【イベント報告】社内講師を育てる「仕組み」をいかに整えるか?

 皆様、ゴールデンウィーク(GW)をいかがお過ごしですか?
 僕の方は「TAKUZO漬け」の慌しい毎日を過ごしています(笑)。すこしの間、ブログをお休みさせていただきましたが、そろそろ復活しようかなと思います。このままじゃ、社会復帰が難しくなりそうですので。最初の記事は、まず、先日おこなったイベント報告からです。

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 先日4月26日、経営学習研究所のラーニングイベント「多様な社員を講師に育てる」が開催いたしました。こちら、関係各位のご尽力・ご協力をいただき、無事終えることができましたことを、まずは、心より嬉しく思います。

 今回のイベントには、230名の参加者の方々にご参加いただきました。ご参加いただいた皆様におかれましては、心より感謝いたします。こうして、今、当日の写真を見てみますと、本当に多くの方々にご参加いただいたのですね。心より感謝いたします。
(写真は、いつものように、写真家・見木久夫さんにお願いしました。ありがとうございます)

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 会は、中原の趣旨説明からはじまりました。
 冒頭では、今回のイベントを、経営学習研究所と共催させていただきました、日立ソリューションズの小嶋さんに、ご挨拶をいただきました。ありがとうございます。

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 中原のイントロダクションでは、社内講師を育て、研修を社内で開発すること、いわゆる内製化は、2000年代から注目されていることを述べました。おもに、その理由は、1)コスト削減のコンテキスト、2)社内のナレッジの還流のコンテキスト、3)組織文化や組織コミットメントの強化のコンテキストなど、様々な要因がからみあい、推進されていることをお話しました。
「内製化」はいわば、英語にならない言葉であり、その言葉や概念自体が、今更ながらに、注目されることに、ピンとこないグローバル企業の方々は少なくない。また、伝統ある製造業においては、独自の自社技術を後世に世代継承されることは、これまでも、そして、現在も実践されてきている。むしろ、人材開発の必要性やプロフェッショナリティが認められているグローバル企業、自社の強みを世代継承することにきちんと向き合う企業においては、すでに「内製化」されている。僕の方からは、そのようなお話をしました。

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 ファーストプレゼンターは、ソフトバンクモバイルの大内さんです。

 大内さんからは、同社における研修開発の理由、経緯、そして基本的スタンスについてご説明いただきました。僕がもっとも興味深かったことは、大内さんが、「研修開発は、社内講師にたたれる方と、人事のコラボレーションによること」を強調なさっていたことです。

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 業務の内容知に関して精通なさっているラインの方々と、教える知識や人材マネジメントに関する知識を有する人事の方々。それぞれの持ち味や専門性を活かし、研修開発を試みるというスタンスが非常に印象的でした。

「研修内製化」と一般に申しますと、すぐに思い浮かぶのは、「研修の場面に、ラインの方を登壇させる」というイメージです。とかく、そうしたことがコスト削減ドリブンで進みますと、この「コラボレーションのイメージ」が失われます。

 コラボレーションする、ということは、組織内部に、教えること、研修開発することの専門性を有する努力をするということです。結局、内部的には、様々な努力をしなくてはならないのです。努力のベクトルが、研修のアウトソーシングの場合と、研修内製化では異なる、ということが重要なことのように思います。そのときは、時には、外部の力を借りることが大切になることは、言うまでもありません。

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 セカンドプレゼンターは、ソフトバンクモバイル株式会社の島村さんです。

 島村さんからは、特に、同社における社内講師育成の「仕組み」についてお話いただきました。社内講師としてデビューさせる、といっても、何もせずに、社内から、教えるスキルを有する人が生まれ出ることはありません。そこには、人事がイニシアチブをとって、育成システムや、質保障のシステムを整えること、さらには、それらを維持していく努力が必要になります。島村さんからは、大変、印象深いお話をいただきました。

 特に印象的だったのは、「育成システム」もさることながら、「質保証(クオリティアシュアランス)」を実現するための制度です。同社では、人材開発のクオリティを確保するため、様々なな社内資格を整え、研修のクオリティを維持しているとのことでした。非常に興味深いことです。

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 2つのレクチャーセッションを終えたあとは、皆さんで、お隣の方々同士で対話していただきます。

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 会場には、人事・人材開発などの実務家の方々が数多く参加なさっていました。

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 会場のここあそこで議論が起こります。様々な方がご参加いただいておりますので、すぐに話が噛みあわないこともありえます。しかし、それが対話というものなのかもしれません。

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 今回、対話の時間は25分間をとりました。

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 あっという間に、時間になりました。

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 対話のあとは、Q&Aをおえ、セッション終了です。
 Q&Aのコーナーには、20数件のご質問をいただきました。質問をすべて取り上げることはできませんでしたが、なにとぞお許しください。ご質問いただきました方々、ありがとうございました。

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 皆様、本当にお疲れ様でした。
 積極的なご参加ありがとうございました。

 最後になりますが、ご登壇いただきました、ソフトバンクモバイルの大内さん、大内さん、島村さん、本当にありがとうございました。同社の海上さんには、Q&Aでご協力いただきました。
 共催頂きました日立ソリューションズの小嶋さま、平山さま、畑野さまには重ねて御礼申し上げます。今回素晴らしいご縁をいただきました村岸さま、ありがとうございました。

 またMALL理事のみなさま、松浦さんをはじめ学生スタッフの方々にも、心より感謝いたします。
 またご参加いただきましたみなさま、心より御礼申し上げます。お逢いしましょう!

 下記は当日のスライドになります!
 どうぞご笑覧ください。

社内講師を育てる仕組み from nakaharajun

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