「経営学習研究所:MALL」立ち上げに際しての個人的な思い

 経営学習研究所(MAnagement Learning Laboratory:略してMALL モール)という非営利型の一般社団法人を、志を同じくする研究者・実務家の方々と、このたび設立しました。

経営学習研究所
http://www.facebook.com/malljp

malllogo.jpg

一般社団法人 経営学習研究所(設立準備中)
理事:
 田中 潤
 板谷和代
 長岡 健
 岡部大介
 島田徳子
 平野智紀
 牧村真帆
 中原 淳

監事:
 清水智之

事務局:
 古川英幸
 栗村友美

 まだFacebookのページしかないのですけど(笑)。
 独自ページは、おいおい作り込んでいく、ということで。

  ▼

 MALLは、「経営」「学び」「デザイン」の3つの領域にかかわる学際的な研究・実践を普及促進することをめざします。

 ひと言でいうならば、研究所の最大の関心は、

 「働く大人の学びのデザイン」

 です。

 MALLは「学び」が、社会のここ、あそこに溢れているような状態、つまりは、Learningful society(ラーニングフル・ソサイエティ)の実現を願っています。

 組織内、組織外の境界に私たちはこだわりません。また「組織の学び」か「個人の学び」か、という二分法にもとらわれません。

 境界のウチソトを問わず、組織にも個人にもひとつに還元できない「学びにあふれる社会づくりに貢献したいね」という思いで、この組織を、私たちは「自分たちのリソース」を出し合って、自腹でつくりました。

 この社会が「学びのショッピングモール」のように、多種多様な学習機会に満ちあふれ、学びたいと願う個人が、自らの学びを自らデザインできるような風になればいいな、と感じています。だから研究所の愛称は「MALL : モール」なんです。

 営利を目的にするのならば、「売り上げ」が追求するべき第一の価値になるのかもしれません。しかし、私たちの組織は「非営利」です。こうした「志」をゆるやかに共有する実務家と研究者の集まりが、MALLです。

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 とはいえ、組織を立ち上げるにあたり、各理事には、これまで行ってきたことと、それぞれの思い、立ち位置があると思います。「志」の根幹は共有していても、理事の思いや、立ち位置は、違ってよいし、むしろその多様性こそが資産なんじゃないかな、と考えています。

 年齢層も、経験も、社会的背景も、職業も、異なる人々が、理事として、この法人経営に参加しています。ここが最大の資産です。

 各理事の思いは、6月4日のキックオフイベントで、皆さんと共有させていただくとして、僕自身の思いをすこしだけ、ここに書きます。

 6月4日は、僕も、もちろん、プレゼンさせていただきますが、そこではもう少し具体的に、今後やっていくことを話したいのです。
 僕には、まだまだ、やりたいことがあるんだよー、ローラ(意味不明)。

 おかげさまで、6月4日のイベントには400名弱のお申し込みをいただきました。心より感謝いたします。会場の都合ですべてのご要望にはお応えできませんでしたが、なにとぞお許し下さい。
 過日、すでに120名の方々に当落通知がおくられていることと思います。当選なさったみなさま、6月4日に、お逢いできますこと、心より愉しみにしております。

これからの新人教育の話をしよう! :新人を通じた組織開発、イノベーション創発! 6/4イベント開催・募集開始 : 「経営学習研究所」設立キックオフイベント!
http://www.nakahara-lab.net/blog/2012/05/post_1849.html

 ちなみに、MALLでは、僕が、初代の代表理事を拝命させていただきました。MALLを今後、運営していくうえで、下記は個人的に大切にしたいよな、と感じていることです。

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 まず第一に大切にしたいことは、「MALLは実務家と研究者のネットワークである」ということです。

 企業・組織の第一線で実務にあたえられている方々と、研究者がダイレクトにつながることで可能になることと、そこに秘められた「付加価値」を、僕は「最優先」したいと考えています。

