あなたの組織を物語るワンワードは何ですか? : 「脳がちぎれる」ほど考え抜いたのか?

 今日の話題は、ユーモアーをもって読んでいただくことが必要なので、どうかそうして欲しいのですが、先だって、ある企業の方とお話していた際(Gさん、Sさん、Oさん、先だってはありがとうございました!)、その企業でしか通用しない言葉で、その組織文化を巧妙にあらわす隠語(ジャーゴン)に出会いました。
 
 その言葉とは、ズバリ

「脳ちぎれ」

 です。勘のするどい方なら、「あー、あの会社ね」「あー、あの経営者ね、だったら使うよね」とピンとくるかもしれません。

 その組織では、企画提案の際などに「考えに考え抜くこと」が求められており、

「脳がちぎれるほど、考えぬいたのか?」

 とか

 もし、企画がもひとつの場合は、

「まだまだいけるよ、脳がちぎれてないから(笑)」

 と表現されるそうです。

 もちろんですが、人がどんなに考え抜いたって、「脳がちぎれること」はありません。ですので、「脳ちぎれ」は「指し示すもの」が存在しないという意味において、明らかにメタファです。

「脳がちぎれることはないけど、ちぎれるくらい?に考えてね」という長いセンテンスを1語で表現し、社員にイメージ喚起させるためのメディアであるとも表現できるかもしれません。

 その企業グループは数万人の従業員の方々が働く企業ですので、そのグループの方々が「脳ちぎれ」という言葉を用いているのだとすると、興味深いな、と思って伺っていました。

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 今日のお話は、組織文化にまつわるお話しでした。
 仕事柄、ビジネスパーソンの方々からお話を伺うことが大変多いのですが、いつも興味深く聞いているのは、彼 / 彼女が何気なく用いる「ひと言」「ワンセンテンス」「ワンワード」に、組織文化が如実に物語る表現があるということです。

 おそらく、多くの組織には、「自組織でしか通用しないワードで、しかし、自組織の組織文化を物語るワンワード」が存在するのだと思います。

 現場の方々のお話はいつもいつも面白いものです。そうした表現に出会う一瞬が好きで、この仕事を辞められません。

 あなたの組織を物語るワンワードは何ですか?

 そして人生は続く

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追伸.
 3月7日刊行された「研修開発入門」がおかげさまで、さらに重版決定しました(三刷:1万部を達成しました!)。お読み頂いたみなさま、ありがとうございました。心より感謝いたします。
 同時期3月に東京大学出版会より刊行された「活躍する組織人の探究 大学から企業へのトランジション」は、大学のキャリア教育、就職・採用関係者におすすめの内容です。高等教育研究と企業の人材開発研究をつなごうとする「無茶?・無謀」な知的試みです(笑)。まだまだ残された課題は多いですが、どうぞご笑覧下さい。