世界最大の経営学会で「ケア」の話を聞く!? : Suffering organization / Workplace / Manager / Peopleを前に、今、何ができるか?

 ちょっと前のことになりますが、先日、米国で開催されてきたAcademy of Management(アメリカ経営学会)に参加してきました。

 これまで一度も参加したことのない学会でしたし、「アウェイ感」がかなり高いことが予想されましたので、話が通じなかったり、言われたことがわからなかったりしたらどうしようと思っていましたが(ブルブル)、エイどうにでもなれ、と覚悟を決めていきました(大げさ)。

 結論からいうと、取り越し苦労。「全くそんなことはなく」、久しぶりに、じっくりと、学問のことだけを考える時間を過ごすことができました。素晴らしい!

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 学会では、様々な知的刺激を受けましたし、面白い情報も得てきましたが、もっとも印象的だったのは、学会初日に行われたプレジデント(学会長)のプレゼンテーションでした。

 Anne Tsuiさんという女性のプレジデントが、プレゼンテーションのテーマに掲げたのは、なんと「Care(ケア)」でした。

 経営の学会で「Care : ケア」ですか?

 予想外の出来事に、僕はぶったまげました。
 Academy of Managementは、「世界で最も大きな経営学会のひとつ」であり、そこの会長なのだから、「利益(Profit)」の問題とか、「戦略(Strategy)」の問題とかを語るんだろう・・・プレジデントの口から最初に語られるのは、そういう「Market-Drivenなこと」なのだろうと思っていたのですが、ありゃりゃ、予想外。

 よもや人文諸科学のここ十年の中心的テーマのひとつである「ケア」が、まさか、世界最大の経営学会のプレジデントのプレゼンテーションで語られる、とは思いませんでした。

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 しかし、Tsuiさんの話を聞いていますと、そのことの背景がよくわかりました。ここで「ケア」が語られることの意味が。

 貧困、失業、広まる社会格差・・・
 飢え、資源争奪、南北問題・・・

 資本主義(Capitalism)の行き着いた果てに、今、様々な問題が生まれています。そして、その問題には、企業の経営活動も無縁ではありません。

 現代生まれている問題をひと言で申しますと、「Suffering(苦しみ)」だと、Tsuiさんはいいます。
 
 まずは軋む地球環境

 Suffering planet(苦しむ地球)

 そして、私たちの身近なところでは、

 Suffering Organization(苦しむ組織)
 Suffering Workplace(苦しむ職場)
 Suffering Manager(苦しむマネジャー)
 Suffering People(苦しむ従業員)

 が生まれてきています。

 例えば、Suffering Peopleに関していえば、全米の仕事によるストレスの損失額は、1984年が9 Billionであったものが、1999年には11 billionを突破。それから2012年には300 billionにも至っているそうです。
 
 プレジデントがこのように、Suffering(苦しみ) と Care(ケア)を学会員全員に、敢えて訴えることの背景には、こうした格差や不平等、そして苦しみをまえに、学問が、そして、企業が、経営が、何をしたらよいのか、自信を失っていることが背景にあるな、と感じました。

 もちろん企業であるから、利潤は「Primary(第一義的)」に追求されなければならない。しかし、「法律以上のことを企業はなす必要がない」とするフリードマン以降の企業のあり方として理想にされていた考え方は、今、見直されなくてはならない。
 つまり、Primaryを達成するのと同時に、Secondaryには、「ケアを中核にした経営」を見据えなければならない、というのです。

 プレジデントはさらに指摘します。

 1)経営研究は、社会に何にも関わっていない
 2)ビジネススクールは、社会にとって有害である
 3)経営研究の果てに、幸せな生活があるのかわからない

 上記のような3つの認識が、今、世界・社会の人々のあいだに急速に広がっており(ビジネススクール卒業者の犯した不正な会計操作などの事件の影響でしょう)、それに「危機感」をもたなければなrない。今、急速に広がっている、この3つの認識を、何とかしなければならない、と。

