才能をマネジメントせよ!? : ASTD2008リアルタイム報告

 ASTD2日目。うーん、眠い(笑)。
 毎朝8時に起きて、会議終了後は、情報交換会に参加していますので、寝るのは12時を回る頃です。はっきり言って、体力勝負ですね。

 でも、会場に向かうと、既に、ものすごい人です。あのー、こちらは新宿駅ですか?

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 体育館5つ分くらいの会場が、もうすでに満員です。

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 朝8時。
 ASTD会長、トニーさんのお話です。プレゼンテーションは、ものすごい演出です。スターだね、スター。

 お話の内容は、Talent management(人材管理:タレントマネジメント)という考え方が重要である、ということでした。ASTDでは、有識者をあつめて、この概念を精緻化しようとしているみたいです。

 Talent managementとは、一言でいえば、

「採用、育成、配置、昇進、報償などの、すべての人材管理プロセスを首尾一貫して管理せよ、見ていこうよ」

 という考え方だそうですね。

 この背後には、2つの考え方があるように思います。

1.社員は皆、自分の能力をのばしたいと思っているよね、だから、その能力を伸ばせるような環境を提供しようよ
(社員ひとりひとりのタレントをのばそう)

2.会社には「異なった能力をもった人」が必要だよね。だから、多様性をもつ能力を確保しつつ、それを育成していこう。タレントのポートフォリオをつくっていこう。
(会社に多様性のあるタレントを確保し、育成しよう)

 1は個人からの視点、2は組織からの視点ですね。

 これを実現するには、2つのポイントがあるそうです。
 ひとつは、「採用、育成、配置、昇進、報償」という様々なプロセスをいかに「統合」できるか、ということです。ふたつめは、その統合をすすめるために、「いかに学習を利用するか」ということです。

 オモシロイですね。

 この話を聞いて、僕は、先日、ある大規模スーパーの人事部の方から聞いた話を思い出しました。

 その方に、僕が「人事 - 事業部 - 経営者のあいだにディスコミュニケーションがある場合がありますね」という話をしたのですね。そしたら、その方は、深いため息をついて、こうおっしゃいました。

「そのディスコミュニケーションよりも、人事教育部内のディスコミュニケーションの方が深刻ですよ・・・採用、育成、昇進、制度、、、すべて役割ごとに分かれています。書類のやりとりはありますが、それだけです。だいたいグループごとにランチにいきますね。一緒にランチに行ったことがあんまりないですね(笑)

特に採用と育成は仲が悪いことが多いですね。育成の方は、"なんでこんなできない奴をとったんだ!"と採用を責めますし。」

 ある一定以上の規模になれば、役割分担というのは致し方ないことです。しかし、その役割間のディスコミュニケーションがつくりだす世界は、、Talent managementの提唱するイディアルタイプとは、対極の世界なのかもしれません。少し考えさせられました。

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追伸.
 NYマガジンのスタッフライター「マルコム=グラッドウェル」さんの講演では、創造者には2つのタイプがある、という話でした。

1.Experimental innovator
 革命的なアイデアをすぐに見いだせるわけではないが、長い時間をかけた試行錯誤によって、成功をおさめるタイプ。画家でいえば、セザンヌ。バンドでいえば、フリートウッドマック。

2.Conceptual innovator
 頭角をすぐにあらわし、革命的なアイデアを表現し、世界を変えるタイプ。画家でいえばピカソ。バンドでいえばイーグルス。

 結局、オチは「どちらかひとつが重要なのではない」ということと、「才能の開花には時間がかかることもあるので、小さなタネをまきつつ、育成しつつ、待たなければならない」ということでしょうか。

 それにしても、フリートウッドマックの話が、個人的には印象的でした。このバンド、16人ものメンバーの入れ替わりがあり、演奏する音楽のタイプも、演出も、すべて変わり続けたバンドだったのですね。

 僕がはじめてフリートウッドマックを聴いたのは、小学生の頃でした。当時、「タンゴ・イン・ザ・ナイト」というアルバムが流行していました。「Big Love」「Seven Wonders」「Everywhere」「Caroline」「Little Lies」などが流行していましたけれど。 僕の中では、その頃聴いた「フリートウッドマック」が、「フリートウッドマック」だったのですけれど、違ったのですね。それは「変化」の中にあった。それにしても、「タンゴ・イン・ザ・ナイト」とは、懐かしいですね。最高傑作と言われる「RUMOR」もあわせて、アマゾンで注文してしまいました。