連敗中なので、やむなく前日特訓です。このクソ寒いのに、なんで、プールなんだか、、、トホホ。
  • 14:18  TAKUZOピアノ発表会終了。研究室に忘れ物を取りにいく。
  • 10:23  ブログ更新。コンテンツは「呼び水」として使う。反転された「学び」の可能性: http://t.co/H3W7RB1b
  • 09:26  まさか、今日、研究室に寄ってから、ワークショップコレクションに来る、中原研・大学院生さんとか、いないよね。まさかね〔泣〕。
  • 08:53  今日はワークショップコレクションですね。知り合いの方々が頑張っている様子。ひょっこり現れることにします >RT @tomokihirano 2/25-26 ワークショップコレクション!僕らは「ロボットと一緒にアートを見よう!」を出展 http://t.co/M0Byaggj  [in reply to tomokihirano]
  • 08:49  確かに。名言ですね>RT @k0150 「いい飲み会と、いい勉強会は、区別がつかない」なるほど。#linron  [in reply to k0150]
  • 00:31  リサーチラボノートというのがあるんだ。改ざん防止パターンも入ってる。>コクヨ「リサーチラボノート」 http://t.co/hLqoGhol
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投稿者 jun : 2012年2月26日 10:42


コンテンツは「呼び水」として使う:反転された「学び」の可能性

 研究室の春合宿・俗称「EnCamp(エンキャンプ)」が来週に迫っています。参加者は研究室内外の37名の方々。単に本を読むだけでなく、参加者の方々の有志が、それぞれに分かれて、ワークショップらしきセッションをするのが特徴です。

 中原研からは、1)実践を「研究」にするための手法(単一事例実験デザイン・アクションリサーチ、エスノグラフィー)、2)ワークショップなどを支える理論、3)学びのビジョン2012を出す予定です。各グループ、それぞれに面白いライブセッションを考えてくれているようです。

 各セッションにおいて、素晴らしい「スペクタコー(spectacle)」を体験できることでしょう。とても楽しみです。


  ▼

 今回の合宿の準備において、非常に印象的だったことがあります。それは、舘野君、福山君、木村君、木村さん達のグループが、自分たちのセッションの「事前の予習」を「簡単なYoutubeビデオ」にまとめて、それをネットにアップしておられたことです。

 当日のセッションに必要な知識の獲得は「ビデオ教材」にしちゃって、ネットで各自、自宅で見ておく。当日のリアルタイムセッションにおいては、時間をかけて濃密なインタラクションを愉しむ。
 いわゆる反転授業(The Flipped Classroom)に似た考え方かもしれませんね。反転授業については、山内祐平先生の解説がわかりやすいので、どうぞご覧下さい。

反転授業
http://blog.iii.u-tokyo.ac.jp/ylab/2011/11/post_343.html

 で、新しもの好きの小生も、舘野君の「二番煎」で、やり方を教えてもらってコンテンツをつくりました。

 今回の合宿では、様々な社会的背景をもつ方々が参加なさいますので、基礎知識は、あらかじめ学んできてもらおうと思って、「The history of learning science」という15分のコンテンツをつくることにしたのです。 15分て・・・ナメてるよね。ごめんなさい。でも、合宿の頭出しにはちょうどよいものだと思っています。

  ▼

 これがね、今は簡単だね、コンテンツつくるのなんて、誰でも、ハナ●ソほじってでも、出来る。舘野君に電話で教えてもらって、すぐできちゃいました。ちょいちょいとつくって、Facebookページにアップロードして終了。本当に30分です。

 方法は、下記です。本格的なコンテンツはできないけど、そこそこ見られるものは、Macの自分のPCだけでつくれてしまいます。

1.Snapz proという動画スクリーンキャプチャソフトを入れる

2.もし自分の顔もいれた場合は、スクリーンの右手に、Macで標準でついてるPhoto Boothとかを表示して、出しておく。スクリーンには、プレゼンテーションソフトを立ち上げておく

3.スクリーン全体をSnapz proで動画キャプチャーする。プレゼンを開始。音声は、Snapz proが、すべて録音してくれる

4.プレゼンが終わったら、それを動画ファイルとして書き出す。15分程度で30メガ。それをYoutubeにおくって終了。動画コンテンツのできあがり。

 いやー、つくづく簡単だな、と思いました。

 昔は、オーサリングソフトだの、なんだの、「技術」を知らないと、なかなかコンテンツができなかったけど、今だと30分で動画教材ができちゃう。
 そりゃ、標準化だの、なんだのに対応したものはできないかもしれないけど、今、一般の人々にとって、一番見るのが簡単で、一番慣れているプラットフォームは、Youtubeでしょう。これで十分。

 逆にいうと、「誰でもコンテンツをつくることができる」ということは、「コンテンツそれ自体には、価値があまりない」ということを意味するような気もします。

 むしろ、コンテンツは「呼び水」である。
 あくまで「呼び水」なのだから、その開発には、コストをかけない。

 そして、「呼び水」をきっかけに、いかに濃密で、いかに有意義で、贅沢でリアルでアナログな「学びの時間」を過ごすことができるのか、を問う。そのことの実現に、逆にコストをかける。

 というわけで、対面のインタラクションをいかに濃密にするか、というファシリテーションのクオリティが問われることになります。また、同時に、その場をいかに主体的に過ごすことができるか、という参加者のリテラシーや卒意についても、問われることになるのですね。

 面白い時代ですね。
 デジタルが高度に発達すればするほど、アナログが価値をもつなんてね。
 アイロニーだねぇ。

 そして人生は続く。

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■2012/02/24 Twitter

  • 13:12  面白そうですね。RT @tfujimt: 3月15日(木)に東京大学本郷キャンパスで「優れたデザインが生み出すデジタルゲームの楽しさ」をテーマにセミナーを開催します。参加申込はこちら: http://t.co/3p9VkHZ5
  • 11:03  教養学部・学際科学科・総合情報学コース会議: http://t.co/0TL2iFcx
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■2012/02/23 Twitter

  • 23:20  橋本さん、メルティ・アクティビティ担当してよ、どっかで、よろしくRT @fumituki85 EnCampでもメルティを! RT @satoshi_hashimo: アイスブレイクを超え、参加者同士が、あたかも10数年の親友であったかのように感じることをメルティと呼んでいます。  [in reply to fumituki85]
  • 17:20  ほほー>2011年「日本の広告費」、2.3%減の5兆7096億円。後半に出稿回復。テレビスポット微増、ネット広告4.1%増、衛星メディアは2ケタ増(アドタイ): http://t.co/S42BV0h9
  • 16:40  長期間たつと「講義」で聞いたことは、ほとんど記憶されない。プロジェクト学習にすると、まだマシになる。これは、学習科学の多くの再生研究の知見が支持している仮説。「人間は、そもそも長期間、記憶し再生できるように創られていないのでは」という議論が盛り上がった。三宅なほみ先生科研会議。
  • 16:01  三宅なほみ先生科研。白水先生、神田先生、三宅先生、大島先生らと、今年度の研究と来年度の研究計画について議論。三宅先生から我々の実験計画にコメントを頂いた。とても勉強になりました。
  • 13:11  greenz.jpさんのWorkshopは、一度伺わせていただきたいな、と思っています。RT @ariysk greenz.jp の #gsTokyo がよかったですよぉ。 RT 「ゆるい学びの場」考 http://t.co/rJOGZcTI  [in reply to ariysk]
  • 07:36  高尾隆・中原淳(新刊)「インプロする組織」カバー決定までの試行錯誤>どみんごブログ(高尾隆君のブログ): http://t.co/3cFB8D1y
  • 07:32  人事的課題に>「65歳以降も仕事を続けたい」60~64歳の半数超、社会と接点求める。「70歳以降も仕事をしたい」28%(厚労省調査・中高年縦断調査:日経)
  • 07:30  円高・国内人口減少・新興国市場拡大を背景に>海外の企業買収は「増える」87%、実務担当者調査、レコフ調べ。特に、医薬品、食料品、小売りといった内需系業種の海外M&Aが活発化(日経)
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■2012/02/22 Twitter

  • 23:30  笑える!@YumiWagatsuma: しんくろ...! RT @tomokihirano 能動的受動性、ちょうど昨日 @YumiWagatsuma もブログを書いていた。「active audience」と「場作り」に関する一考察。 http://t.co/wVQ2pIPX"
  • 19:01  これ、面白そう。見つけた。録画予約>NHKクローズアップ現代「永遠の映画少年 スピルバーグ ~創造の秘密を語る~」: http://t.co/KMCx8K7j
  • 18:20  ブログ更新。「ゆるい場」をつくりだすにはどうすればいいのか?:仕掛けない仕掛け、介入しない介入...形容矛盾の世界へようこそ!: http://t.co/rJOGZcTI
  • 14:53  MCC「ラーニングイノベーション論」Class of 2012、プログラム確定!めでたい&感謝。
  • 13:42  こちらこそ大変勉強になりました。感謝です。素晴らしい情報発信に今後も愉しみにしております!@sachi_ade: コメント有難うございます!RT オーストラリアにおける一般看護師の役割と教育体制:小山幸子さん http://t.co/t3UwtPun
  • 12:38  Tweetする幼児。どういう大人になるんだろう。RT @yuuhey: 書くことを学ぶ前にTweetする幼児が出現。書き言葉の習得方法に変革が必要か http://t.co/USYGKdjN
  • 12:33  新鮮だ!知的刺激にあふれるセッションを期待します!@tatthiy: 今回の中原研春合宿。僕たちの班は、あらたな試みとして、当日のセッションの予習となるムービーを事前につくって公開しようとしています!新しいことをやるのは楽しいです。
  • 07:29  「卒後の継続教育」の重要性。勉強になりました>オーストラリアにおける一般看護師の役割と教育体制:小山幸子さん http://t.co/t3UwtPun
  • 07:08  ギャップタームに学籍を付与するか、否か。動向注視>春に入学、授業は秋から 一橋大が独自案検討。高校卒業から秋までの期間(ギャップターム)の教育に大学が責任を持ち、無為に過ごさせないなどの利点(日経)
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■2012/02/21 Twitter

  • 22:32  そうだよなぁ>「人生は要約できない。要約した時に抜け落ちる部分こそが、その人の人生なのだ」(伊坂幸太郎)
  • 17:20  ハッカソン(Hackathon)、愉しそう。みんなで一緒にソフトウェアをハックしまくって楽しみ、最後に開発したアプリケーションやサービスを参加者全員の前でプレゼンするお祭りイベント(@k0150さんにFBで教えてもらった、感謝!)。 http://t.co/5pg1SKUV
  • 05:49  値段はどうするんだろう>講談社、全ての新刊の電子書籍化が可能に 6月から。紙の本を作る際、著者の許可を得て、電子書籍向けの電子データを同時につくる(asahi): http://t.co/tSP8v3pJ
  • 00:16  ソサエティーシステム興味深い:学年を縦割りにしたグループを組織し、個々の学生を総合的に支援する仕組み>岩手医大が歯学部改革 米ハーバード大と提携(岩手日報): http://t.co/U0zFsBef
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■2012/02/20 Twitter

  • 16:38  【トークセッション】岡部大介(東京都市大学) 、長岡健(法政大学)、水越伸(東京大学)、中原淳(東京大学) 、染川香澄(ハンズオンプランニング)#katte2umesao http://t.co/4U9c38wC
  • 14:14  「フィールドノーツ研究会」UST中継中です。ウメサオタダオ展をご覧になった皆さんが、情報カードを持ち寄って、対話を行います。トークセッションもございます。 http://t.co/tWZpTAZR
  • 12:58  会場設営中。 http://t.co/EK5XBlYU
  • 10:44  本日、勝手にウメサオタダオ研。短い言葉だけど、ぐっとくる。Open system...閉じないこと! http://t.co/mSQZtC5M
  • 06:40  3月30日・31日(どちらか個人で選択)、中原研D3の島田さんの研究「外国人留学生の日本企業への組織適応研究」の成果報告ワークショップを開催させていただきます。お待たせしました!島田さんからご連絡差し上げます。 http://t.co/1e0yp0Nu
  • 06:22  確かに RT @sakamotta 向後先生にとっての「いいワークショップ」とは。子どもにとっては、ソーシャルな関わり合いの中で精神的な大人になる経験ができるWS。大人にとっては、文化に汚された自分が子どもに帰れるようなWS。
  • 06:22  なるほど RT @tomokihirano: ワークショップには教科書がない。目標がない。テストがない。個別化がない。学校教育とは正反対である。よって、学校の先生にはワークショップは難しい(向後先生)...はっきりおっしゃいますね(笑)
  • 06:17  外国人留学生の組織適応・革新行動が興味深い>外国人留学生、就活での採用広がり:ソニー、13年度、新卒採用の3割を外国人。味の素は一割。イオンは20年に本社社員の半分を外国人に(日経)
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■2012/02/19 Twitter