 その上で、

 Corporate Financial Performance(企業の財務業績)と、Corporate Social Performance(企業の社会に対する業績)のバランスを保つことが、長期的な視野にたつと重要なことである

 また、

 一線にいるManagerが、Compassionately(思いやりを持ちつつ)、高い倫理観をもって振る舞うことを支援する研究をしなくてはならない

 と訴えておられました。

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 プレジデントのプレゼンテーションは「演出」がやや過剰なところもあり、さすがに「ケアの概念」は、「ダメな人には、全然ダメ」だったのか、席をたっていく人もちらほらいました。

 僕個人としては、いろいろ思うところはあるものの、大旨、そのとおりだと思いましたし、自分の研究の方向性もあながち間違っていないな、と感じました。

 また、学問の内部に、その学問のあり方に対する「批判的言説」を抱えているということ。つまり、「批判理論を内部に持っている学問」というのは、僕は、学問として「健全」である思います。

 最も学問として危険なのは、その学問のあり方に対する「批判の精神」、「批評の活動」が禁じられていたり、あるいは、そのことに意識すら向かない学問だと僕は思います。

 その意味でも、プレジデントの話は、非常に興味深くうかがうことができました。

 聴くところによると、2013年の学会のテーマはCapitalism in questionだそうです。また何とか時間をつくって、来年も、学会に出かけたいな、と思っています。

 そして人生は続く

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■2012/08/22 Twitter

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■2012/08/21 Twitter

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■2012/08/20 Twitter

  • 21:53  村上先生(@munyon74)作成の「大学生研究フォーラム2012まとめサイト」(心より感謝です):http://t.co/Q9QzIOLj
  • 21:32  腰痛でモゲる、肩こりで震える、頭痛で笑う。
  • 18:00  今週は、マジ、綱渡りだな。サバイブせよ>自分
  • 13:24  よろしければぜひ>RT @WORKSIGHTJP 長岡健 × 中原淳対談 「若いうちから文化も規範も異なる"アウェー"を体験させる」WORKSIGHT http://t.co/WmgGFTVW #worksight
  • 09:52  【ブログ更新】大学生研究フォーラム2012が終わった!:グローバル時代の大学生のキャリア、能力開発: http://t.co/jmkpBw8R
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■2012/08/19 Twitter

  • 22:44  山田先生お疲れさまでした。お愉しみいただけたようで、嬉しいことです!RT @tsuyomickey: 中原さん、お疲れさまでした。根拠なき言説に対してデータで説明していくこと、そして大学人としての学識も大切にしつつステークホルダーに応答していくことの重要性を確認出来ました!
  • 21:50  村上先生、本日はどうもありがとうございました!RT @munyon74 お疲れ様でしたー。勉強になりました。また、よろしくです。
  • 21:21  京都駅で思わず買ってしまった「絵本」:「ルーク、おしっこか?」・・・はやくTAKUZOに逢いたい。自宅に着く頃には、もう寝顔だろうけど>「ダース・ベーダーと4歳のルーク」(えほん):http://t.co/hYyu4Xn2 http://t.co/LsJBt9NI
  • 20:30  お愉しみいただけたようで、よかったです。感謝!RT@goldenmoon0424 ハッシュタグすごい。本日の講演者兼ファシリテーターの中原先生が呼びかけておられたので初めて使ってみたら、色んな人から反応いただいた。 これがSNSなんだな...(笑)"
  • 20:28  いざ東京へGO!
  • 16:46  現在の4回目のグローバル化は、過去3回のグローバル化、すなわち「国際化」とは異なる側面をもっている。国際化と同時に、国と地域が近くなっていくこと「地球化」が進行している 吉見俊哉先生 #dkf2012
  • 16:46  グローバル化は、歴史的には4回の契機がある。1)1850-70年代 ペリー来航、2)1910-20年代 第一次世界大戦 米ソの冷戦体制が確立する、3)1950-60年代 戦後のアメリカ化、4)1990年代以降 の現在。吉見俊哉先生 #dkf2012
  • 13:23  大学生研究フォーラム開催中です。ハッシュタグは#dkf2012です。研究発表、実践報告が続きます #dkf2012
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■2012/08/18 Twitter

