リフレクションとは「私が悪かったです、頑張ります、大丈夫です」と「言わせること」なのか?

 ここ十数年の人材開発の領域をかんがみるに、

 リフレクション(振り返り:内省)

 という言葉ほど、広まった言葉はありません。この間、人口に膾炙した言葉のひとつには「経験学習」もあげられますが、リフレクションは「経験学習」とともに、この十数年の人材開発の世界で、もっとも頻繁に語られる言葉のひとつであったような気がいたします。

 しかし、「普及」というものは、注意を要する「負の側面」も同時に持ち合わせるものでございます。

「リフレクション」という言葉が多くの人々に使われ、消費されていくうちに、「リフレクションとは全く非なるもの」が、「リフレクション」というラベルで、呼称されるようになっているような気がするのです。

 先だって、このところ、共同研究でお世話になっているトーマツイノベーションさんの渡辺 健太さん、長谷川弘実さんが、研究室にお越しになり、リフレクションについて話しておりました。

 このお二人は、共同研究のお打ち合わせのとき、ときたまぴったりと息の合った即興劇を見せてくれるのですが(上司役は渡辺さん、部下役は長谷川さん)、先だっては、彼らはインプロはリフレクションについてもおよびました。
(ご本人たちは演じていることをお気づきじゃないかもしれません。そのくらい息がぴったりです)

 いったい世の中では、どのような「リフレクション」がリフレクションと呼ばれているのか?
「リフレクションとは全く非なるもの」の典型とは何かを即興劇で見せてくれました。いつも素晴らしい即興劇を演じてくれるお二人には感謝です。
(あたりまえですが、お二人は、本当はリフレクションについてはよくご存じです。下記は演じておられるのです)
 
 
■上司ー部下面談の場面 リフレクションあるある

 上司「あのさー、あの件だけどさー。話、今いい?」
 部下「はい」
 上司「でさー、誰が悪かったんだっけ?」
 部下「わたしです」
 上司「だよなぁ、そうだよな、お前が悪いんだよな」

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 これってリフレクション???(笑)
 「悪いと言わせている」だけじゃ???

 リフレクションの研究者?が見たら発狂しそうな場面が、リフレクションの典型なのかもしれません。
 そして、もし、これが事実だとするならば、まだまだリフレクションの重要性を指摘した方がいいような気もします。

 即興劇は、もしかすると、こんな風につづくのかもしれません。

上司「で、どうするんだっけ?」
部下「頑張ります」
上司「大丈夫?」
部下「大丈夫です!」

 いったい、何が大丈夫なんだか・・・(泣)。
 
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 今日はリフレクションについて書きました。

 皆さんのまわりには「リフレクションとは全く非なるもの」が「リフレクション」の名前であふれていませんか?

 そして人生はつづく