ありそうでなかった「リーダーシップ研修」のドキュメンタリーを読んでみませんか?:イマドキのミドルリーダーの実像に迫る!?:篠原匡著「ヤフーとその仲間たちのすごい研修」が発売されました!

 一般に、企業が行う「選抜型リーダーシップ研修」というのは、存在自体も秘められていることが少なくないものです。それは深くて、暗い、耳の穴? わけわからん(笑)

 そんな中・・・本日、「地域における課題解決をとおした新しい異業種武者修行的?リーダーシップ研修」が書籍としてババーンと発売されました。1年間この研修を取材いただいた日経BP社の篠原匡さんが著したもので、書名を「ヤフーとその仲間たちのすごい研修」といいます。
 僕は、ヤフーの本間さん、池田さんのお声がけにより、本研修の監修者・ファシリテータとして参加させて頂きました。一般に秘められることの多い「リーダーシップ研修」の内容が、すべて「ダダ漏れ」・・・オープンになっている書籍です。

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篠原匡(2015) ヤフーとその仲間たちのすごい研修. 日経BP社

 言葉をかえていえば、この本は、いわば「ありそうでなかったリーダーシップ研修のドキュメンタリー」です。研修は、異業種の次世代リーダー31名が出あい、課題解決をともに行うことからはじまります。

 このプロジェクトで31人の次世代リーダーの皆さんは、

1.他社のメンバーとともに「異種混成チーム」を組織する

2.チームで、美瑛の町を歩き、美瑛の人々の様々な話を聴くフィールドワークを実施する

3.多様性あふれるチームで、徹底的に議論し、問題解決を行い、美瑛町長・町民の前でプレゼンテーションを行う

4.問題解決のプロセスの中で、自己、ないしは自己がグループに対して、どのような影響力を与えることができたかを振り返える

 ことに挑戦なさいました。

 本書では、異なる会社で活躍してきた異業種のビジネスパーソンたちが、どのように出会い、葛藤し、成果を生み出していったのかを、うまくいったところも、うまくいかなかったところも、含めて赤裸々に綴っています。
 それは「地域課題解決」でもあり、また、「地域課題解決」という舞台を通じた「リーダーシップ開発」の機会でもありました。

 その内容は、人事・人材開発・経営企画の皆さんはもちろんのこと、30代ー40代で、それぞれの会社・組織で、リーダーをつとめていらっしゃる方がお読みになっても、同世代の他社のリーダーの実像がわかり刺激になるのではないでしょうか。自分だったら、このときリーダーとして、他社のリーダーとともに、どのような問題解決ができるだろう・・・そんなことを妄想しながらお読み頂けると面白いのではないかと思われます。

第一期はまさにすべてが「手探り」で、本当に大変なプロジェクトでした。本業との両立に苦しみつつも、最後まで完走なさったみなさまに、まずはご苦労さまでした、と申し上げたいと思います。本当にお疲れさまでした。

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 本書の特徴は、それに参加し、関与した人々の「顔が見える本」であるということだと思います。31人の次世代リーダーの皆さんが、それぞれどういう人々で、どのようなストーリーを経験なさったのかが綴られています。

 研修の様子はもちろんのこと・・・

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 各グループの参加者の皆さんの様子まで知ることができます。

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 中には、よい思い出ばかりだけではなく、思い通りにいかないこと、うまくいかないこと、も多々ありました。メンバーの方々が感じた苛立ちや葛藤もありました。

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 このようにポジティブな部分のみに着目するのではなく、そうしたネガティブな側面にもあますところなく描写いただいていることが本書のもうひとつの特徴かもしれません。

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 僕は、リーダーシップ研修は「綺麗」であってはならないと常日頃から思っています。
「リーダーシップ研修」が、「本当に参加するべきガチな人々」が参加し、さらに、そこで取り扱われる課題解決が「本質に近づく内容」になればなるほど、「みんな仲良くお手てつないでチーパッパ的な仲良しグループ」的課題解決ではすまなくなる、すなわち「綺麗なリーダーシップ研修」ではなくなると思うのです。
 「参加するべき人」が参加し、課題が本質に近づくにつれ、リーダー達はガチでぶつかり合いますので、研修自体は「心理的葛藤に満ちたリーダーシップ研修」になるはずなのです。もちろん、不用意にぶつかり合う必要はないのだけれども。