  • 10:43  RT @syasuak 保育所の実習記録もそう @Melodie_Rita 語学の学習も @MotoNesu つづけよー @TanakalaJunko 新入社員が同じ質問をする RT「書くためには書き続けること」 http://t.co/CUxIRqKO
  • 10:40  TAKUZOプール教室。来週木曜日のプレゼンづくり。国立教育政策研究所・千々布敏弥先生の研究会で、「初任教師の育成」について、経営学習論の観点からプレゼンします。文部科学省に伺います。
  • 07:37  ブログ更新。"文章を書くこと"に関して学生さんから質問を受けました。「書くためには、書き続けることである」: http://t.co/CUxIRqKO
  • 06:37  朝の執筆タイム終了。さて、二番寝するか。我が家の「仮面ライダー」が起きてくる前に。
  • 04:53  Toon paintという画像加工アプリが、なかなかよい。写真を手書きイラストに加工できる機能から我が家で流行ってます。 http://t.co/93TChXea
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投稿者 jun : 2012年2月25日 10:15


「ゆるい学びの場」をつくりだすにはどうすればいいのか?:「仕掛けない仕掛け」「介入しない介入」の話

 "かっちり"やるんじゃなくて、"ゆるい学びの場"をつくりたいんです。

 仕事柄でしょうか、よくワークショップ・研修・セミナーなどを企画する方々から、こんな御相談を受けます。なるほど、「ゆるい学びの場」ですか。具体的にはどんな「場」のことを指していますか、とお聞きすると、だいたい、こんな感じです。

 1.決まり切ったコンテンツを学ぶのではなく、
 2.参加者が、自然とリラックスした雰囲気の中で
 3.自発的に双方向に発言し
 4.でも、おのずから、深い理解にそれぞれが到達できる機会

 時代の変化は激しいですね。僕が、人材開発の領域で研究を始めた頃 - 10年弱くらい前 - は、誰もそんなことをいう人はいませんでした。その頃は、いかに「キチン」と、「かっちり」教えるかについての技術は聞かれることはあっても、「ゆるい」というキーワードがでてくることはありませんでした。とても興味深いですね。

 しかし、この「ゆるい場」というのは、ハードルが高いことが多いですね。僕の感覚でいえば、「きっちりやること」の方が、2倍くらい楽なくらいです。そのハードルは、めちゃくちゃ高いというわけではないけれど、決して低くない。あまり経験のない方がや安易にやると、ヤケドをしてしまいます。あちち、あち(笑)。

 もちろん、1から4までのコンセプトを、学習者全員が心の底からよく理解していて、自然と自発的に相互に交流できるのであれば、「ゆるさ」は、彼らの努力によって、実現可能です。おそらく、同じような思想・趣味・関心をもっている方が、自発的に参加しているような場であれば、その実現可能性は格段にあがります。

 しかし、多くの場合は「学びの場」は、そうではありません。
 学習者は、いつだって多様で、かつ個別的なのです。また多くの場合は、自発的に参加する学習者に恵まれることは、そう多くはありません。

 そういう現実において、「ゆるい場」を実現しようとして、学習者があっちゃこっちゃ勝手なことをしだして、さらには集団規範が崩壊し、「だらだら」「ぐずぐず」になってしまうことが、ままあります。かくいう僕も、何度も失敗してきました。

 何にもしないで、ダラダラになっちゃう。さりとて、関与しすぎて、やらされ感漂う。こういう失敗を何度も何度も繰り返してきました。

   ▼

 おそらく、「美味しんぼ」の海原雄山的セリフで言うのだとすると、めざすべきは、こういう状況なのです。

 この場は「きっちり」「かっちり」でもなければ、しかし、「だらだら」「ぐずぐず」でもない。みんなが、積極的に場に参加・貢献しつつ、しかも、それでいて、一切の"押しつけられ感"がない。シロウ、まだわからんのか、シロウ。

 上記のような状況をつくりだしたいときは、僕個人としては、逆に、「きっちり」「かっちり」やるときよりも、様々に準備を施し、仕掛けて、介入することが必要になると思っています。
 直接的ではなく、間接的に、人々の意識・行動・認知をゆるやかに統制づけるような仕掛け、働きかけ、が。 

 ここにこそ「難しさの根源」があります。「ゆるい場」とは「仕掛けられることによって実現しない場」であり、「介入されることを拒否する場」であるからです。だからこそ、「直接的」に働きかけるのではなく、「間接的」にそれをなさなければならない。

 学習者が、自分たちで語りだし、自分たちで意味づけ、自分たちで気づくような場を、直接的ではなく、間接的につくりだす必要があるのです。そして、ここにこそ「学びをつくりだす知性」が問われます。

(ちなみに、場がゆるければ、ゆるいほど、その場のロジスティクスはしっかりとする必要があります。それは最低の条件です)

 畢竟、「ゆるさ」の実現とは、「仕掛けない仕掛け」「介入しない介入」なのです。
 そこには、かつて、哲学者の鷲田清一さんが表現した「能動的受動」という言葉、あるいは、社会学者のゴフマンが主張した「聴くことの積極性」に通じるものがあるように、僕には感じられます。一見「受動的であるもの」「直接何かをしないと思われるもの」であるほど、「積極的な呈示」によって達成されるという意味です。

 「ゆるい場」を実現するという理念の背後には、そんな形容矛盾(オキシモロン)的な世界を引き受ける、ということです。それは「何もしないこと」ではありません。「何もしないということで、何かをする」ことなのです。

 うーん、今日は、「禅問答」になっちゃいました。
 わけわかんなくて、ごめんなさい(笑)。

 また今度、時間があるときに書かせてください。
 そろそろ、TAKUZOの保育園迎えにいかなくてはならないのです。

 そして人生は続く。
 
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追伸.
 この数ヶ月、精神的にも、体力的にも、肉体的にも、知性的にも、何とか的にも、「綱渡り」をしてきました。研究的にやらなくてはならないことが重なっていることと、ここには書けませんが、学内の業務も、まさに佳境に入っているのです。今後、ますます加速することが予測されます。いやー、ガクブルですな(笑)。

 でも、研究成果としては、何とか、少しずつ、皆様に成果をお届けできそうです。

 第一に、高尾隆さんとの共著「インプロする組織 - 予定調和を超え、日常を揺さぶる」は完成しました。カバーは下記の通りです。実は、このカバーのヒモの部分、すべてとして同じ模様はありません。「予定調和を超える」という本書のテーマ通り、すべての本の模様が変化しているのです。編集者の石戸谷さんのこだわりです。高尾君、編集者の石戸谷さん、お疲れ様でした。誠に嬉しいことです。3月に配本の予定です。

IMG_6385.jpg

 第二に、日本生産性本部×東大大学院 中原研の大学院生との共同研究の論文を収録した「職場学習の探究」はカバーができ、校了まで1週間です。こちらはガチプロ向けの研究論文集です。関係者のみなさま、お疲れ様でした。生産性出版・編集者の深谷さん、最後まで伴走をありがとうございます。3月21日あたりに配本の予定です。3月19日には、出版を記念して、イベントが開催されます。

twitter.jpg

人材育成の未来をACTする
http://www.nakahara-lab.net/blog/2012/01/act_319.html

 第三に、苅宿俊文先生、高木光太郎先生、佐伯胖先生らの編著「学び学」(東京大学出版会)に小生も一章書いておるのですが、そのゲラがかえってきました。こちらは、何とか今月中にお返ししたいです。

 最後に、この一年取り組んでいた単著「経営学習論」(東京大学出版会)の草稿が、もう少しであがります。こちらは、経営と学習の研究領域を研究したいという大学院生向けのテキストです。
 東大出版会の編集者の木村素明さんに伴走されながら、何とかここまでたどり着きました。ありがとうございます。こちらはうまくいけば・・・の話ですが、8月に出版の予定です。ここから一ヶ月は、「グローバルな人材育成のあり方」に関する調査結果を分析しながら、最終章を書きます。

 今年は「待ったなし」で爆走します。

投稿者 jun : 2012年2月22日 18:12


書くためには、書き続けること!?

「どのようにしたら、文章が書けるのでしょうか?」

 こういう質問を、よく学生さんから、受けることがあります。 

 小生、しょーもないネタでブログを書いていたり、一応、論文・専門書を書くこともありますので、きっと、そういうご質問をいただくのだと思います。

 うーん、そうだねぇ。。。難しいねぇ。

 僕は、文章は全然うまくないですし、ライティングの専門家ではないので、助言者として適当だとは1ミリも思わないのですが、ひとつだけ「非専門家的なアドバイス」をするのだとすると、こうでしょうか。

「書くためには、書き続けることだ」

  ▼

 は、なんじゃ、そら?

 と「ハニワ顔」になっている方も多々いらっしゃると思うのですが、すみません、僕にとっては、そのくらいしか、アドバイスがありません(笑)。

 でもね、実感としては、こうなんです。

「書くためには書き続ける」

 もう少し言葉を補うと、「どんなものであってもよいので、書き続けてさえいれば、いざ書く段には、スラスラと書けるようになっていくよ」ということです。
 逆にいうと、「書き続けていないと、なかなか言葉やセンテンスが浮かばず、いざ書こうと思っても、苦労するよ」ということです。

 たとえば、今、あなたが、仮に、論文を書かなければならないといたします。日々、あなたが、何か短いものでも書き物をしていれば、最初の書き出し、接続詞の選択などで、そうでない場合に比べて、あまり悩まないのです。少なくとも僕はそうです。

 しかし、少し、そうだな、一ヶ月くらい、書き物から遠ざかっていたとします。そうすると、一番最初にかかる負荷が、とてつもなく大きい。なかなか筆が進まない事態が生まれます。

 僕はこれを「初動回転理論」と呼んでいます。
 どんなものでも、継続(回転)さえしていれば「初動回転に必要な力」は少なくて済む。
 しかし、いったん、辞めてしまうと、こりゃ大変。「そろそろ始めますかいのー」と思っても、初動回転に必要な力は、とてつもなく大きい(大きく感じる)。

 実は、これ、TAKUZOの自転車の練習を見ていて、思いついたんですけれどもね。ペダルをなかなか安定的に「こぐ」ことができず、なかなか前に進まない様子を、イライラと見ていてね。

「オマエ、もう、プール教室に遅れるっちゅうねん」と思いながら、初動回転理論を思いつきました。

「TAKUZO、ペダルから足を離すな、力を抜くな。いったん、止まると、最初に、ペダルを踏み出す初動は、大きいぞ」


  ▼

 小生は、小学生の頃から、文章を書くのがとても苦手で、いつも、作文が嫌でした。「ウソでしょ」と言われるかもしれないけど、これ、本当のことです。

 小学生の絵日記の文章なんか、いつも「今日は、味噌汁飲みました。おいしかったです」くらいしか書けませんでした(笑)。国語の点数はそれほど悪くはなかったですが、とにかく作文が嫌いでした。

 だけれど、大学になったくらいからでしょうか、様々な小説やら論文やらを読むようになって、自分も「書くように」なった。

 僕が、大学に入った当時は、ちょうど、インターネットが出てきた頃で、学部時代の僕は、授業にあまり行かず、学部一年生・二年生のほとんどを、駒場の情報処理南棟(パソコンがたくさんあるとこ)で、Webをつくることに費やしました。