 思うに、実務と研究の世界は、これまで、程度の差こそはあれ、異なる次元にありました。万が一、それらが結びついていた場合にでも、それら「異なる二つの世界」を結びつけるだけの「権威」や「権力」や「歴史的経緯」が、背後に隠されていました。しかし、わたしたちは「権威」も「権力」も「歴史的経緯」ありません。

 二つの世界が出会い、そして新たな物事や次世代の価値が生まれること。それらが双方にとっての「エコシステム」を構成すること。「甘い! 伊勢名物、赤福なみに甘い!」と言われるかもしれませんが、わたしたちは、その可能性に賭けています。

  ▼

 第二に「MALLは自ら社会実験を繰り返す」ということです。

「実務としては5年先、研究としては2年先」の社会実験的なイベント・研究の実施に、MALLを通じて、僕自身は積極的に投資していきたいと感じています。そのためには、非営利とはいえ、「比較的リスクの低いプロジェクトの確実なる実施」を通して、高リスクのプロジェクトに投資できるだけの費用を確保することです。MALLのイベントの参加費用が少しだけ高く感じたとしたら、どうか、このご主旨をご理解ください。

 これらの社会実験において「失敗」は断じて恐れません。
 昨今、世の中では「失敗できないプロジェクト」が、多くなっています。

 しかし、MALLは「失敗を敢えてめざすこと」はないにせよ(失敗はしたくないですよ)、でも、「失敗してしまうこと」を恐れません。

 一般的な視点から見れば、MALLの試みは、危なっかしく、リスクにあふれることに見えるのかもしれません。しかし、「失敗できること」こそが、私たちの財産である、と感じています。

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 第三に「意欲ある次世代の背中をそっとおすこと」をめざしたいと思います。

 経営学習、人材開発、人材育成、学びとデザインに興味を持っているけれど、あともう少しの「勇気」と「支援」が必要な方々。「意欲」はあるけれど、残念ながら「機会」や「人脈」には恵まれていない学生の方々、若い方々を積極的に支援します。

 支援といっても、「お金」を直接配布できる余力はありませんし、それを私たちはしません。むしろ、それらの方々に比較的安価な費用で学びの機会を提供していくことになると思います。

 それを受講しても「単位」にも、「学位」にも、「昇進」にもつながらないことかもしれません。しかし、本当に意欲ある方々の「履歴書には書けないけれど、それでいて、勇気ある一歩」を、わたしたちは「単位」「学位」「昇進」とは、別の次元で支援させて欲しいと考えています。

  ▼

 第四に「MALLはメディエーターになりたい」と考えています。

 私たちの経済は、これから「右肩上がり」ではないかもしれません。また、「大きな組織」をつくるにもそのための「資本」が必要ですし、そこには「しがらみ」が生まれます。また、かえって、そうした組織では、小回りのきく運営はできません。

 MALLは「ちっぽけな、吹けば飛んでいってしまうような組織」です。しかも、私たちは何も持っていません。しかし、だからこそ可能になることがあります。わたしたちが最も得意とすることは「Association」をつくりだす「意志」と「ずうずうしさ」と「ノリのよさ」です(笑)。

 MALLは、「志ある人々のAssociation」を、自らが「メディエータ」となることでつくりだし、物事を実現し、それらをフルに活用します。

  ▼

 最後に、上記のような目的を達成するため「MALLは自主独立した活動を続けます」。

 大きな組織、巨大な資本。やろうと思えば、それらとのつながりをつけ、支援をいただくことは不可能ではないのかもしれません。しかし、私たちは、敢えて、それをしようとは思いません。個人を対象としたマイクロファンディングは、可能性はゼロではありませえんが、今はまだその段階にありません。

 いずれにしても、上記のような種々の活動を、「わたしたちの身の丈」にあわせて少しずつ維持・拡大していくことが、大切だと考えているからです。

 世の中に「政治的中立」は存在しません。MALLの活動も決して「中立」ではありませんし、またそうなるつもりもありません。

 ただし、MALLは、過剰に、ひとつの大組織に依存することをよしとはしません。自分たちのリソースで、自分たちのやりたいことを、自分たちのやりたいようにやる。この「自主独立性」こそが、MALLの強みです。

