マネジャーが「自分でやらなければならないもの」とは何か?:「自分しかできない」という思い込みを解く!?

 先だって、日本生産性本部さんとのプロジェクト「マネジメントディスカバリー」での打ち合わせ会議で、

「なぜマネジャーは、プレーヤーとマネジャーのバランスがとることに、つまづいてしまうのか?」

 ということが議論になりました。関係者のみなさま、お疲れ様です。

 駆け出し期のマネジャーが、「プレイング時間」を大目にとり、「マネジメント」にあまり注力しないことが、職場のマネジメント不全をまねき、結局「実務担当者」から「マネジャー」への「役割移行」につまづくことになってしまうことが少なくありません。
 その日の議論は、こうした認識にたち、いかにこれを防止するかということでした。

 この問いに関しては、

「いや、そもそもやることが多いから」
「いや、そもそも忙しすぎるから」
「ていうか、この量、無理だから」

 という「もっともな反応」が生まれることは了承しつつも、それらをいったんわきにおき、マネジャーの仕事時間の中で「本当にマネジャーがやらなければならないこと」と「本来はマネジャーがやらなくてもいいこと」を峻別する必要があるね、という話になりました。

 具体的に申しますと、要するに

「本当にマネジャーがやらなければならないこと」

 と下記の2つ

「本来はマネジャーがやるべきことではないのに、本人の中には、強固に、自分がやらなければならない、自分しかできる人がいないと思っているもの」

 や

「本来は、マネジャーがやるべきことではないのに、本人としては、自分が率先してやりたいと思っているもの」

 を整理するということであり、後者は率先して「他に任せる」ということです。
 そういう風に、任せられる仕事は他人に任せ、自らマネジメントにあてる時間をつくらなければ、おそらく、マネジャーは成果をだすことが難しくなってしまうのではないかと思うのです。

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 これに関しては、マネジャーの皆さんが集まる研修やワークショップで、自分のスケジュール帳をだしていただき「自分がやらなければならないもの」を書き出すワークをやると、大変興味深いことが起こります。
 まずは、見事に「自分がやらなければならないもの」が果てしなく列挙されます。

 しかし、ここで、

「ほんとに、ほんとうに、この中に、あるのは、自分がやらなければならないもの」だけですか?

 と問いかけると、うーんと唸ってしまわれる方がいらっしゃいます。

「そういわれてみれば、思い込んでいただけで、敢えて、自分がやらなくてもよい仕事もあるな」

 とか

「まだ、現場に未練があって、この仕事を手放してしまうのは寂しいんだよね」

 とか

「他の人に、この仕事だけは明け渡したくないと思っている仕事もあるんだよね」

 とか

「慣習的に、これまでマネジャーがやることになっていた仕事なんだけど、別にマネジャーじゃなくてもいけるわ」

 というものが含まれることが少なくありません。

 要するに、すべてではないにせよ「自分がやらなければならない」と思っているものの中には、「思い込み」や「密かな願望」が含まれるということです。まぁ、それらが仕事のモティベターになっていることも少なくないので、すべて明け渡すことも難しいのですが。

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 今日は、マネジャーの時間管理についてのお話になりました。「時間」とは、すべての人に平等に与えられた「リソース」であり、それをいかに使うかは、成果に影響を与える要因になります。

 モモではないですが、この世は「時間泥棒さん」が満ちあふれています。「時間泥棒さん」に時間を盗まれてしまうと、自分の人生を生きるのではなく、他人の人生を生きることになります。

 穏やかに、自分の時間を生きたいものです。
 そして人生はつづく