Learning bar 「プロフェッショナルの人材育成」が終わった!
昨夜開催されたLearning barでは、小樽商科大学 松尾睦先生に「プロフェッショナルの人材育成」というタイトルでご講演をいただいた。

講演で松尾先生は「仕事場では、人がどのようにして経験から学ぶのか、熟達化していくか」についてお話をされた。話題は、下記のとおりである。
1)近年の認知心理学、認知科学における熟達化研究の概要
2)Kolbの経験学習に関する理論
3)営業担当者、ITコンサルタント、看護士など、プロフェッショナルの熟達化プロセス

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個人的に興味深かったのは、職種や業種が違うことによって「何が経験によって学ばれるか」、また「何が業績向上によい影響を与えるか」が違うことだった。
たとえば、同じ営業でも、自動車営業では「購入の際、顧客がかかえる最後の不安や迷いを解消してあげること」が、ベテランになるまでに学ばれる。そして、このことが業績向上に大きく影響する。
対して不動産営業では、「ファーストコンTAKUで、顧客が抱える問題を把握する能力」、言い換えれば「聞き上手になること」が重要であり、これが10年すると業績に反映するようになる。
もちろん、職種によっても、経験学習のキーポイントは異なる。講演では、プロジェクトマネジャーとコンサルタントの比較がなされていた。
興味深かったのは、看護師の経験学習のプロセス。
松尾先生によると看護師は、最初の5年間は「技術」を学ぶ。最初のうちは、先輩からの指導によって「基礎看護技術」を学び、また難しい症状の患者を担当することによって「専門看護技術」を学ぶ。
その後6年目から10年目は、患者・家族とのポジティブなかかわりによって学ぶことが多くなる。が、10年目以降は、逆に患者・家族からのクレーム処理などのネガティヴなかかわりによって学ぶことが多いのだという。
上記は看護士の事例であるが、おそらく職種によって、この熟達化のプロセスは大きく異なっていることが容易に想像できる。