  ▼

 以上、MALLを立ち上げるにあたり、僕の考えていることでした。言い足りないところ、言い過ぎているところがあるとは思いますが、なにとぞご容赦ください。また上記は、MALL理事やMALLの組織としての見解と、必ずしも一致しません。
 MALL理事の方々、ご支援いただける方との話し合いのすえ、今後のあり方を、ひとつひとつ、決めていきたいと考えています。

  ▼

 いずれにしても、まだはじまったばかりです。
 いえ、今はキックオフ前ですので、まだはじまってすら、いません(笑)。

 しかし、わたしたちの活動に、もしご興味があり、かつ志を同じくするようでしたら、ぜひ、今後、何らの機会で、ご一緒しましょう。

 自分たちのリソースで、自分たちのやりたいことを、自分たちのやりたいようにやりたい
 そして、志をともにする皆さんと、本当に、本当に、新しく意味あるものを創りたい
 
 6月4日、MALLのキックオフイベントでお会いしましょう!
 I can't wait it!!

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追伸1.
 6月4日キックオフイベントの運営を手伝って頂ける学部生・大学院生ボランティアスタッフを下記にて募集師しています。アルバイト代、交通費の支給はありませんが、当日午後に、学生ボランティアスタッフの方々に対する、理事によるミニ講座を用意させていただきます。また、当日実務を通して、ラーニングイベントのロジスティクスの実務を学ぶ機会があると思います。下記をお読みのうえ、ふるってご応募ください。

学生ボランティアの募集
https://docs.google.com/spreadsheet/viewform?formkey=dGRCTnloV09scGtsRklBdThMbDZKS2c6MQ

追伸2.
 現在、二つのイベントの募集を行っています。
 ふるってご応募ください! 皆様のご参加お待ちしております。

7/6(木) 東京大学 実践を記録すること、物語ること、コミュニティを創ること - 小西貴士さんをお招きして : ACADEMIC HACK!の参加者募集!
http://www.nakahara-lab.net/blog/2012/05/_academic_hacknakahara-lab.html


8月19日(日)京都大学【大学生研究フォーラム2012】参加申し込み開始!:大学生のキャリアと仕事、きっと、こうなる :グローバル時代の大学生のキャリアと学び

http://www.nakahara-lab.net/blog/2012/05/2012.html

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■2012/05/21 Twitter

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■2012/05/20 Twitter

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■2012/05/19 Twitter

  • 16:01  多くの組織の課題>シニア社員に「キャリア研修制度」広がる:デンソーやオリックスなど。役職なしのシニア社員急増。これまでのような報酬・配置・昇格ができない中、どのように働くかを考える(日経)
  • 11:17  パワポ作成終了。新ネタなので時間がかかった。うまくいくかなぁ・・・。不安でもあり、愉しみでもある。
  • 08:42  情報感謝です!本日、Apple storeに、小生、出没しそうな予感です RT @swedenjapan21 Apple TVオススメです。自分はREGZA42とホームシアタースピーカーでYouTube大画面で見ています。 RT Apple TVを買おうかな  [in reply to SWEDENJAPAN21]
  • 08:34  昨日は深夜まで、Youtubeで80'sを聴いてハマった。Apple TVを買おうかな。評判どうなんだろう。物欲が久しぶりにわいてきた。
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■2012/05/18 Twitter

