求められているのは

 ちょっと前のことになるけれど、実践的な教育研究に長い間取り組んできたある先生が、こんな趣旨のことを、語っていた。非常に印象的な言葉であった。

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「わたしが教育学者だからといって、実践現場の人から、教育学の理論の<説明>を求められたことは、これまで一度もありません。

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 先生の短い言葉にさらに言葉を付け加えるのならば、蓋し、問われているのは、現場の問題解決に資するものではないか。それは、おそらく、理論と経験に裏打ちされた解釈と、その解釈をたたき台にした対話なのではないか、と思う。

 ちょっと理解しにくいかもしれないけど、<説明>と<解釈に基づく対話>のあいだには、大きな差がある。