 タイトルは忘れちゃったけど、たぶん「ナカハラ王国」みたいな、よくわかんないWebをつくっていた(笑)。そこに日記を書いたり、記事書いたりして遊んでた。

 そしたら、不思議なことに、だんだんと書けるようになってきたのです。「ナカハラ王国」にあるような、フザけたコンテンツだけど、書き続ければ、書けるようになる。以前よりも、スラスラ、言葉やセンテンスがでてくる。

 書き続けていれば、自然と「読者」も生まれる。こうなったら、しめたもの。「読んでくれる誰かのために、書き続け、書き続けるから書けるようになる」という可能性が開かれます。

 というわけで、「書くためには、書き続けること」です。できるならば、おすすめは、「信頼できる他者のまなざし」の届く場所で。

 この答え、最初の問いの「答え」として「適当」であるとは1ミリも思わないけど、僕はそう思います。まぁ、これは「書くこと」だけにあてはまるわけではないと思うけど。

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■2012/02/18 Twitter

  • 18:45  同感 RT @sanu22 同じ研究室の古田くんの良エントリ。Elmoreの指摘とも重なる。Ravichの「せっかく教育改革する機会があるのだから、アメリカが歩んできた過ちを繰り返してほしくない」アメリカの教育改革 http://t.co/1MTy4t7Z  [in reply to sanu22]
  • 17:46  TAKUZOお昼寝中につき執筆。あと2章を残すのみ。ただ・・・この2章分がかなり曲者(泣)。木曜日が〆切日。ここまで来たら、走りきる。
  • 10:58  TAKUZO、保育園の学芸会。小生は、カメラマン。ポジション争い、なかなか熾烈ですな。 http://t.co/0w4L21nm
  • 08:31  口開けてますからね、さすがに無理ですね(笑)RT @tkanai1954 この職業は、治療されながらの、熟達インタビューは難しいですね。RT 学び続ける歯医者さん http://t.co/YvjvM9P6
  • 08:28  金井先生、おはようございます。リーダーシップ川柳、大喜利、面白そうですね RT @tkanai1954 神戸大学では、高橋潔さんが、リーダーシップ川柳、リーダーシップ大喜利を、ワークショップでやったことがあります。
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■2012/02/17 Twitter

  • 19:33  ありがとう!RT @tatthiy 研究室があれていたので伊澤さんと軽くお掃除した。きれいになってすっきり。  [in reply to tatthiy]
  • 19:29  サラリーマン川柳、投票中だそうです。個人的には節電課長さんの「便座さえ オレに冷たい 会社内」がヒットですね。それにしても、Twitter、Facebook、スマホのネタ多い。> http://t.co/2vAJ7FmU
  • 09:56  東大病院あたり警備がすごい。10メートルおきくらいに、屈強な男性が。
  • 07:52  TAKUZOの粉薬。最近の粉薬はすごいね。マンゴー味だそうです。 http://t.co/7GKbGQY6
  • 07:01  意欲と志のある学部生の力は、すごいなぁ。。。将来が楽しみです。
  • 06:59  2/20 俗称「勝手にウメサオタダオ研」の準備は、東京都市大学・法政大学の学部生の皆さんが中心になり、中原研の有志メンバがサポートしながら進んでいます。学部生の皆さんのアクティビティ案、先ほど見ましたが、参加者の方々、ぜひお楽しみに!: http://t.co/WH1X4zgy
  • 06:15  ブログ更新。「学び続ける歯医者さん」を探して:歯科医師の能力形成・専門性向上・技術伝承:患者としては、学び続け、技量の高い歯医者さんに、出会いたいです。 http://t.co/YvjvM9P6
  • 05:25  金井先生、お疲れ様です! 大学は、今まさに、そのシーズンですね。RT @tkanai1954 神戸大学でも、経営学研究科のヒアリングは先週終わりました。RT 概算要求ヒアリング終了。  [in reply to tkanai1954]
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投稿者 jun : 2012年2月19日 07:32


「学び続ける歯医者さん」を探して:歯科医師の能力形成・専門性向上・技術伝承

 歯学・歯学教育・歯科医学教育・歯科医院・・・いずれも、僕は、全くのドシロウトなので、全く無責任に言い放ちますが、最近、考えていること・思っていることを書きます。あくまで一人の「患者」の立場から。

 実は、「身からでた錆」と申しましょうか、小生、先日、「奥歯」のカブセモノが、突然、「もう無理っす・・・」とばかりに、ポロリと取れちゃいました。で、その「奥歯」の虫歯が、「マリアナ海溝なみに深く、予後が悪い」というので、抜歯を余儀なくされてしまったのですね。

mushiba_desu.jpg

 でも「抜歯」って、勇気いるじゃないですか。小生は「極端なビビリ」なので、「抜かんでもよい方法は、他にあるんじゃないんですか?」と思わず聞きたくなる。そこで、ふんぎりをつけるまでに、歯医者さんを回るはめになったのです。

 で、そこで見聞きすることが、あまりに面白くて、また「ヘタの横好き」で、歯医者さんのことが気になっています。

 歯医者さんの能力形成は、どうなっているんだろう(笑)、と。

 本格的な研究には、することは1ミリもないけど、せめて治療が終わるまでに、歯が取れたんだから、そのくらいの「モト」は取ろうと(笑)。

 僕がもっとも疑問に思っていることは、下記のことです。

 大学を卒業してから、開業して、歯科医院を経営していく中で、歯医者さんは、どのように、自分の専門性・技術を向上させていくのか。そのための仕組みが、どのように、業界内部にビルトインされているのか。

   ・
   ・
   ・

 歯医者さんは、多くの場合、個人で開業ですよね。その資格は一応、一度とってしまえば、失われることはない。
 たとえば、インプラントをはじめとして、様々な技術が生まれてくるときに、そうした技術をどこで、学び、自分の技術をどのように高めていくのか。だって、10年も20年もたてば、技術だって、材料だって変わるでしょ。そういう技術を、どこで、どのように学ぶことができるのでしょうか。

 個人で開業が多いならば、「組織で体系だった育成システムを用意する」ということも期待できないし、そのあたりはどうなっているのだろう、と。
 
 もし、専門的技量を高めるシステムがあるのだとすると、どの程度の歯医者さんが、それを利用しているのか。それがないのだとすると弊害はないのか。

 一番知りたいのは、患者としては、「学び続けて、技術が高い歯医者さん」に出会いたい。それを、どのようにして、見抜けばいいのか。

 今回、複数の歯医者さんを訪れましたが、症状の説明・予後の予想・治療の具体的な計画にいたるまで、全く判断は異なりました。まー、それもしょうがないところはあるのかもしれませんが、こちらとしても、それでは意志決定ができないのです。

 あるところでは、「このまま、蓋をして、上に、金かセラミックをのせましょう」という。金、マジすか。オレ、この年で金歯かよ。セラミック、マジすか、なんか、名前からして、高そうだよね。

 他の歯医者さんでは「残念ですが、抜歯ですね」と告げられました。結局は、僕は、様々なリスクを考え、「抜歯」の選択をしましたけれど。

  ▼

 ちなみに、実は、今回取っちゃった、その「歯」というのは、実は、もともとは、大学院生の頃に、ある歯医者さんで「治療中のミス」があった歯なのです。

 僕は、大学院生の頃、あまりに不摂生をしていて虫歯になった。そこで歯医者さんに行って、根の治療を行ったのですが、その歯医者さんが、ミスって、歯に横穴をあけてしまった。

 治療中に

 「あっ」

 と歯医者さんが声をあげたのを、僕は憶えています。

 治療中に「あっ」て叫ぶなよ(笑)。
 めちゃめちゃびびる。

 結局、いろいろ説明がありました。僕は心の中では「これって、医療ミスじゃないのかな」と思ったけど、当時は、学生だったので、「まー、いいわ」と軽い気持ちで考えていた。

 別の歯医者にいって、その穴を無理矢理セメントでかためて、今まで、使っていました。

「この歯の治療、どこで治療しました?  参ったなぁ・・・もう無理ですけど、セメントで固めて、使えるところまで、使うしかないですねぇ」

 「参ったなぁ・・・もう無理」って(泣)。「どこで治療しました?」って聞かれてもなぁ。

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   ・
   ・
 
 それから15年・・・セメントで蓋をした歯にも限界がきたようです。今回、「本当に、もう、マジ無理っす」ということで、結局、抜くハメになってしまった、というわけです。
 今現在は、いろいろ紆余曲折あって、研究室の大学院生さんの旦那さま(歯医者さん)のご紹介で、素晴らしい歯医者さんに出会い、治療に行っています(ご紹介いただいた大学院生のIさんと旦那様、ありがとうございました!)。

 その旦那さま、と、今僕がお世話になっている先生は、ある民間の研修会(志ある歯医者さんが集まる勉強会・技術伝承会)でのご学友だそうです。
 先ほどの「問い」に戻ると、そういう民間の技術伝承会があることはわかっています。でも、そうした学習機会に、どの程度の人がアクセスしているのかは、わかりませんが。

 ともかく、小生、今は「学び続ける歯医者さん」にようやく敢えて、幸せです。先生は、僕と同じ年齢ですが、ひとつひとつデータをもってお話してくれて、ネガティブなリスクも包み隠さず教えてくれる。診療時間も、1時間もとってくれる。様々な雑誌等で、自分の技術等について執筆なさっているようです。

 今回は、根気よく治療に専念したいと考えています。また、治療は、幸か不幸か、まだまだ続くので、少しずつ興味本位で、いろんな人の話を聞きたいと考えています。

「歯」を失ったからには、「知的好奇心」でモトとらな。
 そして人生は続く

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追伸.
・歯学教育の本って、医学教育の本に比べて、本屋さんでも圧倒的に少ないですね。というか、国試の参考書みたいのくらいしか、見つけられません。

・米国の歯医者さんは、専門分化が進んでおり、かなり日本より高度なようです。

・先ほど文部科学省のページを見ておりますと、どうやら、大学の入試が機能していない状態も出てきているようですね。でも、これって、高等教育における「歯学教育」の話ですよね。大学を出たあとは、どうするんですかね?

平成21年1月歯学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議第1次報告を踏まえたフォローアップ状況
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/035/toushin/1308394.htm

・ちなみに、まだ読んでいませんが、こんな文献も発見しました。

大山喬史(2011)歯学教育の現状と課題. IDE. Vol.529 pp41-47
http://ci.nii.ac.jp/naid/40018778542

あと、日本歯科医学教育学会というのも。

日本歯科医学教育学会
http://kokuhoken.net/jdea/index.html

 うーん、謎深い。

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■2012/02/16 Twitter

  • 17:57  3月19日「学びの魅力をスチルカメラで伝えよう」ワークショップ、満員御礼です。http://t.co/5PneZyMw また、同日・テアトロフォーラム「人材育成をACTする!」も満員御礼です。事務局の方より、近日ご連絡させていただきます。http://t.co/8eqqALZQ
  • 07:12  面白そうな本>山崎亮・長谷川浩己 (編) (2010)「つくること、つくらないこと」学芸出版社:プロダクト、建築・都市デザイン、社会学までデザインを率直に語る。皆が共通して求めているのは「楽しめる状況」をつくること: http://t.co/mgduy15f
  • 07:05  そんなに増えたんですね>大企業の60歳以上雇用数、5年で2倍。従業員500人以上の大企業で働く60歳以上の雇用者は、2011年で119万人。06年に比べ倍増。大企業の従業員に占める高齢者割合も06年の5%から9%へ。(日経)
  • 07:02  大学生に成長度テスト検討 「勉強しない」汚名返上へ(asahi):http://t.co/VTy5yoxd
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■2012/02/15 Twitter

  • 16:42  メディア表現、メディアリテラシーなど、デジタルストーリーテリングなど。メディア表現とリテラシーの「広場(プラッツ)」。面白そうですね> 3/10-11 MELL EXPO2012 開催 @東京大学:http://t.co/PduWGOJk
  • 11:34  興味深い>イノベーションランキング、日本は世界3位。「企業同士の提携の組み合わせ」がイノベーションを牽引すると意識。日本の経営幹部は、自国のイノベーションに対して悲観的な見方。(GE・世界意識調査:日本人材ニュース): http://t.co/kmSn8DFu
  • 10:34  概算要求ヒアリング終了。
  • 07:37  想定問答、作成中。
  • 05:31  iPhoneの時計、狂ってたか。電車、乗り遅れた。。。泣
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投稿者 jun : 2012年2月17日 06:10


