「見える化」と「見せない化」
巷では「見える化」という言葉がビジネス界で、ちょっとした流行になっているのだという。
「見える化」とは「可視化」のこと。仕事場では「目にはついているけど、気のつかない事柄」を「見えるよう」にしておく工夫のことである。常に問題が発見出来るように、また異常などがおこった際には、すぐに気がつくようにしておくといったようなことをさす。
非常に広い概念で「コミュニケーション」や「スケジュール」などを相互にわかるようにしておくことも、「見える化」のひとつになるという説もあるようだ。下記のような本も出版されているようだ。
僕は過去数年間「オンラインコミュニケーションを見える化」する研究 - これを専門用語ではアウェアネス研究というが - に力をさいていた時期がある。
はじめて「見える化」にチャレンジしたのは、今から5年前。MELLOWシステムというものであった。それがきっかけとなって、iTreeという携帯電話iアプリを開発したり、望月君との共同研究に参加させてもらってiBeeというソフトを共同開発したりした。
3つほどシステム開発研究に従事したので、僕には「見える化」のもっている可能性も何となくわかるし、「見える化」の対象が、こと「オンラインコミュニケーション」に限定されるのであれば、その限界も、何となくはわかる。
せっかく見えるようにしたとしても、人がそれを「読み解いてくれるか」は別の問題、といったこともある。また、我々のようなアプローチをとった場合の最大の問題は、「いつも見えるものは、人はだんだんと見なくなる」ということもある。
常に「見せる」のではなく、「見せない化」と「見せる化」を効果的にあやつって、人の次の行動を形成できればオモシロイのになぁと思う。この先に、フォッグのPersuasive technologyの系譜に位置付くような研究ができるのではないだろうか。
そういう「演出」を考え出すには、まず人間を子細に観察することから、かもしれない。
投稿者 jun : 2006年06月20日 07:44
コメント
いつも楽しく、しかも学習させていただいています。
「見える化」と「見せない化」というタイトルの可視化のお話の中で
『せっかく見えるようにしたとしても、人がそれを「読み解いてくれるか」は別の問題、といったこともある。また、我々のようなアプローチをとった場合の最大の問題は、「いつも見えるものは、人はだんだんと見なくなる」ということもある。常に「見せる」のではなく、「見せない化」と「見せる化」を効果的にあやつって、人の次の行動を形成できればオモシロイのになぁと思う。』という部分に共感しました。
現在、高等学校で教科「情報」を教えています。もとは理科教諭でした。
僕自身、理科を教えていた時、パワーポイントで授業用スライドを作成し、それで授業を行なっていた時期があります。
平成12~14年の3年間、生徒にわかり易い教材って何だろうと考え続け、動画、アニメーションをバシバシとスライドに貼り付け、懸命に教材作りをしていました。
理科というのは、目には見えない現象をモデル化・文章化して提示し、生徒にわかり易く教授することが当時はベストであると思っていたのでしょう。しかし、結局この取り組みは失敗に終わりました。
なぜ失敗に終わったか、それは「いつも見えるものは、人はだんだんと見なくなる」からだと思います。
『せっかく見えるようにしたとしても、人がそれを「読み解いてくれるか」は別の問題』なのだと今になってみればわかるのですが、その当時はどうして生徒が食い付いてこないか不思議に思ったし、苦しみました。
苦しんだ結果、
僕が目指し始めたのは『見せるコンテンツから参加するコンテンツ』の開発です。
理科でなしえなかったコンテンツ開発を今、教科「情報」というフィールドで果たそうと日夜努力しているところです。
生徒が「読み解いてくれる」ような場面を授業に設け、そのためには生徒が参加できるようなコンテンツ(教材)と授業をコーディネートしていこうと思います。
少しずつではありますが、その理想に近づきつつあるような気がします。
投稿者 加藤 誠 : 2006年06月21日 15:05
加藤さん、こんにちは!
コメントをありがとうございます。
>僕が目指し始めたのは
>『見せるコンテンツから
>参加するコンテンツ』の開発です。
大変すてきな転換だと思いました。
ぜひ、トライしてみて下さい。
関係ないかもしれないですが、ちょっと
前に、ある大学の先生からこんな話を
聞いたことがあります。
その先生は、パワーポイントをかなり「作り込んで」
授業をしている方でした。本当にすごい出来です。
僕も見せてもらったのですが、びっくりしました。
でも、大学生の方は、ノリが今ひとつで、その
先生は悩んでいました。質問はでてこないし、
なかなか議論にもならない。
で、その先生は、敢えてパワーポイントの中に
「スキマ」をつくりました。
情報が「足りないところ」をつくったのです。
そこを生徒に問いかけたり、考えさせたりしました。
完璧なものの前で、人は言葉を失ってしまうの
かもしれません。すごいショーを見せられたように
思ってしまうのかも知れないですね。
なかはらじゅん
投稿者 なかはらじゅん : 2006年06月22日 08:53




















