人材開発の仕事は「企画8割、運用2割」!?

 仕事柄、人事・人材開発を企業で担っている方で、かつ、これまでに様々な接点がある方々から、人材開発に関する種々の相談をお引き受けすることがあります。

最近増えているように感じるご相談事項としては、

人材開発を担ってくれる人を採用したいのだけれども、思うように人がとれない

です。
このお悩みに直接お答えすることはなかなか難しいのですが、半分、ぼやきのようなかたちで「中原さんのお近くにいい人いませんか?」と聞かれることが少なくありません。
最近も、同種の3件のご相談を、別々の組織におつとめの方からご連絡いただいたくらいなので、よほどのことなのでしょう。皆様のご苦労に同情を禁じ得ません。

 ここで興味深いのは、「人材開発を担ってくれる人」ということで、どういう能力要件(人材スペック)をもった個人が求められている、ということです。

「人材開発」というからには、「講師ができる」とか「ファシリテーションが上手だ」とか、そういうスペックが思い浮かびそうですが、僕の周囲で求められている人材はそうではありません。それはできるにこしたことはないけど、絶対の要件ではないように感じます。

 もっとも求められているのは「企画力」です。
人材開発の基礎知識・基礎的な概念・語彙については周知し、過去に人材開発のプロジェクトを立ち上げた経験を有しており、新たに企画をたてて、人を巻き込んで、それらを実行できること。それがもっとも求められているように感じます。ま、あたりまえのことですが。ほかの仕事と同様、人材開発の仕事も「企画8割、運用2割」です。

その際、外国語を扱えることも、プラスの材料になることも増えているようです。
といいますのは、昨今の日本企業は、多国籍企業との企業合併をくりかえしており、人事プロセスの設計などが、海外企業の人事・人材開発担当者をまじえて行われることも増えています。
給与や処遇などは、それぞれの国で雇用慣行がありますので、それらを統一することは難しいのですが、まずはリーダーシップ研修から、まずは人材開発から、ということになりがちなようです。
そういうわけで、人材開発担当者の方々のテレカン(テレビカンファレンス)の利用度は増えていく、ということでしょうか。海外の場合、人材開発の仕事がプロフェッショナルとして確立している企業もありますので、先程申し上げた「人材開発の基礎知識・基礎的な概念・語彙」については、さらに必要になります。
ま、こちらも一般論としていえることではないですが、僕のまわりでは、テレカンと専門用語に苦労なさっている方が、増えているような気がするのは、気のせいでしょうか。

今日は人材開発の仕事について書きました。
人材開発の仕事は、「講義のスキル」とか「ファシリテーションのスキル」とか「ワークショップデザインの能力」とかがよく注目されますが、「企画力」「巻き込み力」といった、より上位の経験が求められているような気がします。

世間では、グローバル人材が求められる、とよく言われます。
グローバル人材を求めるのであれば、その人材を養成する側も、グローバルな仕事のあり方に適応することが求めらるのかもしれません。

そして人生は続く