「学び」のメタファを妄想する:容器、共同体、そして祭りへ

「学びのイメージ」を語る「メタファ」には、これまで、様々なものが提案されてきました。「学び」とは、まことに複雑な現象です。学びを「どのように見なすのか」というパースペクティブによって、それは多種多様にイメージされ、これまで語られてきた歴史があります。

「学びのメタファ論」で最も頻繁に引用されるのは、Sfadさんが提唱したの「AMメタファ(Acquisition Metaphor : 獲得メタファ)とPMメタファ(Participation Metaphor : 参加メタファ)でしょうか。この論文が、雑誌「Educational Researcher」に掲載された頃、僕は、まだ大学院生でした。「ほほー、うまいこといいますなぁ」と感じたことを、思い出します。

Sfard, A. (1998). On two metaphors for learning and the dangers of choosing just one. Educational Researcher. 27(3): 4-13

 Sfardさんが、このメタファを提唱した頃 - それは、まだ僕が学生の頃ですけれども - ちょうど、学び研究のパラダイムシフトが起こりつつあるときでした。そんな地殻変動を意識して、Sfardさんは1998年のこの論文において「伝統的な学び概念」を「獲得メタファ(Acquisition Metaphor : AM)」、「新たな学び概念」を「参加メタファ(Participation Metaphor : PM)」の2つにわけて論じました。

 「獲得メタファの学び」は、学習を「知識の獲得」とみなします。このメタファにたった場合、知識とは、個人が「所有」するものであり、獲得されるものです。この世界観においては、学習者は「同じ知識で満たされる容器」として考えられます。教師は「容器に知識を満たす源泉」とされました。

 一方、「参加メタファの学び」とは、こうした「トラディショナルな世界観」とは、全くことなる世界です。「参加メタファの学び」においては、学習とは「共同体への参加」として把握されます。それは個にとじられたものではなく、むしろ、3次元的な広がりの中で、他者との様々な相互作用においてたちあらわれるものになります。そこでは、知識とは「共同体における実践や談話の形式や活動」に他なりません。
 この世界観においいて学習者は「協同的ではあるが独立した個人」であり、教師は「知的リソースへのアクセスビリティを確保するもの」あるいは「共同体内における先達」と把握されます。

 まぁ、ここまでのややこしい話を単純にすると、「獲得メタファの学び」は「容器に知識をどんぶらこどんぶらこを注ぐイメージ」、「参加メタファの学び」とは「共同体にずんずんと突き進んでいって、いつのまにか古株メンバーになっちゃうイメージ」でしょうかね。それぞれ、そういうイメージを「学び」と見なしますよ、ということで議論が進んでいました。

 ちなみに、Sfard(1998)の論文は、「現在、学び研究には、こうした二つのメタファが存在しているけど、これって、あれか、それかじゃないよね。排他的に考えるって危険じゃね?」と問題提起する論文なのですが、残念なことに、この二つのイメージが、あまりにも鮮烈で、定着してしまい、本論とは異なる読み方をされる傾向があったことは付記しておきます。

 その後も、「学びのメタファ」は、様々に語られました。
 「リゾーム」だの、「結び目」だの、何だのかんだの。

 去年あたりから、僕が、ひそかに心に惹かれているのは、「祭り」のイメージです。日本人の肌感覚にあうような「新たな学びのイメージ」として「祭り」というのは、どうなんだろうか? と。
 
 敢えて、デュルケームを持ち出すまでもなく、近代以前の「祭り」とは、日常の経済活動を成立させるために、敢えて構築されたものでした。それは「日常を反転させる世界」として描かれ、そこで人々は集い、愉しみ、ともに過ごし、また日常にかえっていくのでした。

 祭りの最中には、日常世界を支配するポジションは無化されます。参加者間の権力関係はフラットになり、かつ、場合によっては倒置されます。
 ふだんは、別々のところで経済活動を営んでいる人々が、同時多発的に、いろいろな場所から集まってきて、様々な人々がかかわり、祭りという出来事を共同的に構成していきます。

 もし「学び」を「祭りのメタファ」で語るという暴挙?、というか、妄想?、代迷いごと?が許されるのだとしたら、知識とは「参加者が生み出すもの」になりますね。近代以前の祭りに関しては、「演じるもの」と「観るもの」という二分法は存在しません。同様に、もはや、祭りをメタファとした学びにちっては、学習者と教育者という二つのポジションは存在しません。すべての人々が祭りをつくりあげていく主体なのです。

 実は、僕が、この妄想をいだきはじめたのは、オックスフォード大学で文化人類学のPh.Dをおとりになった市瀬博樹さんに、ある組織開発の現場の写真を見せてもらったときでした。
 それは、ある病院の事例だったのですけれども、そこでは、看護師の皆さんが、自分たちの
「お祭り」を、自分たちでつくりあげ、その中で、日々の仕事を振り返り、社会的連帯を強めているように、僕には見えました。

 まことに恐縮ですが、動物的直感的で、僕は、ここで起こっていることは、どうも「容器メタファ」ではないし、「共同体」メタファではないな、と思いました。
 看護士さんの世界は、超「売り手市場」で、入れ替わりが激しい。そこで生まれた社会集団は「共同体」というのにはタイトすぎる。しかし、それでいて、ある擬似的民主的な関係がそこに存在し、皆で何かをつくりあげている。そして、非日常を経験した人々は、日常に経済的活動にかえっていく。これは「祭り」に近いのではないか、と。

 このメタファは、sfardがいうように、「あれか、これか」ではないような気もします。他のメタファを否定するのではなく、むしろ、それに接続するようなあり方があってもいいのかな、とも思うのです。

 その後、人文社会科学で昨今語られているというカーニヴァル論や、社会動態論などを読みました。でも、僕が、ある組織開発の事例で得た直感は、どうも「カーニヴァル」というよりは、「祭り」に近いな、と思いました。そこまで日常を倒錯していないな、と。

 というわけで、また妄想を人前でしゃべってしまいました。でも、いつかどこかで、きっとこの問題は、しっかりと考えておきたいと思っています。

 仕事に戻るアルよ。
 ほな、皆さん、ご機嫌よう。

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■2012/02/14 Twitter

  • 13:43  概算要求ヒアリング・リハーサル
  • 07:05  論文掲載おめでとう!研究室の皆さんもご支援ありがとう。RT @yumiwagatsuma ショートレター掲載は 中原先生はもちろんのこと、中原研究室の先輩方 @tatthiy @mitsuru_3261 @wakitake @fumituki85 に大変お世話になりました。  [in reply to YumiWagatsuma]
  • 07:02  中原研究室のEnCamp(Unconference型・春合宿)まで、残り2週間。M1の伊勢坊さんが中心になって準備を進めてくれています。感謝です。異分野、異領域の人々40名の春合宿から、どんなストーリーやケミストリーが生まれるか、楽しみです。
  • 07:02  あー、もう、こんな時間か。あっという間の3時間、執筆タイム終了。でも、随分進んだ。朝から、ご機嫌ですな。さて、TAKUZOでも起こすか。
  • 04:32  今期は無料で、秋以降は有料なんですね。へー。>RT @shigejam OpenEducation Update JP: MITxが参加者募集を開始:今季は認定証を無料提供MITのオンライン学習プログラムが履修者の募集を始めた。 http://t.co/4DjT3j6q  [in reply to shigejam]
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■2012/02/13 Twitter

  • 13:36  面白いですね。誕生会も参加型。>RT @AkikoSugaya: 「こどもの「特技」を見せ合う場をいかに作るか〜参加型バースディパーティ」 http://t.co/UH62kkSW
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投稿者 jun : 2012年2月14日 15:26


ワークショップピクニックに、TAKUZOと参加しました!

 今日は、朝から、TAKUZOと大学・本郷キャンパスに行きました。

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 福武ホールで開催された「ワークショップピクニック」に参加しました。ワークショップピクニックは、NPO法人 ワークショップデザイナー推進機構が主催する、ワークショップの祭典です。

ワークショップピクニック
http://www.ws-picnic.net/

 TAKUZOは、朝の「ぎゃくてんじかん」ワークショップ、奨学米さんによる「おにぎりをつくるワークショップ」、鮭の一生を体験する「すごろくワークショップ」、4コマ演劇のワークショップ「立体4コマ」、紙エコタウンに参加させて頂きました。

奨学米(大学生が農家にお手伝いにいって、奨学金ならぬ奨学米を受け取るというサービス。興味深いですね。代表の笠木恵介さんは、小生と同じ出身高校、旭川東高校だそうです! 素晴らしい、頼もしいですね、応援!  シマレ、ガンバレ!・・・これは東高の校訓ですな)
http://syougakumai.com/

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 どのワークショップも、誠に愉しめたようです。自宅に帰ってからも、ずっと、今日のワークショップの話をしているところをみるとね。

 今回のワークショップは、青学のワークショップデザイナー育成プログラムの方々が企画してくださったとのことを聞きました。大変お世話になりました&ありがとうございました。TAKUZOに親切にしてくださった皆様、心より感謝いたします。お疲れ様でした。

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 ただでさえ世知辛く、不確実な社会を、「Learningful society(学びと気づきに満ちた社会)」にするために、自ら「学びのデザイン」を志す人々が、ますます増えることを、僕は願います。僕も、微力ながら、僕にできるかたちで、そのことに貢献させていただく所存です。

 そして、人生は続く。

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■2012/02/12 Twitter

  • 13:20  鮭の一生を体験するワークショップに参加中。ワークショップピクニック。 http://t.co/R1negVVA
  • 10:59  Workshop Picnic 参加中。福武ホール。 http://t.co/t70K8lan
  • 04:41  注視>秋入学移行、46%が検討 174大の学長調査。全面移行を「評価する」と答えたのはそのうちの約6割(asahi) : http://t.co/giEzgwnk
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■2012/02/11 Twitter

  • 10:52  先日のようにケースと法的解釈がセットになった教材が作れるといいかもしれませんね。RT @fukuikensaku 早い!引用の議論は複雑化しがちですが、ワークショップなど「現場で使える」ルールに近づける努力が大切。RT 「ラーニングデザインと著作権」 ow.ly/8Z7MK"
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■2012/02/10 Twitter

  • 19:15  昨日、Kさんから頂いたブロック型ラムネ。TAKUZO愉しんでいます。ありがとうございました。 http://t.co/XaslxyrZ
  • 12:45  ブログ更新。著作権、文化、そしてマネタイズ : 【fʌ'n】第二回目「ラーニングデザインと著作権」が終わった! http://t.co/AlgeLcOe
  • 07:02  興味深い>レディ・ガガの新ソーシャルネットワーク「Little Monsters」:ファン参加のソーシャルネットワーク。ガガに関するコンテンツを投稿・投票可能(ソシエタ): http://t.co/YYMsC6pJ
  • 00:29  お疲れ様でした! ケースを書くのは大変ですが、そこで生み出される場は愉しいですね。お悩みをお寄せ頂いた皆様、ありがとうございました。RT @luna_crescens 【fʌ'n】"このケースはまさに疑問に思っていたことそのもの" と臨んでいたケースの数々!...  [in reply to luna_crescens]
  • 00:25  【fʌ'n】「ラーニングデザインと著作権:@fukuikensaku先生をお招きして」無事終了しました。皆様、お疲れ様でした。僕にとっても学びがありました。福井先生はじめ、議論にご参加いただいた皆様に感謝です! #fancomjp
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投稿者 jun : 2012年2月12日 17:32


著作権、文化、そしてマネタイズ : 【fʌ'n】第二回目「ラーニングデザインと著作権」が終わった!

