2007年を振り返る

 一言でいうと、2007年は僕の仕事にとって、大変「よい年」でした。

 企業・組織の中での「大人の学び」を研究対象にしようと決意したのが、2002年6月。それから5年かけて、ようやく、「研究の土壌」を築くことができた、という感じです。

 思い起こせば、研究をはじめた最初の頃は「悲惨」なものでした・・・。
 人材育成担当者にアポイントメントをとっても、ほとんどのメールはかえってこず・・・・。みんな忙しい中仕事をしているので、アタリマエなのですが、駆け出しの教育研究者に時間を与えてくださる奇特な方は、そうおりませんでした。

 誰かのコネクションを利用できるわけでもなかったし、誰かから紹介を受けられるわけでもありませでした。そんな状況を、何とか打開しようと、当時の僕は、いくつかの突破戦略を立てました。

 一、本を出版すること。
 「教育学の諸理論を伝える」ということが主目的ですが、「教育の観点から何ができるのか」「自分たちが何者であるのか」を伝えることも目的のひとつでした。

 一、コミュニティをつくること。
 東大で開催していた「Learning bar」に、人材育成、大人の学びに関連する方をお呼びして、ご講演をお願いすることにしました。

 これら2つの戦略が、ようやく功を奏してきたのが、今年2007年ということになるでしょうか。研究の土壌をつくるためには、5年弱の時間が必要でした。

 昨年、Learning barには1000名を超える応募がありました。最近では、120名のキャパシティの教室に、200名弱の応募をいただくことが多くなってきました。また、今年秋には「Workplace learning 2007」というシンポジウムを東京大学安田講堂で開催し、400名弱の参加を得ました。
 またダイヤモンド社をはじめとした様々な企業のご協力を得ながら、調査をさせていただいたり、インタビューに出かけたり、本当に忙しい一年をすごすことができました。この場を借りて御礼申し上げます。
 先日数えてみたら、今年1年でお会いしてお話を伺った人材育成担当者の方は、もう少しで3桁に迫る様子でした。今から5年前には考えられなかったことです。

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 ようやく築きかけた研究の土壌。
 そこで何をするのか?
 今までわからなかった「何」を明らかにするのか?
 「何」をデザインするのか?
 そして、何を社会に訴えるのか?

 来年には、今行っている様々な共同研究の成果が出てくる予定です。また、いくつかの出版計画もあります。また、様々な企業から、いくつかの委託研究のオファーもいただいております。もちろん、Learning barは継続しますし、Workplace learning 2008も安田講堂で実施します。

 来年の「今日」、また「今年もよい年だった」と言いたいものです。
 月並みですが、来年もがんばりますので、ご支援のほど宜しくお願いいたします。

 2007年12月31日
 中原 淳