「持ち歩きのPC」は、もう、いらない!? : 鉄道整備株式会社の「仕事現場」を訪問!

「何を今更ジロー」と思われるかもしれませんが(死語)、自分のPCの仕事環境をクラウド化することにしました。メール、カレンダーなどをすべてGoogle化し、ローカルで動いていたメーラーやスケジュール帳を「仕分け」しました。いわゆる「廃止」です。

 引き金をひいたのは二つです。

 ひとつめの理由。
 それは、iPhoneとの連携です。僕は数ヶ月iPhoneを使っているのですが、これがすこぶるよい。パッと立ち上がるし、動作もサクサクです。そして、Googleを使えば、多くのiPhoneのデータはPCと共有することができます。つまり、iPhoneのデータとPCのデータを同期させるためにもっとも効率的なのは、ネットワーク上にデータをもつことです。これが「第一の引き金」になりました。

 ふたつめの理由。
 それが、新OSのWindows 7 64bitの問題です。今回僕が買ったのは、64bit OSでした。今となってはミスったな、と思っています。現段階では、32bitを買うべきだったかも。
 OSの動作自体が不安定なわけではありません。OSはサクサク動いているのですが、まだ新しいOSであるだけにアプリやドライバがうまく対応していない部分があるのです。僕だけなのかもしれませんが、既存の32bitのアプリの挙動がところどころ変に感じます。
 ウィンドウの最大化にやたら時間がかかったり、、、特にメーラーとスケジューラーがうまく動かない(泣)。まぁ、次第に解決の方向に向かうのでしょうけれど。

 というわけで思い切って、「アプリ」の一部、しかし、日常もっともよく使うメーラーとスケジューラーを廃止することにしました。きっと神様が、僕の「背中」を押してくれただと思って、清水の舞台から飛び降りました、、、あーれー、ひぇー。
 メーラーもスケジューラーも、もう10年以上にわたって使っており、完全に一心同体化しておりますので、乗り換えることに不安がないか、というとウソになります。しかし、やむを得ない。

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 それにしても、この状況、PC業界・IT業界の「未来」について考えさせられます。僕は、今は、決してテクノロジーに関して「イノベター」でも、「アーリーアダプター」でもない人間です。しかし、そういう人間でも、ローカルのコンピューティング環境をネットワークに移行しているのです。この後、PCやITをめぐる状況は、どうなっていくのでしょうか。

 もちろん、僕の場合、まだ「完全移行」とまではいきません。というのは、僕がPCをもって移動する理由が、まだ3点あるのです。
 ひとつは、研究用のデータ、論文・書籍のデータ、プレゼンデータは、ファイルサイズが重いことが多いので、シームレスにネットワーク上のデータをやりとりできない、という問題です。
 ふたつめは、SPSS、HLM、STATAといった統計分析ソフトはやはり持ち歩かなければならない、といったことです。
 みっつめは、論文や書籍では、結構複雑な図版をつくることもあるので、高機能のワープロと、Photoshopやillustratorといったような画像ソフトを必要とする、ということです。

 この3点さえなければ、ネットワークに接続しているPCさえあれば、とりあえず、仕事ができるということになります。といいましょうか、ローカル環境で仕事をすることをとりあえずは重視しなくてよいということになります。もちろん、OSもひとつにしばられることはなくなりますね。

 逆にいうと、

 1)サクサク動きセキュアなファイルストレージ
 2)ネットワークで利用できる統計解析ソフト
 3)高機能なエディタと画像ソフト

 が、もし、ネットワークで利用できるのならば、僕は、今持ち歩いているノートパソコンを廃止するように思います。もちろんOSだってなんだっていいんです。

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 いずれにしても、世の中では、クラウド、クラウドとさわがれていますが、その意味がようやくわかりかけてきました、、、このわたくしにも、、、遅ればせながら。ごめんね、トロくて。

 それにしても、こうした環境下で、PCの業界、ITの業界は、どうやって「利益」をだすのでしょうか。僕は戦略の専門家ではないので、わからないのですが。PCをどう売るのか、アプリをどう売るのか。そのことによって、どのように「利益」をだすのか。きっと根本的な戦略の再構築を進めているのでしょうね。

 そして人生は続く。

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追伸.
 JR東日本さんと東京大学中原研究室は、本年より、安全をテーマにした「研修」の開発と評価というテーマで、共同研究を進めています。今年は、JRの各職場をまわり、研修の骨格になるようなコンセプトを、同社安全研究所の戸井さん、静山さんと、詰めています。

 教育学者は、とにかく「現場」です。JRさんのみならず、僕は、これまでにいくつかの研修設計の共同研究プロジェクトに従事していますが、現場の方々の意見や考えに触れることを重視しています。「仕事の現場」は本当におもしろいです。ひとつとして同じ「現場」はありません。いつも発見があるのですね。

 今日は、JR東日本 安全研究所の戸井さん、静山さんと東京駅にある鉄道整備株式会社を訪れました。鉄道整備株式会社の矢部常務、柿崎所長、吉澤次長ほか、様々な現場の皆さんが説明をしてくださいました。

鉄道整備株式会社
http://www.tessei.co.jp/

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 鉄道整備株式会社は、新幹線の清掃業務を行うJRグループの子会社です。ここで皆さん問題です。東京駅にくる新幹線は折り返し運転を行っていますが、車内清掃には何分の時間をかけられるでしょうか。

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 答えは「7分」です。わずか7分で、多くの車両のすべてのテーブル、床、トイレ、ゴミ・・・車両のあらゆる場所を清掃する必要があります。

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 鉄道整備株式会社では、「魅せる清掃」をキーワードに、「自ら考え、自ら実行する」社員をいかに育成するかに腐心なさっています。

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 多様な経験や社会背景をもつ人々を、いかにエンパワーし、現場発の企画・発案を、会社がもり立てていくのか。そのことが、結果として「安全」につながるのか。非常に勉強になりました。

 社内外のイベント、機会を、うまく活かしつつ、自ら創造し、現場に「揺さぶり」を与え、常に「変化」をしこうしていく。鉄道整備株式会社さんのマネジメントには、多くの会社が参考になるものがあるような気がしました。今度、もし許されるのであれば、東京大学の学生、慶応MCCの講座の参加者の方々ともう一度訪問したいと思いました。

 2010年2月のLearning barでは、リクルートエージェントの中村さんに「楽しくて怪しい場づくり」の話!?をいただきますが、その雰囲気と共通するものがありました。今日は、クリスマスイベントの真っ最中でした。これも、すべて現場発の提案で実施されています。

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 この日の訪問は、「モティベーションとは何か」「多様性とは何か」を考える、非常によい機会にもなりました。この場を借りて、戸井さん、静山さん、矢部さん、柿崎さん、吉澤さんをはじめとして、鉄道整備株式会社の方々に心より感謝いたします。ありがとうございました。