「辞めたなら、またとってくればいい」から「育てるマネジメント、ともに働く職場」へ:アルバイト・パート人材の人出不足を解消せよ! のべ従業員数30万人以上・異業種6社共同調査プロジェクト!

「アルバイト・パート人材不足の社会課題」に共同研究で挑戦
 のべ従業員数30万人以上・異業種6社が参画

 昨日、テンプホールディングス株式会社さんから、のべ従業員数30万人以上・異業種6社が参画する調査共同研究「アルバイト・パートの戦力確保に向けた施策検討プロジェクト」がスタートするとのプレスリリースが出ました。

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「アルバイト・パート人材不足の社会課題」に共同研究で挑戦:のべ従業員数30万人以上・異業種6社が参画
http://www.tempstaff.co.jp/corporate/release/2015/20151022_6381.html

 この調査研究は、テンプグループと不肖・中原淳との共同研究であり、「2020年を見据え、アルバイト・パートの戦力確保」をめざして、実施されるものです。
 プロジェクトには、テンプホールディングス株式会社 渋谷和久さん、大澤則幸さん、テンプスタッフラーニング株式会社の岩崎真也さん、株式会社インテリジェンスHITO総合研究所小林祐児さん、研究室から中原、田中聡さんが参加します。
 まずは、このような機会をいただきましたことを、渋谷さんをはじめとして、テンプグループのみなさまに、心より感謝をいたします。ありがとうございました。

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 ご存じのとおり、首都圏は、圧倒的な「人手不足」に陥っています。

 せんだって、厚生労働省が発表した「平成27年8月労働経済動向調査 パートタイム労働者過不足判断」では、すべての産業で、アルバイト・パートの雇用状況に対し「人手不足感を感じている」結果となりました。特に「宿泊業,飲食サービス業」での人手不足は顕著です。

 最近は、コンビニや飲食などでも、シニアの方々などが働く様子も見られるようになってきました。ある方がおっしゃっていましたが、せんだって訪れた東京駅の某ファーストフード店では、カウンターにたっておられた店員さんのすべてが外国籍の方々であったそうです。
 このように、あの手この手をつくして、様々な採用をおこなっていますが、それでも人手は足りていません。反面、いったん入社しても、離職率も低いわけではありません。かくして、圧倒的な人手不足が進行します。人手不足は、いまや「経営課題」として前景化しています。人手が足りないがゆえに、出店ができないという事態が生まれています。

 さらに、これに拍車をかけるであろうことは「東京オリンピック」です。
 東京オリンピックが開催される2020年に向けては、サービス業や飲食業を中心にアルバイト・パート人材の大幅な需要増加が見込まれています。「人口減少」もあいまって、現在の人手不足感は益々深刻になっていく可能性が高いと思われます。

 こうした中で誕生したのが、このプロジェクトです。
 わたしたちは、「人手不足」の解消には、2つのアプローチが大切であろうと考えました。

1.採用条件の改善や採用手法の高度化といった「入口対策」をおこなうこと
2.店舗のマネジメント行動、職場環境を見える化・改善し、「早期離職の防止=出口対策」を行うこと

 これまで僕の研究室では、多数の企業と共同研究を行いながら、管理職の管理行動・職場環境に関する 実践的な調査研究を行ってきました。このたびのプロジェクトでは、各店舗に「育てるマネジメント」と「ともに働ける職場」を創出することをめざし、様々な 調査を実施します。
 現在進行しているのは、1)採用手段に関する調査、2)離職理由に関する調査です(11月実査)。これに3)各店舗のマネジメント・職場環境に関する調査が進行します(年明け実査)。コンテキストが異なる異業種6社のみなさまが働く職場が舞台です。膨大な作業量・分析量・すりあわせの量です。これを恐ろしいスピードで進めてくださっている現場のみなさんに心より感謝いたします。お疲れ様です。

 青臭い言い方になることを覚悟していいますが、

 「辞めたなら、またとってくればいい」

 という状況がもしあるのだとしたら、それを早期に脱し、

 「育てるマネジメント」と「ともに働ける職場」

 を職場に確立していくことが重要だと思います。今回ご参画いただいた志ある異業種6社の方々が「辞めたなら、またとってくればいい」と思われているわけでは決してありません。こうした機運が、もし業界全体にあるのだとしたら、それを変革していく取り組みの一助になればいいなと思っております。
 そのためには、現在の管理職の管理行動・職場環境を「見える化」し、フィードバックをしていくことが求められると思います。
 踏み込んで述べるならば、この取り組みを重ねていけば、のべ30万人の人々がはたらく職場の職場環境の改善につながります。「人手不足」というコンテキストを利用して、「職場環境」を改善していくことができるのではないかと考えています。

 のべ30万人以上の人々が働く企業が企業の壁を乗りこえ連携して、人手不足問題という社会課題に挑戦する研究プロジェクトを実施するのは、世界でも類がないことであり、「日本初」と言ってよいと思います。
 テンプホールディングスさんとの共同研究によって生まれた本プロジェクトが、少子高齢化の進む我が国の社会問題解決に資することを願っています。

 そして人生はつづく