メールベースでの議論!? : 「言外の意味」を読み解く

「あとは、メールベースでの議論をするということで・・・」

 先日、ある駅で電車を待っていましたら、隣にたっておられた中年男性が、携帯電話で、こんなやりとりをなさっていました。
 男性は電話を切ると、横にいた部下と思われる女性に、ひと言、いいました。

「ふぅ。ま、誰も何にも言ってこないよ」

 女性はクスっと笑いました。
 これは、一瞬の光景でしたが、この光景を僕は非常に興味深く感じました。そして、「メールベースでの議論」って面白い表現だな、と思いました。

 この言葉は、ビジネスシーンでよく聞く言葉のひとつですが、「そのとおりのこと」が実行されることはあまりないように思います。
 少なくとも僕の場合、この言葉が指し示すとおり「メールベースで議論したこと」は、過去5年において1度もありません。

 といいましょうか、メールでスケジュール等のやりとりはすることはあっても、さすがに「議論」なんかはできない。ま、僕の場合だけかもしれませんが。

 もし仮にそれが正しいのだとすると、「メールベースでの議論」という表現で指し示されている内容は、

「一応、双方向でやりとりする可能性はゼロじゃないけど、めんどくさいから、よほどのことない限り、文句言わないでね。よほど異論があったら、言ってきて。空気読んでね。メールベースなんだから、そこんとこ、よろしく。」

 というニュアンスなのかな、と感じました。ま、以上は、僕が適当3秒でつくった解釈ですが、そうも解釈できるのかな、と。

 もし、仮にそのことが正しいとするならば、この「言外の意味」、すなわち「空気」を読まない人がでてくると、言葉を発した方としては「想定外」なんだろうと思います。
 言外の意味を読まない人は、本当に「メールベースで議論」をしちゃうだろうから。そのことで、コミュニケーションによる取引コストが上がるだろうから。

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 今日の話は、特にオチがあるわけではありません。

 私たちの日常には、「メールベースでの議論」のような、「言外の意味」を密かに保持している言葉があふれているような気がします。皆さんのお近くには、他には、どんな言葉がありますか? 「そのとおり実行されることはまずないけれど、とりあえず、その場はやりすごすことができる言葉」というのかな。

 そういうものを集めて、辞書なんかをつくったら、日本のビジネスの現場にはじめて入ってくる新規参入者や、外国人の方々には、役にたつんじゃないかなぁ・・・。それくらい、いろいろありそうだよな。でも、ビジネスシーンが、グローバル化していくと、そういう言葉の利用を「是」とすることすらも、問い直さなければならないのかもしれないな。ふむふむ。

 そんなことを考えていたら、電車が、3分遅れで、プラットフォームに入ってきました。都内某駅、一瞬の「白昼妄想」タイムでした。

 電車が駅を出ます。
 そして人生は続く