あなたの業務知識・スキルは、どれだけ「自社の外」で通用するか?:育成機会としての「プロボノ」

「プロボノをしていくなかで学んだことは、企業特殊スキルと一般スキルを選別することができるようになることですよ」

 先だって出席させて頂いた某研究会で、ある方がもらしたひと言が非常に印象的でした。

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 一般的にプロボノとは「職業のうえで培った知識・スキル・人脈・専門性などをいかして、社会の問題解決に資するボランティア活動」であり、多くの場合は、企業・組織等につとめる一般的な社会人が、その担い手になります。

 僕は、この領域の専門家ではないので詳細なことはわかりませんが、ここ5年くらいでしょうか、特に都市圏の企業、専門家集団では、CSR活動の一貫として「プロボノ」活動を実践するところが増えているような印象をもっています。

 会社組織につとめる方がプロボノに向かえば、当然ですが、今まで、組織の中で培った「スキル・知識・経験」を、ボランティアに活かそうと思うはずです。

 しかし、その場合、確かに「スキル・知識・経験」はもっているはずなのに、自分が思っていたように、それらを活かせないという局面がでてくることが多いと聞きます(個人的には、業務知識・スキルのかなりの部分は、働く状況に依存していると思っています)。

 たとえば、プロボノで会計を担当しようとしていたのだけれども、自分のスキルが「会社の会計システムを前提にしていた知識」であったために、いったん外にでてしまうと、あまり役にたたない。
 例えば、IT企業におつとめの方が、自分のITのスキルや知識を活かそうとするのだけれども、その方がおつとめのIT企業では、大規模なシステム開発ばかりしているので、外の世界で一般的な「小回りのきくシステム開発には知識やスキルが活かせないことに気づかされる。逆に、自分のもっているスキルの中で、組織の「外」でも通用するもの、求められるものは何かを知ることができる。

 すなわち、プロボノは、自分のもっている知識・スキル・経験が、いかに「自分の企業に根ざしたものであるのか」「自分のスキル・知識のなかで何がポータブルなもの」なのかを認識する契機になるということですね。非常に興味深いことです。

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 現代社会は、組織が働く人のキャリア・仕事人生を「丸抱えすること」が次第に難しくなっていくだろうと言われています。いわゆる「組織人(Organization person)」が陰りを見せている、といっても過言ではないのかもしれません。そうしたときに、自分のスキル・知識・経験の適用範囲を知ることは、非常に重要なことなのかなと思います。そう考えるならば、プロボノはキャリア開発・人材開発のひとつの手段とも考えられるのかな、と思います。

 そして人生は続く

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追伸.
 ダイヤモンドオンライン連載「人が育つ研修の作り方」がはじまりました(井上さん、間杉さん感謝!)。こちらの方、どうかRT・シェア・拡散どうぞ御協力のほどお願いいたします。

人が育つ研修の作り方 1回目:研修ってそもそもなんのためにやるんですか?
http://diamond.jp/articles/-/55665