自然の美しさ:まだ綺麗になっていない!?

「本のお茶」を読みました。小生の教養のなさが露呈しますが、原著は、岡倉天心のものだそうです。本書は、岡倉天心の「茶の本」の内容を一部抜粋して意訳し、かつ、スタイリッシュで癒し系の写真をつけたようですね。なかなか癒されました。

 その中に収録されている、「利休のエピソード」が面白かったので、下記に引用します。

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 ある日、息子の紹安が露地をはくのを眺めていた利休は、紹安が清掃を終えるやいなや、やり直しを命じます。

「まだ、綺麗になっていない」

 父の言葉を聞いた紹安は、さらに一時間もかけて清掃をやりなおし、くたびれはてて、利休にいいました。

「父上、もうこれ以上、すべきことは何もありません
 飛び石は3度も洗いましたし、灯籠にも樹にもたっぷり水を打ちました。地面には小枝一本、木の葉1枚も残していません」

 しかし、利休は、「未熟者!」といって、紹安をしかりつけたのです。

「露地というものは、そのように清掃するものではない」

 いきなり利休は庭に降りて、1本の樹をゆすり、金色や深紅に染まった木の葉を庭一面にまき散らしました。

 利休は、単なる「清潔さ」だけではなく、「自然の美しさ」を求めたのでした。

(p107より引用)

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 茶の世界は、マリアナ海溝なみに深いですね。

 僕もいつか、TAKUZOに「自然の美しさ」を教えるため、「金色や深紅に染まった木の葉」をまき散らしてみたいものです(笑)。

 まっ、「その前に、カオスを極めるオマエのオフィスの机を何とかしろ」という感じですが。