読者が、途中で必ず行き詰まるようにできているマニュアル!? : 2つのマニュアルを読み解くリテラシーの必要性!?

 今日のお話は全くをもって余談になりますが、先日、あるところで、マニュアル設計を専門にしていらっしゃる方とお話ししたとき、興味深い話を伺いました。

 その方、曰く、

「世に流通しているマニュアルの記述には2種類あるんですよ。"最後まで読んでできるマニュアル" と "途中で行き詰まるようにできているマニュアル"です

場合によっては、マニュアル執筆者は、読者を"途中で行き詰まるようにすること"を書くこともあるのです」

 僕は、最初、この意味がわかりませんでした。

「マニュアルを書く」というと、当然、「読者が読んでわかること」、さらには、「読者が独力で書かれてあることを実践可能とすること」が「前提」であろうと、勝手に想定していたので、思いがけない言葉に、一瞬、ひるんでしまったのです。

 読者を"途中で行き詰まるようにする"マニュアル???

 おそらく、教材設計理論の専門書、どのページをめくったとしても、そんなことが書いてあるページはないと創造します。
 マニュアルの記述をもってして、敢えて、読者を煙にまき「途中で行き詰まるようにすることを書くこと」の意義が、すぐにはわからなかったのかもしれません。

 その方、曰く

「業務の手順には、どうしても形式知として文字でおこすことができないものがあります。また、作業には、読者が自分で対処の仕方を考えなくてはならない局面があります。その場合には、マニュアルには敢えて書かず、途中で"行き詰まらせます"。そうすることで、自ら考えること、あるいは、他人に聴くことを促すのです」

 つまり「途中で行き詰まること」を敢えて書くことで、「自ら思考すること」「他者とともに問題解決にあたること」を促す、ということですね。
 なるほど。
 そんな「高度なマニュアル記述」が存在するんですね。
 世の中、まだまだ知らないことだらけですね。

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 僕は、マニュアルの専門家ではないので、詳細は知りませんが、このテクニック、使い方によっては、「他者依存」「情報操作」を生み出すこともできるな、と思いました。
 そして、わたしたちには、それを読み解くリテラシー?みたいなもの、心構えも必要かもしれないな、とも思うのです。

 マニュアルの体裁をとっているので、一見、「誰でもできること」を標榜されていつつも、手に取った読者を「途中で行き詰まるようにデザイン」されており、困った読者を、その他のメディアや追加の教材にナヴィゲートするような「マニュアル?」が、広い世の中、存在しないということはないだろうな、と。

 つまりは、表向きは「マニュアル」でありつつも、実際は、「より高度なサービスへのゲートキーパー」を担っているマニュアル、ということです。

 まぁ、そんなものがあるのかどうかは知りませんが、もし「途中で行き詰まるようにデザインすること」が可能なのだとしたら、そういう「高度な情報操作」「読者誘導」も可能になります。
 そういう場合には、わたしたちには、マニュアルや入門書を読み解くリテラシーが必要になりますね。

 皆さんが持っているマニュアルや入門書は、いかがですか?

 お持ちのマニュアルや入門書は、
 "最後まで読んでできるマニュアル" ?
  それとも
  "途中で行き詰まるようにできているマニュアル"?