青山学院大学での集中講義 シラバス

 今年の冬は、青山学院大学で集中講義をやります。下記が、シラバスの最終です。これを4日間でやるのは、かなりハードだね。でも、達成感はあると思うけれど・・・。

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組織間ネットワーク特論
青山学院大学 社会情報学部
シラバス最終
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中原 淳
東京大学 大学総合教育研究センター 准教授

■講義の目的・概要
 人は、人生の一定期間、学校という場所「だけ」
で学ぶわけではありません。学校を「卒業」した後
でも、会社や組織の中で、新たな知識を獲得したり、
他者と知識を共有したりしながら、仕事に日々取り
組んでいます。人は年をとっただけでは、学びをやめ
ません。人は、生けとし生きる限り、学び続ける存在
なのです。

 本授業では、従来あまりスポットライトがあたるこ
とのなかった、学校の「外」の学習 - つまり、「企
業・組織における学習」に関連する文献購読を行いま
す。経営学、教育学、心理学、社会学等の分野をとわ
ず、関連する文献を購読することを目的とします。

 近い将来、組織における学習、人材育成システムを
実際に「分析」したり、あるいは「構築」したりする
場合に必要になる基礎的概念を理解することをめざし
ます。

 文献購読はグループで行ってもらいます。
 課題文献、図書をグループで役割分担をしながら
購読し、ひとつのストーリーにまとめ、プレゼンテー
ションを行います。
 
 
■評価
 下記の3点から成績をつける。
1.出席(20%)
2.プレゼンテーション(教員評価40%)
3.資料のクオリティ(教員評価40%)

 なお評価のポイントは下記の5点。
  1.スライド・配付資料のわかりやすさ( / 5)
  2.プレゼンテーション手法(声・身振り)( / 5)
  3.質疑応答の適切さ( / 5)
  4.理論の解説がわかりやすいか( / 5)
  5.考察がなされているか( / 5)
 
 
■連絡先
 中原 淳(なかはらじゅん)
 〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1
 東京大学 大学総合教育研究センター 准教授
 東京大学大学院 学際情報学府 准教授(兼任)
 
 
■授業の基本的アーキテクチャ(90分)
 ・イントロダクション(中原:5分)
 ・プレゼンテーション前半(20分)
 ・プレゼンテーション後半(20分)
 ・ペアディスカッション(20分)
 ・オープンディスカッション(クラス全体で:20分)
 ・ラップアップ(中原:5分)


■場所
 青山学院大学 青山キャンパス


■授業内容

●1 経験学習

・松尾睦(2006)経験からの学習-プロフェッショナルへの成長プロセス. 同文舘出版, 東京

・松尾睦(2004)内部競争のマネジメント 同文舘出版, 東京(付録は除く)

●2 中間管理職の経験学習と暗黙知の獲得

楠見孝(2003) 暗黙知. 小口孝司・楠見孝・今井芳昭(2003)エミネント・ホワイト:ホワイトカラーへの産業・組織心理学からの提言. 北大路書房, 京都 pp6-24

・楠見孝(1998) 中間管理職における経験からの学習能力を支える態度の構造 日本労働研究機構 資料シリーズNo.110

・楠見孝(2000)中間管理職のスキル、知識とその学習. 日本労働研究雑誌 No.474(http://db.jil.go.jp/cgi-bin/jsk012?smode=dtldsp&detail=F2000040046&displayflg=1よりダウンロード)

●3 職種と熟達化

・笠井恵美(2007)対人サービス職の熟達につながる経験の検討. リクルートワークス研究所(http://www.works-i.com/flow/survey/download.htmlにて入手可能)

・笠井恵美(2007)対人サービス職の熟達につながる経験:小学校教諭・看護師・客室乗務員・保険営業の経験比較 リクルートワークス研究所(http://www.works-i.com/flow/survey/download.htmlにて入手可能)

・見舘好隆(2007)顧客接点アルバイト経験が基礎力向上に与える影響について:日本マクドナルドに注目して. (http://www.works-i.com/flow/survey/download.htmlにて入手可能)

・伊東昌子・河崎宜史・平田謙次(2007) 高達成度プロジェクトマネジャーは組織の知とどう関わるか. 組織科学 第41巻 第2号.

●4 経験による成長:
  人を飛躍的に「成長」させるのはどんなイベントか?

・金井壽宏(2002)仕事で「一皮むける」.光文社書店, 東京

・モーガン=マッコール(2002)ハイ・フライヤー:次世代リーダーの育成法. プレジデント社

・谷口智彦(2007)マネジャーのキャリアと学習―コンテクスト・アプローチによる仕事経験分析. 白桃書房

●5 経験と内省:

・ジョン=デューイ(2004)経験と教育. 講談社, 東京

・ジョン=デューイ(2004)学校と社会. 講談社, 東京

・ドナルド=ショーン(2007) 省察的実践とは何か. 鳳書房, 東京

●6 成人教育学

・マルカム=ノールズ(2005)学習者と教育者のための自己主導型学習ガイド. 明石書店

・シャラン=メリアム(2005)成人期の学習ー理論と実践. 鳳書房, 東京

・日本社会教育学会(編)(2004) 日本の社会教育 第48集「成人の教育」 東洋館出版, 東京
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jssace/idx_nenpou_48.html

・赤尾克己(2004) 生涯学習理論を学ぶ人のために―欧米の成人教育理論、生涯学習の理論と方法. 世界思想社, 東京


●7 ワークプレイスラーニングと越境性

・中原淳・荒木淳子・北村士朗・長岡健・橋本諭(2006)企業内人材育成入門.(ダイアモンド社)

・中原淳・荒木淳子(2006) ワークプレイスラーニング研究序説:企業人材育成を対象とした教育工学研究のための理論レビュー. 教育システム情報学会. Vol.23 No.2 pp88-103 (http://www.nakahara-lab.net/blog/2006jset_workplace.pdf)

・荒木淳子(2008) 職場を越境する社会人学習のための理論的基盤の検討―ワークプレイスラーニング研究の類型化と再考― 経営行動科学 Vol21. No.2 (http://wwwsoc.nii.ac.jp/jaas2/doc/pdf/journal/21_2/21_2_12.pdf)

・荒木淳子(2007) 企業で働く個人の「キャリアの確立」を促す学習環境に関する研究 : 実践共同体への参加に着目して. 日本教育工学会論文誌. Vol.31, No.1 (20070520) pp. 15-27

●8 ノットワーキングと活動理論

・山住勝広・ユーリア=エンゲストローム(2008)ノットワーキング. 新曜社, 東京

・ユーリア=エングストローム(2001)拡張による学習. 新曜社, 東京

・杉万 俊夫 (2006)コミュニティのグループ・ダイナミックス. 京都大学学術出版会, 東京

●9 ネットワークと学習:人のつながりの中で学ぶ

・安田雪・鳥山正博(2007) 電子メールログからの企業内コミュニケーション構造の抽出. 組織科学 第40巻 第3号

・安田雪(1998) ネットワーク分析. 新曜社, 東京

・ウェイン=ベーカー(2003)ソーシャル・キャピタル―人と組織の間にある「見えざる資産」を活用する. ダイヤモンド社, 東京

・ドン=コーエン(2003)人と人の「つながり」に投資する企業―ソーシャル・キャピタルが信頼を育む. ダイヤモンド社, 東京

・市田行信・吉川郷主・平井寛・近藤克則・小林愼太郎(2008)マルチレベル分析による高齢者の健康とソーシャルキャピタルに関する研究

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