こんな時代だからこそ

 昨日、「ゆとり教育と企業人材育成」に関する取材を受けました。この様子は、リクルートワークス研究所「Works」の次号にて掲載される予定だそうです。

1)「ゆとり世代」というラベリングによって、企業内部の問題はすべて「若手個人の属性」の問題とされ、それに対する処方箋が打たれることになる。しかし、本来ならば、問わなければならない、企業内の職場環境、労働環境に生じている問題を覆い隠してしまう。

2)「ゆとり世代」というラベリングは、若手がもっている新たな能力を発見することができなくなってしまう。かつ、「おれはゆとりだから」というかたちで、若手を自嘲に向かわせ、本来必要な世代間の対話や、世代継承性を失わせてしまう。

 ことをメインにお話ししました。社会構築主義的な観点から、あくまで、企業人材育成にターゲットをしぼったうえで、「ゆとり世代という言葉の利用」がもつダークサイドを指摘したつもりです。「若手は、企業の職場環境に生じている問題の拡大鏡」なのかもしれません。

 これに関連して、先日、ぐるなびの田中潤さんとやりとりをしていたのですが、

「定量的な研究があるわけではないですが、若手が職場に入ることで、職場の組織学習が進んだり、コミュニケーションが活性化することがあるかもしれない」

 と僕も思います(今後研究が進むことが期待される領域ですね)。
 もし、そうであるとしたら、若手が社会化は、職場環境にとってもメリットをもたらしますし、また職場にいる上の世代の世代継承の夢(発達課題)を実現することにもなります。
 もちろん、そのことで職場は新たな負担やコストを強いられるわけですが、もしかしたら、「目に見えないメリット」もたくさん生じているのかもしれません。

 もしよろしければ、ご一読いただければと思います。

リクルートワークス研究所
http://www.works-i.com/index.html

 昨日は、慶応MCCでの第三回目の講義でした。第一回目は松尾先生による経験学習論、第二回目は金井先生によるモティベーション論。続く、第三回目は、あおぞら銀行のアキレス美知子さんに、戦略人材開発に関するご講演をいただきました。
 アキレスさんのお話に、僕を含め、受講者の皆さん、エナジャイズされたのではないか、と思います。

 こんな時代は、みんな、下を向きたくなる。
 でも、こんな時代だからこそ、人事は下を向いて歩いてはいけない。
 むしろ、みんなをエナジャイズしなくては。

 というお言葉が非常に印象的でした。
 アキレスさん、お忙しいところ本当にありがとうございました。

 次週は、一橋大学の守島先生にご出講いただきます。
 こちらも非常に楽しみです。