他人を「指差し」てみれば起こること : エビデンスに基づく教材開発

 今週は、東京大学フューチャーファカルティプログラムで、僕のセッションがありますので、現在、必死こいて準備を進めています。今週、僕は、短い時間ですが「アクティブラーニング」についてのセッションを担当する予定です。

 このプログラム、先週から、本格的に動き始めました。前回、栗田さんのセッションで、すでに非常に熱心なディスカッションがなされています。栗田さんが考案なさったプログラムの構成自体が、すでにアクティブラーニングでありますし、学習者 - 学習者間のインタラクションを重視したものになっています。プログラムに積極的に参加いただいているみなさまには、非常に感謝しています。
 なお、このたびは、参加人数大勢であったため、セレクションが発生してしまいました。今期受講できなかった方には大変申し訳なく思っていますが、今は、なんとか安定運用をめざし努力していきたいと思っています。

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東大 × 学び × 革新
これから、大学の教壇にたつ、大学院生へ
東京大学 フューチャーファカルティプログラム、始動!

東京大学フューチャーファカルティプログラム(東大.FD COM内)
http://www.todaifd.com/ffp/

 ところで、このプログラムを走らせてみてわかったことは(現在、教材を開発していてわかったことは)、「博士(研究者)を対象にして、"教えることを教えること"は、教える側の教員にも、かなりの"ストレッチ"になる」ということです。
 
「教えることを教える」おまえの授業は、どうなんだ?
 おまえは、きちんと教えているのか?

 という「再帰的」な暗黙のプレッシャーを感じながら、教えなければならない、というのは言うまでもないことです。(泣)。

 以前、どこかで、やったエクササイズなのですが(どこで僕が体験したかは忘れました・・・思い出せない)、一寸時間があれば、皆さん、ちょっと「手」をだしてみてください。その「手」で、お近くにいる、誰かを「指さして」みましょう。電車の中では、変人扱いされるので、やらないほうがいいかな(笑)。
 はい、できましたか。単に「他人を指差す」だけですよ。難しいことはありません。

 今、おそらく多くの方が「人差し指」で、他人を「指さし」ている状態ですね(笑)
    
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 そのときに、他人でもなく、人差し指でもなく、違うところに目をやりましょう。
 はい、今、皆さんの「中指」「薬指」「小指」はどこを向いていますか?
 そうですね。自分の方を向いて、自分を差しているはずです(泣)。
 3本の指の先端が向いているのは、「他人」の方ではなく「自分」なのです。

 もうおわかりいただけたか、と思います。
 このエクササイズの含意は明白ですね。

 1本の人差し指で、他人を「指さし」てみれば、「残りの3本の指」は、あなたの方を向くのです。

 2本も多いんだよ、指の数が(笑)。
 これが、再帰的な暗黙のプレッシャーです。それと同じプレッシャーが、「教えることを教える教員」には向けられます。以上、どMエクササイズでした(笑)。

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 しかし、まぁ、それは予想通りといいましょうか、やる前からわかっていたことです。
 確かに、それも、きついのですが、それと同等程度にきついのは、教育コンテンツ自体にも「エビデンス」が求められることです。

 なぜか?
 それは、相手は「研究者」だからです。

 たとえば、何らかの学習手法を教えるにしても、エビデンス(学問的根拠)を求められます。

 学習効果がある、といいますが、何がエビデンスなのですか?

 さすがにそこまでのツッコミを授業中に受けることはないにせよ、教材開発をしているときには、しっかりとしたエビデンス、理論的根拠、データを示し、それらを引用してくる必要があります。

 つまり、大学院生に「教えることを教えるため」のプログラムとは、エビデンスベースの、リサーチに基づくものでなければならないということです。そうでなければ、研究者が相手のプレFDプログラムは成立しないのではないかな、と思います。博士課程の大学院生は「研究者」なのです。

 おかげさまで、近年の大学教育のコンテキストにおける学習研究、アウトカム研究に関しては、ずいぶん詳しくなりました。いやー、貴重な学びの機会をありがとうございます(笑)

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 そんなこんなで、教育課程方法部門の栗田さん、藤本さんを中心に、東京大学フューチャーファカルティプログラムは、いよいよ本格化しています。
 このプログラムに参加して下さる、大学院生の方々が、ひとりでも、近い将来、大学の教壇にのぼり、「白熱教室」ならぬ「熱狂教室」「沸騰教室」(怖い?)を生み出してくれるものと、心から、わたしたち教育課程方法開発部門のスタッフは信じています。

 そして人生は続く


(東京大学フューチャーファカルティプログラム・3分間紹介ビデオ:Youtube)