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さて、このように職種、業種によって熟達化プロセスが異なる、ということは何を意味するか。
それは、もし仮にあなたが人材育成、組織開発の担当者だった場合に、「自分が支援したい職種はどんな経験で学んでいるのか」を十分把握しなければならない、ということである。
すべての職種を十把一絡げにするのではなく、その熟達プロセス、その特徴をキチンと把握する。その上で、それを意識した上で、プログラムの開発に向かわなくてはならない、のだと思う。
このときに重要なのは、現場の把握力、コンサルテーションの技術である。これからの人材育成担当者は、そうしたワザをもつ必要があるのではないか、と考えた。
最後になりますが、お忙しい中、わざわざ小樽からお越し下さり、素敵なお話をしてくださった松尾睦先生に心より感謝いたします。
また、今回のLearning barの運営を行ってくれたEduce坂本君、佐藤さん、坂本君、脇本君、山田君、お疲れ様でした。ありがとうございました。
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追伸.
今回の参加者は結局113名であった。参加者の3割は企業人材育成の現場、6割が企業人材育成の教育事業者、1割が大学教員、大学院生だった。ご参加いただいた皆さんお疲れ様でした。
1割のアカデミズムの参加者の多くは、「教師研究・教師の熟達化」に興味をもっている人であったのが印象的だった。教師の研究にも、新しい芽が出始めているように思った。
投稿者 jun : 2007年05月10日 10:52
コメント
はじめてコメントさせていただきます。
イー・コミュニケーションズの平山と申します。
昨年12月の「TOEICを創った男たち」に続き、二回目の参加でした。
昨日のLearning barは今後社内での新人育成・社内教育といったものを考えるにあたり、非常に参考になりました。
松尾先生のお話も概念論的な内容に終始することなく、実際に現場で働いている人たちへのヒアリング調査を元にしているため、話が具体的で分かりやすかったです。
今回私の他にも初参加で2名の人間が社内から参加させていただきましたが、「1000円でこれだけためになる話を聞けるのは凄いですよ!」と若干興奮気味に話しておりました。
ところで最後のWrap up sessionで中原先生が書かれていた部分で、
・個人のキャラ+外的要因(組織)=経験の質
・経験の質+経験学習能力=????
の最後の部分を聞き逃してしまいました。
????の部分には何が入っていたでしょうか?
教えていただければ幸いです。
(恐らく「熟達化の促進」みたいな言葉が入るのでしょうか。。。)
投稿者 平山 : 2007年05月10日 13:44
確か、
・経験の質+経験学習能力=知識・スキル
だったと思います。
私も慌ててメモッたので間違えていたらスミマセン。
知識・スキルが「熟達化の促進」につながりますよね!
投稿者 satomo : 2007年05月11日 00:41
>satomo様
ご丁寧に有難うございます。
なるほど「知識・スキル」でしたら、しっくりきますね。
おかげさまでスッキリしました。有難うございました。
ところで「同じ経験を積ませても皆が熟達化するとは限らない、なぜなら経験学習能力には個人差があるからである」というときの「経験学習能力」とは一体何なのか考えてみました。
思うに「経験学習能力とは、個別の体験の中から、物事の本質や原理・原則といった普遍的なものをつかむ能力である」といえないでしょうか。
例えば算数の文章問題を解くときに、その問題の式や答えをいくら覚えても意味がありません。
いくら式や答えを覚えても、次に異なる数値の問題、ちょっとひねった応用問題が出るとお手上げだからです。
問題固有の式や答えを覚えるのではなく、問題の解き方・考え方といった普遍的な原理・原則を覚える必要があります。
仕事もそれと同じで、どんな些細な仕事でも仕事の本質、原理・原則といったものを内包していると思います。
そうした仕事の本質、原理・原則を学ぶことの積み重ねが「仕事のコツをつかむ」ということになり、仕事のコツをつかんだ人は所謂「応用の効く人」になり、それが「熟達化」に繋がるのだと思います。
日々ただ漫然と与えられた業務をこなすのではなく、自分が携わる業務の中に常に何らかの本質的なものや原理・原則を見出そうとし、そこから学ぼうとする姿勢がある人は「経験学習能力が高い」人と言えるのではないでしょうか。
投稿者 平山 : 2007年05月11日 16:28
某県立大学看護学部教員2年目の者です。
はじめてコメントさせていただきます。
特定領域の高度専門実践看護職を対象にした学習システムや
新人看護師を対象にした卒後臨床研修に関する情報収集、
「教師研究・教師の熟達化」のため参加しました。
研究会に参加して、職種や業種によって熟達化のプロセスは大きく異なっていることなどなど知りました。
看護職を経た私にとっては、他職種業種からみた看護師の経験学習のプロセスは興味をひくものであることが
逆に興味深かったです。
最後に、老人総合研究所の方のお話も新たな研究の参考になりました。
Learning barに参加してよかったです、ありがとうございました。
追記:大学院のゲスト講義「医学教育における教育工学の活用と臨床研究」についても聴講したかったです。
投稿者 eiko : 2007年05月11日 16:42
どうも、松尾です。掲示板を拝見したら興味深いコメントが書かれてありましたので、私もコメントさせていただこうと思いました。
「本質を掴む力」は経験からの学習能力として大事な要因だと思います。先日、某企業においてプロジェクトマネジャーを支援する部門の方を対象に「経験から学ぶ力は何だと思いますか?」というテーマでグループインタビューをしたところ、「本質をつかまえようとする姿勢」が指摘されました。
本質を掴む力があれば、環境が変わったとしても「昔のヒーロー」にならずに、適応していくことができると思います。
また、講演をしていて感じたのは「看護師の熟達過程に関する調査結果」にビジネス界の皆さんが反応していたことです。やはり、社会的に重要かつ過酷な看護の世界の話は迫力があるのかなと思いました。
先日のラーニングバーは、私にとっても大変勉強になりました。中原先生ならびに参加者の方に感謝いたします。
投稿者 松尾 : 2007年05月11日 22:12
>・個人のキャラ+外的要因(組織)=経験の質
>・経験の質+経験学習能力=????
遅くなってすみません。
経験学習の連立方程式、という感じで書きました。
ただ、あのときも言いましたが「+」は「×」かも
しれません。
・個人のキャラ×外的要因(組織要因)=経験の質
・経験の質×経験学習能力(個人内要因)=知識・スキル
松尾先生、コメントをありがとうございます。
「本質を掴む力」は確かに重要そうですね。
重ねて、今回のご出講に感謝いたします。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
中原 淳
投稿者 なかはらじゅん : 2007年05月12日 07:37



















