LearningとWorkの分離:GEの挑戦

【お詫び】
 ここ数日、メールサーバの不調が生じていたようです。僕にメールを送られた方で、エラーメールがバウンスしてしまっていた方、申し訳ございません。特に、添付ファイルがついたメールは、受け取れなかった可能性が高いです。本日に関しましては、おそらく、通常のメールでも届いていなかった可能性があります。なお、本メールサーバの不調に関しましては、本日昼12時に復旧しました。もう大丈夫です。ご迷惑をおかけしました。心よりお詫びいたします。

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 先日、日本CHO協会の須東さんの依頼で、中央大学大学院/日興シティの中島豊さん、GEのクロトンビルジャパンの責任者の田口力さんらと一緒に、シンポジウムに登壇した。

 シンポジウムのテーマは、組織開発(Organizational Development)である。

 組織開発については、様々な定義が存在するけれど、あくまで僕の言葉でいうのならば、「組織開発とは、組織がうまく動くために、組織構造・組織システム・組織特性・文化を「変化」させる長期的なプロセス」ということになる。

 よりプラクティカルには、組織(ハコ)・制度(ルール)を変革する「ハードな組織開発」と、文化・価値観・理念・マインドセットなどの変革する「ソフトな組織開発」がある。当日は、これらを「組織開発1.0」「組織開発2.0」とよんで解説した。

 組織開発については、ある程度のことは知っていたけれど、「これも、よい機会」だと思い、ちょっくら真面目に勉強した。

 詳細はここでは述べないけれど、組織開発をめぐる言説には、様々な誤読や、過度の一般化や単純化などが存在していて、なかなかとらえどころがないな、というのが印象だった。
 おそらく、これが我が国において、組織開発が広まらない理由のひとつであると思ったし、「組織開発のマネジャーが日本で探せない」という理由の一員になっていると思った。これについては、また別の機会に論じる。

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 シンポジウムでは、須東さんの問題提起、中島さんのお話し、田口さんのクロトンビルの話など、どれも印象深いものであった。

 最も印象深かったのは、本当にGEのやっている人材開発施策は、教育という目から見ても、理にかなっているな、ということである。
 特に「研修で学んだことをいかに仕事に生かすか」という「学習転移モデル」に関しては、それを超える地道な努力をしているな、と感じた。
 さすがは年間1200億の教育投資、リーダーシップ開発だけでも160億円を投資する会社である(日本企業の教育投資を全部あわせても、5000億から6000億のあいだのハズ・・・)。

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 例えば、近年、GEでスタートしたというLIG(リグ)というリーダーシップ開発プログラム。これは、職場のチームを丸ごとクロトンビルによんで行うチームベースドトレーニングである。

 いわゆる通常の研修だと、参加者は職場のメンバーの中のひとりである。ゆえに、研修でたとえどんなによいことを学んでも、それを職場に持ち帰ったときには、影響力を行使することは難しくなる。つまり、Learning と Workが分かれやすい。
 しかし、研修を職場単位で行うことができれば、研修で学んだこと(Learning)は、仕事(Work)に直結する可能性が高くなる。

 また、近年、GEでは研修を「プレトレーニング」「ポストトレーニング」とわけて、それぞれ強化しているとのことである。特に、「ポストトレーニング」については、最重点の課題だそうだ。
 プレトレーニングでは、例えば「研修をやる前に、研修に部下を参加させるマネジャーと電話会議を行い、その趣旨を説明する」。 ポストトレーニングでは、徹底的なフォローアップを行う。あるリーダーシッププログラムは、研修終了後、90日間フォローを行うそうだ。具体的には、コールと呼ばれる電話会議を開催するのだという。非常に興味深い。

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 Learning と Work の間の分離をいかに超えるのか。つまりは、Learningful workを実現するのかは、企業人材育成が抱える最大の課題のひとつであり、実は、もっというと、教育学や学習科学が抱えるアポリアのひとつでもある。1980年代 - 1990年代に吹き荒れた転移論争は、まさにこの問題であった。

 今、先進的な企業では、このアポリアを超える努力が少しずつはじまっている。

 あなたの会社のLearning と Workは、分かれているだろうか?