もうと言い、まだと思う

 かつての恩師が、年頭の挨拶で、こんな詩をおくってきてくださった。

 ---

「もうと言い、まだと思う」

もう若い力も 情熱も 萎えてしまった といい
まだ若いものには譲れない 負けはしないと 思う

もうやるべきことは 何もかもやってしまった と言い
まだやりたいことの いくつかは 果たしてないと 思う

命の立ち位置 いつも坂道
もうと思えば下り坂 まだと思えば上り坂

(小椋桂「未熟の晩鐘」より)

 ---

 畢竟、人生に平坦な道はない。それはいつも坂道。坂がどちらに傾いているかは、己が決めるということか。

 若くても「下り坂」にたたずむ人もいる。年をとっていても「上り坂」の渦中にいる人もいる。「年を重ねただけで人は老いない 理想を失ったとき 人は老いる」とは、昔の詩人はよくいったものである。

 あなたは、今、どちらの坂道にいるだろうか?