 今回集まった5社は、お仕着せのパッケージ的なリーダーシップ研修、いわば「綺麗なリーダーシップ研修」を拒否し、「葛藤が渦巻くリーダーシップ研修の開発」に挑みました。その中には、多々課題も生まれましたが、まずはそれを引き受けたいと思います。

 個人的には、今回の取り組みがきっかけで、今回の5社ではない様々な企業、美瑛ではない様々な地域で、さらなる取り組みが起こることを願っています。むしろ、これからお取り組みになる様々な企業、様々な地域の方々には、今回のわたしたちの取り組みを「上書き」していただきたいと思います。
 そうした地道な取り組みの果てに「地方 × 企業の新たなかたち」がうまれるのかもしれません。そんなことを事務局の皆さんで夢想しながら、僕は、このプロジェクトにかかわらせていただきました。

 オープンであること
 閉じぬこと

 最後になりますが、人事部、人材開発部、経営企画部の皆さん、ないしは地方公共団体で地域振興をなさっている皆さんで「輪読」して、自社のリーダーシップ研修や、リーダーのあり方をあーだこーだ議論しても面白いと思います。

 また、同世代で、組織を率いている人々、これからチームや職場をマネジメントしていかなければならないリーダー予備軍の方々も、他社のリーダーの実像やスキルがわかり、刺激になるものと思われます。

 どうぞ、皆さん、余すところなく、うまくいったところも、そうでないところもご高覧いただければ幸いです。
 隠すものは何ひとつない。

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 さて、この研修はすでに2年目にはいっており、今年はヤフー・インテリジェンス・日本郵便・アサヒビールの皆さんが、異種混成のチームをつくりながら、地域の課題解決に挑んでいます。

 第二期は、第一期の反省にたち、一期の内容を「2倍」ほど濃くした内容になっていると思われます。第一期ならばセッション5でやっている内容が、セッション3で展開されているというイメージです。当社比2倍(笑)。

 本業がある中で、この濃い研修にご参加頂いている二期の皆様のご尽力には、頭が下がる思いです。本当にお疲れさまです。

 今年のチームの皆さんが、どのような成果を残して頂けるのか。
 はたまた
 地域課題解決のプロセスの中で、どのような学びを得られるのか。

 僕としては、各社のリーダーの方々に寄り添い(厳しいことも立場上申し上げますが)人事の皆さんとともに、最大限、それらをサポートしていかせていただきたいと感じています。

 最後になりますが、このプロジェクトで出会った、31人の次世代リーダーのみなさま、そして第一期事務局をご一緒させて頂いた、アサヒビールの三浦さん、門永さん、日本郵便の鶴田さん、畑さん、インテリジェンスの美濃さん、武井さん、電通北海道の森さん、美瑛町の後藤さん、石崎さん、平賀さん、観音さん、野村総研の三崎さんに心より感謝いたします。篠原さんも、素敵なドキュメンタリーをありがとうございます。

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 みなさまに心より感謝をこめて
 そして人生は続く

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書名:ヤフーとその仲間たちのすごい研修
著者:篠原匡

リーダーをつくれ! 前代未聞の31人の冒険
ヤフー、インテリジェンス、日本郵便、アサヒビール、電通北海道、美瑛町役場――。
それぞれの組織の精鋭31人が、ある日、北海道・美瑛に集められた。
「この地域の抱える課題を解決するプロジェクトを提案せよ」。
突如下ったミッションに、精鋭たちは混成チームで挑む。
期限はわずか半年。
背景も年齢も共通言語も異なるメンバーが、6つのグループに分かれて智恵を絞る。
研修の最中には、空中分解しかけるチームもあれば、
高い結束力で課題に挑むチームもあった。
個性豊かなメンバーたちは、どのように1つのゴールに向かっていったのか。

【1章】企業に地域課題は解けるか? 前代未聞の異業種コラボレーション!
【2章】イシューを探せ! 登る山の高さをまず決めよう
【3章】リーダーは誰だ? 混成部隊のチームビルディングとは
【4章】本物の研修をつくれ! トレーニングよりラーニング
【5章】その提案はワクワクするか? 現場の生声がチームを変える
【6章】そして、決戦の舞台へ! ほんのりビターな大団円

(以上、AMAZONより一部抜粋)