「残念なリフレクション」あるある!? : 「どんよリフレクション」と「ムリヤリフレクション」

 1990年代から2000年代にかけて、人材開発の世界で広まった言葉のひとつに「リフレクション(内省:リフレクション)」があげられます。
 ここで「リフレクション」とは、「過去と現在を見詰め、未来の行動や指針をつくる活動」と簡単に定義しておきましょう。

 昨今、研修はもとより、目標管理の中、そして日々の1on1ミーティング、引き継ぎの会議などの中で、リフレクションが実践されることは多くなっているように思います。

 もとより、世の中には「リフレクション」という名前がついていない「リフレクション的な集まり」が多数を占めるでしょうから、実は、わたしたちは「かなり多くのリフレクティブな時間」を過ごしているのかもしれません(リフレクションのないアクションオリエンティッドな組織も多数あるでしょうが)。

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 ところで、リフレクションは、そのやり方次第では、かなり「残念なリフレクション」も生まれてしまいます。
 ここでは「まことに残念なリフレクションあるある」を2つだけ取り上げてみましょう。その2つとは「どんよリフレクション」「ムリヤリフレクション」です。

 第一に「どんよリフレクション」とは「振り返る出来事が、失敗事例に偏りすぎており、かなり「どんよりした気持ちでリフレクションすること」をさします。そういう場所では、リフレクションときくと「うへー、最悪」と思ってしまうような雰囲気が漂っているはずです。

「失敗事例」を振り返ることは確かに必要なのですが、ここで忘れてはいけないことは、振り返ることの対象には「成功事例」や「ポジティブなこと」があってもよいということです。

「成功事例」こそしっかりと振り返り、さらにそうしたポジティブな時間を増やすことができたとしたら、それは立派なリフレクションです。

 また「気持ちがふさぎこみ、どんよりすること」はリフレクションをしているプロセスでやむを得ないかもしれませんが、大切なことは「最終的にはリフレクションは未来に開かれていなければならない」ということです。
 だから、リフレクションの最後は「やってみよう!」と思えるように自己効力感を高める必要があります。

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 第二に「ムリヤリフレクション」とは、体育会系の組織風土をもつ組織で「上司が部下に1on1ミーティングをするとき」などに生まれがちです。

 上司は「部下に、業務経験の振り返りをうながし、部下の口から、次の目標を言わせなければならないこと」は頭ではわかっているのですが、その思いが「強烈」なのと「時間がない」がゆえに、「部下にムリヤリ言わせてしまっているような事例」を指します。

部下「これまでの状況は・・・は・・・だと思うんで、今度は・・・をめざそうと思うんですよ」
上司「えっ、それでいいの? ていうか、そんなもんでいいの?」
部下「・・・(上司の様子をうかがって)・・・でしたら・・・このあたりをめざそうと思うんですよ」
上司「まだ、いけるっしょ。やる気あるよね?」
部下「でしたら・・・のあたりが目的かと」
上司「つーか、最初から、そういえば、いいんだよ」

 うーん、、、これってリフレクション?

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 今日は「リフレクションあるある」を2つだけ取り上げました。本当はまだまだあると思うのですが、時間がないので、2つだけ。
 ぜひ、皆さんのお近くで、「残念なリフレクション」が生まれていたとしたら、また教えて下さいね。

 そして人生は続く