ポジションが上がると生まれる「モヤモヤ」!?

 ポジションがあがるとですね
   不安が「べき乗」にあがりますよ。

 これは、ある会社で相当なポジションになり、現場を力強く率いているリーダーの方から、ふと漏れた言葉です(ありがとうございます)。非常に印象的な言葉だったので、思わず、僕は、研究メモに書き留めてしまいました。

 ここ数年、事業統括部長の方々や執行役員クラスの方々とお話する機会が増えています(お声がけありがとうございます)。
 彼らの年齢はさまざまで、上は50代後半から、中には、僕と同年代か、それよりも、少し上くらいの方もいらっしゃいます。

 彼らの多くは力強く聡明で、ふだんは、あまり不安とか葛藤を口にすることはない印象があります。むしろ、明るく周囲を和ませたりすることの方が多いようにも思います。
 が、たとえば、ふとした拍子で、僕と室内に2人になったときなどに、「今後のこと」をひたひたと話していくと、先ほど述べたような台詞が、たまに出てくることがあります。

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 ポジションがあがるとですね
   不安が「べき乗」にあがりますよ

 思うに、この不安は、いくつかの次元が重なり合ってでてくるのだと思います。

 容易に想像できるのは、成果へのプレッシャーや責任感の重さ。そして、上と下に挟まれる不安や葛藤。
 事業統括部長、執行役員クラスとなると、それは、とてつもないものがあるでしょう。

 一般に、ある程度のところまで人は昇格してしまうと、「開発対象(Developmental target)」から「置換対象(Replacemenet target)」に変わってきます。

 要するに、課長くらいまでは、「人材開発の対象=育成の対象」であり、成果はすぐに出なくても、相対的に「まだ大目に見たり」、「外部からの働きかけや立て直し」が行われることも少なくありません。
 が、さすがに、それより上位のポジションになってきますと、「ダメなら、すぐにReplace(置換)される」ようになってくるということです。

 そして、そのような中で、事業を率いることは、並大抵のプレッシャーや不安ではありません。

 しかも、このクラスになると、あがってくる案件は、白黒はっきりつかない、相当グレーなものばかりです。

 白黒はっきりつくものは「課長レベル」で処理されているので、ここにあがってくるものは、「限りなくブラックに近いグレー」でしょうか。あるいは、「限りなく大炎上に近い炎上」かな(笑)。ていうか、もう、火、延焼してるよ。

 あと、ここまで上昇移動を繰り返してきますと、将来、ここからあがっていける「階段の数」も、1段、ないしは2段、とかなり限られてきます。
 執行役員まであがってしまえば、あとは役員、副社長、社長くらいしか、ポストがないでしょう。そして、そこには、多くの有象無象・海千山千の競争相手がいます。

 もちろん、あと5年逃げ切ればよいのなら、あと1段・2段しか階段がないのは、あまり気にならないのかもしれません。

 しかし仕事人生が伸びて、たとえば、あと15年ー20年あるときに、残りの階段がいくつかしかない。そこには大競争がある。外に出ようにも、またゼロからやるのは億劫だし、給与は下がる可能性も少なくない。

 しかも下からは人が育ってきていて、自分が今のポストからおりないことには、下をあげることはできない。この先、自分はどのような道を歩いて行けばいいのか・・・。

「べき乗」になっていく不安や葛藤は、さしずめ、こんなところから生まれるのかな、とも思います。

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 一般に、ポジションがあがっていけば、順風満帆、何一つ不安などない生活があるようにも感じます。もちろん中には「オレはめちゃめちゃイケイケだぜー」と恵まれている方もいるでしょうから、一概にはいえません。このクラスに公的統計や調査があるわけではないので、かくたることはは言えません。

 が、「心のドア」を少し開いてみると、それは、それなりに仕事にまつわる「モヤモヤ」とした思いがでてくることもあるようです。
 でも、多くの方から、この「モヤモヤ」を聞く、ということは、「モヤモヤしていても、全然OK」「ポジションがあがると、そんなものなんだ」ということなのかもしれません。

 人は、それぞれの「モヤモヤ」を生きています。
 でも、モヤモヤしても大丈夫!

 そして人生はつづく

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