 昨夜は、【fʌ'n】の第二回目「学びの場・教材のデザインと著作権に関する研究会」が開催されました。
 今回は、著作権処理の分野でご活躍の弁護士・福井健策先生をお招きして、研修開発・人材育成・ワークショップ開発の領域で起こりえる著作権関係の問題に関して、ケースディスカッションをしました。

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 会場は、赤坂パークビル WOWOW本社です。WOWOW人事部の方々のご厚意により、21Fにある素晴らしい会場を使わせて頂きました(心より感謝です!)。
 会場には、企業の人事部の方、民間の教育ベンダーの方々、マスメディアの方々、大学関係者など、55名弱の方々が集まり、ディスカッションをしました。

  ▼

 まずは中原からイントロダクション。【fʌ'n】の趣旨が話されます。

【fʌ'n】は、ラーニングデザインを愉しむ一般の人々がさらに増えて、この社会がLearningful(ラーニングフル:学びに満ちた)をするための小さなムーヴメントです。

 僕は、このムーヴメントの中で、「ラーニングプロデュース」「ラーニングデザイン」をやってみたいと思う人々のコミュニティをつくること、また、そうした方々が必要になる知識を共有できる場をつくることをめざします、そんなお話しをいたしました。

  ▼

 続いて、福井先生の30min.レクチャーです。先生には、著作権処理の基本的概念をショートレクチャーしていただきました。福井先生のプレゼンテーションは、非常にわかりやすく、素晴らしいものでした。

 福井先生によれば、著作権の実務とは、どんな場合にでも、「今、問題になっているものは本当に著作物かどうか」ということを確認するところからはじまる、といいます。

 つまり、それは「著作物」と呼べるのか?

 という素朴な問いが、スタートだということです。

 言うまでもなく、著作物とは「創作的な表現」です。ならば、今、問題にしようと思っているものは「創作的な表現」を含むものか?ということが問題になるということですね。

 福井先生に寄れば、一般には、

 1.ありふれた表現、定石的な表現
 2.事実・データ
 3.アイデア(企画案、着想、コンセプト、技法)
 4.題名・名称
 5.実用品のデザイン

 は著作物ではない可能性が高くなります。ラーニングデザイナーにとって、特に関連部会のは、「3のアイデア」です。
 なぜなら、ラーニングデザインの多くは、ここに該当する可能性が高くなるからです。たとえば、ワークショップの技法とか、研修のコンセプトとかね。
 しかし、それらは残念ながら、著作物として認められる可能性は低いです。つまり、どんな人でも使うことができるということです。

(ちなみに、ワークショップの技法やフレームワークなどが、どんなものでも著作物でないか、というと、そうではありません。また、それらを守るための方法がないか、というと、そうではありません。著作権法とは別途異なる「契約」という方法などによって防衛されている場合があります。このあたりは、昨日はディスカッションで多くの事例が紹介されましたが、微妙な判断が入るところなので、ブログでは省略します)

 その背景には、「いいアイデアは、どんどん、みんなで使ってもらう。たとえ、それで利得を得られず不平不満をいう人がでてこようとも、それで、豊かな文化が生まれればよいという発想」があるのだそうです。著作権法は、そちらを選んだ、ということですね。

 福井先生は、これ以外にもたくさんのお話しをしてくださったのですが、レクチャー部分のご紹介は、そのくらいにしておきます。

 後半は、ケースディスカッションを行いました。ケースの作成には、参加者の皆さんにあらかじめ「実務の上で、何が問題になっていますか? 福井先生にお聞きになりたいことは何ですか?」という問いを投げかけました。そこから出てきたものをKJ法で分類し、7つのケースを僕が執筆いたしました。

 ケースは、

 自分が参加者として参加した「有料ワークショップ」で、ファシリテータのやっていたアイスブレークの手法を、自分のワークショップでも、許諾なくやっていいのか?

自分が開催したフォーラムで、講演者の言葉がTwitterで「つだ」られ、講演者から著作権侵害のクレームがきたが、主催者には、その責任があるか?

 など多岐にわたりました。参加者の方々は、非常に熱心に議論に参加して下さいました。参加者の方からご発表いただいた内容をもとに、福井先生から解説をいただき、無事終了しました。

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 ▼

 今回のセッションにおいては、僕自身が、まずとても勉強になりました。印象に残ったことは3つ。

 まず1つめ。
 他人の著作物の利用というものは「適切な引用」にかかっているな、ということです。
 引用は、元ネタが有料であろうが、無料であろうが、基本的には関係ありません。また引用は、テキストであろうが、スチルであろうが、動画であろうが、これも関係はありません。福井先生が示してくれた引用の6つの原則に従うモノであれば、基本的には「引用」することができます。

■引用の6つの原則
1.公表作品からの引用であること

2.明瞭区別されていること
 自分の作品と他人の作品を混ぜないかたちで、明瞭に境界がもうけられ、引用されていること

3.主従関係:自分の作品が「主」で、引用されるものが「従」であること
 質量ともに自分の作品が主であり、引用されるものが「従」であること。

4.必要性/必然性のある場面で引用がなされていること
 必要性や必然性のある場面で引用がなされていること。

5.改変がなされていること
 引用されているものが、改変されていないこと。

6.出典が明示なされていること
 作家名・作品名は最低限書くこと。

 この原則にのっとり、適切に引用を行うことで、ある程度のことはできるのだな、という印象を持ちました。

 ふたつめ。

 それは、著作権とは「文化の発展」を視野にいれつつ、議論されなければならないということです。別の言葉でいうのなら、著作権は、広く社会文化的観点から把握しなければならない、ということです。

 既述したように、アイデア・着想・技法といったものは、原則として「著作物」として認定される可能性は少ないです。この背景には、私たちの文化を発展させるために、「不利益を生じるかもしれない個人が、もしかすると」、生まれるかもしれない。しかし、それでも社会全体の功利を考えれば、その方が利得なのだ、という認識が存在しています。
 一見、無味乾燥に見える法律ですが、こうしてみると、文化をデザインする手段とも言えそうですね。面白いですね。

 みっつめ。
 もうひとつは - この観点は、実は、今回扱えなかったことなのですが- 著作権は「マネタイズ」の観点からも、議論されなければならないということです。

 誰かの考えたアイデアや着想が、文化的発展のために多くの人々に使われることは、社会全体の観点からみると、よいことです。しかし、ここにはピットフォール(落とし穴)があります。それは「よいアイデア・着想を生み出してくれる誰かが、常に、存在しつづけなければならない」ということです。

 そうした個人がいなくなってしまったら、文化的発展は望めません。しかし、一般的に、「食えないところ」に、喜んで参入してくる「アイデアあふれる個人」はいません。もしいたとしても、ごくごく少数か、短期的な滞在にとどまるはずです。ある領域においてアイデアや着想がつぎつぎ生まれるためには、そこで「食える仕組み」が必要です。

 要するに、ここまでをまとめると、こういうことです。 
 著作権の問題は「よいアイデア・着想を生み出してくれる誰か」が食べていける仕組み - つまりは「マネタイズ」の仕組みとセットに、文化的な観点を視野にいれつつ、語られる必要があるということです。

 みっつめのことに関しては、今回のセッションでは十分触れることができませんでした。これは、今後の課題にしたいと思いますし、もし参加者の方で志ある方がいらっしゃったら、「ラーニングデザイン・著作権・マネタイズ」というテーマで、研究会をなさったら面白いのにな、とも思いました。

 最後になりますが、素晴らしいプレゼンテーションとQ&Aを行って頂いた福井健策先生、ご参加いただいたみなさま、株式会社WOWOW人事総務局の皆さま(特に企画段階から御相談にのっていただいた富澤律子さん、ありがとうございました)、NPOエデューステクノロジーズの吉川さんに、この場を借りて、感謝いたします。
 
 どうもありがとうございました。
 そして人生は続く。

 ---

■2012/02/09 Twitter

  • 16:59  WOWOW本社、21階から。今日はこちらで研究会をさせていただきます。ありがとうございます。#fancomjp http://t.co/SBue8JBZ
  • 16:12  校正中。マジ辛い。全米が泣くわ。
  • 08:42  ブログ更新。金沢21世紀美術館のキュレータの皆さんの仕事現場 & 参加型インスタレーションの著作者とは誰か?: http://t.co/JJCO68nd
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投稿者 jun : 2012年2月10日 12:41


金沢21世紀美術館のキュレータの皆さんの仕事現場 & 参加型インスタレーションの著作者とは誰か?

 昨日は、雑誌「人材教育」にが連載している「学びは現場にあり」の取材でした。今回取材させていただいたのは、金沢21世紀美術館の皆様です。ありがとうございます(感謝)!

金沢21世紀美術館
http://www.kanazawa21.jp/

 金沢21世紀美術館といえば、地方の現代アートの美術館でありながら、来場者は年間約150万人(公共部分)、40万人(博物館部分)をもつ、日本で有数の「元気な美術館」のひとつです。

 今回は、その美術館で働く学芸員さん(キュレータ)の皆様にスポットライトをあて、皆さんが、どのように仕事をなさっているのか、そこで、どのようにプロフェッショナリティを磨いていらっしゃるのかを取材させていただきました。

  ▼

「金沢21世紀美術館で働くこと」には、いくつかの特徴があります。それが、キュレータの仕事のあり方に、強い影響を与えています。
 
 まず、ご存じの方はいらっしゃるかもしれませんが、1)非常にユニークな建築。

 ここは、「街に開かれた美術館」を標榜し、硝子張りの透明な空間で、かつ、誰でも入ることのできる公共部分と、お金をはらって入ることのできる「博物館部分」が混成して、ひとつの建物になっています。

建築コンセプト
http://www.kanazawa21.jp/data_list.php?g=35&d=1

 開かれているということは、外部から誰もが出入りするということであり、常に動き続けている、ということです。内部では、それを常に支え続ける、ケアし続ける仕組みが必要になります。
 外部から見て非常に魅力的に見える部分は、内部の類い希なる努力によって支えられています。

 次に、2)作家の特性です。現代アートの作家とは、まだ存命の人が多く、作品展示は、彼らとのコミュニケーションや交渉なしでは、成立しません。そこには高いコミュニケーション能力が求められます。

 次に3)作品の特質です。金沢21世紀美術館に展示されている現代アート作品の中には、作家がひとりでつくるのではなく、参加者を巻き込みながらつくる、参加型アート・インスタレーションというものが、あります。そうした場合、多くの人々をケアする必要がでてきます。つまり、多人数の関与するプロジェクトが、アートそのものになりえます。そこでは、いわゆるマネジメントの能力が求められます。

 そして、最期は、4)来館者の特質です。
 このような革新的な美術館ですから、いまや、金沢の観光の目玉として、様々なツアーに組み入れられています。一年間でここを訪れる人は、150万人。その年齢構成は、非常に多様で、幼児からお年寄りまでいらっしゃいます。
 通常、現代アートにこられる客層とは、全くことなる客層の方々に、いかに愉しんでもらうかが課題になります。

 当日は、チーフキュレータの不動さん、キュレータの村田さん、吉岡さん、平林さん、北出さん、広報室の沢井さん、エデュケターの木村さん、ライブラリアンの鍛冶さんに、大変貴重なお時間をいただき、お話しを伺うことができました。

 キュレータとしてのプロフェッショナリティを伸ばしながら、いかに上記の特質をもったサービスを運営していくか、について非常に多くの示唆をいただきました。この場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました。

 やっぱり現場は素晴らしいですね。
 現場の方々のお話をヒアリングさせていただくのが、愉しくて仕方がありません。

 僕個人としては、いわゆる欧米型のエキスパート・フラット型がよいのか、日本型の職場モデルがよいのか、僕は深く考えさせられました。その内省は、記事の方に反映したいと思います。また、今度は、取材ではなく、息子のTAKUZOとカミサンを連れてきたいと思います。楽しみです。

 今日は、早々に、大学に戻ります。
 夜は、弁護士・福井健策先生と、「学びのデザイン・教材のデザインと著作権」に関する研究会「FAN」です。こちらも、とても楽しみです。

学びのデザイン・教材のデザインと著作権
http://www.nakahara-lab.net/blog/2012/01/post_1822.html

 ---

追伸. 
 なお、これは取材とは脱線しますが、今回、現代アート作品の話を伺って、僕は、頭の片隅で「複数の著者性」について考えていました。この問題が、今日夜に実施する研究会に、実は関係するのではないか、と考えていたのです。

 たとえば、ある現代アート作品で、作家が市民10名ほどと協力して、非常に大きなインストレーションをつくったとします。インスタレーション作品は、たしかに作家の世界観が反映されているものです。しかし、そこでは、市民の方も創意工夫を行っており、時には「ここをこうしよう」と提案することもあります。実際に絵筆をにぎって、作品の一部を描いています。

 僕が疑問に思ったのは、

 この場合の「著作者」とは誰なのか?
 
