組織を出ることではじめて見えるもの!? : 組織の「強み」と「存在意義」の再発見

 異業種5社の次世代リーダー社員による地域課題解決プロジェクトが大詰めを迎えています。
 このプロジェクトは、アサヒビール株式会社、株式会社インテリジェンス、株式会社電通北海道、ヤフー株式会社さんの異業種5社の社員の方々が、異種混成のチームをつくり、北海道・美瑛町が抱える地域課題の発見・解決策の提案を行うプロジェクトです。
 中原は、ヤフーの本間さん、池田さんらからお声がけいただき、このプロジェクトの監修・ファシリテータとして企画・実施に関与させて頂いております。詳細は下記でご覧下さい。

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異業種5社のリーダーが集まる研修をいかにデザインするのか!?
http://www.nakahara-lab.net/2014/05/post_2222.html

異業種コラボ・アクションラーニングを成功させる3つのコツとは?:「捨てる勇気」と「待つこと」の意味!?
http://www.nakahara-lab.net/blog/2014/09/post_2264.html

 プロジェクトは残すところ、美瑛町長へのプレゼン。そして、全プロセスをふりかえっての、リフレクションセッション(リーダーシップ開発セッション)を残すだけとなりました。
 昨日は、あるチームのプレゼンを最終チェックを行いましたが、さすがは次世代リーダの皆さまですね。コンテンツのロジックに関しても、数字に関しても、パーフェクトに近い出来でした。今から、発表当日がとても楽しみです。

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 ところで、この研修の企画・運営に参加させて頂いていて、同時に、個人的に行わせていただいているのが、参加者の方々へのヒアリングです。研修そのものの評価のためのデータ取得もありますが、一部は、自身の研究のため、研修参加者や、各社人事の方々の御協力を得ながら、ヒアリングをさせていただいております(心より感謝いたします)。

 ヒアリングの中で取得させて頂いているお話の中で、個人的に、もっとも興味深いことは、多くの研修参加者の方々が、一様におっしゃるひと言です。

 そのひと言は、

 この研修に参加して、自分の会社の「良さ」や「強み」がよくわかった

 です。

 もしかしたら、この「ひと言」は意外に思われるかもしれませんね。会社の外にでれば、自分の会社のダメなところがわかる方が自然なのではないか、と。また、自組織をでれば、他の組織がうらやましくなって、自組織を卑下するんじゃないか、と。

 しかし、それは違います。
 もちろん、ネガティブな部分も見えてくることは事実です。自分の会社の弱みや弱点についても、研修参加者の方々が、言及なさっています。しかし、それ以上に、多くの方々が言及なさっているのが、「自分の会社の良さや強み」の再発見なのです。「自分の会社の弱点」は、それにアドオンされるかたちで語られることの方が多いように感じます。もちろん、これはシングルケースであり、どんな組織においても、そうなるとは限りませんが。

 たとえば、ある方、こうおっしゃいます。

 うちの会社は、やっぱり、白黒の能力はすごいんですよ。一定のクオリティで、文書をまとめる能力っていうのは、やっぱりすごいんです。これは他の会社にはないかもしれない。
 でも、そうですね、強いて言えば、カラーの世界には弱い。プレゼンとか、どう魅せるかっていう観点になってくると、弱いですね。

 中には「会社が存在する意味」「理念が存在する意味」まで考えられる方もおられます。

 曰く、
 
 はじめて「会社がある意味」って、何なんだろうって考えさせられました。みんなが多様で、理念も決まってなくて、目標もないところから組織をつくっていくことが、こんなに大変だとは思わなかった。理念って、なぜあるのか、わからなかったし、組織がなぜあるかなんて考えたこともなかった。でも、軸がなければ、どこまでもぶれる。

 研修参加者の思考は、かくのごとく、進みます。
 とても興味深いことですね。

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 この研修は、いよいよ最終フィナーレ。
 防災無線?をつかって街全体に広報がなされる町長に向けての最終プレゼンと、丸々一日をかけたリフレクションセッションに向かいます。

 会社をでて、地域に出ることで見えてきたものは何か・・・

 そして人生は続く