3N(長い・眠たい・中身がない)の研修を超えて:90分、講演時間をもらったら、90分話してはいけない!?

 研修は「3N」ですよね。
 長い(N)、眠たい(N)、中身がない(N)

 先日、ある現場の方が、こう漏らしました。

 そのときは、自分が、いわゆる研修をした「後」だっただけに、ちょっと「なぬ、オラのことか?」と「ドキっ」としましたが、話の前後を総合すると、そういう意図ではありませんでしたので少しホッとしつつ(笑)、「どうして長く、眠たく、中身がなくなるのかなぁ・・・」と考えていました。

 仕事柄、これまでたくさんの「研修」を見てきましたが(研修のレビューとか観察とか)、たぶん、僕が観察させていただいているものには、そういうものはあまりなく、いわゆる「3N」の「それ」を、僕は、あまり経験がないのだな、と思いました。

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「3つめのN」、つまり「中身がない」ってことは、こりゃ、対応できないこともないけれど、本質的には、いろいろ考えなくてはならないことが多すぎるのですが、最初2つの「N」は、いわゆる「小手先のテクニック」で何とか解決することも不可能ではありません(本質的な解決法ではありません)。

「いまさら教授設計のイロハを語ってんじゃねー」とツッコミを受けそうなことを覚悟して、ひとつだけプチテクニックをご披露すると(時間が全くありません)、こんなやり方があります。

 たとえば、90分の時間をもらって、あなたが話をするとします。
 その場合は、「90分を話そうと思わないこと」です(笑)

「は?」・・・何いってんの?と思われるかもしれませんが、「90分を話してはいけません」。むしろ「30分1ユニットのかたまりを3回話すんだな」と思って、話の内容を組み立てます。
 簡単にいうと、「90分かけて話さなければならない内容」を3つに小さくブレークダウンしてわけて話す、ということですね。

 で、そのうえで、30分1ユニットのうち、最後の5分ー10分は、学習者に「問いかけ」たり、学習者に「作業」をしてもらったり、学習者に「話し合ってもらったり」、「学習者 - 教授者と対話」してみたりしてみてください。つまり、正味1つのユニットで話せるのは、正味20分から25分くらいということになります。

「えっ、そんなに少ないの、それじゃ、伝えたいことが伝わりきらないじゃん」

 とおっしゃる方がいらっしゃるかもしれませんが、たぶん、「仕事をしながら学ぶ人」が本当に集中していられるのは、経験上、そんな感じだと思います(夜になるともっと短いです)。

 研修は、学校教育でも、大学でもありませんので、こうした時間の短さ「学習者の所与の条件」として受け入れざるをえないのかな、と思います。
 むしろ、その時間で話せる内容になるまで、話を焦点化する必要がありますね。でもね・・・経験上、「本当に必要なこと」は「20分」で話せると思います、たぶんね、責任持たないけど。

 以上、プチテクニックでした。
 これは「万能」なものではないですし、いわゆる古典的理論そのものですし、他にもいろいろあると思います。ただ、これは、僕がいつも社会人の方にお話しするときに心がけていることのひとつです。たぶん、これだけで、同じ90分でも「長い」「眠たい」と感じる率は、グッと下がるはずではないか、と思います。

 もちろん本質的には、もうひとつの「N」である「中身」がなければ、「長い」「眠たい」は防止できないと思いますが、しかし、ちょっとしたTipsで、「長いなー」「眠たいなー」と「感じること」は防止できるのかもしれません。
 くどいようですが、最後は「中身」です。その精選の話は、今日のように時間に追われてはかけませんので、また書きます。

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 先日、ある研修の冒頭で、「人件費含めた本日の研修コストは450万円!」というスライドを見ました(笑)。
 アタリマエダのクラッカーですが、大人が集まり、何かを学ぶことには、コストがかかります。たとえばね、「全国から100名を集めて・・・研修」ってことになりますと、人件費を含めれば、ハンパではないお金がかかります。

 お金がかかるから、というわけではないのですが、せっかく現場を離れて、時間を設けるならば、願わくば、意義のある時間にしたいものですね。

 そして人生は続く