均質に並び、繰り返され、等しく焦点があたる「不思議な光景」:写真家・アンドレアス・グルスキー展に行ってきた!

 すべてのものに焦点が定まり
 すべてのものが均質に並び
 すべてのものが繰り返される

 ちょっと前のことになりますが、国立新美術館で開催されているドイツの現代写真家アンドレアス・グルスキーの個展に行ってきました。

andreas_gursky.png

 グルスキーといえば、写真を現代アートの域にまで高めたといわれる一人で、MoMAをはじめとして世界中の美術館で個展が開かれています。

 僕には「アート」の専門知識も教養もありません。
 専門知識、詳細はわかりませんが、その筋の専門家に「便所スリッパ」で、後頭部を殴られることを覚悟して、その写真を、ひと言で形容すれば、それは「無ノイズ・均質・点描空間」だと感じました。
 グルスキーによって、一見、何の変哲もなくうつされた日常的な空間の写真は、よくよく見てみると、一点の曇りも、一点のノイズもないことがわかります。

 その写真は、デジタル処理を施して、徹底的にノイズを排除され、かつ、抽象的に表現された「広大な面」なのです。おおくの場合、そこに無数に存在する「細かい物体」が存在しています。
 下記に少し作品がのっていますので、ぜひ、ご覧下さい。会場では、壁一面に、彼の大型作品がかけられていて、圧巻です。


アンドレアス・グルスキー展

http://gursky.jp/highlight.html
 
 グルスキーが作品にすることが多いのは、「今の世相をあらわすもの」「今、動いているもの」であり、現代の都市社会やグローバル社会を象徴する一コマです。日本も好んで作品にしています。上記のサイトにあるスーパーカミオカンデもそうですね。すごいよ、実際に見ると、これ。

 個人的には、1990年に撮影されたという「東京証券取引所」の写真が、ノスタルジックでしたし、そこに切なさを感じました。
 バブルないしはバブル直後の東京証券取引所で、行き交うマネー。そこに激しく蠢く無数の証券マン。その一瞬をグルスキーはとらえます。この写真から、この後、ロストジェネレーションと形容される未曾有の不況に、日本が陥ることを、誰が、予想できたでしょうか。

 好き嫌いはあるとは思いますが、オーディオガイドもよかったです。こちらのオーディオガイドは、グルスキー個人が選別した楽曲をBGMとして、石丸幹二さんが、ナビゲータをつとめていらっしゃいます。「Jin Choi」というベルリン在住のアーティストの作品が、今も、耳にこだましています。

 それにしても、小中学校の通知表で「図工2」を叩き出していた「美術オンチの自分」が、ヘタの横好きか、大人になってから、「アート好き」になるとは思いませんでした。わからないね、人生なんて。

 でも、グルスキーのような「キンキンに尖ったアート」を見ておりますと、ついつい、自分に叱咤激励されているように感じるのです。自意識過剰かもしれませんし、僕は、彼と違って「なんちゃって」ですけれども、そんな風に感じるのです。

「丸くなってんじゃねーよ」
「安定しようとしてんじゃねーよ」

 と、そういう声が、作品の奥から、本当にびんびんと聞こえてくるのです(幻聴? やばい?ビョーキ?)。

 評価の高いといわれる作品は、いつも「枠」を「変えた」作品です。
 今回の場合でいいますと、グルスキーの評価が高いのは、それが「写真を撮影した作品」ではなく、「写真を変えた作品」だからなのかな、と思います。

 おすすめの展覧会です。小中校生はタダ、高校生は期間限定でやはりタダみたいですよ、お得じゃん。

 それ、いいじゃない。

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追伸.
 国立新美術館の次回は「アメリカンポップアート展」だそうです。こりゃ、混むだろうな、きっと。

american_popart.png