卒園生がやってくる幼稚園

 午前中、成城にある「某幼稚園」を見学させていただく機会に恵まれました。ずいぶん前から企画があったのですが、なかなか時間がとれずに、2ヶ月ほど間があいてしまいました。

 実は、今日訪れた幼稚園は、ある大学院生さんがかつて卒園した幼稚園なのですね。彼女は、今も、たまにそこでお手伝いをしているそうです。また、そのお母様も、そこで働いていらっしゃるということでした。そんな縁で、今回の機会をいただいたわけです。

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 今日は、3歳から5歳のネィティブによる英語クラスを中心に見学させていただきました。幼稚園には何度か出向いたことがあるのですが、恥ずかしながら、「幼稚園児を対象とした英語のクラス」を見るのははじめてでした。とてもEnegeticで、Powerfulで面白かった。

 3歳児のクラスは、

 jump
 Turn around
 walk

 といったような単語とともに体を実際に動かす、いわゆる「英語エクササイズ」が学習活動の中心になっていました。

 あるいは、

 Hear you are
 Thank you

 といったようなダイアログとともに、先生と子どもで「物を受け渡す」といったような活動ですね。どちらにしても「実物を使った動作とともに英語を発話すること」が重視されているように感じました。

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 高学年になってくると、話はやや抽象的になっています。実物が登場する頻度は、少し下がりますね。

 高学年になると、いわゆる「色の名前」「性別」「感情」「大小」といったような抽象的な概念がでてくる。で、先生と子どものインタラクションも、「Initiative - Response - Evaluation」型になっていきます。

 年齢は1歳ずつしか変わらないんですが、やっぱり3歳児のクラスと5歳児では違いますね。雰囲気がガラッと変わります。それに応じた教授法というのがあるのですね。わたしは専門ではないので、詳しくは知りませんけれども。

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 大学院生Mさんも、かつてこの授業を受けたそうです。彼女の言っていたことがとても印象的でした。

(自分が幼稚園児のときは)ターナラウンドは「Turn around」ではなくて「くるっとまわる」という動作のことだと思っていましたでも、中学校で英語をならいはじめたとき、それが「Turn」と「around」だってわかったんです。中学校で英語を習うにつれて、「あっ、これやったことある、これもやったことがある」と、かつて、幼稚園でやったことを思い出しました。

 幼稚園における英語は、いわゆる「Preparation for the future」なのかもしれませんね。

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 今日は午後から会議三昧なので、お昼でおいとますることになりました。帰り際、園長先生にお話をお聞きしました。

 特に印象的だったのは、この幼稚園では「親」だけでなく、「卒業生」が数多く卒園後も訪れてくれることだそうです。実際、今働いている何人かの人も、卒園生関係の人だし、行事ともなると多くの人たちがやってくるそうです。

 こういう雰囲気は、一朝一夕でできるものではありませんね。なかなか難しい。

 この幼稚園では、卒園生には、行事ごとにお誘いの連絡をしているそうです。また、卒園生が来園したときには、必ず子どもたちの前で紹介するのだそうです。子どももきっと、「あー、自分も卒業したら、あんな風に幼稚園にきていいんだな」と思うんでしょうね。かくして、文化が継承されているのではないか、と思いました。

 残念ながら、僕の過ごした幼稚園はそういうカルチュアを持たない幼稚園だったのですけれども、こういう雰囲気はいいですね。
 いろいろな人たち、親、先輩、地域の人たちが、幼稚園や学校をコアにして「つながる」仕組みをつくるヒントが、ここにありそうな気がしました。

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 最後になりますが、園長先生をはじめとして、Mさん親子、諸先生方には、本当にお世話になりました。貴重な機会をいただきました。ありがとうございました。