長期間にわたるプロセスの支援

「マネジャーを育成するには、長い時間がかかります。その長期間にわたるプロセスを把握し、しっかりと支援することが重要なのです」
  
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 最近、僕が関与する授業、公開研究会等でご登壇いただいた方々は、皆、このようなご主旨のご発表をなさることに気がついた。「長期間」「プロセスの支援」という言葉がキーワードである。

 例えば、先日、慶應MCCでご登壇いただいた三井住友銀行人事部の田中さんは、「マネジメント人材の育成は単発のスキルや能力開発だけでは不十分。マネジメントの目的とプロセスを理解・意識させ、長い時間をかけて育成する必要がある」とおっしゃていた。

 同じくMCCにご出講いただいた、一橋大学の守島先生は、日本企業に適応した「戦略人材マネジメント」として、「組織がもっている強みを生かすような長期間の人材マネジメント」を主張なさっていた。

 そういえば、Learning barにご登壇いただいたマイクロソフトの小林さんも、リーダーシップの開発は「長期にわたるプロセスの支援」だとおっしゃっていた。

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 ちょっと前まで、この領域では、「いかに即戦力にするか」がキーワードであったように記憶している。
 その時以来感じていたことだが、人が熟達化するには長い時間がかかる。あまりにも「長期」になってしまうのは問題あることであるけれど、かといって、人材育成を、あまりに短期に解決する問題として捉えてしまうことは、問題の本質を見誤るような気もする。

 しかしながら、「長期にわたるプロセスの支援」というのは、かなりの難題である。現場で起こっていること(プロセス)をどのように可視化し、把握し、適切な施策を打っていくのか。これまで以上に、難しく、しかしそれでいて本質的な問題空間が、我々の目の前に広がっている。