ふわふわしたものを、いかにデザインするか?:岸勇希 (著)「コミュニケーションをデザインするための本」を読んだ!

 岸勇希 (著)「コミュニケーションをデザインするための本」を読みました。

 AIDMA(Attetion - Interest - Desire - Memory -Action : 注意を確保して、人の欲望を喚起し、商品の名前を覚えてもらって、購買につなげる)という行動モデルを前提にしていた「従来の広告」を超えるために、今、何ができるか。 

 近年消費者たちがとっている購買行動AISAS(Attention - Interest - Search - Action - Share:興味関心をもったら、ネットなどで口コミをサーチし、購買し、よければそのレビューを他者とシェアする)を前提に、どのような広告コミュニケーションが存在しうるか。

 結論からいうと、こうした消費者に対応するためには、広告は「変わらなくてはなりません」。
 従来目指されていたExprosure(各メディアにおける露出を最大限にする)ことを超えて、Engagement(人々が参加し、関与してくれるような)広告をつくらなければなりません。

 それは「気になる広告であり、自分から見たくなる広告であり、他者に伝えたくなる広告」です。そうした広告をいかにつくるかが、ポイントになります。
 本書では、永谷園「ミス冷え知らずcollection 2008」やフマキラー「一発命虫」、マリエール「40人40色の恋愛模様」など、著者のチームが行ったコミュニケーションデザインの事例が紹介されています。

 わたしは広告は全くの門外漢です。しかし、この本を読んでいて、僕には自分の研究領域のことが思い浮かびました。
 デザインする対象が、広告そのものから、広告をめぐる人々のコミュニケーションや関係にうつってきている、という意味で、昨日僕が書いたエントリーと通じるところもあると思います。

 そういう「ふわふわしたもの」をいかにデザインするか。あるいは、そういう「ふわふわしたもの」を統御するようなアーキテクチャをいかに構築するかが、現在、様々な場所で課題とされているような気がするのは、僕だけでしょうか。

「ふわふわしたものを、いかにデザインするか」

 その答えを、僕たちはまだ知りません。

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追伸.
「コミュニケーションをデザインするための本」にのっていた商品が、非常に心惹かれました。「手洗い液体石けん」なんです。
 手洗い液体石けんなんて、もう既にコモディティ化していて、何のイノベーションもないように感じますよね。

 でも、この「squid soap」は面白いです。「この液体石けんを使うと、子どもにちゃんと15秒から20秒、手洗いさせることができる」のです。

squid soap
http://www.squidsoap.com/

 仕掛けは簡単。ソープを出すところにスタンプがついています。石けんをだすと、もれなく、手にスタンプがつきます。このスタンプが消えるように、手を洗うためには、15秒から20秒必要だと言うことだそうです。

 下記にビデオがあります。

 米国CDCの調査によると、感染症の予防には「きれいな水と石けんで20秒程度洗うこと」が必要なのだそうです。
 そして、このスタンプは、15秒から20秒こすって消えるようにデザインされているのですね。
 すごいイノベーションだと思うのですが、いかがでしょうか。

 綺麗な手にするために、敢えて、手に一度汚れをつくる。素晴らしい発想ですね。ちなみに日本では未発売のようです。商社が輸入してくれるといいのにね。

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追伸2.
 僕の授業「ラーニングイノベーション論」の修了生の皆さんが「学びYA(仮称)」というアラムナイ・コミュニティ(勉強会兼飲み会)をおつくりになりました。

「学びYA(仮称)」というのは・・・

 ○学び(ばせ)「屋」(学びの仕掛け人達が)
 ○学び「ヤ~!」(わいわい楽しく)
 ○学び「舎」(集い、学ぶコミュニティー)

 なのだそうです。

 先日、わたし自身はお邪魔することができなかったのですが、懐石料理をモデルにしたプログラムで、勉強会をなさった模様です。

 一、先付け - 学びYAへの想い -
 一、お碗発案 - ご挨拶 -
 一、御造り - M社様事例紹介 -
 一、箸休め - 乾杯 -
 一、八寸 - グループダイアログ-
 一、焼物 - ディスカッション -
 一、炊き合せ - ラップアップ -
 一、お食事 - 講評
 一、水菓子

 非常に嬉しいことですね。今度こそは、ぜひ、伺いたいと思っています。初回幹事をなさった渡辺さん、宮崎さん、田中潤さん、小松さん、お疲れ様でした。