4月1日、新入社員は今どういう状況にあるのか?:霧の中の自分、本当の「かしこさ」の発揮!?

 4月1日、新年度です。
 研究室・研究部門を去る仲間、別の地域で新たな生活をはじめる仲間。そして、研究室・研究部門の正式なメンバーとして、同僚として働き始める仲間。3月末から4月にかけては、様々な「変化」が矢継ぎ早に生まれます。
 企業の人事・人材開発の方々は、おそらく今日から数週間、怒濤の新入社員研修でしょうか。まことにお疲れさまです。長期宿泊用のキャリーバックを引きずって、本社・地方・ホテルなどを回られる様子が、目に浮かびます。

 新入社員の方々は、今、どんな面持ちで、この瞬間を迎えていらっしゃるでしょうか。新たな生活に対する期待と、少しの不安。数時間後にはじるであろう、入社式に出席するため、少し早く目が覚めたくらいでしょうか。4月1日の朝、おはようございます。

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 新入社員の方々が、これから数週間ー数ヶ月にかけて体験するのは、「ぼんやりと霧のかかった世界」です。学問的には「不確実性」と形容されますが、要するに「霧のようなもの」です。

 新たな組織において、何を自分が期待されているのか、どのような役割を担うことがコレクトなのか、答えは「霧の中」。自分のいる職場はどういう人がいるのか、誰がキーマンなのか。そういう人間関係すらも「霧の中」。
 要するに、新たに組織に参入する人々にとっては、「行動・認知の準拠・拠り所」となるような情報が「見えません」。それは、まだ「ぼんやりと霧のかかった世界」にあります。今の段階では「見えないこと」を恐れる必要はありません。みんなそんなものだから(笑)。「ぼんやりとした霧」を疎む必要もありません。いずれ、いやでも、わかってくるから(笑)

 要するに、新規参入者にとって、この数ヶ月は

 「何がなんだか、よく、わかんない世界(笑)」

 を生きることなのです。

 さらにいうならば、

 「何がわかんないんだか、よく、わかんない世界(笑)」

 といってもいいかもしれません。
 ちなみに、悪のりすれば、いくらでも無限遡及できます。

 「何がわかんないんだか、よく、わかんないことすら、わかんない世界(笑)」
 
 もう、やめなはれ。

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 こうした「ぼんやりとした霧をはらす役割」は、まずは「組織」にあります。新規参入者が「行動・認知の準拠・拠り所」を見いだせるよう、オリエンテーションを実施したり、作業をともにしたりします。こうしたものを理論的には社会化戦術といったりします。しかし、当然のことですが、「ぼんやりとした霧をはらす役割」を組織だけに任せるわけにはいきません。

 新規参入者は、周囲の様子を見ながら、自らアクティブに組織・環境に働きかけ、この「ぼんやりと霧のかかった世界」の「濃霧」をといていかなければなりません。もちろん、すぐには難しいと思いますし、あまり性急すぎるとヘタを打ちます(笑)。濃霧で運転するとき、トップギアをいれてアクセル踏み込まないでしょう? あわてない、あわてない(笑)
 少しずつ少しずつ、霧をかきわけていく。組織・職場の重要なメンバーを見極め、既にある関係をうまく読み、少しずつ少しずつ、「行動・認知の準拠・拠り所」を探していくということになります。

 「ぼんやりと霧のかかった世界」にも、いつかは「晴れる日」がくるものです。
   そして、
 「何がわかんないんだか、よく、わかんない世界(笑)」にも、一定の論理があるものです。

 そんな霧をかきわけていく数ヶ月が、これから続きます。

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 霧の向こうに広がる世界は、自分が組織参入前に思い浮かべていたような「パラダイス」ではないかもしれません。そこには、組織が抱える「生々しいリアリティ」が存在しているはずです。でも、大丈夫です。みんなそんなものだから(笑)。

「君たちは社会に出て、良き職場や良き上司に恵まれて、社会生活を送るかもしれない。しかし、多くの場合はそうではない。有能だとは思えない上司。自分にあわない仕事内容。さて、どうする? 本当に"かしこい"というのは、そこから始まるのだ」(甲田和衛氏の言葉「生涯学習と自己実現」より引用)

 今こそ、「本当のかしこさ」を発揮する時なのかもしれません。それは学校にいたときに発揮していた「かしこさ」とは、少し違うのかもしれない。「本当のかしこさ」を発揮する、終わりなき旅を、ぜひ愉しんでください。

  社会人としての、新たな生活をおめでとうございます!
 そして人生は続く

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追伸.
「活躍する組織人の探究 大学から企業へのトランジション」が、東京大学出版会より刊行され、そろそろ書店に並んでいる頃と思われます。大学のキャリア教育、就職・採用関係者におすすめの内容です。高等教育研究と企業の人材開発研究をつなごうとする「無茶?・無謀」な知的試みです(笑)。まだまだ残された課題は多いですが、どうぞご笑覧下さい。