拙著新刊「駆け出しマネジャーの成長論」(中公新書ラクレ)がいよいよ刊行です!:チームを率い、成果を残すために、マネジャーは、何をいかに為すのか!?

 今週末5月10日、僕が執筆した一般向けの書籍「駆け出しマネジャーの成長論:7つの挑戦課題を科学する」(中公新書ラクレ)が刊行され、早いところでは店頭でお求めいただけるようになると思います(しばらく時間がかかるところもあるかもしれません)。本書は、名づけて「駆け出し本(かけだしぼん)」です。

kakedashi_bon_title.jpg

駆け出しマネジャーの成長論:7つの挑戦課題を科学する(AMAZON)
http://ow.ly/wt7RM

 ▼

「駆け出しマネジャーの成長論」は、

・そろそろ人を育てたり、管理しなければならない立場になりそうな方
・ここ最近、自らチームを率いなければならないポジションに移られた方
・新任マネジャーや駆け出しマネジャーを人事・経営の立場からいかに支援するべきか、ということを考えておられる方
・うちの組織では、どうも中間管理職が育たないな、と思われている経営者の方々

 などにおすすめの一般書です。
 端的に述べますと「実務担当者から、いかに生まれ変わり、マネジャーとして働き始め、成果をあげられるようになっていくのか」を、定量・定性、様々なデータを引用しながら論じています。

3H1A6464.JPG

 より、具体的には、

 マネジャーとは何か?(1章)

 マネジャーになることが、最近難しいのはなぜか?(2章)

 マネジャーになった日、どういうことが起こるのか?(3章)

 マネジャーとして(4章)
  いかに部下育成を行うか?
  いかに政治交渉を進めるか?
  目標をいかに咀嚼させ、納得解を得るか?
  年上の部下など多様な人材をいかに活用するか?
  いかに迅速で間違いない意思決定を行うか?
  いかに心折れないようにマインドを維持するか?
  プレーヤーとマネジメントのバランスをいかにとるか?
 
 そして、会社・人事・経営者には
 マネジメント支援として何が可能か?(5章)

 を探究しています。
 巻末には、現場のマネジャーの方の「覆面座談会」も収録されており(お忙しいところ御協力いただきましたマネジャーの皆様!心より感謝です)、こちらでは、「マネジャーとして働くことの勇気」をもらえると思います。

 一般向けの書籍ですので、図解なども、なるべく多くすることにしました。

management_discovery.jpg
 
 しかし、同時に「玄人」の方にもお読み頂けるよう、各章の章末に文献は充実させたつもりです。本文には専門的な用語はなるべく廃しています。より深い情報にアクセスなさりたい方は、ぜひ脚注をご利用下さい。

3H1A6467.JPG

  ▼
 本書は「泥臭い本」だと思いますが、ぜひお楽しみにいただければ幸いです。下記に「後書き」を掲載します。

<後書き>
 新任マネジャー、駆け出しマネジャーが、マネジャーになったときに、どのような挑戦課題に直面し、どのように対処しうるのか。
 本書では、この問いに答えるために、様々な定量・定性データを駆使しながら、お話をしてきました。本書を書き上げた今、あらためて振り返ってみますと、わかっている人や、マネジメントを既に経験したことのある人からみれば、「凡庸にしか感じられぬこと」を書いてしまったな、と思います。しかし、一方で、現在、奮闘している新任マネジャーや駆け出しマネジャーが「凡庸にしか感じられぬこと」を本当に伝えられているのか、理解している時間があるか、というと、それもまた、いささか心許ない気もします。
 マネジャーの辞令をもらって、組織の狭間の中で、さまざまなものに揉まれ、日々奮闘している彼 / 彼女らの時間と精神的余裕には限りがあります。このたびインタビューに答えてくれたマネジャーの一人が思わず口にしたひと言が、今なお、僕の心に残っています。

(一般に)マネジャーになることは、あとは飛び込んで泳げと言われているような感じ。

 本書で、僕は「実務担当者からマネジャーになるプロセス」にまつわる様々な知見やデータを整理し「マネジャーの方々」に「お届けすること」に徹しました。もし、彼 / 彼女らが「泳ぐこと」を一寸だけ暇を見出し、ほんのつかの間に、本書を手に取り、自分の職場・部下・立場などを振り返り、次のアクションを決めるときに役立ててもらえたのだとしたら、筆者として、望外の幸せです。
 マネジャーになって直面する挑戦課題は、決して「ひとりの課題」ではなく、「みんなの課題」です。時に悩んだり、つまづくこともあるのは、決して、あなただけではありません。そのような課題に直面したとしても、うろたえず、現状を振り返り、原理・原則に配慮しつつ、次のアクションを決めていく。そのことから逃げないでいれば、きっと事態はポジティブな方向に向かうのではないかと信じています。

 また、5章で論じたように、人事部・経営者の方々が本書を手にとり、自社のマネジャー育成のあり方、自社の人材開発施策の改善に役立てていただけたとしたら、これもまた嬉しいことです。2章で再三にわたって指摘しましたように、現在、マネジャーの育成をめぐる環境は、だんだん激化しています。彼 / 彼女らを昇進させ、経営のフロントラインに立たせるのであれば、それに適切な支援が提供されるべきだと僕は思います。人事の観点ならば、マネジャー育成をきっかけに人材開発のあり方そのものを見直すこと、また経営者の観点ならば、「自らが学ぶ存在になること」こそが、もっとも重要なことではないか、と思います。

 最後になりますが、本書は長期にわたる構想・執筆期間をへてゴールすることができました。編集・構成等で伴走いただいた中公新書ラクレの黒田剛史さん、秋山基さんに、まずは心より感謝いたします。本当にありがとうございました。また、マネジメントに関する調査・研究開発(マネジメントディスカバリープロジェクト)でご一緒した公益財団法人・日本生産性本部のみなさま、野沢清さん、木下耕二さん、矢吹恒夫さん、大西孝治さん、塚田涼子さん、中村美紀さん、古田憲充さん、桶川啓二さんにも心より感謝いたします。
 また、こちらでお名前を掲載させていただくことはできないものの、インタビューをご快諾いただいた各社の現場マネジャーの方々にも、貴重な時間をたまわり、心より感謝いたします。そして、最後に妻・美和にも感謝いたします。この本の執筆のあいだ、美和は、僕にたくさんの時間と励ましをくれました。みなさま、本当にありがとうございました。

 思い起こせば、2013年元旦。今から1年以上前、新年の計を決めるにあたり、僕は、今年は「アクチュアリティのある研究」がしたい、とブログで表明しました。
「アクチュアル」の名詞「アクチュアリティ」はラテン語の「Actio(アクチオー)」に起源をもつ言葉で、「現在進行している現実」を意味します。よって、先に自身が目標に掲げた「アクチュアリティのある研究」とは「今まさに、多くの方々が格闘している問題」と取り組む研究ということであり、また、「みんなが今悩んでいること」を、アカデミックな切り口で、なるべくわかりやすく、平易に、分析し、語ることに他なりません。「人生の正午」と形容される40歳を目前に、最近、僕は「地に足のついたアクチュアルな研究」がしたくなってきました。本書が、この一年の計の達成に寄与できたかどうかは読者の判断にお任せしますが、今は、走りきった気分で一杯です。

 この国に、希望をもったマネジャーが
 これまで以上に生まれることを願います。
 我らが時代!

 夜明け前、本郷の研究室にて
 中原 淳

 ・
 ・
 ・

 そして人生は続く