優れたリーダーは「ホワイトボード」の前に立つ!? : 考えを外化し、共同注意を集める

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 今年も、異業種のビジネスパーソンが北海道・美瑛町に集まって、地域課題解決を行うアクションラーニング型の研修がスタートいたしました。
 僕は、発起人のヤフー株式会社の本間さん、池田さんからのご依頼で、この研修の監修者・ファシリテータを、2014年からお引き受けしております。チャレンジングな取り組みにお誘いいただいてありがとうございます。

異業種5社のリーダーが集まる研修をいかにデザインするのか!?
http://www.nakahara-lab.net/2014/05/post_2222.html

リフレクションをうながす「スパイシーなフィードバック」!? 美瑛町・地域課題解決研修2014が終わった!
http://www.nakahara-lab.net/blog/2014/10/post_2294.html

 ところで、この研修では、異業種の各社(ヤフー・アサヒビール・インテリジェンス・日本郵政)の参加者の皆さんが、グループになって、半年間、美瑛をフィールドワークしつつ、地域課題の解決を行います。
  昨年の提案のうち、いくつかはすでに実現ないしは実現の方向に動いているものもあります。

 この週末は、参加者の皆様に、1)フィールドワークの方法論、2)アクションラーニングの愉しみ方、3)リフレクションの方法、4)チームビルディングの方法などを、レクチャーさせていただき、また、はじめてのフィールドワークに取り組んでいただきました。参加者の皆様、各社人事の事務局のみなさまにおかれましては、本当にお疲れさまでした。

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 この研修の問題解決のプロセスは非常に厳しいものです。
 それまで逢ったことのない、しかも、各社で何かをこれまでに成し遂げてきた方々が参加者ですから、意識や思いのすり合わせを行うところから、話はスタートいたします。チームは、のっけから「ダイバーシティの極み」のような状況からはじまります。
 皆さんのご尽力に頭が下がる一方で、僕自身も全力でこれに取り組む覚悟を決めています。

 今週のセッションでは、非常に印象深い出来事やお話、インテリジェンス・高橋社長を囲んでの車座など、書き切れないほどの面白い出来事が起こりました。インテリジェンスの高橋社長が語る、同社の「これまで」と「これから」には、勝手ながら、ワクワクを感じていましたし、美瑛町の役場の皆さんがかたる美瑛町の課題に関しましては、非常に示唆にとむものがありました。
 一方、参加者の方々の「問題解決のやり方」を拝見していて、非常に印象的だったことがあります。

 それは、

 リーダーシップと「ホワイトボード」の関係

 です。

 問題解決をうまくすすめているチームのなかには、ホワイトボードを用いたり、付箋を用いたりして、まずいったん自分たちのなかにあるアイデアや考えを「外化」して、それらを「共有」していました。

 頭の中から取り出され「外化」されたアイデアには、グループメンバーの「共同注意」が集まります。そうなれば、その後の分析や吟味などが効果的に進みます。

 本間さんは、

 リーダーは「白板」の前に立て!

 とおっしゃっていましたが、なるほどな、と思いました。ダイバーシティあふれるチームのなかで、自分がひとり席をたち、ホワイトボードの前に立つことは勇気がいることです。しかし、なかなか「まとまらない」ものを、そのままにするのではなく、一歩先に進む勇気をもって、積極的に「外化」を促す。それによって生み出される効果は、確かにあるような気がします。

 もちろん、白板やホワイトボードの前にたてば「必ず」リーダシップが生まれたり、問題解決が進むとは言い切れません。
 が、チームがうまれたばかりの頃に、拡散しがちなアイデアを「外化」し、とにもかくにも共同注意を集めることは効果的であると思いました。
 一部のコンサルティングファームでは「白板を制するものは問題解決を制する」とまで言い切るところもあるのだとか。まことに興味深いですね。

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 ようやくスタートしたプロジェクトはさらに本格化していきます。フィールドワークで徹底して現地の聞き取りを行っていただき、獲得した一次データをもとに、イシュー度の高い課題を立案し、解決策を考えます。
 参加者の皆様のほか、美瑛町役場、美瑛町民のみなさま、参加者の方々のご努力・ご尽力には頭が下がります。お疲れさまでした。

 皆さんのワクワク感あふれる提案を、心の底から楽しみにしつつ、帰京しました。

 そして人生は続く