 ということです。

 もちろん、作家の絵筆をにぎり、創作を担っているので、作家のオーサーシップは揺らぎません。しかし、そこに部分的に関与する人々のオーサーシップはどうなるのでしょうか。

 お話しをお聞きすると、それはケースバイケースだそうですが、アートの世界では「作家」という風に考える場合が多いようです。あくまで、作家の世界観の中で、作品をつくっているという位置づけで、著作者とは作家となります。

 僕は美術・アートの世界は、ドシロウト中のドシロウトで、変なことを言っているのかもしれませんが、たまたま、今日、知財の研究会をやりますので、そのことが気になっていました。

 参加型のラーニングデザイン、参加型のインスタレーション、アジャイルコンピューティング。私たちの世界には、こうした「多人数参加型の出来事」が、少しずつあふれはじめています。

 著作権法が、こうした問題にどのように対処可能なのか。今日は、福井先生に、そのあたりについてもお話を伺ってみたいな、と思います。

 今日に続く。

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■2012/02/08 Twitter

  • 09:06  リスクをとってしまった。 (@ 羽田空港 第2旅客ターミナル (HND/RJTT) w/ 27 others) http://t.co/fJkFpHbl
  • 08:03  雪で飛行機が引き返す可能性があるとな。長時間かけて新幹線か、それともある程度のリスクをとって飛行機か。
  • 06:35  うちのカミサン、貢献しまくり>「韓流」稼ぎまくり、海外収入最高の608億円(Yomiuri) : http://t.co/nyXn5dlA
  • 06:31  たぶん「敢えてとらない」と永遠に「とれない」んじゃないかなぁ。「試行錯誤をしてみれば」と言ってはいるが「本当に試行錯誤されてしまうと困る」は本音でしょうね。>RT @satoshi_hashimo 人材育成の時間がとれる日はいつ来るのか? http://t.co/Ya6GekmK  [in reply to satoshi_hashimo]
  • 06:24  飲み物+飲み方の提案。それにしても、赤ワインとコーラって合うのかな?今度試してみよう>ワイン+コーラなど、飲み方多彩に。飲食店やメーカー、女性・若者に提案。赤ワインをコカ・コーラで割った「カリモーチョ」など (日経)
  • 06:22  ほほー>自動車部品メーカーのユーシン、留学経験ある新卒の給与1.5倍から2倍。最高で新卒1年目にして1000万。海外工場建設、海外企業へのM&Aを背景に、即戦力確保のため(日経)
  • 06:08  面白そうですね>おとな大学・自分で仕事を創るゼミ!「理想の地域コミュニティの育て方」: http://t.co/qiieFwGS
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■2012/02/07 Twitter

  • 22:45  そもそも、何のためにノートをとり、何のために大学で学ぶのか?RT @yuuhey: カリフォルニア大学で講義ノートの共有禁止が論争に。ノートの著作権は学生と教員のどちらに帰属するのか。 http://t.co/qMY6CKpJ
  • 22:41  いま、揺れたよね?
  • 10:50  ブログ更新。よい実践には、よい記録があります:3/19 写真のワークショップを開催します。 http://t.co/jlumQmmO
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投稿者 jun : 2012年2月 9日 08:35


よい実践には、よい記録があります:3/19 写真のワークショップを開催します

==============================================
【ファン】ラーニングデザインのノウハウを学ぶ!

よい実践には、よい記録がある
写真撮影講座! "学び"の魅力を伝えよう!

「リアルに進行するワークショップ」を被写体として、
 写真家 見木久夫さんから、撮影技術を学びます!

 一眼レフをお持ちでない方でもご参加いただけます!

 3月19日(月)午前10時00分 - 午後5時あたり
 株式会社内田洋行 東京ユビキタス協創広場 CANVAS
==============================================

中原 淳です。

今年になって、ラーニングを仕掛けたい方々、新しいラーニングを
創造したいと願う方々、すなわち「ラーニングプロデューサー」
の方々(あるいは予備軍の方々)をとともに、【ファン】
という「怪しさ満点の勉強会らしきもの?」を開催しています。

【fʌ'n】のFacebookページ
http://www.facebook.com/pages/f%CA%8・Cn/164198320347411

これまでには、

 1回目「ラーニングデザインのこれまで、これから」
 2回目「ラーニングデザインと著作権・知的財産権」

を実施してきました。
第3回は、徹底的に少人数・ガチ実技のセッションです。

 「写真撮影講座! "学び"の魅力を伝えよう!」
  3月19日(月)午前10時00分 - 5時あたり
  
講師にはプロのカメラマンで、各種メディアでもご活躍の
見木久夫さんをお迎えします。見木さんには、かつてLearning
barの撮影をご担当いただいておりました。

見木久夫さん
http://kenmoqp.com/Profile.html

Learning barの写真
http://www.flickr.com/photos/nakaharajun/page9/

このセッションでは、ご自身が開発した実践、ワークショップ
の魅力を「他者」に伝えるための技法を学びます。
「自分のワークショップの内容をきちんと記録すること」が
学習目標です。

あまり知られていないことなのですが

「よい実践には、よい記録があります」

「記録」があれば、ワークショップ実践家の技術の向上にも
つながる可能性がありますし、その記録をもとにPRを行う
こともできます。

ですので、まず大切なことは、自分のワークショップを、
写真や動画などで他者に魅力を伝えられるような「記録」
として残すことです。

 よい記録は、PRにも役立ちます。
 もし、あなたが参加者ならば、

「イキイキと活動している子ども達の笑顔がうつっていて
しかも、どのような活動をしているか具体的にわかる写真」

 と

「ピンボケしていて、いったいどのような活動をしている
のかわからず、かつ、赤目になっている子どもの写真」

 あなたは、どちらのワークショップに参加したい
と思いますか?

第三回目は、見木さんに講師になっていただき、実際のワー
クショップを素材にして、撮影実習を行って頂きます。
撮影するワークショップは、日本生産性本部×東大中原研究
室が主催するテアトロフォーラム「人材育成の未来をACTする」
というアカデミックイベントです。
このイベントでは、即興劇・ポスターセッション・ダイアログ
など、参加者が様々な活動に従事します。この様子を、受講者
は見木さんの指導のもと撮影して頂きます。

ご参加をご希望の方は、下記の参加条件をお読みになり、
フォームに必要事項をご記入のうえ、2月19日までにお申し込み
ください。

 なお、応募多数の場合には、抽選とさせていただき
ます。下記の要項を必ずご一読いただき、ご応募をお願い
いたします。

中原 淳
 
 ---

○主催・協力
 NPO法人 EDUCE TECHNOLOGIES
 エデュース・テクノロジーズ
 http://www.educetech.org/
 企画担当・責任者
 副代表理事 中原 淳

 開催協力(感謝です!)
 ・公益社団法人 日本生産性本部さま
 ・株式会社内田洋行さま

○日時・募集人員・場所
  2012年3月19日(月曜日)
  午前10時 - 午後5時あたりまで
  会場:株式会社内田洋行 東京ユビキタス協創広場 CANVAS
  Future Classroom

  http://www.uchida.co.jp/company/showroom/canvas.html

○内容
 ・企画概要説明(30分)撮影のコツや構図のとりかた
 ・各自撮影実践(60分)
 ・お昼(60分)
 ・リフレクション&フィードバック(90分)
 ・リトライ(60分)
 ・まだまだ、リフレクション&フィードバック(60分)
 
○参加費
 (どうしても少人数のため費用がかさんでしまいます、ごめんなさい)
 9000円(個人としてのお申し込みの場合)
 19000円(法人としてお申し込み:領収書が法人宛の場合)

 
○参加条件&抽選のこと

 下記の諸条件をよくお読みの上、参加申し込みください。
 申し込みと同時に、諸条件についてはご承諾いただいて
 いるとみなします。

 また、人数が多い場合、参加は抽選とさせていただきます。
 参加申し込みが完了しても、抽選にもれた場合、
 ご参加いただけせんので、あしからず、ご了承ください。

【参加条件】

1.キヤノン社、ないしは、ニコン社のデジタル一眼レフカメラ
(2005年以降のモデル)を当日持参することができます。
もし該当の一眼レフをお持ちでない方は貸与いたしますので、
下記のフォームにその旨をお書きください。

2.撮影にあたっては、シンポジウムの進行、参加者の活動を
疎外しないよう最大限配慮します。また、講師の指示に従います。
公衆良俗に反した撮影を行いません。

3.今回撮影した写真に関しては、撮影者個人が所有する
ことはできます。が、それらを撮影者個人が、自分のブログ、
Twitterなどのメディアに送信・送信可能な状態にしたり、
他メディアに掲載したりすること、二次利用を行うことは
できません。このことを承諾します。

4.日本生産性本部、ないしは東京大学中原研究室(中原淳)
が、本シンポジウムの広報・周知のために、撮影者個人が撮影
した写真の電子ファイルを取得し、予告なく利用すること
(送信可能化すること・編集すること・二次利用を行うことを含む)
を許諾します。

5.本ワークショップの様子は、予告・許諾なく、写真・
ビデオ撮影・ストリーミング配信する可能性があります。
写真・動画は、NPO EduceTechnologies、中原淳が
関与するWebサイト等の広報手段、講演資料、書籍等に
許諾なく用いられる場合があります。マスメディアによ
る取材に対しても、許諾なく提供することがあります。
参加に際しては、上記をご了承いただける方に限ります。

6.欠席の際には、お手数でもその旨、
educejimu [あっとまーく]educetech.orgまでご連絡下さい。
人数多数のため、多数の方の参加をお断りしている
状況です。繰り上げで他の方に席をお譲りいたします。
なお、キャンセルに関しては、3月12日まででしたら無料です。
ですが、3月13日以降のキャンセルに関しましては、100%
申し受けますので、ご了承ください。

7.本イベントで剰余金が発生した場合は、NPO法人
Educe Technologiesが企画する、組織人材育成
・組織学習に関係するシンポジウム、研究会、ワーク
ショップ等の非営利イベント等の準備費用・運営費用、
および、研究費用に充当します。

○参加方法と〆切期日
 上記の参加条件を必ずご一読のうえ、下記のフォームに情報
を満たし、educejimu [あっとまーく]educetech.orgまで
メールでお申し込みください。参加申し込み〆切は2月19日と
させていただきます。

第二回申し込みはココカラ------------------------------
わたしは第3回(3/19 見木さん・写真ワークショップ)に申し込みます。
その際、上記の参加条件1から7をすべて承諾しています
2月19日申し込み〆切、抽選結果は2月20日にご連絡いたします!
申込先:educejimu [あっとまーく]educetech.org
--------------------------------------------------

ご氏名(           )
ご氏名カタカナ(           )
メールアドレス(             )
携帯電話等番号(             )

一眼レフの貸与希望しますか? (はい  いいえ)

貸与希望いいえの場合、
当日お持ちいただくカメラ(      社製の型番は   です)
お持ちいただくレンズ(         )
あなたの一眼レフの使用経験(        年くらい)


中原へもしあれば、ひと言!
(                    )

--------------------------------------------ココマデ

 皆様のご応募をお待ちしております!

