人材開発白書2010

 富士ゼロックス総合教育研究所と松尾睦先生(神戸大学)と中原の共同研究の成果「人材開発白書2010」が、本日、発刊されました。本日は、発刊記念シンポジウムが東京駅近くで開催されました。

人材開発白書2010 記念シンポジウム
http://www.fxli.co.jp/news/detail.html?news_id=112&sel_year=2009

 今年は、昨年の定量調査に続いて、定性調査を実施しました。成長実感の高い職場の秘密を、ヒアリングを中心とした定性調査でさぐり、ケースを作成しました。

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 ケースとして選ばれたのはパナソニック株式会社さん、株式会社カネボウ化粧品さんです。両組織ともに、昨年の調査で、非常に成長実感の高い組織であるという特徴をもっています。

 パナソニックさんは、1)職場において現場長がリーダーシップをきって、数々のワークショップを実施し、現場で生じているコミュニケーション不全の問題、知識伝承の問題にチャレンジしています。
 中原は、これをWorkshop within Workplace(職場ワークショップ)というコンセプトでまとめ、その効果を説明しました。職場ワークショップは、学習転移モデルに基づく、いわゆる「研修」がもついくつかのアポリアを超える可能性をもっていると思います。
 また、若手社員を一人前にするため、「一歩踏み出した事例発表」という発表会をもち、経験を省察する機会を与えています。

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 カネボウ化粧品さんは、成長実感とともに非常に互恵性の高い組織であるという特徴をもっています。その背後には、1)マネジャーと社員(ビューティカウンセラー)の仕事・役割が曖昧で重複している、という役割のリダンダンシー、2)現場に対する権限委譲を徹底して行っていることがありました。

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 去年定量調査で明らかにした「成長実感の高い組織」により詳細な調査ができたことは、非常に意義深い成果であったと思います。

 プロジェクトをまとめてくださったプロジェクトリーダーの坂本雅明さんにこの場を借りて感謝いたします。どうもありがとうございました。