「創って、語って、振り返る系ワークショップ」を成功させる7つのコツ

 研修やワークショップで、もはや定番・鉄板・王道と言われている文法が「創って(T)、語って(K)、振り返る(F)」です。
 誰がもっとも最初にいいはじめたのかわからないのですが!?、この活動の流れは、いわゆる「TKFモデル!?」として、いまや、いろいろなところで応用されています。
 たとえば、何かを「振り返るとき」、すなわち研修やワークショップ内で、参加者に何かを「リフレクション」させるときに、それはよく用いられます。
 TKFモデルは、リフレクション(F)の前に、「表現(創る:T)」と「対話(他者に語る:K)」を行うことで、リフレクションをスムーズに、そして、深く行うためのモデルということになりますね。

 だって、突然、ファシリテータに、

 「・・・・を振り返って下さい」

 と言われても、なかなかできないでしょう。「振り返って下さい」と言われて、突然、「後ろを向いちゃったり」して(笑)。特に、振り返るものが、「仕事のあり方」「マネジメントのスタイル」「自分のキャリア」などの、いわゆる「かたちのないもの」である場合、それは、なかなかに難しくなります。

 ですので、そんなときには、まず、かたちのないものに「カタチ」を与える。つまり「創る=表現」する。そのうえで、そこでできた「かたち」を指示しながら、語ることを求めるのですね。
 「表現するもの」は任意なのではないでしょうか。イキイキチャートであろうが、LEGOであろうが、粘土であろうが、デジタルストーリーテリングであろうが、絵画であろうが。
 このモデルにおいて、それらは語るために存在し、振り返るために役立てられる、ということになるのでしょう。

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 ところで、この王道・鉄板の「創って(T)、語って(K)、振り返る(F)」モデルですが、参加者をうまく、この活動に導くには、どのようなインストラクションが重要でしょうか。下記では、それを簡潔に書いてみました。

ppp_workshop.jpg

(こちらは、先日、牧村さん、見木さんと開催したワークショップの写真です。小さな雑誌をつくりました。参加者のみなさま、ありがとうございました。なお、詳細は、下記の牧村さんのページに開催報告がございます)

Maho-lab 自分の「これまで」を振り返りリトルプレスをつくるワークショップ:PPP
http://maholab.net/?p=579

1.意義を理解させる
 要するに、「創って(T)、語って(K)、振り返る(F)」の意義を説明し、参加者の腹に落とすことです。
 これから行う活動が、表現の場合、特に、僕のように!?図工が苦手だった大人は、ちょっと面食らいます。創ることの意義がわからないですし、ヘタッピな自分の作品を公開することには躊躇いもあります。
 ですので、冒頭では、「創って(T)、語って(K)、振り返る(F)」の意義をしっかり説明する必要があります。特に、語ること、振り返ることの重要性をしっかりと伝えたうえで、「そのために」創ることが存在することを伝えることが大切でしょうか。「作品のうまい下手が問題ではないこと」も十分理解してもらいます。

2.孤独の時間を設ける
 創る前には、少し、自分一人になって構想する時間、考える時間を与えます。突然創れといわれても、面食らってしまう人もいます。メタファをつくらせたり、テーマを考えさせたり、キャッチコピーを考えさせたり、創造につながる副次的な活動を前にさせることもあります。

3.巧拙が出ないようにする
 「表現」の活動でもっとも大人が気にするのは、「こんな下手な作品つくっていいんだろうか」とか「わたしが一番下手なんじゃないだろうか?」ということです。つまり「作品のうまい下手」がもっとも気になるのです。これへの対処はいくつかあります。まず「巧拙」がでないように、素材で工夫する方法です。
 もっとも安易なのは、LEGOブロックなどの、あまり短い創作時間では、巧拙がでない素材を用いることです。ふたつめは、「これを使ってm何かをつくれば、ある程度の見栄えのものは、どんなに適当に組み合わせても、できちゃうよね」というオシャレ素材を用意することです。素材
がオシャレなので、適当に組み合わせても、あまり巧拙はでません。
 絵画のワークショップなどでは、あえて「利き手」以外の手で作品をつくらせるなどの工夫も行われます。右利きの人が左手でかけば、そりゃ、巧拙はでません。また、インプロや演劇などの身体活動も、巧拙がなかなかでません。

4.下手な例を自ら見せて安心させる
 キース・ジョンストンではないですが、大人は「萎縮した子ども」です。3のプロセスをふんでも、どうしても、巧拙が気になる人もいます。そんな場合は、ファシリテータ自らが、自分のもっとも下手くそな作品を公開します。要するに「こんなしょーもないものでもOKなのだ!」という作品をみせることで、バーをさげます。
 僕の場合、「これまで3万6千人くらいに、このワークショップをやってきましたが、出来なかった人は、誰もいません.大丈夫ですよ。図工2の僕も、こんな作品ですが、できましたから」といいます。

5.時間を制約とする
 あまり長い時間を表現にあてると、人ごとの差がだんだんと出てきます。また、表現にのれない人は、時間をもてあまし気味になります。よって、表現にあてる時間は「腹八分目」を心がけます。足りないな、と受講生に思わせるくらいが、経験的にはちょうどよいような気がします。

6.語る時間と振り返る時間を十分確保する
 もっとも大切なことは、これかもしれません。ともすれば、表現の時間というのは、長くなりがちです。そして、これが長くなる結果、最もメインの活動である「語る時間」「振り返る時間」が少なくなる傾向があります。
 本当は逆です。表現された作品を指示しながら、語る時間。振り返る時間を十分にとることが大切だと思います。経験的には、表現にあてた時間の3倍から4倍は、それらにあてます。

7.表現を愉しむ
 言うまでも無いことですが、もっとも大切なことは、ファシリテータ側も自ら表現を愉しむことではないか、と思います。そういう雰囲気をつくっていくことが大切です。いろいろなものが予想外、想定外に起こりますが、そういう出来事を愉しむマインドを持ちたいものです

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 以上、少し長くなりましたが、今日は「創って、語って、振り返る系ワークショップ」のコツについて、つらつらと書いてきました。もちろん、これ以外にも、いろいろあると思いますが、ぜひ、皆さんのお知恵をシェアして頂けると嬉しいです!

 さてもう時間、リミットです。
 KENZO、TAKUZO、ママも起きてきました。

 そして人生は続く