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■2012/05/17 Twitter

  • 22:58  お読み頂き、誠に感謝です!読書記録までありがとうございました!RT @_aki3 「インプロする組織」読書記録(ママ先生's振り返りジャーナル):http://t.co/lO65VsB2
  • 22:56  5/27、もし来られるようでしたら、インプロ&トークでお逢いしましょう!RT @_aki3 【即興演劇とは?】インプロワークショップに参加してきました(ママ先生's振り返り)http://t.co/yUnEjjer  [in reply to _aki3]
  • 21:33  ダハハ(笑ってごまかす)RT @tatthiy 先生の分析結果も期待しております(笑)RT 明日は朝9時リサーチミーティングですね。あっと驚くタメゴロー的な分析結果を愉しみにしています(笑)RT 明日までやらないといけないことがあるので研究室に戻った  [in reply to tatthiy]
  • 20:51  明日は朝9時リサーチミーティングですね。あっと驚くタメゴロー的な分析結果を愉しみにしています(笑)RT @tatthiy: 明日までやらないといけないことがあるので研究室に戻ったがいいが、あまりに疲れたのでちょっと寝た。さて、作業再開!
  • 20:37  慶應MCC「ラーニングイノベーション論」 class of 2012、初回無事終了。今年は30名の方々にご参加いただいております。ありがとうございます。半年間愉しみましょう。
  • 08:08  ブログ更新。【大学生研究フォーラム2012】8/19(日)参加申し込み開始!:大学生のキャリアと仕事、きっと、こうなる。最新のデータ、大学教育事例を知り、様々な方々とのダイアログをお楽しみいただける一日になると思います。 http://t.co/KAdF0SJG
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■2012/05/16 Twitter

  • 15:01  大学院授業「経営学習論」:新人は組織文化(組織の暗黙の前提)を、どのような出来事から、いかにして学ぶのか?
  • 10:59  大学院・中原ゼミ(@nakaharalab)関根さん「新卒社員の組織社会化を促す職場メンバーの支援行動に関する実証研究」 #nakaharalab
  • 10:35  面白い比較 RT @syasuak 保育所の、はいはいしない乳児1人当たりの面積より狭いのか RT 一般的なビジネスパーソンのデスクの面積は「幅120センチ×奥行き70センチ」ときいた。椅子の可動域を入れると、「縦横120センチの空間」が個の平均的面積  [in reply to syasuak]
  • 08:49  昨日某ファニチャーメーカーの方に、一般的なビジネスパーソンのデスクの面積は「幅120センチ×奥行き70センチ」ときいた。椅子の可動域を入れると、「縦横120センチの空間」が個の平均的面積ということらしい。
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■2012/05/15 Twitter

  • 19:44  RT@tatthiy: 昨日のイベントのつぶやきをまとめました! → 女子のためのサイエンスイベント「Science Girls' Talk」香りをあやつる女子になろう! - Togetter http://t.co/QY2YDksq #ScienceGirlsTalk
  • 16:22  メディアの地殻変動か。20歳代人口の8割以上が会員>多様性と共感のメディア「ニコ動」超会議の真意 :「コンテンツは自分たちで作り、自分たちで盛り上げる」「テレビに出たいってよりは、ニコニコで有名になりたい」 http://t.co/qzlZk0dN
  • 14:35  【RT大歓迎・お願い】大学生研究フォーラム2012「グローバルキャリアの時代に大学教育は何ができるか」大学生研究と組織研究の架橋をめざす 京都大学×東京大学×電通育英会共催:8月19日(日)京都大学: http://t.co/kItfGtjb
  • 14:28  曜日間違えました。ごめんなさい。7/6(金)です>【実践を記録すること、物語ること、コミュニティを創ること】 - 小西貴士さんをお招きして : 7/6(金) ACADEMIC HACK!の参加者募集! http://t.co/n0L2iWRS
  • 06:30  起業と越境学習。興味深い動向>「起業イベント」盛況。起業体験、企画力・組織運営力に磨き、チームで商品開発を競う:製品やサービスのアイデアを持ち寄り、チームで練り上げる(日経)
  • 06:21  本日申し込み最終日になりました。ご興味をお持ちの方はぜひ>「これからの新人教育の話をしよう」新人を通した組織開発、新人によるイノベーション創発 経営学習研究所キックオフイベント 6月4日午後6時30分: http://t.co/qPnJjWUM
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投稿者 jun : 2012年5月21日 22:19