自分で思う過去・未来、他者にうつる過去・未来

 先日、日本を代表するコーチのひとりである鈴木義幸(コーチA 取締役社長)さんと、日経ビジネスオンラインの特集で対談しました。

鈴木さん・日経ビジネスオンライン
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20090319/189496/

 対談は、学ぶこと、対話すること、成長することなど、いろんな方向にふくらみました。後日、その模様は、Webで公開されることと思いますが、その中で面白いお話をうかがいました。アイデンティティには4つの側面がある、という話です。僕は、アイデンティティ論やカウンセリングには全くの「どしろうと」ですが、興味深くお話を伺いました。

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 4つのアイデンティティは、鈴木さんが、ニューヨークでコーチングの会議に出席したときにうかがった話だそうです。

 今、2軸を考えます。「自分と他人」という軸と、「自分の過去 - 自分の未来」という軸です。これらを、それぞれ、縦軸と横軸に設定しますと、4象限ができますね。アイデンティティには、この4つ側面があるというのです。

four_identity_2.jpg

 まず過去からです。
 「自分」が「自分の過去」をどう思ってきたかは、「Remembered Identity」というそうです。対して「他人」が「自分の過去」をどう思ってきたかは、「Reflected Identity」というそうです。ここにも「ズレ」ができそうですね。

 次に「未来」です。
「他人」が「自分の未来」をどう思うかは、「Programed Indetity」というそうです。社会的期待に近いのかもしれません。4つめは、「自分」が「自分の未来」をどう描くかですね。これを「Creative Identity」というそうです。ここのあいだにも、必然的に「ズレ」がありそうですね。

 非常に簡単な整理ですが、自分と他者という「違い」を利用して、過去と未来をリフレクションするための「道具立て」だと思いました。

 実は、これとほぼ同じようなことを、僕も、つい最近、同世代の共同研究者の何名かとやったことがあるのです。自分の研究の「過去」と「未来」を自分でまずは整理して、語ります。そのあとで、他の研究者からみた、「僕の研究の過去と未来」を語ってもらいます。自分の思っていた自己像と、他者から見た自己像は、微妙にずれたり、一致したりするのです。ふだんは考えないことなので、非常に刺激的な一夜でした。
 この対話の中で、僕に最も響いたのは、研究室の後輩のM先生の一言だったのですが、それは、また今度。

 ちなみに、、、どうでもいいことですが、うちのカミサンが、近日、知り合いの方のお子さんの中学生の女の子から、仕事に関する質問を受けます。いろいろな質問項目を中学生の女の子から受け取ったのですが、その質問を、昨日、彼女なりにリフレクションしていました。同じ他者でも、中学生の女の子にわかりやすいように、自分の仕事を語る、というのは、ものすごく考えさせられますね。

 ともかく、人は、折に触れて、他者とともに「内省」をなす機会をどこかでもったほうがよいのではないでしょうか。リフレクティブな他者からの問いかけは、それを促すのでしょうね。

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 対談は、近日中アップロードされる予定です。ぜひご覧ください。鈴木さん、大谷さん、漆原さん、大変、すばらしい時間をありがとうございました(校正チェック、遅れてしまって申し訳ございません)。

鈴木さん・日経ビジネスオンライン
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20090319/189496/