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■2012/08/17 Twitter

  • 22:05  (4)デューイは、昼食作りという実践的な仕事に算数(子ども達が自分でつくった道具を使って材料を計量する)、化学と物理学(燃焼のプロセスを観察する)、生物学(栄養面から見田食事と消化)、地理学(動植物の自然環境を調査する)などを組み入れた。http://t.co/06hsg4CB
  • 22:04  (3)デューイスクールでの教育は、知識は活動の副産物であるという考えに基づいていた。デューイがこだわっていたカリキュラムは / 料理だった。子ども達は昼食をつくり、給仕をした。/ 食事を用意することは、目標志向的な活動であり、社会活動であり、学校外の生活と連続している活動である。
  • 22:03  (2)彼(デューイ)は、あるひとつの理論を実際に試していたところだった。それは、彼の言うところによれば「知識の統一性」の理論だった。 / 知識は「行うこと」と不可分の統一体をなしているということだった。http://t.co/VVPGCItP
  • 22:03  (1)イデオロギーの対立である南北戦争の反省のもとに設立された、メタフィジカルクラブ。そこには、ホウムズ、ジェイムス、パース、デューイなどが集い、次第にプラグマティズムという思想を形成していく。少し意外なデューイの歴史。http://t.co/yq31Z4iD
  • 21:50  そうなんだよなぁ>「親は、ベスト盤を、子どものために、よかれと思って選んでしまう。そして、子どもの本当に聴きたい曲に限って、ベスト盤には入っていない」(重松清「小さきものへ」)
  • 21:48  重松節、刺さる>父「今から、そんなことでどうする / オレが死んだ後、オマエはどうやって一人で生きていく」:息子「わかったふりをしてほしくないね。オレがムカツクのは、わかってくれない父さんじゃない。わかったふりをしている父さんなんだ」 http://t.co/UySZlEsj
  • 17:30  ほほー RT@tomokihirano 平成24年度ワークショップリーダー人材養成研修募集のお知らせ http://t.co/Tdl1uftp
  • 17:25  土日は仕事。今週はお休みないのね。ふぅ。気合いで乗り切る!
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■2012/08/16 Twitter

  • 20:52  (3) 今すぐ「答え」を探さないでください。 / 今は、あなたは「問い」を生きてください。(リルケ「若き詩人への手紙」)
  • 20:52  (2) あなたの心の中の「未解決のもの」すべてに対して、忍耐をもたれることを。そうして「問い自身」を、例えば閉ざされた部屋のように、あるいは、非常に未知な言語で書かれた書物のように、「愛される」ことを。(リルケ「若き詩人への手紙」)
  • 20:52  (1) あなたはまだ本当にお若い。すべての物事の始まり以前にいらっしゃるのですから、わたしは、できるだけ、あなたにお願いしておきたいのです。(リルケ「若き詩人への手紙」)
  • 19:44  小川先生、情報をありがとうございます>RT @drogawa オンライン大学でも教育実習や各教科のpracticumやfield experienceとよばれる実習は必修。ただオンライン大学の学生の実習を受入れている現場からは、学生の教授力を含めた質に関し危惧する声が出ている  [in reply to drogawa]
  • 19:43  拝見させて頂きます>RT @muranori7 アメリカの教育学部勤務の小川先生@drogawaのコメントを見て下さい。RT @kakonoki: RT 驚!>RT 【エッセイ】教員養成で教育大を超えたオンライン大学 http://t.co/be7K3Jb7  [in reply to muranori7]
  • 16:46  驚!>RT 【エッセイ】教員養成で教育大を超えたオンライン大学: 合衆国教育省が、オンライン大学の教員養成が急増しており、学位授与数で最大規模の教育大学を抜いたという報告書を出しました。http://t.co/TV24lzkh
  • 12:41  ブログ更新。「モノを捨てられない」のはなぜか? : 未来を問うのか、過去を問うのか?: http://t.co/JxPuDSVu
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