男ざかりは、百から百から

 先日、ある人からこんな話を聞いた。

「人間は25歳あたりから、精神的にはあんまり変わらないらしい。いつまでも、自分はまだ25歳のつもりなんだけど、見た目だけがどんどん年をとっていく」

 うーむ、何となくわかるような気がする。

 もちろん、精神的に変わらぬ人もいる一方で、見た目にも、精神的にも年をとっていく人はいる。

 かのマッカーサーが愛したと言われるユダヤ詩人サムエル=ウルマンはこう詠む。

 青春とは人生のある期間ではなく
 心の持ち方をいう

 薔薇の面差し、くれないの唇、しなやかな手足ではなく
 たくましい意志、ゆたかな想像力、もえる情熱をさす
 青春とは人生の深い泉の清新さをいう

 青春とは臆病さを退ける勇気
 やすきにつく気持ちを振り捨てる冒険心を意味する
 ときには、20歳の青年よりも60歳の人に青春がある

 年を重ねただけで人は老いない
 理想を失うときはじめて老いる

 一方、107歳にして天寿を全うした彫刻家・平櫛田中はこううそぶいた。

 今やらねば いつできる
 わしがやらねば だれがやる

 六十、七十は鼻たれ小僧
 男ざかりは、百から百から
 
 男ざかりが「百から」で、70歳でも「ハナタレ小僧」ならば、さしずめ、31歳の僕などは、まだ生まれたばかりの赤子である。ちょうど自分の8ヶ月の息子と同じくらいだろうか。
 
 先は長いなぁ・・・。
 やっと腰が据わったばかりの我が子を遠くに見ながら、そう思う。

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