知識人の条件

 東京大学には、「淡青(TANSEI)」という広報誌があります。「淡青=ライトブルー」は、東京大学のスクールカラーですね。1年に2回くらいをめどに出版されているようです。

 淡青(TANSEI)
 http://www.u-tokyo.ac.jp/gen03/tansei_j.html

 毎号、東京大学にまつわるいろんな特集が組まれていますよ。ノーベル賞受賞の話題から、安藤忠雄先生の対談まで。
 最新号の淡青には、古田元夫副学長・理事と大江健三郎さんの対談が特集されていました。

 仕事の合間にザーッと読んでいたら、この対談の中で、エドワード・サイードの「知識人の条件(Representation of the intellectual)」が紹介されていて、ふと目にとまった。

「知識人は世界に対してはっきりと表現し、主張しなければならない。それが知識人の条件だ・・・自分がどういう人をRepresent(代表・代弁)しているかを意識せよ」

 確か、僕がこの本を読んだのは学部時代だったけれど、そのときには、上記のようなサイードの言葉はあんまりピンとこなかったんです。

 だけれども、大学院をへて、職業研究者として働くようになり、そういう眼差しで「教育」の世界、あるいは「教育研究」の世界を眺めるようになり、だんだんとこの意味がわかるようになってきているような気がしています。

 あなたが意識するにせよ、意識しないにせよ、否、知りたいと思うにせよ、そうでないにせよ、「教育を語るあなた」は誰かを代弁し、誰かの利害を代表している。

 何を改めてと思うかも知れませんが、教育は、否、教育研究の世界も、そういう政治空間なのです。

 あなたは、何をRepresentationをしていますか?

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