セレブの子どもならば一流大学に入ることができる?

 ちょっと前のことになるけれど、10月19日号のクーリエジャポンに掲載されていた「米国セレブと一流大学の不正入学コネクション」の記事は、とても考えさせられた。

 アメリカのデューク大学やブラウン大学といった有名私立大学が、「大学の基金強化に貢献してくれそうな裕福な家庭の子ども」のみならず、「セレブの子どもたち」を優先的に受け入れ、大学の宣伝力強化・地位向上をめざしている、そしてその結果優秀な生徒が犠牲になっているという記事。

 ここで少し説明が必要かも。

 アメリカの大学は、卒業生からの寄付に、経営の多くを頼っています。で、こうした卒業生の子弟は、優先的に入学資格を得ることができます。これは米国の有名大学はどこでもそうでしょう。

 日本人の目から見れば、「不正じゃん」てことになるんだけど、そこにはちゃんと理屈がある。

 「卒業生の子どもは大学に対するロイヤリティが高いから、大学のコミュニティメンバーにふさわしい」とか何とかかんとか言って、入学させちゃうのです。

 でも、この2つの大学は、「セレブの子どもたち」を受け入れる、彼らを広告塔に積極的に使うというところが、他の大学とは違ったそうです。

 セレブの子どもたちは、大学に経済的貢献は行わないけれど、宣伝効果があります。テレビにもガンガンとでる。で、そのことをPR(Public relations)としてガンガン宣伝に使う、で、巨額の寄付金を集めてきた、ということでしょうか。

 で、たとえばデューク大学は1980年と比較して、基金の額が28.3倍になった。38億ドル(日本円にして・・・約4500億円・・・はぁ。ちなみに世界で最も裕福な非営利組織であるハーヴァードは約3兆円です)。
 
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 「寄付」というのは、大学にとって重要な教育・研究資源です。それは全くそのとおりです。ですが、ちょっとね。

 個人的には、「いかなる理由」があっても、どんな理屈をつけても、「寄付」と入試は結びつけるべきではないと思う。どう理屈をこねても、フェアにならないから。

 本来、大学に入学して、いかんなく知への興味を爆発させられる、優秀な子どもたちが入学できず、「手に負えないほどの成績の大富豪、セレブのアンポンタン」が入学するってのは、どう考えたって、僕の感覚からすれば、フェアじゃないと思うんですけれども。「フェアであること」にこだわるのはアメリカ人ではなかったのですか?

 まぁ、これに類することは、別にアメリカの大学でなくたって、まぁ、どこにでも多かれ少なかれある。日本にだってないとは言えない。

 これは邪推だけれども、たぶん、デュークやブラウンが叩かれているのは、そのやり方露骨だったせいもあるのでしょうね。

 なんだかため息がでるね・・・。
 大学とは何かね。