真犯人を捜せ!:タワーレコードを殺したのは誰か

 プレジデント10月16日号の「米国タワーレコードを殺したのは誰か」という記事はオモシロかった(同誌p31より適宜引用)。

 要約すると下記のとおり。

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 米国タワーレコードは、8月20日事実上倒産した。日本では、同社の倒産は「iTunesなどの音楽ネット配信急増」がその理由としてかかげられていたそうだが、実は、それは真相とは全く異なるのだという。iTunesはえん罪。タワーレコード殺人(殺会社?)の真犯人は、別の人物だった。

 同誌によると、米国の消費者が音楽を購入するのは、39.4%がタワーレコードなどのCDショップ。それに続くのは、ウォルマートなどの大規模小売店が32%、アマゾンなどの通販が8.2%だという。タワレコ倒産のひきがねとなったiTunesは6%でしかないのだという。

 記事によると、タワーレコードを苦しめたのは、第二位の販売チャネルであるウォルマートだという。大規模小売店は、CDの値引きを行う。かつてタワーレコードなどの専門ショップでCDを購入していた層が、大量に大規模小売店に流れたのだという。

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 ネットの世界がどんなに覇権をにぎろうとも、それを購入する層は、いまだ限られている。故に、ネットの世界が、フィジカルなマーケティングを駆逐するというのは、よほどのことがないかぎり、なかなか起こらない。

 しかし、ネットをよく利用する層、ネットの世界に詳しい人ほど、この手の原因帰属の錯誤を引き超しやすいから気をつけなければならない。ネットがすべてだ、すべてはネットに駆逐される、とつい思いこんでしまう。

 ネットをフルに利用しているのは、「自分のまわり」であることが多い。年を離れ、自分の年齢層から少し距離をおいてみれば、そのことはすぐにわかる。

今回はもしかすると、、メディアの方が「ウォルマートがタワレコを殺した」よりも「iTunesがタワレコを」の方が、ニュースバリューがあると考え、そう書いたのかもしれない。もちろん、これは邪推。事実は知らない。

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 最近は、僕も、音楽はアマゾンで買うか、ほとんどiTunesで仕入れるかになった。

 でも、子どもの頃死ぬほど通ったCDショップ(当時はまだレコードショップという名前だった)が消えていくのは、どこか寂しい気がする。