 お問い合わせ:educejimu [あっとまーく]educetech.org
 担当者:吉川

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■2012/02/06 Twitter

  • 16:57  このクソ忙しいときに、壊れてんじゃねー(怒)。マジか、この展開。>プリンタ
  • 15:51  興味深い記事>カヤック社内でブームの「リフレクション会議」とは(日経ビジネス): http://t.co/mYMpJYog
  • 07:08  ブログ更新。80年代、エアチェックの誕生と衰退:FM誌が50万部売れていた時代のお話。今日でラジオの話は最後にします(笑)。ひとりで盛り上がってて、すみません。コミュニティFMとFM誌の立ち上げに関する書籍の書評です。 http://t.co/C8ivFPdB
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■2012/02/05 Twitter

  • 06:44  「人生の締めくくり方に関する学び」>生涯学習のテーマに「人生の締めくくり方も」(文科省有識者会議): http://t.co/F8hrFpmP
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投稿者 jun : 2012年2月 7日 10:44


懐かしの80年代、「エアチェック」の誕生と衰退 : FMラジオ・ウォークマン・ラジカセの交差する場所に生まれた流行

 ええぃ、もう「ラジオの話」は、えーっちゅうねん

 という声も聞こえてきそうですが、今日で、本当に最後にします・・・ラジオの話。
 注文していた本が届いたので、ざっと斜め読みしました。その読書感想文です。

 一冊目「成功するコミュニティFM放送局」

 

 産業としての「ラジオ」は、シュリンクしている。その中で、全く新しいメディアである「コミュニティFM」は、従来のラジオとは、全くことなるコンセプトのもとで、全くことなるリスナーを対象にして運営されていかなければならない、ということが論じられています。

 データから示しますと、この本が執筆された当時(2005年)ラジオの年間売り上げは1778億円で、インターネット広告2808億円に追い抜かされているそうです。

 また、セットインユース(同時間でその地区で聴取可能なラジオ局全ての聴取率)の首都圏は、ラジオが最も聞かれている時間ですら、わずか7%程度だそうです。そのような状況で、どのようにしてリスナーを確保していくのか。

 最もやってはいけないことは、大手ラジオ局と「同じ発想」で、コミュニティFMを運営しようとすることだそうです。非常に興味深いですね、でも、ついつい、やってしまいがちのことのように感じました。

 たとえば、USTREAMが出始めた頃、それをテレビ番組のように作り込もうとすることが目指されたようにね。
 もし、USTREAMをテレビ番組っぽくつくってしまったら、それは「テレビ」と比較されてしまう。そうなると、USTREAMは画質が悪いし、クオリティで絶対にテレビには勝てない。

「USTなんて、画質悪いし、テレビにはやっぱり勝てないよ・・・ダメダメ」

 ということになってしまう。

 新興メディアを立ち上げるときは、それが近似する「過去のメディア」に近づこうとしてはいけないのです。新興メディアを立ち上げるときには、「過去のメディアのメタファ」を拒否するといってもいいかもしれませんね

 むしろ、「新興」なのだから、「過去のメディア」ではできないことをやる、という発想に立たなくてはならない、ということですね。

 著者は、宇部市のコミュニティFM、「FMきらら」の立ち上げに関わり、現在、経営をなさっているかたです。本書では、FMきららさんの立ち上げのプロセスを、あますところなく詳解していました。興味深い本です。

  ▼

 二冊目「FM雑誌と僕らの80年代--『FMステーション』青春記」

 

 こちらは、元FMステーションの編集長であった恩蔵さんが、FMステーションの立ち上げから衰退までを、80年代という時代背景とともに紹介している本です。80年代という時代の時代性が、感じられる作品です。

 80年代当時、FMは、当時AMと差異化を図ることに成功し、「若者・ハイブローな文化」をもつものとして位置づけられていました。
 そこにウォークマンとラジカセという技術革新が生まれ、その延長上に「エアチェック」という行為が、若者のあいだで流行します。FM放送を聞いていて、かかった曲をテープに録音するのが「エアチェック」。で、それをウォークマンで聞くという行為が「なう」だったわけです。
 そして、そのためには、前もって、どのような曲がかかるかを、リスナーはわかっていないとならない。そこで生まれたのが、いわゆるFM誌というジャンルで、最盛期には、FMステーションは50万部売れたそうです(信じられない数字だと思いませんか?)。

(ちなみに、エアチェックという行為の流行は、FM局の誕生とウォークマン・ラジカセの技術革新の延長上に存在しているというところが、面白いですよね。これら諸要素のアクターネットワークが形成されてはじめて、当時、僕らが熱中していた「エアチェック」が起こるのです)

 FMステーションは、鈴木英人さんのイラストを掲載し、カセットテープをデコレーションするために雑誌そのものを切り貼りできるようなデザインにする、など、当時、様々な革新をなしとげました。しかし、その「爆発的とも言える跳躍」は、そう長くは続かなかった。

 暗雲が立ちこめるのは2つの契機によってです。
 ひとつは、CDの台頭。
 高音質のCDが普及しはじめ、わざわざ「エアチェック」をするという行為が面倒になってくる。
 ふたつめは、J-WAVEなどの新興FM曲が、FM誌に曲目を提供することを拒否したことです。これによって、FM誌は、詳細な番組表をのせることができなくなり、急速に衰退していくことになります。

 前者は技術革新なのでやむを得ないところがあります。
 後者は、J-WAVEの言い分もよくわかる。曲目を前もって出すということは、1ヶ月前以上に、その日にかける音楽を決めなければならない。
 ということは、その日が雪であろうと、雨であろうと、1ヶ月前に、夏だぜー、オラオラの「TUBE」の曲をかけることが決まっていたら、かけなくてはならないことになります。
 要するに、アドホックに、その時々の状況を見ながら、番組構成を行う、ということができなくなります。番組制作における局側のイニシアチブが毀損される事態が生じている。だから拒否する。

 J-WAVEは、それまでFM誌に握られていたイニシアチブを、局側に取り戻そう、としたのかもしれませんね。なるほどね。いつも聞いているJ-WAVEに、そんな背景があったとは。面白いですね。知らなかったよ。

 ただ、感想は以上です。他にも2冊ほど読みましたが、こちらは、また時間のあるときにでも。

   ・
   ・
   ・

 最後に・・・やっぱり、僕は、自分でメディアを創りたくました。少なくとも、そのことに、ひそかに、ずっと興味をもっている、ということが、よくわかりました。僕が創りたいメディアは、ラジオじゃないなとも思ったけど。

 考えてみれば、ずっと、そういうことに憧れ続けてきたんだよなぁ。。。

 小学生の頃、僕がたまに出かけていたスキー場では、「ミニ放送局」が設置されていて、パーソナリティの方がおしゃべりしながら、曲をかけていた。僕は、スキーも好きだったけど、その放送を聞くのが愉しみだった。

 中学の頃には、クラスの委員会で放送委員会に入ったけど、お昼休みにビートルズとかストーンズの曲をかけたら、「学校にふさわしくない」と先生に怒られて、ヤル気がマイナス5000ポイントくらいになって、二度と行かなくなった(学校にふさわしいのはモーツァルトらしい)。

 高校の頃には、放送部に憧れたけど、放送部のドアを叩いて中にはいってみたら、ものすごい雰囲気で(察してください)、「生まれながらのポジ」の小生は、とてもついていけそうだったので、入部をやめた。

 今に、はじまった話じゃないんだよなぁ。
 ・・・そして人生は続く。

 ---

追伸.
 昨日の作品は、シーバス(水上バス)です。有明のビックサイトのあたりとか、横浜のみなとみらい・山下公園あたりを運行している「お船」ですね。

IMG_5697.JPG

 ---

■2012/02/05 Twitter

  • 06:44  「人生の締めくくり方に関する学び」>生涯学習のテーマに「人生の締めくくり方も」(文科省有識者会議): http://t.co/F8hrFpmP
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■2012/02/04 Twitter

  • 18:00  今日の僕の日記にぴったりの本を見つけてもた。明日届くらしいので、思い出に浸ろう:「FM雑誌と僕らの80年代--FMステーション青春記」 http://t.co/70xz9nMn RT 僕がFMラジオを聞いていた頃のこと http://t.co/vP66EGbK
  • 12:32  RT @Melodie_Rita ラジオではがきを読まれると妙な高揚感 @sean_tokyo ネット、携帯でラジオの聞き方も随分かわった@satoko_212 いつもラジオを聞いています RT 小生ラジオ好き http://t.co/vP66EGbK  [in reply to satoko_212]
  • 07:34  ブログ更新。懐かしい80年代:僕がFMラジオを聞いていた頃のこと、最近またまたラジオに凝ってます。: http://t.co/vP66EGbK
  • 07:18  NHK、秋入学をめぐる大学の変化。企業の通年採用の話題。あれ、聞いたことのある声だなぁ、と思ったら、ワークス研究所の豊田さんでした。お疲れ様です。
  • 06:31  注視>秋入学への移行検討協議会 京都大学・松本学長が参加表明。「日本人のレベルをどう上げるかが最終目標で、京大は東大と同じ方向を向いている」(日経)
  • 06:29  明暗>上場企業、今期経常益2割減、「稼ぎ手」変化:内需の通信・消費関連(非製造業)などは堅調、資源だかを背景に商社は最高益、円高等背景に輸出型製造業が厳しい(日経)
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投稿者 jun : 2012年2月 6日 07:01


ラジオトークの続き

 昨日、FMラジオの話を、ゆるゆるトークしていたら、思わず、いろいろな方々からメールをいただきました。ありがとうございます。

 皆さん、ラジオ好きなんですね。ラジオを聞いていたときのことが、若い頃の、苦い思い出、楽しかった思い出、甘い思い出とくっついているんでしょうね。誠に興味深いですね。

 僕の方は、またフツフツといろいろな興味がわいてきました。

 といいましょうか、生まれたときから「お調子こき太郎」の小生は、今度は、ラジオを開局するってことは、どういうことなのかを知りたくなり、下記の本をAMAZONでポチりました。

 

 そうか、コミュニティラジオってのがあるのね。
 知的好奇心のままに生きる。面白そうなので、いろいろ読み進めてみます。

  ▼

 あと、こんな本も見つけました。面白いですね。『FMステーション』元編集長の方がお書きになった本のようです。

 コピーがいいですね。

 パソコンもケータイも持っていなかったあのころ、FM雑誌片手に「エアチェック」に熱中していたすべての音楽ファンに捧ぐ

 それ、オレじゃん。

 今日はTAKUZOのプールです。
 皆さん、よい週末を!

 ---

今日の「ヘタLEGO」は、新幹線。前部分が苦戦。もうちょっと、ブロック欲しい。カミサンにダマで、ドサクサ買いするかな。
こんなところで公言してたら、「ダマ」じゃにはならんけどね。ダハハ。

shinkansen_lego.jpg

投稿者 jun : 2012年2月 5日 08:13


懐かしい80年代:僕がFMラジオを聞いていた頃のこと、最近またまたラジオに凝ってます!

 小生、最近、ラジオがお気に入りになっています。車を運転するとき、街を歩くとき、執筆の合間に、ラジオを聞くと、なんか、落ち着くのです。ふぅ。

 特に好きなのは、リスナーとパーソナリティのやりとりがある番組ですね。「人のつながりを感じる番組」や「人の人生を感じる番組」。リスナーの方々からの投稿を聞いていると、誠に「人生いろいろあるんだなぁ」と、思います。

  ▼

 小生、小中学校の頃は、僕はラジオっ子でした。

 ようやく買ってもらったラジカセ(ねだってねだって、食い下がって、買ってもらった赤いラジカセ)に、延長アンテナをむりやりつけて、FM北海道、NHK FMなどを聞いていました。
 
 ハガキで投稿・リクエストもしました。
 特に好きだったのは、NHK FMの「夕べのひととき」とFM北海道(今は、AIR-Gって言うんですね)で横内 則子さん(KARASUさん)がやっていた「FM電リク・テレホンジャック7」。
 たまには、当時10時頃からやっていたサントリー「サウンドマーケット」、寝る前に聞いてた「ジェットストリーム」なども聞いていました。

 投稿したハガキが読まれるというのは、感動的でした。

「おー、旭川にいる、オラのハガキが、札幌に届いて、読まれただよ」
「オラのリクエストした曲が、オール北海道で、今、流れてるだよ」

 という感じで、心臓がバクバクしました。

 大げさにいえば、僕にとって「リクエスト」は、「より広い世界とつながりを感じる」一瞬だったのです。

 外は、なんぼ吹雪いててもよ。あたり一面がなんぼほど雪深くて足埋もれてもよ(笑)。「より広い世界」があるんだよね、オラにもそこに「つながれる」可能性があるんだよね、ということが感動だった。
 一応、当時、「少年」であった小生は、ハガキを出すたびに、読まれないかなぁ、読まれないかなぁ、とドキドキしていました。ほとんど、五寸釘打つくらい、願ってたよ。
 読んでケロ、読んでください、読めコラーと(笑)。

