マッサージ屋さんの熟達化

「三度の飯も好きだけれど、それと同じくらい、人が一人前になるまでの話を聞くのが好き」なのは、もはや「職業病」というより、「本当の病気」かもしれません。

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 先日、マッサージ屋さんをおとずれた際、マッサージを受けながら、彼らが一人前になるプロセスについて、ヒアリングをしてしまいました。
 マッサージ師さんが一人前になるまでには、最低5年くらいはかかるそうです。

 1年目は「指をつくること」です。
 マッサージとは「手で押して」はならないそうです。「体」を使って、垂直方向に押さなくてはならない。そうしないと、患部の深いところまで到達しないのだそうです。

 ですが、体重をかけて押すのは、かなり大変なことです。自分の体重の重みを「親指」で支えなくてはなりません。「親指」で全体重を支えることができるようになることが「指つくり」です。

 最初のうちは、マッサージの練習をするたびに、「親指」が痛くなるそうです。しまいには、親指が心臓のように「ドキドキ」いって眠れなくなるそうです。
 しかし、しばらくしていると、親指がマヒしてくる。そして「指ができる」のです。これに1年かかる。

 2年目は、「体で押すこと」を本格的に覚えます。均等に、垂直に、体の上下運動を使って押せるようにならなければ、患者に痛みが走ります。

 3年目、それは2年目と逆のことをやらなくてはなりません。今度は、「力を入れないで押すこと」を覚えなければならないそうです。

 この頃のマッサージ師は、体重をかけることができるようになっていても、「体重を抜くことができない」のだそうです。ですので、患者さんが女性のときなどは、刺激が強すぎて「痛い」と言われがちなのだそうです。

 4年目、一通り手技を覚えたら、今度は「会話をしながら押すこと」を覚えます。

 考えると、手がとまる。手を動かすと、考えがとまる。これを何とかしなくてはなりません。

 理想は、手が勝手に動くことなのだそうです。手が体をセンシングし、次の動作を「手が決める」、そういう境地に至ることだそうです。

 5年目、今度は会話の話題を選ぶことだそうです。患者さんによって、政治の話が好きな人、スポーツの話が好きな人、芸能界の話題が好きな人がいる。または全く話したくない人もいる。その人のキャラを見破って、話を選ばなくてはならないそうですね。

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 5年たって、ようやく一人前ですかね・・・マッサージの先生はそうおっしゃっていました。
 でも、「マッサージには終わりはありませんね。人の体は千差万別ですから、一生勉強ですよ」ともおっしゃっていました。

 今度、皆さんがマッサージ屋さんにいったら、その人の熟達度が、どのステータスなのか、じっくり探ってみるとオモシロイかもしれません。
 そんなことより、マッサージを受けているときぐらい、リラックスしろ、という話もありますが。

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追伸.
 いろんな職業の一人前になるプロセスをおった本って、あったらおもしろそうですね。

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追伸2.
 午前中、プロジェクトのミーティング。会議終了後、カミサンより突然電話。TAKUZO、発熱とのこと(泣)。

 カミサンはどうしても都合がつかないとのことで、以後のスケジュールをキャンセルして、自宅近くの保育園にお迎えにいく。熱はあるものの、元気そうでホッとする。そのままTAKUZOお昼寝。

 お昼寝から起きたあと、顔見知りの小児科へ連れて行く。TAKUZO、この小児科の常連患者なので、看護婦さん、お医者さんともに顔見知りです。

「この後、高熱がでるかもしれないし、すぐに下がるかもしれないよ、おとうさん」

 どっちやねん(笑)

 処方箋を駅近くの薬局において、カミサンがあとでピックアップする旨、受付のおねーちゃんにいっておく。TAKUZO、いつも熱をだすので、ここも、顔見知り(笑)。

 その後、たまたま上京していた妹にTAKUZOを見てもらい、僕はふたたび出勤。カミサン、この後、帰宅予定。

 僕は、大学へ・・・一日に二度、「通勤」することになるとは(泣)。帰りもあるから、4回通勤電車に乗ることになるのか、、、トホホ。

 かくのごとく、「男の子(女の子より熱をだしやすいみたいです)」+「夫婦そろって地方出身者」+「共働き」の子育ては、「戦争」である。

 TAKUZO、はやく元気になれ。
 元気になれば、それだけでいい。