 今でも一番最初にハガキが読まれた曲を憶えています。6年生の頃ですね。当時小生が好きだった子が、好きな音楽をリクエストしました。アホだねー。

  ▼

 また、よい音質で、自分の好きな音楽を録音することに命をかけていました。ラジカセを改造して無理矢理、延長アンテナを装着し、壁をつたわらせました。

 意味ある技術的改良であったのか、どうかは知りませんが、愉しかったことは間違いないです。ほんのちょっとでも、テープ録音に「スー」という音が入らなくなっただけで、嬉しかった。ハンダごてをもって、あらゆる改良を加えていました。

 当時は、なけなしのお小遣いから200円を捻出し、FM STATIONという専門雑誌を隔週で買って、オンエアをチェックしていました。

 ちなみにFM STATIONは、こんな雑誌です。表紙の鈴木英人さんのイラストも好きでした。うまくカットして、カセットテープのカバーをつくったりしていました。


FM STATION

http://sanmarie.me/wp-content/uploads/2010/04/fm.gif

 嗚呼、懐かしい80年代。

  ▼

 しかし、高校生になる頃には、すっかりFMから離れてしまいました。当時はCDの全盛時代。FMを苦労してオンエアチェックするくらいならCDを買った方が楽でしたし、音質もよかった。

   ・
   ・
   ・
 
 それから30年弱・・・
 僕は首都圏にうつりすみ、CDやカセットテープは、ほぼ使命を終えました。この30年でいろいろなものが変わりました。

 そんな中、昨年、J−WAVEの某FM番組に、ちょこっとだけ出演させていただいたことをきっかけに、また、僕はFMに戻ってきました。やっぱりいいですなぁ。

 なんていうのかなぁ、テレビほど「マス」ではないのだけれども、「非マス」ってわけでもない。
 ちょうどよいサイズの人々を「リスナー」として設定し、その人々とパーソナリティとの密接なやりとりをもとに、音楽や話題を届ける。そこに「擬似的なコミュニティ」らしきものを感じる、みたいな。ラジオって、なんか、今っぽくないですか?

 今は、ラジオは、ネットで、スマホ・PCで聞けますよね。
 びっくりです。もう「延長アンテナ」いらんのかいな。

RADIKO
http://radiko.jp/#

 ちなみに、30年弱、FMから離れていて、僕が一番驚愕したのは、今のリクエストは、ハガキじゃないってことですね。そりゃ、そうだよね。スマホも、メールも、Web、Twitterもあるのに、ハガキがメインになるわけないか。

 さ、そろそろ大学に行きます。
 今日も仕事です。
 車のBGMには、FMをかけていきましょう。

 みなさん、よい週末を!

 ---

追伸.
 最近、夜な夜な、シングルモルトを飲みながら、「LEGOって寝る」のが、習慣になっています(笑)。おもちゃだと思ってバカにしてると、やけどします。結構ハマるんだよねぇ。小生は、下手くそですが、気にしない、気にしない。

 創って寝ると、なんか落ち着きます。次の日、TAKUZOが喜ぶってのも、誠によいことです。小生の下手くそLEGOは、確かにヘタですが、TAKUZOは、出来合いのおもちゃよりも、飽きないですよ。だって、毎日、かたちが変わるんだもん。飽きたら、壊せばいいんだもん。おすすめです。

 今日の作品は、ANAの最新鋭の機体787です。もう少しスリムにしたいんですが、時間切れでした。もう、眠たいよ、オレは。
 あと、ブロックがもう少しあったら、色を青と白に統一できるんだけどねぇ。これ以上、ブロックを増やすと、カミサンにブチギレられそうですので(我が家、狭小住宅にて、あまりモノを増やせないのです)、我慢しましょう。意外に、翼に苦労しました。

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■2012/02/03 Twitter

  • 22:42  金井先生、情報をありがとうございます。早速、AMAZONにてポチりました!RT @tkanai1954 ワイスボードの、Productive Workplaces 25周年第3版が出ましたよ。  [in reply to tkanai1954]
  • 10:02  「インプロする組織」最終校正中。 http://t.co/OgkFCsKh
  • 09:54  見るために、断ち切る>世界を「見る」ために、私たちは「世界の慣れ親しんだ受容」を断ち切らなければならない。(メルロ・ポンティ)
  • 07:01  いわゆるワークライフバランス研究の先行研究一覧なども>ワークとライフの相互作用に関する調査 報告書 (内閣府:PDF) http://t.co/0kv1fO7J
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■2012/02/02 Twitter

  • 11:32  東大ナビ、Webサイトリニューアル!:東京大学のイベント情報を配信するメルマガ・Twitter どなたでもご登録いただけます。(@shigejamさん、お疲れ様です): http://t.co/KAJ9tyYS
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  • 07:56  興味深い>イオン、大卒新規1千人を海外現地法人採用。全体3000人のうち3分の1。(Yahooニュース): http://t.co/FJi7X1ov
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投稿者 jun : 2012年2月 4日 07:26


ストレス耐性・リーダーシップ・ユーモア・危機突破力をもった個人いかに見抜くか?

 ストレスに耐える力
 リーダーシップとフォロワーシップ
 チームを盛り上げるユーモア
 危機を乗り越える力

 これらは、宇宙飛行士に求められる「個人的資質」だそうです。「壁一つ隔てた向こう」は、漆黒の闇と死の世界。多国籍の人々から構成される「異種混交チーム」の中で、一つ一つミッションをこなしていく。
 たとえ万が一、危機に遭遇したとしても、落ち着いて、考える。「今使えるリソース」をチェックし、チームとして動く。
 宇宙飛行士には、このような個人的資質が求められます。

 ならば、そのような人間をどのように「選抜」するのか。

 大鐘良一・小原健右「ドキュメント 宇宙飛行士選抜試験」を読みました。JAXAにおける宇宙飛行士の選抜プロセスを描いた良質のルポルタージュだと感じました。

 同著によりますと、宇宙飛行士の選抜試験は、「一般教養・専門試験・心理検査」などからなる「1次選抜」、医学検査を行う「2次選抜」、そして、宇宙ステーションを模した閉鎖環境で、各種の課題達成させ、個人的資質を見る閉鎖環境試験、泳力試験、面接試験などからなる「3次選抜」からなります。

 この三段階のプロセスを経て、963人のアプリカントが2人にしぼられていきます。

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 本書を読みながら、僕は、2つのことを思っていました。

 ひとつめ。
 それは閉鎖環境試験についてです。

 かつて、学習・認知研究において、ハーバード大学のハワード・ガードナー(Haward Gardner)が多重知能理論(Multiple Intelligence)を提唱していた頃、「文脈の中での評価」ということの重要性が指摘されていたことがありました。

 20世紀は「テスト社会の誕生」とも形容できる時代です。
 20世紀初頭、ビネーらによって知能検査の発明され、それ以降、人間の知能を「標準化テスト」によって計測し、ひとつの抽象的基準にしたがって数値化・序列化し、それをもって、その人間の潜在的能力を仮定する、というやり方が、普及しました。

 これ対して、1980年代、「一般知能」という概念や「標準化テスト」とよばれる評価手法に対して「カウンターカルチャー」になるような考え方が生まれます。
 人間の能力とは、いあゆる認知的能力から芸術・身体の能力に至る多重で、多様なスペクトラムとして構成されており、それは、文脈や状況の中でこそ発揮され、測定されるべきものである、ということが主張されました。

 具体的に就職試験などに照らして考えてみれば、わかりやすいか、と重います。
 ある環境・ある状況・ある課題を、志望者に与えてみて、課題を行わせ、そこで起こりうる出来事、それへの対処から、人間の潜在的な能力をおしはかろうというものとして、実装されるのでしょうね。

 宇宙飛行士選抜試験における閉鎖環境試験も、これに類似するものと考えられます。
 閉鎖試験では、宇宙ステーションを模した小さな閉鎖環境に10人が閉じ込められ、課題に当たります。窓はありません。壁は無機質・均質な色です。
 この環境は、このようなストレスフルな環境においても、リーダーシップ、フォロワーシップを発揮できるのか、どうかを検証するための「人工的な観察装置」とも呼べる環境でしょう。

 その背景に流れるのは、「文脈・状況をつくって評価する」という考え方なのかもしれないな、と勝手に、僕は想像していました。

  ▼

 ふたつめ。

 ストレスに耐える力
 リーダーシップとフォロワーシップ
 チームを盛り上げるユーモア
 危機を乗り越える力

 という宇宙飛行士の持つべき資質とは、程度の差こそあれ、現代の企業で働くマネジャーが持っていた方がよいものだよな、と思って読んでいました。

 あまりに月並みな枕詞ですが、現代、私たちが直面しているものは、不確実で、変化の激しい、競争環境です。

 このような環境下においては、ストレスをコーピングする能力も必要です。そんな状況下においても、ビジョンを掲げて、人を巻き込む能力、そしてポジティブさを失わない資質が必要です。

 もちろん、宇宙飛行士のそれと、一般組織のマネジャーの仕事は同じではありません。しかし - 程度の差こそあれ - 宇宙飛行士が有することを期待される個人的資質の一部でも、組織を率いる人々に期待したいのは、それほど道理を外れていることではないようにも感じます。

 たしかに、この種の評価手法は手がかかるかもしれません。コストが高い、めんどくさい、とおっしゃる方もいるでしょう。

 しかし、「本来リーダーにしてはいけない人」をリーダーにしてしまった「後」に生じる「組織・組織メンバーが支払わなければならないコスト」を考えれば、ある程度「選抜」にコストがかかったとしても、それほど高いコストとも言えないのかな、とも感じます。

 というのはね、「本来リーダーにしてはいけない人が、組織にもたらす組織・組織メンバーが支払わなければならないコスト・苦労」は数字にもなりませんので、顕在化しませんよね。
 でも、これはね、少なくないだろうな、と勝手に想像します。実は、めちゃくちゃコスト高いんじゃないかなぁ(笑)、予想ですが。
 
 一般組織における「選抜」を宇宙飛行士のそれに近づけましょう!、と言っているわけではありません。マネジャーは宇宙飛行士じゃないんだから(笑)。
 でも、「選抜」をしっかりとした科学的根拠に基づき、潜在的な資質を、ある程度見抜くことができるようにすることができたとしら、素晴らしいな、と思います。

 ▼

 ともかく本書は、良質なルポルタージュでした。企業で採用などを担当なさっている方にもおすすめです。

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追伸.
 ソーシャルメディアの企業利用について幅広い立場から活動をなさっている小林弘人さんと、小生の二人でワークショップをすることになりました。「ソーシャルメディア時代の組織コミュニケーションを考える」という内容で、今、準備をすすめています。一般的な企業広報でソーシャルメディアをいかに活用するか、という話の他に、組織内コミュニケーションも扱っていく予定です。

ソーシャルメディア時代の組織コミュニケーションを考える
http://seminar.jpc-net.jp/detail/mdd/seminar006107.html

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■2012/01/31 twitter

  • 06:51  全く同感です。紙一重になる可能性もありますね>この中では「過大な要求」と「ストレッチ」の境目が最も難しいと思った RT 「職場パワハラ」6類型「身体的な攻撃」「精神的な攻撃」「人間関係からの切り離し」「過大な要求」「過小な要求」「個の侵害」(日経)
  • 06:51  ブログ更新。あらゆる人材育成にはリスクがある:「ニュートラルな言葉」「語感がよい言葉」にご用心!: http://t.co/QwRyL3sR
  • 06:12  部下から上司に対する同様の行為も「パワハラ」だそうです>厚生労働省部会、「職場パワハラ」を6類型にまとめる:「身体的な攻撃」「精神的な攻撃」「人間関係からの切り離し」「過大な要求」「過小な要求」「個の侵害」(日経)
  • 06:04  昨日、一番びっくりしたニュース。小生宅愛用しています>ドコモ、野菜宅配らでぃっしゅぼーやを買収(日経)
  • 05:59  外国人雇用状況の届出状況(厚生労働省):外国人労働者雇用の事業所数は前年比7.2%増の116561箇所、労働者数は5.6%増の686246人、国籍は中国が最多297,199人で全労働者数の43.3%、製造業中心、30人未満の事業所中心: http://t.co/74hDG1eS
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投稿者 jun : 2012年2月 2日 10:36